コロンビア経済情勢(11月分)

 

1.概要

(1)第3四半期の経済成長率は対前年同期比2.43%増(暫定値)と公表された。

(2)失業率は依然高水準(12.4%)であるが低下傾向で推移している。消費者物価上昇率(0.28%)は低水準で安定的に推移している。

(3)ペソの対ドル・レートは依然ペソ高傾向で推移し(月初1ドル2,575.19ペソ(月間最安値)、月末1ドル2,479.18(月間最高値))、輸出業者等に影響を与えている。他方で、政府関係者は、今年の為替下落(名目で310ペソ)により対外債務が2.4兆ペソ減少したことになると述べた。

(4)22日、訪「コ」したブッシュ米国大統領は首脳会談において、「コ」とのFTAを「プラン・コロンビア」ほど重視しなかった趣。

 

2.主な動き

(1)世銀による2004年ラ米経済成長予測

 世界銀行は、米国経済の回復、一次原料に対する世界的高需要(特に中国及び日本)及ラ米への投資回復により、今年のラ米の経済成長率は4.7%から5%へと好調になると予測した。しかしながら2005年に関しては、世界経済の低調及び商品価格の低下により、4%から4.5%の間に止まるとした。

(2)南米サミット

 12月にペルーで行われる南米サミットにおいて、南米共同体(Comunidad Suramericana de Naciones)の創設が期待されている。同共同体は、EUをモデルとした「コ」を含む南米10カ国から成る政治的、経済的且つ社会的統合体となる。20051月以降に発効するCANとメルコスール間の自由貿易協定を補完することなる。

(3)リオ・グループ・サミット(5日及び6日、リオデジャネイロ)

 本サミットにおいて各国首脳は、社会的歳出の財政スペースを広く確保するために、IMFがインフラ整備や社会問題に対する公共投資を公的歳出として勘定することを止め、会計規準をより柔軟にするよう提案した。右提案が実現することにより、インフラの近代化に対する投資拡大及び貧困対策のための資金拡大が計られる。

(4)米国・「コ」大統領会談(22日、カルタヘナ)

(イ)両国大統領会談において、ブッシュ米国大統領は、米国のプラン・コロンビアへの継続的支援を表明した。同プランへは2000年以降30億ドル以上が支援されてきたが、2006年以降の第2フェーズのファイナンスについては未定になっている。

(ロ)2国間関係で「コ」にとって他の優先的テーマにFTA交渉があるが、ウリベ大統領は、違法作物対策のために農業分野を強化し保護すべきであると述べた。他方、一部アナリストによれば、米国大統領はFTAをプラン・コロンビアほど重要視せず、何か特段の合意をした訳ではなく、両国が米州の自由貿易政策を共有し、経済関係拡大のためにFTA交渉を前進させる、と言うにとどまった。

(5)ベネズエラ・「コ」大統領会談(9日、カルタヘナ)

 両国大統領会談において、多目的パイプライン建設、相互電線網建設、メタ川航行整備、農業協力及び貿易関係強化の他に主に以下のテーマについて協議された。

(イ)ガス・パイプライン:両大統領は11月末までに技術的、法的及び経済的事項を定める文書の作成に合意した。右のために、23日から27日まで専門家会合が開催される。本プロジェクトの第1フェーズの目的は、「コ」のガスを「ベ」のマラカイボ湖地域に供給することにある。

(ロ)カルタヘナ・リファイナリー:「べ」政府は、ベネズエラ石油公社(PDVSA)を通じたカルタヘナ・リファイナリー拡張プロジェクトへの投資を表明した。同プロジェクトは、日産7万5千バレルから14万バレルの石油精製を可能とし、総コストは8600万ドルとされている。「ベ」のウィルマル・カストロ(WilmarCastro)生産・貿易大臣は、同プロジェクトに対する「べ」からの投資は2億ドルになると述べた。

(ハ)国境道路整備:ノルテ・サンタンデール県及びタチラ(Tachira)州間の国境道路(アグア・クララ-グアルミト-ラ・フリア)の建設が決定された。本計画にはアンデス開発公社(CAF)からのファイナンスが検討されている。

(6)パナマ関連動向

(イ)5日、両国大統領会談において、相互電線網の2009年運用開始及び右プロジェクトの総コスト2億ドルが合意された。右プロジェクトは、両国の関係を強化し、中米の電力市場に参入する「コ」にとって有益となる。現在は、相互で環境調査が行われている。

