コロンビア経済情勢(3月分)

 

1.概要

(1)14日~18日に対米FTA交渉第8ラウンド、及び個別分野の小ラウンドが行われた。農業分野において、米国及び「コ」は双方要望を提示し合い、次回以降のラウンドで更に具体的に協議が行われる。米国議会のFTA承認に対する懸念が生じている。

(2)スペインと二国間投資保護協定及び二重課税防止協定を締結した。

(3)2004年の中央及び地方を含めた財政赤字が対GDP1.2%3兆ペソと公表された。

(4)2004年の輸出入高が何れも過去最高となった(輸出:対前年比25.9%増の1648,300万ドル、輸入:対前年比20%増の1562,600万ドル)。

(5)2004年の経済成長率が3.96%と公表され、2年続けての安定的な回復傾向が評価された。失業率は低下傾向にある(全国平均失業率:14.0%、主要13都市平均失業:16.1%)。

消費者物価上昇率は漸次低下傾向にある。

(6)ペソの対ドル為替レートは、聖週間におけるドル需要によりペソ安傾向であった(月初1ドル2,327.98ペソ(月間最高値)、月末2,363.23ペソ、月間最安値281ドル2,397.25ペソ)。

 

2.主な動き

(1)2004年外国直接投資総額

(イ)国連ラ米経済委員会(CEPAL)の報告によれば、2004年のラ米における外国直接投資は対前年比44%増の564億ドルとなった。右投資の大半が民間セクターによるものであり、最も投資の多かった国は伯(180億ドル)であった。「コ」は、伯、墨及びチリに次いで4番目に多く、対前年比34%増の235,200万ドルであった。

(ロ)投資の増加は、多くのラ米各国の経済状況が全般的に改善したことに因るものであるが、アンデス諸国全体としては対前年比17%減の62億ドルであった。右は主に政治的不安定性によりボリビア、エクアドル及びベネズエラに対する投資が減少したためである。ちなみに、同地域における主な投資国は、米国、西及び加となっている。

(2)スペインとの二国間投資保護協定

31日、「コ」を公式訪問したサパテロ西首相及びウリベ大統領は、二国間における投資促進を目的に投資保護協定に署名した。右協定は19956月に両国政府により署名され、1998年に国会承認が得られたが、憲法裁判所が否決した経緯がある。なお、今回、右協定と同時に、二重課税防止協定についても署名された。

(3)対米FTA交渉第8ラウンド等の結果

(イ)14日~18日、ワシントンにおいて第8ラウンド交渉が行われFTAの一般的事項につき協議された。また、右交渉と平行して16日~18日、マイアミにおいて繊維製品分野の交渉、更に、21日及び22日、ワシントンにおいて農業分野の二国間交渉が行われた。

(ロ)今回の第8ラウンド等の成果につき、ゴメス「コ」交渉代表は、予想された通りどの分野においても最終的な結論は得られなかったが、幾つかの分野で進展が見られたとして積極的な評価を下した。最も議論となっている知的財産権のようなテーマは取り扱われなかった。例えば、知的財産権における医薬品の特許権問題は、米国の立場が決定されておらず、医薬品会社の不安を引き起こしている。右テーマは、交渉の最終段階で扱われることになる。同代表によれば、リマにおける次回ラウンド以降、知的財産権、農業、繊維及び原産地証明が最大のテーマとなる。

(ハ)農業分野において「コ」は米国に対して、

(a)FTA発効後即時に関税撤廃する米国からの輸入200品目リストを提示。「コ」は米国への全面的なアクセスの自由を求めている他、「コ」にとって極めてセンシティブなトウモロコシのような品目に対する米国側の補助の撤廃を要請。

(b)米の年間47千トンの輸出割当(毎年1.5%ずつ増量)及びその関税80%20年間で撤廃を要請。「コ」が高いポテンシャリティーを持っているシガレット及びタバコの葉3万トンの輸出割当を要請。

(ニ)他方、農業分野に関して米国は「コ」に対して、

(a)小麦及び大麦の即時関税撤廃を要請。現在米国が「コ」に供給している小麦は、「コ」の小麦輸入の60%となっているが、米国は更にその拡大を希望。また、大麦の場合は小麦程の量はないが、現在「コ」は主にカナダ及びフランスから輸入しているところ、米国はそこに入り込むことを考えている。

