コロンビア月例報告(11月分)

経済情勢

2010年12月13日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●サントス大統領は12日,雇用拡大,貧困削減及び治安改善を柱とする「国家開発計画(20102014):全国民の繁栄」案の骨子を発表した。今後,国家企画委員会が協議し,修正等を加えた上で,政府が期日である201126日までに議会へ提出する。

●政府は15日,税制改正法案を国会に提出した。法案の内容は,①固定資本投資に対する所得税の税額控除の廃止,②工業部門のエネルギー消費に課される割増料金の段階的廃止,③金融取引税(41000)の税金逃れをなくすための措置,となっている。

●国営石油会社エコペトロル理事会は2011年の投資予算額85.5億ドル(前年比+23.4%)を承認した。

●コロンビア民間航空局は11日,米航空交渉局との協議の結果,両政府は2013年中に航空自由化(オープンスカイ)協定を発効させることで合意した旨発表した。

●コロンビア,ペルー,チリの3カ国の証券取引所が9日統合に合意,新証券取引所である「ラテンアメリカ統合市場(Mercado Integrado Latinoamericano, MILA)」は,22日に共同運営に向けての試験取引きを開始した。

 

Ⅱ.主な出来事

<国内情勢>

(1)経済見通し

ウリベ中央銀行総裁(5日):2010年の実質GDP成長率は3.54.5%。また,年末のCPI上昇率(前年同月比)は+2.7%程度。

 

(2)国家開発計画案(骨子)の発表

サントス大統領は12日,雇用拡大,貧困削減及び治安改善を柱とする「国家開発計画(20102014):全国民の繁栄」の骨子を発表した。このうち数値目標として,2014年もしくはそれまでに,①失業率を9%まで引下げる,②炭化水素生産量を日量140万バレルへ引上げる,③年間輸出額526億ドル,対内直接投資額132億ドルを達成する,④100万戸の住宅を建設する(うち64.9万戸は社会利益目的)等が掲げられた。なお,かかる費用は4年間で485兆ペソとされる。今後,国家企画委員会(サントス大統領が委員を任命済み)が同計画を協議し,修正等を加えた上で,政府が期日である政権発足後6ヶ月以内(201126日)までに議会へ提出する。

 

(3)税制改正法案

政府は15日,ペソ高対策としての企業競争力向上を目的とする税制改正法案を国会に提出した。法案の内容は,①企業の機械設備刷新による生産性向上を目的にウリベ前政権下で導入された,固定資本投資に対する所得税の税額控除(控除率30%)の廃止,②工業部門のエネルギー消費に課される割増料金の税率につき,2011年は現行の20%から10%まで引下げ,また2012年には完全に撤廃,③金融取引税(41000)に関し,(合法的な)税金逃れをなくすための措置,となっている。

 

(4)インフラ関連

(ア)インフラ政策

(ⅰ)サントス大統領は25日,国家インフラ会議のマージンで,国営石油会社エコペトロルの発行済み株式の9.9%の売却によって得られる売却益は,大型インフラ案件に充当されるべきとの考えを示した(当館注:同売却益は法律によって,エコペトロルの活動目的以外の利用は認められていないため,政府は121日,インフラ及び災害目的の利用を可とする追加的な株式の公開10%を認める法案を国会に提出した)。また,地域開発金融公社(Findeter)の改革を通じた国家インフラ銀行の創設を検討中であるほか,インフラ案件への新規投資家として年金基金等の民間部門との連携強化を模索すると発表した。なお,構造面では,公共事業民活公社(INCO)を,インフラ構造を担う技術的組織として国家インフラ庁に変革させる予定である。

(ⅱ)カイセド・コロンビア・インフラ委員会会長によれば(19日,当地経済紙報道),優先順位の高いインフラ案件は次のとおり。マグダレナ川航行化,中央鉄道システム,ボゴタ-ブエナベントゥーラ間及びボゴタ-カリブ地域間の両面通行道路整備,リネア・トンネル2本目の建設,アマゾン地区の道路整備等。

(ⅲ)ゴメス国家企画庁(DNP)長官は2日,20102018年の8年間におけるインフラ関連費用は17.2兆ペソ(内訳は道路11.8兆ペソ,鉄道2.6兆ペソ)との試算を発表した。

(イ)ボゴタ市メトロ建設プロジェクト

(ⅰ)ボゴタ市議会は9日,運輸相,大蔵相及びDNP長官に対し,ボゴタ市メトロ建設計画の資金調達と債務返済計画にかかる国の共同融資について協議するため,参集呼びかけを行った。