(ロ)上記会談では、上記プロジェクトの他に長期的計画として、グアヒラの天然ガス輸出を可能とするガス・パイプライン建設(ベネズエラとも接続)、南米と中米を繋ぐ沿岸道路の建設が協議された。

 ガス・パイプライン建設について、パナマのアレハンドロ・フェレ(AlejandroFerre)貿易商工相は、工期短縮のためにあらゆる方策が模索されており、建設総コストは約2億ドルになると述べた。また、沿岸道路建設については現在、環境への影響を最大限抑えるためのルート選定評価が行われている。ただし、パナマ環境当局は、本建設は自然生物保護地区に悪影響を及ぼすとして、本建設の可能性を否定している。

(ハ)リオデジャネイロで開催されたリオ・グループ・サミットにおいて、G3各国(「コ」、墨及びベネズエラ)はG3へのパナマの参加を受け入れた。今後はG3内の自由貿易協定へのパナマ参加交渉が開始されることになる。他方、「コ」の全国輸出業者協会(Analdex)は、パナマが国内生産品の密輸問題に関し相応の対策を講じていないとして、G3へのパナマ参入に反対している。もしパナマがG3への参加を真に望むのであれば、違法貿易対策の実施を約束する必要がある。

(ニ)コスタリカのサン・ホセで開催されたイベロ・アメリカ・サミットにおいて、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア及びコスタリカの各大統領は、「コ」のプエブラ・パナマ計画へのオブザーバーとしての参加に関する決議に署名した。右及び墨政府の事前承認により、「コ」にとっては、ガス・パイプライン、相互電線網及びパンアメリカ・ハイウェイ建設プロジェクトを通じて中米との統合が図られることとなる。

(7)対米FTA交渉関連

(イ)30日から124日まで米国アリゾナ州トゥスコにおいて対米FTA交渉第6ラウンドが開催される。ホセ・ゴメス「コ」交渉代表によれば、米国に提示するアンデス3カ国内の重要な合意がなされたため米国大統領選挙後の本交渉においては、大きな前進があるとされている。またより複雑な農業及び知的財産権分野における交渉の前進が期待されている。

(ロ)ボテロ商工観光相によれば、政府及び民間セクターは今までのFTA交渉の内容に満足していない由。農業部門に関しては、「コ」側の関心が満たされなければ合意は受け入れられないとされ、また知的財産権分野に関しては、高品質で廉価な医薬品へのアクセスが確保されなければならないとされている。

(ハ)汎南米医療機構の調査によれば、米国が主張する医薬品に対する知的財産権保護の拡大への譲歩は、「コ」の医療事情に悪い影響を及ぼす可能性があるとした。ボテロ商工観光相は、右機構の主張の基になる調査方法に疑問を呈した。

(8)税制・年金改革法案関連他

(イ)2日、下院本会議において年金改革法案が承認され、また30日、上院第1委員会でも承認された。今後は上院本会議を経た後に、次期会期において再度の両院の審議及び憲法裁判所の審議に付される。

(ロ)上院委員会で承認された内容は年金受給条件を厳しくしている。即ち2010年から2013年の間に受給年齢(女性55歳、男性60歳)に達した者は、女性57歳男性62歳まで年金受給を待たなければならない。また、2011年以降の給付金上限制(最低賃金25ヶ月分)及び年間14ヶ月分給付制度廃止、2010年以降の特別年金制度廃止(軍人及び大統領を除く)及び最低賃金以上の給付制度が承認されている。

(ハ)ウリベ大統領は、政府は対外債務を減少させるための税制面での責任を果たさなくてはならず、また社会面及び安全面の必要性に応えるための資金を確保しなければならいないと主張しつつ、今会期中に税制改革法案が承認されるよう、右法案に反対している保守党系議員に要請した。他方で大統領は、IVAの改編は、生活必需品には影響を与えないと明言した。

(ニ)1216日までに税制改革法案が承認されなければ、臨時会期が召集される可能性が高い。実際に本法案が承認されない場合、政府は、所得税徴収の改善、石油の高騰及びドル安による歳入増加を以て困難な財政状況に対処することになる。

(ホ)一部企業は、政府の税制改革案を場当たり的で根本的な改革ではないとして批判し、また相続税増税に反対すると同時に、IVA税率の一本化及び所得税率の削減を支持している。