(b)トウモロコシ、燕麦、モロコシ及び米のような幾つかの穀物のアクセス自由化、年間230万トンのトウモロコシの輸出割当(毎年10%ずつ増量)及びその関税を5年で撤廃することを要請。但し、「コ」は広大な米の耕作地域を持ち、そのため米は極めてセンシティブな品目の一つとなっている。右が自由化された場合、米国の補助制度によって、悪影響が及ぶものとされている。これら穀物の交渉は複雑を極めているが、特別な農産品に対する救済制度及び輸入割当制等の保護メカニズムが決められなければならない。

(ホ)その他事項

(a)今回新たに「コ」は口蹄疫非感染地域からの肉製品のアクセス自由化を提案し、米国側は検討に入ると共に「コ」に対して肉製品に関する提案を行った。

(b)繊維製品分野に関し、原産地証明及び救済制度が議論され、次回以降のラウンドで引き続き協議されることになったが、米国側から5年間で関税を撤廃する提案があった。

(c)「コ」は、中古品のセンシティブリスト(300品目)を提示した。右によれば、事実上、「コ」は中古品の輸入を受け入れないことになる。

(d)自動車に関し、原産地証明について原産地率35%の車両輸出及び地域主義の概念が合意された。即ち、FTA交渉に参加していないベネズエラも含め何れのアンデス諸国において製造された製品も原産地率にカウントされる。

(e)投資に関し、「コ」は制度的なテーマ、即ち、短期的資本の流入を統制する中央銀行の権能、及び公共の利益及び社会的要請による収用等を交渉に入れるよう主張した。

(4)その他対米FTA関連

(イ)今後は、418日~22日にリマ、6月にエクアドル、及び7月にワシントンで最終交渉、更に幾つかの特定の分野について小ラウンドでの協議が行われる。ゴメス「コ」交渉代表は、20066月のFTA発効のために、今年7月までに交渉を終え、その後一年間は各国の国内手続きに費やされると述べた。しかしながら、モレーノ駐米「コ」大使は、米国議会の対中米FTAの承認状況がアンデス諸国とのFTA承認に影響を与えるとして、米国議会の支援の欠如に不安を表明した。

(ロ)米国議員と会談を行った「コ」議員は、米国議会は「プラン・コロンビア」による政治的テーマに対しては支援するが、FTAのような経済的なテーマに対しては疑念を持っているとして、上記モレーノ大使の懸念を共有した。また、一部米国議員は、FTAが承認されなかった場合、ATPDEAによる特恵関税が2006年以降延期される可能性は少ないと述べた。

(ハ)全国穀物生産者協会(FENALCE)会長は、米国による農業分野、特に穀物に関わる提案は、両国の経済格差を考慮しておらず、また、米国の補助制度より「コ」が被るデメリットを救済する「コ」の権利を認めていないとして、右提案を強く批判した。

(5)CAN及び地域統合関連

(イ)モスCAN事務局長によれば、アンデス各国の2004年の貿易総額はCAN創立以来初めての高水準に達して766,600万ドルとなり、その通商的統合を強化している。右増加の約9割が、付加価値工業製品の貿易によるものである(CAN内の輸出は59%増、CAN5カ国による対外輸出は33%増)。「コ」の場合、ベネズエラへの輸出が回復したことにより、CAN内での輸出は72%増となった。

(ロ)30日、カルタヘナにおける第27回ケアンズ・グループ会合に特別出席したボエルEU農業委員は、EUのアンデス各国に対するGSPの延長を公表した。但し、右については欧州委員会は未だ決定しておらず、何年延期されるかについては語られなかった。

(ハ)最近2年間において「コ」はエクアドルに対して24,970万ドル相当の電力を売却した。右の内9,970万ドルを政府は貧困層へのエネルギー供給を改善する「社会エネルギー基金」に割り当てた。

(ニ)発電公社(ISA)は、「ボ」の電力監督庁から「ボ」及びペルー間の電力送電プロジェクトの調査開始につき許可を受けた。現在、ISAは「コ」からエクアドル及びベネズエラへの送電、また、「エ」及びペルー間の送電を行っている。更に同社は「コ」及びパナマ間の送電事業を推進している。

