コロンビア経済定期報告(1月分)

 

1.概要

(1)25日から第14回対米FTA交渉が始まった。最終交渉と位置づける本交渉の焦点は農業、知的財産権及び動植物検疫分野となる。ウリベ大統領はグアテマラ及びエルサルバドル両国大統領と会談を行い、可能な限り早期のFTA交渉の開始につき合意した。

(2)税関国税庁によれば2005年全体の税収は対前年比15.1%増の43.5兆ペソとなった。

(3)21日からボゴタ及び右近隣地域において、エタノール混合ガソリンの供給が開始される。

(4)2005年の自動車販売台数は対前年比27.9%増の146,567台となった。2005年の新規携帯電話利用者数は前年比109.76%増の約1,100万人、同年末の利用者数全体は人口比50%の約2,100万人となった。2005年の石油生産量は前年比0.5%減の日産525千バレルになり確実に減産傾向にある。

(5)200512月末の全国平均失業率は10.4%となり統計史上最も低い数値となった。パラシオ社会保障相は20068月の現政権末までの同率の目標を10%以下とした。1月のインフレ率は0.54%、過去12ヶ月では4.56%となり低下傾向で推移した。

(6)ペソの対ドル為替レートは、月初2,284.22ペソ(月間最安値)、月末2,267.63ペソ、月間最高値2,262.04ペソ(21日)と昨年に引き続きペソ高傾向で推移した。

 

2.主な動き

<対外関係>

(1)対米FTA交渉関連

(イ)米国政府は、アンデス3カ国とのFTA交渉の代表者としてREGINA VARGOに代りEVERETT EISSENTATを任命した。ゴメス「コ」交渉代表は、今回の米国交渉代表の交代は交渉プロセスに何の悪影響を及ぼさず、また、FTAテキストの米国議会の通過にEISSENTAT代表の経験が役に立つはずと述べた。

(ロ)25日から第14回対米FTA交渉(於:ワシントン)が始まり、今回が最終交渉となることが期待される。ボテロ商工観光相によれば、同日までに12分野が交渉終了、10分野が交渉終結間際とされている。残りのセンシブル且つクリティカルな分野は農業、知的財産権、動植物検疫及び投資となっている。特に農業分野においては、現在施行中のアンデス特恵麻薬取締条約(ATPDEA)における特恵関税枠の維持と幾つかの脆弱な品目に対する救済制度等が議論の中心となる。

(ハ)「コ」政府は、交渉の促進と良い結果を獲得するために、商工観光相、農業相及び鉱山エネルギー相らによる米政府に対する外交活動を強めている。また、16日(於:ボゴタ)、ウリベ大統領とパラシオ・エクアドル大統領はその会談において、対米FTA交渉に対して一致協力していくことに合意した。

(ニ)アリアス農業相は、ペルーと米国の合意は基本的には良い前例となるとしつつも、ペルーが受け入れたバーター的取引、即ち、砂糖の輸入受入れと機能が不明確な動植物検疫問題に関する委員会設置等の事項は「コ」として受け入れられないと述べた。

(2)地域経済統合

(イ)アンデス共同体(CAN)事務局は、ペルーによる関税撤廃手続きが終了したとして200611日よりCAN域内自由貿易圏が完成したと公表した。

(ロ)G3(墨・ベ・コ)枠の自動車関税撤廃合意に基き、15日より墨からの輸入割当が増加する。「コ」及びベネズエラは、8%の関税がかかった墨製自動車を4,000台受け入れることになる。他方、墨は5%の関税がかかった「コ」製自動車を7,000台受け入れる。

(3)ウリベ大統領の中米訪問(1820日)

グアテマラ及びエルサルバドルを訪問したウリベ大統領は、両国大統領と会談を行い、可能な限り早期にFTA交渉を開始する旨合意した。右はCANと中米のFTA交渉の第一段階と位置づけられ、地域経済統合の深化が模索される。また、グアテマラ訪問において、ウリベ大統領は、中米エネルギー統合事業等への参入によりプエブラ・パナマ計画への正式加盟(現在はオブザーバー)に意欲を示した。

 

<国内情勢>

(1)財政

(イ)税関国税庁(DIAN)によれば、2005年全体の税収は対前年比15.1%増の43.5兆ペソとなった。右の内、所得税等の内国税収入は34.2兆ペソ、その他関税等の収入は9.2兆ペソであった。また、分野別税収で最も多かったのは所得税収の185,320億ペソ、次いでIVA121,850億ペソ及び金融取引税24,010億ペソであった。他方、フランコDIAN長官は、2006年の税収は対前年比11.9%増の48.7兆ペソが期待されると述べた。

