コロンビア月例報告(7月分)

 

内政・外交状況

 

2008年8月28日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

〈内政〉

●コロンビア国軍は、グアビアーレ県でFARC人質のイングリッド・ベタンクール元大統領候補、米国人3名を含む計15名(いずれもFARC側が、政府との人質交換対象としていた)を救出した(2日)。

●ギャラップ社はベタンクール元大統領候補を含むFARC人質15名の救出(「王手」作戦)前後に実施された世論調査の結果を発表した(9日)。「王手」作戦前の調査では80%だったウリベ大統領の政策支持率が、「王手」作戦後は86%に上昇し、過去最高支持率に達した。

●20日(コロンビア独立記念日)、全国で独立記念日祝賀式典と共に人質解放を訴える集会及びデモ行進が行われた。ウリベ大統領はアマゾナス県レティシア市でルーラ・ブラジル大統領及びガルシア・ペルー大統領同席の祝賀式典に参加した。

〈外交〉

●ベタンクール元大統領候補(「コ」・仏両国籍を有する)の解放を受け、クシュネール仏外相が当国を訪問し、ウリベ大統領及びアラウッホ(前)外相と会談を行った(3日)。ベタンクール元大統領候補は、翌日クシュネール外相と共に仏を訪問し、サルコジ仏大統領と会合等を行い、解放の喜びを表明した(4日)。

●国際赤十字社(ICRC)は、「コ」国軍が「王手」作戦実行時に国際赤十字社ロゴを無断で使用した旨発表したが、ウリベ大統領による謝罪表明を受け、ICRC側は本件について法的手段に訴えない意向を示した(16日)。

●ルーラ・ブラジル大統領は当国を訪問し、ウリベ大統領と経済、政治、軍事に関する二国間関係及び南米諸国連合(UNASUR)等について協議を行った(18日~20日)。

 

. 内政

1.内政一般

(1)ベタンクール元大統領候補等FARC人質の救出

(イ)2日、「コ」国軍は、FARCに拘束されていたイングリッド・ベタンクール元大統領候補(2002年2月から拘束)、米国人3名(トーマス・ホウェス氏、キース・スタンセル氏、マーク・ゴンサルベス氏、共に2003年2月から拘束)、国軍兵士及び警察官11名の計15名をグアビアーレ県で救出した。人質を監視していたFARC構成員ヘラルド・アギラール・ラミレス(通称「セサール」)は当局に投降した。救出作戦(「王手」作戦)では銃を使用せず、安全かつ健康な状態で人質の救出を果たした。

(ロ)同日午後10時、ウリベ大統領は大統領府において、救出されたベタンクール元大統領候補、陸軍兵士、警察官、閣僚、国軍・警察司令官等と共に会見を開き、救出成功を称え、人質解放を祝福するとともにFARCに対し、その他の人質を解放するよう求めた。

(2)ウリベ大統領に対する支持率の再上昇

(イ)9日、ギャラップ社は2日のFARC人質15名の救出(「王手」作戦)前後に実施された世論調査の結果を発表した。「王手」作戦前(6月27日~29日)の調査では80%だったウリベ大統領の政策支持率は「王手」作戦後(7月3日から4日)、86%に上昇し、過去最高支持率に達した。

(ロ)国軍に対する好感度は「王手」作戦後13%上昇し、90%を記録した他、国内情勢に対する見方も73%が改善していると回答し、「王手」作戦前の49%から大幅に上昇した。

(3)独立記念日における人質解放全国一斉デモ

(イ)コロンビア独立記念日である20日、全国各地で午前9時から独立記念日を祝うと共に人質解放を訴える集会及びデモ行進が行われ、推定600万人が参加した。

(ロ)ウリベ大統領はブラジル及びペルーと国境を接するレティシア市において独立記念祝賀式典に参加し、独立記念日を祝うと共に人質の解放を求めた。同式典には18日から当地訪問中のルーラ・ブラジル大統領及びガルシア・ペルー大統領も参加した。続いてコロンビア人歌手シャキーラ及びカルロス・ビベスによる人質解放を祈るチャリティ・コンサートが開催された。同式典には推定2万人が集まった。

(4)国会の開会

(イ)20日、新国会が成立した(会期は2008年7月20日~2009年7月20日)。上院議長には、エルナン・アンドラーデ・セラーノ議員(保守党)が、下院議長には、ヘルマン・バロン・コトリーノ議員(急進改革党)が就任した。

(ロ)今期国会では、政治・司法改革、パラミリタリーとの癒着問題(パラポリティカ)で低下した議会のイメージ向上、食糧危機等国際的課題、ジェンダー問題等が焦点となる予定である。

(5)外相の交代

 16日に日本及び韓国訪問を終えたフェルナンド・アラウッホ外相は同日夜大統領府を訪問し、ウリベ大統領に対して辞任を表明した。17日、ウリベ大統領はハイメ・ベルムデス・メリサルデ前駐アルゼンチン大使を後任として任命した。

(6)カルロス・ガルシア社会統一党党首の逮捕

(イ)25日、ウリベ派政党である社会統一党(通称U党)党首カルロス・ガルシア氏がパラミリタリーとの癒着疑惑によりマグダレーナ県サンタ・マルタ市で逮捕された。

(ロ)ガルシア党首は、武装放棄したパラミリタリー構成員の証言により、2002年国会選挙を前にトリマ県のパラミリタリー構成員に対して選挙協力を依頼したことが明らかになった。

 

2.非合法武装勢力関連

(1)9日、バジェ・デ・カウカ県ブエナベントゥーラ市で違法電力利用防止活動を行っていた国軍兵士3名がFARCにより殺害された。

(2)15日、グアビアレ県カラマール市で、国軍に協力をした報復措置として6名の市民がFARCにより殺害された。

 