(ホ)パナマのパレデス(Paredes)貿易次官は、17日にカルタヘナで行われた「コ」天然ガス協会の会議において、「パ」政府は二国間ガス・パイプラインの実現を待たずに「コ」からガスを輸入する関心があると述べた。

(ヘ)12日、パナマにおける汎アメリカ報道協会総会に出席したウリベ大統領及びトリホス大統領は、二国間送電事業の2008年の操業開始につき合意し、また、二国間ガス・パイプライン事業についても協議した。右パイプライン事業は、環境への影響が少ない海底建設案が検討されている。

(6)2005年経済見通し

(イ)政府は、国会社会政策審議会の報告(CONPES3341号)によって、2005年の各種マクロ経済目標を確定した。経済成長率の目標は、鉱工業及び農業が低成長となるが4%とした。成長する分野として、建設業、運輸・通信業、金融業、商業及び製造業が挙げられている。この他、インフレ率5%、対ドル為替年間平均レート2,496.4ペソ、輸出0.4%増及び内需4%増、及び562千人の新規雇用創出を想定している。

(ロ)企業250社及び経済アナリストを対象にした中央銀行による2005年のマクロ経済の見通しについての調査によれば、インフレ率は政府目標を下回る5.4%、雇用創出の安定、対ドル為替年末値約2,538ペソとなっている他、今年当初数ヶ月はペソ高傾向が継続するとしている。

(7)経済関連法案及び財政問題

(イ)16日、通常国会が開始された。アナリストによれば、国会前半において大統領再選関連法案及びパラミリタリー関連法案等の政治的なテーマに国会の議論が集中してしまうために、年金改革法案を除けば、今国会における経済関連法案の成果は非常に少ないものとなるとしている。

(ロ)蔵相は、2004年の中央及び地方を含めた財政赤字が対GDP1.2%3兆ペソになったと公表した(政府及びIMF合意目標2.5%)。右の主な要因は、国際石油価格の高騰による石油収入の増加、地方の歳出削減及び税収の増加となっている。中央政府の財政赤字は当初予想された5.6%となった。また、蔵相は、地方財政の黒字及び石油収入の増加は過渡的なものであるとして今年の財政赤字目標2.5%を維持すると共に、財政赤字の削減に伴って2015年の対外債務の対GDP目標を40%とすると述べた。

(ハ)全国金融協会によれば、今年の財政状況には大きな懸念はないが、中期的(2006年から2008年)には年金歳出の増加により、非常に危険な見通しとなる。即ち、2004年の年金歳出が対GDP3.6%2005年は5.1%と漸次増加し、他の分野の歳出削減が強いられることになる。蔵相は、財政問題の中心的なテーマは年金と地方交付税となると述べた。

(ニ)税関国税庁(DIAN)は、2005年の徴税目標を40.5兆ペソ(前年37.8兆ペソ)と定めた。また、本年1月及び2月の税収は対前年同期比13.1%増の6.54兆ペソと公表した。

(8)2005年商交渉会(La Macro Rueda

16日から18日、メデジンにおいて今年初めての商交渉会が開催され、「コ」とベネズエラ及びブラジルを除くラ米各国からの企業家1,000人が参加する。ベネズエラ及びブラジルに関しては、今後バイでの交渉会が予定されており、ベネズエラとは、622日から24日にボゴタにおいて開催される。

(9)航空会社動向

(イ)パナマの航空会社コパとその系列会社コンチネンタル・エアラインズは、アエロ・レプブリカの外国人株主の中で筆頭となった。正式にその株式保有比率及び金額は公表されていないが、外国人出資枠の80%と国内枠の20%は維持されている模様。24日から新たな提携による業務が開始され、パナマ及びカラカスへの二つの国際路線枠につき交渉する一方で、既存の国内路線の強化を行う。

(ロ)アビアンカ及びアエロ・レプブリカの売却、更にはラン・チレによるアイレス及びウェスト・カリビアンの買収の見通しにより、「コ」における国内航空会社は、ラ・エスタタル・サテナのみとなる。右により近い将来、「コ」の国内外の航空路線は外国資本の企業によってオペレーションされることになる。他方、現在、5つの航空会社が「コ」に乗り入れるための許可を申請している(UniversalEstelarFenixNativa及びLatina de Aviacion)。