(ロ)財政政策最高諮問会議(CONFIS)の報告によれば、2005年第3四半期における中央政府の財政赤字は対GDP2.8%となり、前年同期を下回った。右は好調な経済と税収の増加によるものとされる。他方、同期における国家全体の財政収支は、3.04兆ペソの黒字を記録した。

(ハ)モンテネグロ国家企画庁(DNP)長官は、対米FTAに備え国内のインフラ等を整備し国の競争力強化の計画を定めている国内行動計画(AGENDA INTERNA)における大規模インフラ事業等への投資資金は次期政府の国家開発計画(PLAN DE DESARROLLO)及び2007年予算に組み込まれるべきであると述べた。また、同長官は、国家の競争力強化のために重要な幾つかのプロジェクト(「ラ・リネア・トンネル」建設計画及び港湾開発計画等)は既に開始されているとした。なお、同計画の最終的な報告書はFTA署名に合わせて公表される。

(2)法的安定性確保法における初契約

23日、ウリベ大統領出席の下、政府は、法的安定性確保法の枠内で法制度の安定性を投資家に保証する契約を食料品メーカー・アルピナ(ALPINA)社と初めて締結した。同社は、2,500万ドル規模の投資を行って対ベネズエラ及びエクアドル向け輸出拡大を図るが、同契約によって政府から10年間の法制度の安定性の保証を受ける。ボテロ商工観光相は、本制度は国内外からの投資促進のための重要なスキームであり、本年中に更に34契約の署名が期待されると述べた。

(3)企業動向

(イ)テレコムの戦略的パートナー問題に関し、関心を示した4社が入札図書を入手したことが明らかになった。右4社は、ボゴタ通信公社(ETB)、メデジン公社(EPM)、CANTV(ベネズエラ)及びテレフォニカ(西)であるが、以前にも有力視されたテレメックス(墨)のような他の外資系企業の入札参加が期待されている。

(ロ)2005年と同様に2006年においても、民間セクターにおける重要な投資活動が期待されているが、特に商業、通信及びエネルギー分野における大きな動向が予想される。特にスーパーマーケットでは、FALABELLA(チリ)が3月からボゴタにおいて操業を開始、また、RIPLEY(チリ)のカルージャ(コロンビア)との提携が表明(カルージャの提携相手についてはウォルマート(米)も噂されている)されている。

(ハ)2005年の「コ」株式指数は105%増の上昇を示したが、大方のアナリストは2006年の動向については悲観的であった。ところが、27日には1万ポイントの壁を超える11,433.25ポイントとなり、2006年の初めは、アナリストの予想に反し、株式市場の活発さが維持されている。

(4)ボゴタにおけるエタノール混合ガソリン使用開始等

(イ)21日より、ボゴタ及び右近隣地域において、エタノール混合ガソリンの供給が開始される。推定150万台の自動車が本ガソリンの利用を開始し、350のガソリンスタンドが供給する。右需要を満たすために、既にインカウカ社及びプロビデンシア社の設備(各日産55万リットル)が稼動を始めており、更に2月中にリサラルダ社及びマヌエリータ社の設備(日産10万及び35万リットル)も生産を開始する。

(ロ)鉱山エネルギー省は、21日以降のガソリン価格を62.60ペソ値下げ、1ガロン5,602.92ペソにすると公表した。右値下げは国内中部におけるエタノール混合ガソリンの使用開始に伴う結果とされる。

(5)電力需要等

(イ)発電公社(ISA)によれば、2005年全体の電力需要は対前年比4.14%増の約4.8GW/hであった。産業別では、鉱工業での需要が最も伸びて同比8.42%増となった。

(ロ)ISAによれば、3年前から開始された対エクアドル電力輸出の2005年における輸出総額は対前年比12.3%増の約1.5億ドルとなった。

(6)携帯電話市場の拡大

通信省及び商工業監督庁によれば、2005年の新規携帯電話利用者数は前年比109.76%増の約1,100万人を記録し、同年末の利用者数全体は人口比50%の約2,100万人となった(国内3事業の内訳:COMCEL1,3893千人、MOVISTAR6032千人、OLA2085千人)。

(7)自動車販売台数等

(イ)2005年全体の自動車販売台数は、過去最高を記録した1997年の台数(149,664台)を若干下回るものの、対前年比27.9%増の146,567台となった。右要因としては、経済全体の回復と共に、低金利、ペソ高及び販売会社によるプロモーションが挙げられる(GM:53,288台、SOFASA31,410台、ヒュンダイ:17,784台及びCCA11,456台)。