(ⅱ)カルドナ運輸相は15日,世銀は,メトロ建設計画についてたとえ着工過程に遅れが生じたとしても,ボゴタ市にとって重要な本計画が成功を収めるためには,別の外資系企業が新規にFS調査を行うべきであるとして,モレノ・ボゴタ市長にこの旨要請する決定を下したことを明らかにした。

(ⅲ)セア・ボゴタ市メトロ建設部長は23日,ボゴタ都市開発機構(IDU)がメトロ第1号線のFS調査を行う会社の選定を誤ったために,世銀の承認が得られず,着工過程に遅れを生じさせたとして,同機構を批判した。これに関しカルドナ運輸相は,モレノ・ボゴタ市長の任期である2011年中のプロジェクト承認は難しいだろうとコメントした。

(ウ)リネア・トンネル建設計画:レジナ・デル・キンディオ自治体は24日,リネア・トンネルの建設工事が,キンディオ県カラルカ市に供給される水の堆積及び汚染問題を引き起こしているとして,工事を延期するよう命じた。これに対し運輸省道路公社(Invias)は,工事禁止令が一刻も早く解かれるようかかる修正を行うとしている。

(エ)ボゴタ-サンタ・マルタ間道路「ルータ・デル・ソル」:クンディナマルカ県サルガル港とセサル県サン・ロケ市を結ぶ区間を担当するコンセッションは29日,国内7つの銀行による融資,総額1.5兆ペソを獲得し,本プロジェクトの実行が保証された旨発表した。

 

(5)企業動向

(ア)国営石油会社エコペトロル(16日,同社プレスリリース):エコペトロル理事会は2011年の投資予算額85.5億ドル(前年比+23.4%)を承認した。このうち95%は国内向けとし,残り5%は米国,ブラジル及びペルーでの投資に充てる。また,活動別内訳は,生産(38.5億ドル),探査(12.9億ドル),精製及び石油化学(12.8億ドル)及び運輸(17.3億ドル)となっている。

(イ)日野自動車(10日,当地紙報道):日野自動車は,415日にかけてボゴタにて開催された国際自動車展示会の場で,当国初となるハイブリッド小型トラックを展示した。

(ウ)日産自動車(26日,当地経済紙報道):日産の電気自動車担当のケン・ラミレス氏は,今年米国で販売を開始した電気自動車Nissan Leafについて,今後3年を目処にコロンビア国内でも販売されることになろうと述べた。

(エ)Grupo Odin社(個人投資家による日系バイオエネルギー関連企業)(30日,当地経済紙報道):石油精製及びバイオディーゼル生産を行っているGrupo Odin社は今般,同社独自のガソリンスタンド網にてガソリンの直接販売を開始すべく,準備を進めている。なお,コロンビア証券取引所上場に向けた準備はすべて整った由。

(オ)FOTON社(3日,当地各紙報道):中国のトラック・農業機械メーカであるFOTON社とコロンビアの大型スーパーマーケット・チェーンのAlkosto社は,2012年に軽トラックの生産を開始するため,800万ドルを投資すると発表した。年間生産台数は5千台としており,生産を行う自動車メーカとしては国内5番目となる。

(カ)石油会社SINOCHEM(4日,当地各紙報道):中国の石油会社SINOCHEMは,Emerald Energy社の買収に伴い,2013年に日量6.7万バレルの中国向け石油輸出を開始すると発表した。

 

<対外関係>

(1)対米関係

(ア)自由貿易協定(FTA)関連:繊維,縫製及び衣服部門関連の米国企業は19日,米議会の民主党及び共和党議員に対し書簡を送り,2010年末に期日を迎えるアンデス通商促進麻薬撲滅法(ATPDEA)を最低2年間延長するよう,また,米・「コ」FTA発効を前向きに検討するよう要請した。

(イ)航空自由化:コロンビア民間航空局は11日,米航空交渉局との協議の結果,両政府は2013年中に航空自由化(オープンスカイ)協定を発効させることで合意したと発表した。なお,今次協議の結果,2013年以降の完全自由化を前に,2012年中両国は追加的に21便まで増加することが可能となった。

 

(2)対ベネズエラ関係

(ア)両国首脳会談:サントス大統領とチャベス大統領は2日,カラカスにて会談し,二国間生産的経済委員会及び二国間観光委員会の設置等に関する合意文書に署名した。なお,次回会合は20112月初旬にコロンビアで開催予定。

(イ)経済補完協定:両国政府は89日,カラカスにて経済補完協定第1回会合を開催し,双方の提案を確認し合った。ベネズエラがアンデス共同体(CAN)を脱退したことに伴い,貿易協定が20114月に終了するため,それ以降の法的枠組みを整えることが主目的。なお,第2回会合は12月に開催予定。