Ⅲ. 治安等

1.国家警察統計(<>内はボゴタ市。右[ ]内は昨年同時期(2007年7月)の数値)

(1)殺人:1,307件<116件> ←[1,437件 <112件>]

(2)集団殺人:418人<15人> ←[314人<0件>]

(3)脅迫:40件<9件> ←[45件 <12件>]

(4)窃盗・強盗:3,419件<816件> ←[5,137件 <1,580件>]

(5)自動車盗難:1,357件<326件> ←[1,354件 <257件>]

(6)誘拐:26件<5件> ←[30件 <1件>]

(7)テロ:16件<0件> ←[24件 <0件>]

 

2.主な事件・事故

(1)爆弾事件

(イ)15日、国家検察庁の敷地内の駐車場において2度にわたり爆発が発生した(死亡者、負傷者は共になし)。調査の結果、爆発物保管倉庫内の回線不具合が原因と判明した。

(ロ)24日午後4時40分から15分間の間に、ボゴタ首都区6地点で6台のバスが発火した(死亡者、負傷者は共になし)。本件については、事故、バス会社への脅迫、テロが可能性として挙げられているが、要因については特定されていない。

(ハ)31日、ボゴタ首都区チャピネロ区チコ・レセルバド町のレストラン「Bagel Time」に二人乗りのオートバイから手榴弾が投げ込まれた(死亡者、負傷者は共になし)。

(二)31日、ボゴタ首都区ロス・マルティネス区サン・ビクトリーノ町のショッピングセンターに手榴弾が投げ込まれた(死亡者、負傷者は特になし)。

(2)航空機墜落事故

 7日、クンディナマルカ県マドリッド市でカリッタ・エアー社の貨物航空機が民家に墜落し、2名が死亡、9名が負傷した。同機は午前3時54分にマイアミにむけてボゴタ首都区エル・ドラド空港を出発したが、機体の不具合により離陸2分後に墜落した。なお、空港周辺は住宅密集地である。

(3)自然災害

(イ)14日、クンディナマルカ県ボゴタ市とビジャビセンシオ市間で土砂崩れが発生し、通行中のバスが押しつぶされ、乗客4名が死亡した。

(ロ)17日、アンティオキア県メデジン市で土砂崩れが発生し、土砂崩れによる死亡者数ではコロンビア史上最多の36名となった。

(ハ)22日、プトゥマジョ県モコア市でバスが約150メートル下の崖に転落し、23名が死亡した。

(二)31日、サンタンデール県バランカベルメハ市で教員を乗せたマイクロバスと石油会社車輌が衝突し、教員13名が死亡した。

 

Ⅳ. 外交

1.ベタンクール元大統領候補等FARC人質解放関連

(1)フランスの動向

(イ)3日、クシュネール仏外相は当国を訪問し、ウリベ大統領及びアラウッホ(前)外相と会談を行い、ベタンクール元大統領候補の解放に感謝をすると共に、「コ」政府との友好関係を確認した。

(ロ)4日、ベタンクール元大統領候補は、クシュネール外相と共にフランスに到着し、サルコジ仏大統領夫妻がヴィラクブライ空港にて出迎えた。サルコジ大統領は、ベタンクール元大統領候補の来仏を歓迎すると共に、人質解放に尽力した「コ」政府及び関係国に対して謝意を表明した。

(ハ)13日、ベタンクール元大統領候補は、仏国家記念式典に参加し、サルコジ大統領から「名誉市民」称号を受けた。

(2)仏・スイスFARC人質解放交渉団の動向

(イ)8日、「コ」政府は仲介国の支援を受けず、直接FARCと交渉を行う意向を表明した。

(ロ)10日、FARCに対し人質解放交渉を行っていたノエル・サエス・仏代表及びジャン・ピエール・ゴンタール・スイス代表は、ウリベ大統領と面会した。ウリベ大統領は、両者が「コ」政府の了解なしに交渉を行っていた経緯が明らかになったとして両者を批判した。

(ハ)仏政府は15日、今後「コ」政府とFARC間の仲介活動は行わない意向を表明した。

(3)国際赤十字社の動向

(イ)16日、国際赤十字社(ICRC)は、「コ」国軍が「王手」作戦実行時にICRCロゴを無断で使用した旨発表した。

(ロ)同日、ウリベ大統領がICRCに対する謝罪したことを受け、ICRCは複数のメディアを通じて法的手段に訴えず、謝罪を受け入れる意向を示した。

 

2.ウリベ大統領のベネズエラ訪問

(1)11日、ウリベ大統領はベネズエラ・パラグアナ精油所(ファルコン州)を訪問し、チャベス大統領と両国関係改善に向けた会談を行った。

(2)13日、ペトロカリブ首脳会合においてチャベス大統領がサントス国防相のベネズエラ政府に対する姿勢を批判し、改善を要求したことから、「コ」大統領府は政府関係者に対し慎重さを求めるプレスリリースを発出した。

 

3.要人の当国訪問

(1)1日、ジョン・マケイン米国次期大統領共和党候補は当国カルタヘナ市を訪問し、ウリベ大統領と会談を行った。会談では人権、麻薬、テロ等に関し協議を行い、マケイン候補はこれら課題に対する「コ」政府の取り組みを評価した。

(2)18日から20日にかけて、ルーラ・ブラジル大統領が当国を訪問し、ウリベ大統領と首脳会談を行い、経済、政治、軍事に関する二国間関係及び南米諸国連合(UNASUR)等について協議を行った。20日、ルーラ大統領はガルシア・ペルー大統領、ウリベ大統領と共にアマゾナス県レティシア市の独立記念日式典に参加した。