(10)金融機関動向

(イ)7日、政府は、コーヒー銀行(Banco Cafetero)を解散し、新たな組織としてグランバンコ・バンカフェ(Granbanco Bancafe)の創設を決定した。3,350人の従業員は、異なる労働条件の下でそのまま新会社に移行する。ちなみに、昨年本銀行の民営化が失敗した経緯がある。今回、公的機関のままで新組織に衣替えした目的は、金融業界における競争力を高め、及び中小企業支援をその業務に追加することにある。

(ロ)コナビ(Conavi)、コルフィンスラ(Corfinsura)及びバン・コロンビア(Bancolombia)3銀行の株主総会は、3銀行の統合を承認した。右により統合の手続きは終了し、7月から新たな銀行として営業が開始される。右新銀行の資産総額は国内金融業全体の22%27.4兆ペソとなり、ラ米で15番目の規模となる。

(11)その他企業関連動向

(イ)企業監督庁の報告によれば、2004年は民間セクターによる収入・利益・販売が近年で最も高水準に達した年となった。大手企業100社の売上げは、対前年比12%増の26.8兆ペソとなった。最も高収益をあげた企業として、エキシト(Exito)、ババリア(Bavaria)、カルージャ(Carulla)、オリンピカ(Olimpica)、テレフォニカ・モビレス(TelefonicaMoviels)及びソファサ(Sofasa)が挙げられる。

(ロ)2004年の大手企業の概観は満足行くものとなったが、収益の大半は公的企業の2社、石油公団(Ecopetrol)及びメデジン公社(EPM)が占めた。昨年の両社の収益は、民間企業トップ8社合計を上回る2.8兆ペソとなった。

(ハ)国内大手製鋼会社アセリアス・パス・デ・リオ(Acerias Paz de Rio)のアルベルト・アダ総裁は、海外におけるプレゼンスを高めるために、中期的且つ戦略的に幾つかの大手外国企業と提携する必要があると述べた。同様に同総裁は、昨年は大幅に収益を回復させ、約4,008億ペソとなったと強調した。

(ニ)30日に行われたナショナル・チョコラテ(La Compania Nacional de Chocolates)社の株主総会において、カルロス・エンリケ同社社長は、インベラリメントス(Inversiones Inveralimentos)社との統合について関心を表明した。右が実現した場合、ラ米の食料セクターにおいて巨大な企業が誕生することになる。

(ホ)29日に行われたババリア社の株主総会において、株主らは、世界市場に積極的に参入するため、戦略的パートナーを探す意図がある一方で、同社の売却についてはきっぱりと否定した。最近、ハイネケン、サブミラー及びスコッチ&ニューキャッスル社の代表らが同社を訪問した。

(ヘ)西の携帯電話会社テレフォニカ・モビレスは、46日以降、以前のブランド名「Bellsouth」を新たに「Movistar」と変更し、新たな事業展開を開始する。同社は、「コ」において最大の契約者数を持つコムセル(Comcel、墨)を追い越すことを目標としている。

(12)ガソリン価格

鉱物エネルギー省は41日以降の新たなガソリン価格の値上げ39.02ペソを承認し、1ガロン5,346.10ペソとなる。右により本年これまでのガソリン価格は4%(約300ペソ)が値上がることになる。

(13)港湾整備

14日、国家社会政策審議会はその報告(CONPES)を以て、港湾拡張整備費3,680億ペソの承認を発表した。また、民間セクターからの投資は合計で約250億ドルから300億ドルになると推定される。右投資は、特にブエナベントゥーラ港及びバランキージャ港に優先的に充てられ、カリブ海及び太平洋沿岸の各港湾整備が進むことになる。また、CONPESは、現在5つの港湾協会が持つ各コンセッション契約を10年から15年間延長することを検討している。

(14)「ラ・リネア・トンネル」建設計画

(イ)30日、ガジェゴ運輸相は、林日本国大使と共に、パイロット工事サイトを視察した。また、同大臣は、本計画の第2フェーズ、即ち、本体トンネル工事に対する日本政府からのコンセッショナルな資金調達を期待していると公表した。

(ロ)本計画の責任者シスネロ道路公団(INVIAS)顧問は、INVIASはベルメジョン川迂回工事のための入札図書の準備をしていると公表した。右工事のコストは120億ペソで、2006年から工事が開始される。