(ウ)債務返済の追加承認:ベネズエラの外貨管理委員会(Cadivi)は,コロンビア輸出企業に対する債務に関し(Cadiviが外貨発給許可を出さないため,2006年末以降,同企業への支払いが滞っているもの),追加的に14,920万ドルの返済を認可した旨発表した。なお,債務総額78,600万ドルのうち,これまでに33,620万ドルの返済が認可されている。

 

(3)対日関係

ディアス・グラナドス商工観光相は1213日,横浜で行われたAPECCEOサミットに出席するため訪日した。サントス政権はアジア・環太平洋への参入を重視しており,今次サミットでのAPEC加盟を希望していたものの,実現には至らなかった。

 

(4)対シンガポール関係

ディアス・グラナドス商工観光相は,シンガポールに貿易事務所を開設する旨発表した。これは二重課税防止条約及び投資保護協定の合意,また2012年中の署名を視野に入れた自由貿易協定(FTA)交渉開始を目指すもので,APEC加盟に向けた重要なステップになるとしている。

 

<経済指標>

(1)経済活動全般

(ア)実質工業生産指数(DANE発表):9月の実質工業生産指数(コーヒー豆加工を除く)は前年同月比+2.8%(前月は同+4.4%)となった。部門別では,寄与度の高い5項目である電機・機械部品(同+28.3%),自動車(同+28.1%),衣料(同+20.2%),石油製品(同+12.0%)及び化学品(同+8.3%)がそれぞれ高い伸びを示した。

(イ)実質小売売上高指数(DANE発表):9月の実質小売売上高指数は前年同月比+18.6%と,自動車・二輪車(同+68.0%)及び家電(+59.6%)が牽引役であった。

(ウ)消費者信頼感指数(Fedesarrollo発表):10月の消費者信頼感指数(ICC)は高水準を維持しているものの,30.3ポイント(前月は35.4ポイント)と,2ヶ月連続低下した。

 

(2)産業動向

(ア)石油生産量(国家炭化水素庁(ANH)発表):10月の石油生産量は平均79.7万バレル/日,前年同月比+12.7%であった。なお,ロダド鉱山・エネルギー相は18日,2010年通年の生産量は前年比+16%の85.0万バレルに達しようと述べた。

(イ)石炭生産量(コロンビア地質・鉱物研究所(INGEOMINAS)発表):第3四半期の石炭生産量は,厳冬の影響により,前年同期比-2.42%の1,800万トンとなった。なお,第13四半期では5,730万トンであった。

(ウ)コーヒー

(ⅰ)生産量(コーヒー生産者連合会(FNC)発表):FNC加盟コーヒー生産者による10月のコーヒー生産量は,栽培更新プログラムが奏功し,前年同月の54.4万袋(1袋=60㎏)から80.7万袋へと増加した。なお,10月の輸出量についても,前年同月の53.5万袋から58.4万袋へと増加している。

(ⅱ)価格(国際コーヒー機関発表):コロンビア産マイルド・アラビック・コーヒーの価格は前月に続き上昇を続け,月間平均価格は1ポンド=2.44ドルに達した。

(エ)観光(商工観光省発表):第13四半期の外国人観光客数は,前年同期の143.6万人から160万人へと増加した。

 

(3)物価・雇用(DANE発表)

(ア)物価:10月の消費者物価上昇率は+2.33%(前年同月比,以下同)となった。費目別にみると,前月に続き,保健(+4.18%),教育(+4.00%),住宅(+3.61%)が高水準であった一方,娯楽,通信,衣類はマイナスとなった。なお,中銀のインフレ目標は31%。また,10月の生産者物価上昇率は+2.67%と前月並みであった。

(イ)雇用:10月の全国失業率は10.2%と,前年同月の11.5%から1.2%ポイント改善した。就業者数が前年同月の1,942万人から2,000万人へと増加した一方,失業者数は252万人から226万人へと減少した。また,主要13都市の平均失業率についても前年同月の12.4%から11.1%へと改善している。

 

(4)金融

(ア)金融政策:中銀理事会は29日に定例政策決定会合を開き,政策金利を3.0%に据置く旨決定した。また,2011年中のインフレ目標についても,2010年同様,24%に据置く旨決定した。

(イ)コロンビア,ペルー,チリの証券取引所が統合に合意:9日,リマにおいて,コロンビア,ペルー,チリの3カ国の証券取引所が統合に合意した。新証券取引所の名称は「ラテンアメリカ統合市場(Mercado Integrado Latinoamericano, MILA)」であり,拠点はリマとなる。MILAの中南米地域における規模は,登録企業数では第1位の563社,時価総額では第2位の6,140億ドル,取引量では第3位の570億ドルに上る。