(ヘ)23日、政府の経済関係機関はIMFに対して、114日で期限が切れるIMFとの合意に関して、来年415日まで延長するように要請した。右要請は、国家予算構造法案及び経済関連法案の審議が遅れているためである。

(9)最低賃金引上交渉

 2005年の最低賃金の引き上げを交渉する労働協定会議が12月の第一週まで延期されたが、主な労働組合は、最低10%の引き上げを表明した。さらに生活必需品、燃料及び食料品の価格、及び教育費用の凍結を要求している。右会議には、政府、企業及び組合代表が参加する。企業代表側は、組合側の提案は企業の経済状況と一致していないと反論している。

(10)ガソリン価格

 鉱物エネルギー省は、121日以降のガソリン価格の76.99ペソの値上げを承認した。右により、1ガロン5,086.86ペソとなる。今回の値上げは今年最後のものとなるが、今年1年間で14%増の757ペソ値上がりしたことになる。

(11)貿易手続簡素化策他

(イ)ボテロ商工観光相は、8日に開催された貿易最高諮問委員会にて貿易手続簡素化対策が決議されたとして、国の国際標準化へのアプローチ及び競争力強化を強調した。具体的には、現在存在する35の申請様式が1本化され、また手続期間が20日から2日まで減少する。更に20056月以降、窓口が一本化され、同口は貿易関係当局と自動的に接続されることになる。

(ハ)また同委員会では、対米FTA交渉後の貿易戦略についても承認され、カナダと2国間若しくはCANとしての交渉、またEU、中米及びアジアとの交渉が優先的とされた。特にアジアでは、日本と中国が強調された。

(ニ)貿易最高諮問委員会は、投資振興公社(COINVERTIR)及び貿易振興公社(PROEXPORT)が貿易及び投資促進の面で相互補完的な業務を行っているために、投資振興公社を解散し貿易振興公社にその業務を移管する可能性を検討している。未だ決定されていないが、来年以降右リストラが実施される可能性がある。

(12)中央銀行総裁人事

 26日、中央銀行理事会は、ミゲル・ウルティア現総裁の後任にホセ・ダリオ・ウリベ現理事を決定した。当初後任には、元大蔵相ロベルト・フンギートが指名されるとされていたために、一部世論からは驚きを持たれたが、アナリストらは、国の金融政策における継続性の保証の観点から好意的に受け止めた。新総裁の最初の声明において、ペソ高傾向は中銀の財政政策というより米国の政策のためであり、また、国際的な現象であるとしつつ、ペソ高抑制対策を継続することを強調した。

(13)投資環境

 ビジェガス全国産業連盟(ANDI)総裁は、最近の企業調査によれば、「コ」企業は国内で引き続き投資を行うとして、100社中63社は、経済全体及び製造業分野の好調な見通しを受け、近い将来において投資計画の進める予定であると述べた。同様に同総裁は、現実に産業が直面している主な問題は需要及び収益性の低下、ペソ高及び密輸等であると述べた。

(14)マネーロンダリング対策

 現在、銀行及び両替所は1万ドル以上の取扱に関して報告する義務があるが、来年1月以降は、マネーロンダリング対策の強化の下で200ドル以上の取引全てを報告しなければならなくなる。右対策は、ペソ高対策にも効果があるものと期待されている。

(15)アビアンカ売却他

(イ)16日、ニューヨーク州破産担当判事は、伯シネルジー・グループによるアビアンカ買収を承認した。同グループはアビアンカの株式75%、当国コーヒー連盟が25%を所有することになる。

(ロ)西マルサンス・グループの航空会社エア・プルス・コメットは、12月以降マドリッド・ボゴタ間の週3便の就航を開始する予定となっている。右エアラインは現在、「コ」航空当局からの認可を待っている。また英国航空は、5年間経常赤字を出した後、「コ」への就航停止を発表した。

 

3.主な経済指標

1)経済成長率

(イ)国家統計庁(DANE)は、第3四半期の経済成長率が対前年同期比2.43%増(暫定値)、また本年1月から9月までで3.52%増と公表した。2004年の目標値4%増の達成のためには第4四半期は5%増以上でなければならない。主な分野別では、建設業7.73%増、金融サービス業5.04%及び製造業4.83%となった。

(ロ)第3四半期の結果を受けてカラスキージャ蔵相は、生産活動の減速に懸念を表明したが、今年の目標値4%の維持を強調した。また今回の原因をトラック運送事業者のストライキ及び鉱物・コーヒー生産の減少であるとした。