(15)自動車売上台数

(イ)トヨタ及びルノーの自動車組立会社ソファサ(SOFASA)社の昨年の売上げが、1兆ペソを越えた(ルノーは対前年比4.1%増及びトヨタは40.5%増)。また、本年1月及び2月の売上台数は、対前年同期比18%増の2,853台であった。

(ロ)マツダの自動車組立会社コロンビア・オートモーター(CCA)の2月の売上台数は前年同月比22%増、また1月及び2月では前年同期比9.3%増であった。

(ハ)「コ」におけるスバル販売会社社長ペドロ・ネル(Pedro Nel)は、本年1月及び2月の売上台数が前年同期比238%増になったと公表した。また、同社長は、今年の売上目標を昨年の2倍の12万台にすると述べた。

(16)中国関連

(イ)ウリベ大統領は、「ラ・レプブリカ」紙のインタビューにおいて、中国との通商関係は良好であるが、貿易収支の改善と新規投資の誘致の必要性を述べた。また、同大統領は、4月の訪中の目的は、両国の通商・外交関係の強化にあり、また「コ」は、繊維、石油及び石炭の分野で中国の投資を引き寄せる高いポテンシャリティーがあると述べた。

(ロ)2日、ボゴタ商工会議所において開催されたフォーラム「中国-「コ」ビジネス機会」において、ボテロ商工観光相は、政府は中国との貿易赤字が約10億ドルにまでなっていることに懸念しており、早急に対中国輸出を伸ばさなければならないと述べた。現在、中国の検疫制度が「コ」の輸出品を制限しており、右は大統領訪中の一つのテーマとなる。また、同ファーラムにおいてプラタ貿易振興公社(Proexport)総裁は、中国投資家の関心を引く当国の投資分野は、主に通信、繊維、鉱物、エネルギー及び港湾であり、大統領訪中の際には幾つかの事業が紹介されると述べた。

(ハ)中国の自動車メーカー3社(ChanaHafeiChery)は、「コ」の輸入車市場に参入すべく準備を進めており、8カ所の販売拠点を持つチャイナ・オートモーターを通じて販売する。月間の販売台数目標は500台で、主に高品質・高性能の軽自動車が扱われる。

(ニ)10日、Wu中国大使は、バジェ・デ・カウカ県におけるビジネス機会を模索するために、カリ市の企業家と会談を行った。中国との貿易増進が望まれる分野として、生鮮果実及び加工果実が挙げられた。

(ホ)アンティオキア県において中国の輸入バイク「Qingqi」を扱っているヒナンコル(Jinancol)社は、日本製が独占している「コ」のバイク市場に割って入ることを期待しており、本年の売上目標を2千台としている。

(17)貧困問題

(イ)「コ」人の生活水準向上の政策を立案するために中央政府によって組織された「貧困対策委員会」は、4人若しくは5人家族一ヶ月の収入が100万ペソ以下の場合は「貧民」、また、44万ペソ以下の場合は「極貧民」としている。右規準に従うと、「コ」における貧民は人口比56%2,343万人とされ、また極貧民は7691千人となる。

(ロ)14日、政府は、国家社会政策審議会報告(CONPES)により、ミレニアム開発目標を達成するための具体的な国内目標を立てた。右プランでは、2003年の貧困率51.8%2015年に28.5%にまで削減するためには94.6兆ペソの投資が必要とされている。

(ハ)フォーラム「「コ」におけるミレニアム目標と飢餓及び貧困状況」に参加した専門家は、政府の報告では約4%の経済成長によって貧困削減が推進されるとしているが、従来4%の経済成長では貧困は削減しなかったため、より自発的な政策が必要と分析している。

(18)ケアンズ・グループ会合

330日及び41日、カルタヘナにおいて主要農業国17ヶ国ケアンズ・グループの農業大臣会合が開催された。右会合の目的は、共通の認識の下での農業戦略の具体化及びWTOの農業交渉におけるプレゼンスの強化であるが、具体的には真の市場アクセス、即ち、日本や欧米先進国による輸出補助及び国内補助制度の撤廃を求めることにある。

(19)2004年の海外からの送金

(イ)CONPESによれば、2004年の海外からの送金総額は、対前年比9.3%増の389,780万ドルとなった。右金額は、農畜産品、コーヒー及び石炭の輸出額を超え、石油輸出額の42