22日より共同運営に向けての試験取引きを開始しており,コロンビア投資家にとっては,取引可能銘柄が統合前の87社から500社超へ増大した。

(ウ)金融部門利益(金融監督庁発表):110月の金融部門利益は前年同期比+4%の7.8兆ペソ(うち5.1兆ペソは銀行部門利益)であった。

(エ)為替・株価:11月のコロンビア・ペソの対ドル相場は,欧州の財政・金融不安など海外要因に不透明感が高まったことを受け,リスク回避の動きから,下落基調となった。株価についても同様に,11月のIGBC指数は,一進一退の動きをみせながら下落基調を辿った。

 

(5)財政/税収(国税・関税庁(DIAN)発表):10月の税収は前年同月比(以下,同)+2.1%の4.6兆ペソとなった。付加価値税(国外徴収分,+37.0%)及び関税(+36.7%)が高い伸びを示した一方,税収の約5割を占める所得税は-13.2%の2.2兆ペソへと減少した。この結果,110月の税収は59.2兆ペソ,前年同期比-0.1%となった。なお,オルテガDIAN長官は25日,2010年の税収目標69.7兆ペソは達成可能だろうとした。

 

(6)貿易・投資

(ア)貿易(DANE発表):9月の貿易収支は,ペソ高を背景に輸入が大幅に伸び(前年同月比+41.7%),輸出(同+15.0%)のそれを上回った結果,前年同月の1.8億ドルの黒字から-4.9億ドルの赤字に転じた。輸入の増加(CIF価格)は,自動車・部品(同+97.0%)及びボイラー・機械・部品(同+41.9%)が主因であった一方,輸出は原油・石油製品(同+36.7%)が伸びた。

(イ)対内直接投資FDI(中銀発表):10月のFDI流入額は7.7億ドル,前年同月比+104.4%となった。このうち石油・鉱物資源への投資は全体の90.9%を占める7.0 億ドル,同+23.0%であった。なお,110月累計では79.6億ドル,前年同期比+24.5%となった。

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)経済活動指数(出所:国家統計庁(DANE))

 (ア)実質工業生産指数(9月)  前年同月比+2.8%(同-4.0%)

 (イ)実質工業売上高指数(9月) 前年同月比+3.5%(同-8.2%)

 (ウ)実質小売売上高指数(9月) 前年同月比+18.6%(同-7.7%)

(エ)新規建設着工承認面積(9月)160.0万㎡(119.9万㎡)

(2)雇用(10月失業率)(出所:DANE

 (ア)全国平均  10.2%(11.5%)

 (イ)主要13都市平均 11.1%(12.4%)

(3)消費者物価上昇率(10 月)(出所:DANE

 (ア)前月比 0.09%(同-0.13%)

 (イ)前年同月比 2.33%(同+2.72%)

 (ウ)前年末比 2.31%(同+1.98%)

(4)金利(11月末現在の政策金利)(出所:中央銀行)

  3.0%(2010430日,0.5%ポイント引下げ。以降据置き)

(5)為替(11月)(対ドル為替レート)(出所:中央銀行)

 (ア)月初  1,831.64ペソ

 (イ)月末  1,916.96ペソ

 (ウ)最高値 1,817.70ペソ(8日)

 (エ)最安値 1,916.96ペソ(30日)

(6)株式指数IGBC11月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

 (ア)月初  16,003.97ポイント

 (イ)月末  14,935.58ポイント

 (ウ)最高値 16,278.88ポイント(5日)

 (エ)最安値 14,575.07ポイント(16日)

(7)貿易(出所:DANE

 (ア)輸入額(FOB)9月) 37.1億ドル(26.2億ドル,前年同期比+41.7%)

 (イ)同(19月累計)  276.0億ドル(228.0億ドル,同+21.0%)  

 (ウ)輸出額(FOB)(9月) 32.2億ドル(28.0億ドル,同+15.0%)

 (エ)同(19月累計)  289.2億ドル(238.5億ドル,同+21.2%)

(8)労働者送金(出所:中央銀行)

 (ア)10月     3.5億ドル(3.5億ドル,同+0.7%)

 (イ)110月累計 32.3億ドル(33.7億ドル,同-4.1%)

(9)ガソリン価格(11月)(出所:鉱山・エネルギー省)

  レギュラーガソリン1ガロン 7,765.79ペソ(前月比+2.00ペソ)

(10)自動車販売台数(10月)(出所:Econometria社)

  23,462台(16,250台,前年同月比+44.4%)

 

(了)