(ハ)モンテネグロ国家企画庁(DNP)長官は、第1四半期が4.16%及び第2四半期も同様のペースが見られたために、今年全体の経済成長率は4%になるであろうと述べた。また2005年も好調さを維持すると予測している。他方、国が6%以上の成長率するためには、完全な国内治安の維持、対米FTAの実現及び対内投資の保護が必要とされるとも述べた。

(2)建設業

 国家統計庁は、9月の建設着工面積が対前年同月比7.12%増の110万平方メートルであったと公表した。しかしながら、今年1月から9月までは前年同期比0.86%減となり、この4年間で初めての減少となった。ここ数年間経済成長の牽引役となってきた同業の停滞は、不安を生み出している。

(3)コーヒー

(イ)29日、ニューヨーク市場における「コ」産コーヒー価格が、20007月以降初めて1ポンド1ドルを超えた。国内価格は、1カーゴ44万ペソ(125kg)で取引された。シルバ・コーヒー連盟(FNC)総裁は、今回の値上がりは、1ポンド3ドルを超えた数年前の水準には程遠く、またコーヒーの一時的な好景気でもないとしつつ、ペソ高によるコーヒー業者の著しい収入減を部分的に補う状況であると説明した。また今回の価格値上がりの原因は、来年の伯及び中米のコーヒー収穫の減少見通しのためである。アナリストは、今後数ヶ月間の国際価格は1ポンド80セントから1ドルの間としている。

(ロ)シルバFNC総裁は、2005年に欧州及び米国等の各国市場において、「コ」コーヒーをプロモートするためにコーヒー店「フアン・バルデス」を30店舗開店すると発表した。また今年のペソ高によりコーヒー栽培者が1,370億ペソの損害を受けたが、国際価格の上昇により2005年のコーヒー輸出額は約10億ドルになるであろうと述べた。

(4)石油

 8日、石油公団(ECOPETROL)は、事業用燃料(ACPM)の国内需要を補うために同燃料の輸入が許可された40万バレルの内、24万バレルの輸入を行った。

(5)金利

 19日、中央銀行理事会はインフレ率の減少を受け金利の据え置きを決定した(6.75%)。DFT金利は月初7.72%、月末7.68%であった。また金融監督庁は、新規貸出金利最高限度額を29.23%に引き下げた(1029.39%)。

(6)貿易収支

(イ)国家統計庁によれば、今年1月から9月までの輸出は対前年同期比22.24%増の1186,420万ドルとなった。右はペソ高にも拘わらず、非伝統産品の輸出が同期比23.2%増となったことによるものであり、自動車、プラスティック製品及び繊維製品が好調であった。また伝統産品の輸出は同期比21.1%増であった。

(ロ)同期間の輸入(CIF)は、前年同期比16.6%増の1194,180万ドルとなった(FOB1114,050万ドル)。この結果、貿易収支は72,380万ドルの黒字となった。

(ハ)11日、「コ」とEUの代表者は、2006年以降の南米産バナナに対する関税措置について協議した。EU側は1トン当たり73ユーロから230ユーロへの関税引き上げを主張し、「コ」は右提案を拒否している。両者は、本問題解決のためにWTOに提訴して解決を図ることで一致した。また今年の残り、少なくとも2回、本問題を協議するための会合の開催が期待されている。スイスの農業相は、EUの提案に対して反対を表明した。

(ニ)オルテガ商工観光省次官は、「コ」産砂糖の輸出に対するチリの規制措置を廃止する仲裁採決をチリが受け入れるのであれば何時でも、「コ」は両国の協定を再交渉する用意があると述べた。

(7)失業率

(イ)国家統計庁は、10月の全国失業率12.4%(前年同月13.6%)、主要13都市失業率14.1%(前年同月15.4%)を公表した。

(ロ)世界銀行は、最近の「コ」における労働改革が積極的な効果を上げていると評価した。全国失業率の低下、大幅な雇用創出、不完全就業の減少、5万人への失業手当給付及び若年労働者の見習い契約の90%増加が目立った。右結果は、全国産業連盟(ANDI)による企業調査結果と一致しているが、他方で、学術調査やガビリア元国家企画庁(DNP)長官による報告は労働改革による新たな雇用の創出は極めて低いものであったとして反対の結果を示しており、。