2,700万ドルに近いものであった。また、CONPESは、本年の送金総額が対GDP3.7%404,300万ドルになると試算している。

(ロ)IDBの調査では、2004年の海外から「コ」への送金総額は385,700万ドルとなり石油に次ぐ外貨収入源とされた。また、ラ米全体では「コ」は伯及び墨に次ぐ第3番目に送金の多い国となった。ちなみにラ米全体における送金総額は、対前年比20%増の450億ドルであった。

(ハ)他方、送金の多くを操作している組織、為替協会(ASOCAMBIARIO)は、上記送金総額は誤っており、2004年の海外からの送金総額は31億ドルとしている。右協会は、国際収支決算に際する移転収支内の科目の扱いの相違や国際協力資金のような他の要素が加えられているために、違いが生じているとした。

(20)輸出経済特区(ZEEE

商工観光省は、輸出経済特区(ZEEE)制度創設3年目にして初めて本制度適用のプロジェクトを選出した。対象企業のマキラ・デル・パシフィコ社は、ブエナベンテューラにおいて、米国及びEU向け魚加工のための工場を建設する。右プロジェクトの第1段階では、50万ドルの投資、月間50トンの生産及び50人の雇用創出が見込まれている。

(21)自由経済度指数

ウォール・ストリート紙による自由経済度指数によれば、「コ」においては通商を困難にする保護水準が高く、「コ」は評価対象国155ヶ国中88位で昨年より5位下がった。

 

3.主な経済指標

(1)経済成長率

(イ)国家統計庁(DANE)は、2004年の経済成長率を3.96%と公表した。分野別に見て最も成長したのは建設業の10.65%であるが、同業は昨年(13.38%)と比較した場合、減速傾向にある。右の他、製造業4.77%、農業2.09%、鉱工業2.82%及び商業・レストラン・ホテル5.66%となった(詳細は、往電第406号参照)。

(ロ)国際的なアナリストは、「コ」の2004年の経済成長率3.96%を積極的に評価し、2年続けて経済が回復傾向を維持していることを確認した。「コ」の2004年の経済は、他のラ米諸国と比較した場合には低成長となったが、一年毎に急成長・悪化を繰り返さずに安定的に推移している点が評価された。

(2)建設業

DANEは、2004年の建設承認面積が対前年比7.03%減になったと公表した。右は、住居向け建設が8.52%減になったことが原因とされる。

(3)コーヒー

(イ)コーヒー連盟(FNC)によれば、国際コーヒー価格の回復により、昨年末以降、国内生産が増加傾向を示している。本年2月の生産は1046千袋(前年同月77万袋)、また輸出は1247千袋(前年同月973千袋)となった。なお、最近12ヶ月間の輸出は1,0691千袋となった(前年同期1,0462千袋)。

(ロ)8日、シルバFNC総裁は、コーヒーの生産地等を特定出来る地理的指標(国名・地域・場所)が示された、検定原産地呼称「コロンビア・コーヒー」を創設した旨公表した。

(4)石油

(イ)サモラ炭化水素庁(ANH)長官は、近年石油埋蔵量の減少ペースが低下し、2004年末の埋蔵量が147,700万バレルとなり、「コ」の石油自給能力の年限が先に延びて2010年になっと公表した。また、今年、未だ埋蔵量が明らかになっていない新たな油田採掘のために5,000万ドルが投資されると述べた。

(ロ)ANHは、炭化水素の発掘・生産のために新たに3ブロックの割当を承認した。東部平野地域(Llanos Orientales)が国内のIntegral de Servicios社、及びPetropuli社、更にカタトゥンボ地域が石油公団(Ecopetrol)に割り当てられた。