(ハ)一部アナリスト及び研究者は、経済成長及び雇用創出の回復を目的とした労働改革にも拘わらず今年215千の雇用ポストが失われたと、上記元DNP長官と同様の報告をしている。流通業においては、企業に新たな雇用に対するモチベーションを与えるために、財・サービスの国内需要の回復が求められている。また農業においては、ペソ高、気候及び国際価格等の様々な理由により、多くの雇用ポストが失われてきた。雇用問題の見通しにおける他の懸念事項として、雇用が最も集中している建設業が失速する恐れがある点である。

(ニ)現政権の雇用政策に関する批判に対して、政府は、20028月以降約100万の雇用創出及び好条件の雇用(70万人の健康保険加入及び約100万人の年金加入)を指摘した。さらに家主が仕事を確保し、家族の他の構成員が職を探す必要がなくなったことにより、約50万人が職探しを止めたと公表した。

(8)為替

(イ)11月の為替レートは、月初1ドル2,575.19ペソ(月間最安値)、月末1ドル2,479.18(月間最高値)であり、最近20ヶ月で最高のペソ高傾向であった。本年以降300ペソ以上下がり、一部アナリストは、まだペソ為替は底値には達しておらず、来年以降も下がり続けるであろうと考えている。政府側は、ペソ高傾向は国毎にコントロール出来るものではないグローバルな問題と強調した。

(ロ)ダリオ・ウリベ次期中銀総裁は、国内石油貯蔵量の枯渇及び伝統産品の価格減少による輸出量の低下により、「コ」通貨は今後短期間で価値を下げるため、ペソ高傾向は長くは続かないと主張した。また輸出品、及び輸入品と競争している国内生産品に悪影響を及ぼしているペソ高傾向に対しては、ドル買いにより介入を続けると強調した。

(ハ)自動車産業の代表者らは、ペソ高が続く一方で、輸入車価格が低下することで、国内市場に新たな車種、特に約2千万ペソ台の中国製大衆車(CherHafei)が流入するであろうと述べた。

(ニ)今年及び来年も続くことが予測されるペソ高傾向を受けて、政府は米のような一部農産品(トウモロコシ等)の栽培者に対して為替補助を行っている。右補助制度は、補助を申請した時から収穫物の売却までにおいてペソが下がった分を補助するものである。試算によれば、最近のペソ高傾向により、バナナ、花卉、コーヒー及び砂糖の生産業者は700億ペソ以上の損失を被っている。

(ホ)全国輸出業者協会(Analdex)は、ペソ高及び密輸問題が国内生産部門に深刻な影響を及ぼしているために、政府に対して緊急に対策を講じるように要請した。

(9)消費者物価指数

 国家統計庁は、11月の消費者物価上昇率は0.28%となり(前年同月0.35%)、2001年以降で最も低い数値となったと公表した。今年1月から11月までで5.18%、最近12ヶ月で5.82%となった。また中央銀行理事会は、2005年のインフレ率目標を改定し4.5%から5.5%に定めた。

(10)対外債務

(イ)中央銀行は、8月末時点における対外債務残高は対GDP40.3%3798,500万ドル(公的債務:2436,100万ドル、民間債務:1364,200万ドル)と公表した(前年同月3746,800万ドル)。またサルディ大蔵省公債局長によれば、今年為替が名目で310ペソ減少したことにより、対外債務が2.4兆ペソの減少したことになる。

(ロ)9日、大蔵省公債局は、37,500万ドルの債権を発行した(当初は25,000万ドルの予定)。右により2005年対外資金調達の総額15億ドルの内、87,500万ドルが確保される。また今回の債権発行は、投資時と2010年払い戻しの際に、ドルだけではなくペソ立てによる投資が可能となる新たな方式となっている。ペソの価格は、投資が実現した時点での為替によるものとなる。

(ハ)世界銀行は、「コ」に社会開発プロジェクトのために2200万ドルの融資を承認した。右は主に、技術習得機会10万ポストの創設、貧困児40万人の栄養補助サービス及びワクチンへのアクセスのために用いられる。

(ニ)30日、アンデス開発公社(CAF)は、アンデス5ヶ国及びアルゼンチンに社会プロジェクト、財政及びインフラ整備強化のための84,500万ドルの融資を承認した。「コ」の場合、CAFからの15千万ドルを国際市場で資金調達し、2,500キロ幹線道路整備計画に対して利用する。

 

4.今後の予定

FTA交渉日程

第7ラウンド コロンビア:2月7日から11日

第8ラウンド 米国ワシントン:3月14日(予定)