(ハ)石油価格の高騰により、石油公団の2004年の売上等の実績が伸びたところ、右に関する同公団の公表概要以下の通り。

・売上14兆ペソ、また、純利益は対前年比33%増の史上最高の2.11兆ペソ。

・輸出高は対前年比27%増の211千万ドル、輸出量は同比6.6%増の6,280万バレル。

・生産量は対前年比2.4%減の日産平均528千バレル、本年の目標は日産平均509千バレル。

・本年の同公団による投資総額は約9億ドルの予定。

(5)金利

(イ)18日、中央銀行理事会は、公定歩合の維持(6.5%)を決定した。また、自由裁量による為替市場への介入継続の決定を強調した。

(ロ)銀行監督庁は4月の新規貸出金利最高限度額を28.79%に引き上げた(先月28.73%)。

(6)貿易

(イ)DANEは、2004年の輸出高が対前年比25.9%増の1648,300万ドルになったと公表した。石油等の伝統産品の輸出高は同比26%増の759,600万ドル、非伝統産品の輸出高は同比25.8%増の888,700万ドルとなった。非伝統産品においては、自動車及び関連部品、縫製製品、プラスティック製品、タバコ及び食料品が伸びた。また、輸出先を国及び地域で見た場合、米国が圧倒的に多く65400万ドルで全体の39.5%を占め、次いでCAN19.4%EU13.9%となった。

(ロ)2004年の輸入高(FOB)は対前年比20%増の1562,600万ドルとなった。この結果、2004年の貿易収支は、85,670万ドルとなった。ちなみに国別で貿易収支が最大の黒字を記録したのは米国の195,000万、また、最大の赤字となったの中国の83,580万ドルであった。

(ハ)ハビエル・ディアス全国輸出業者組合(Analdex)総裁は、2004年の輸出入高は「コ」にとって過去最高の数値になったと公表した。

(ニ)ボテロ商工観光相は、本年4月以降ベネズエラ輸出業者の支払いがボリバルではなくドルになることを発表した他、「ベ」政府に対して、2003年より導入され支払い遅延等を起こしている為替管理制度の撤廃を要請した。

(7)失業率

(イ)DANEは、本年2月の全国平均失業率を14.0%(前年同月15.4%)、また、主要13都市平均失業を16.1%(前年同月17.1%)と公表した。

(ロ)カラスキージャ蔵相は、国家開発計画においては2005年末の失業率目標は13.1%とされているが、その目標を10%に変更すべきと述べた。

(8)為替

(イ)3月の対ドル為替レートは、月初1ドル2,327.98ペソ(月間最高値)、月末2,363.23ペソ、月間最安値281ドル2,397.25ペソ、ペソ安傾向ではあったが月末には市場にドルが過剰に供給されたためややペソ高となった。同月中にペソ安傾向を示したのは、米国の金利0.25%引き上げと聖週間中の海外旅行者数の増加によるドル需要の増加のためであった。なお、3月末時点において、最近12ヶ月のペソ高率は11.9%、また、本年初以降では1.1%となった。他方、アナリストは、本年の名目ペソ安率を6%と予想している。

(ロ)中銀は2月に33,550万ドルのドル買市場介入を行い、ドルの急落を回避した。右により本年初以降、中銀は6340万ドルのドル買を行ったことになる。

(ハ)新中銀理事フアン・マリオは、「コ」は「オランダ病」と呼ばれる兆候を示していると明言した。また、右兆候は、輸出、投資及び送金の増加によって国内市場にドルが溢れて、通貨価値の低下、輸入の増加、国の競争力の低下のような経済にとって有害な影響が生じていることを言うとしつつ、同理事は、効果的にペソ高を抑制するための更なる努力を進めていると述べた。

(9)消費者物価指数

DANEは、3月の消費者物価上昇率は0.77%(前年同月0.98%)、最近12ヶ月では5.03%1963年以来の低水準)と発表した。

(10)対外債務

(イ)大蔵省公債局は、TES債の発行残高が66.2兆ペソと増加傾向にあると公表した。右は、為替リスクを最小限にするためにドル建て債務をペソ建て債務に転換する政策の結果とされる。

(ロ)22日、世銀は、「コ」の国家開発計画に位置付けられている二つのプロジェクトに対する17千万ドルの融資を承認した。右は、持続的な経済の安定性を確保するための財政改革プログラム、及び飲料水の供給サービス改善プログラムとなっている。

(ハ)IDBは、「コ」に対して12億ドルの融資を承認した。本年度分の支出は少なくとも7億ドルとなる。

(ニ)アンデス開発公社(CAF)は、送電公社(ISA)の国内における送電線拡張事業に対して15千万ドル、また、大蔵省によって実行される行政競争力強化プログラムに対して25千万ドルの融資を承認した。

 

4.今後の予定

対米FTA交渉日程

第8ラウンド:4月18日~21日(於:リマ)

未定:6月(於:ボリビア)