(ロ)2005年の国内自動車生産台数は、史上2番目に多い約97千台となった。また、右の内の輸出台数は約42千台であり、対ベネズエラ輸出(約3万台)が大半を占めた。

(ハ)コロンビア自動車社(CCA、マツダ及び三菱の組立会社)によれば、その2005年の売上台数は対前年比3.3%減であった。他方で、高級車及び輸出台数はそれぞれ約40%の伸びとなった。コロンビア・スバルによれば、その2005年の売上台数は前年比33%増(3年連続増加)となった。

(8)貧困率の低下

国家企画庁(DNP)が公表した報告書によれば、2005年の貧困率は過去15年間で最も低い49.2%であった。また、2002年と比較した場合、同年の57%から7.8%低下し、230万人が貧困から抜け出したことになる。2005年の都市部での同率は42.3%、他方、地方部では68.2%であった。また、極貧率は2002年の20.7%から2005年は14.7%に低下した。なお、同報告書によれば、右各数値の減少は、過去3年間における経済成長と雇用の創出のためとしている。

(9)その他

(イ)ウリベ大統領は、2005年に「コ」を訪問した観光客数は100万人以上に達し、右数値は1982年以来のものとなったと述べた。また、同大統領は、街道及び主要観光地の治安を確保した公的治安機関の役割を強調し、2006年の観光客数目標を200万人以上とすべきとも述べた。

(ロ)アリアス農業相は、2005年において農業基金(FINAGRO)は農業セクターにおける生産者及び企業に対して対前年比16.7%増の2.21兆ペソの融資を行った旨公表した。また、同基金は、2006年においては2.3兆ペソの融資を目標とし、特に小規模農家への融資拡大を目指すとした。

(ハ)「コ」政府は、今年5月に国際獣疫機関(OIE)に対して、国土の95%に相当する467都市の口蹄疫非感染地域の指定を申請する。右により牛肉製品の国際市場参入を促進する。

(ニ)2005年において、電力インフラ設備に対するゲリラの攻撃により220億ペソの修復コストを生じた。右は、同セクターにおける治安問題の後退として解釈され、最も多額の支出を行った送電公社(ISA)は、攻撃を受けた123電力塔の修復に120億ペソを費やした。

(ホ)高等教育開発財団(FEDESARROLLO)は、現在、「コ」国内で流通している麻薬マネーは25億ドルから30億ドルと推定されるが、右資金が国内経済に与える影響は少なく、一部大統領候補者が発言したように「コ」の経済回復は麻薬マネーに支えられているとしたのは誤っているとした。

 

3.主要経済指標

(1)経済成長率

(イ)モンテネグロDNP長官は、2005年第4四半期の経済成長率は5.1%を超え、2005年全体では当初予測の4%を超える約5%となると評価した。また、同長官は、2005年において

示された経済の好調ぶりは2006年においても維持され、特に民間セクターの投資及び輸出が増加し、同年は約4%以上の成長率が期待出来るとした。

(ロ)中央銀行は、2006年の経済成長率目標を4.5%4.7%にすると公表した。

(2)鉱工業及び農業

(イ)国家統計庁(DANE)によれば、20051月~11月までにおける鉱工業の成長率は対前年同期比2.36%となった。部門別では自動車及び関連製品、鉱業製品が最も大幅に成長した。また、同期における売上及び雇用は同比2.74%及び0.3%の伸びであった。

(ロ)アリアス農業相は、ペソ高傾向及び国際農産品価格の低下にも拘わらず、2005年の農業の成長率は3.6%となり、また、2006年においては4%以上のリズムで成長するであろうと述べた。また、2006年の他の目標値として、農村部の失業率7%以下及び耕地面積55万ヘクタールの増加が同相により挙げられた。

(3)コーヒー

(イ)シルバ・コーヒー連盟(FNC)総裁は、国際価格の持続的な回復により、2006年を通じて1ポンド1ドル以上が期待出来ると表明した。他方、同総裁は、一時的な価格の急上昇を期待する余地はなく、追加的収益を作付面積の増加ではなく品質の向上のための技術革新に再投資すべきであると指摘した。

(ロ)シルバFNC総裁は、2005年の生産高は対前年比3%増の1,290万袋と公表した。また、コーヒー輸出者協会(ASOEXPORT)によれば、同年の輸出量は1,030万袋(前年1,020万袋)となった。

(4)石油

(イ)石油公団(ECOPETROL)は、2005年の石油生産は前年比0.5%減の日産525千バレルになったと公表した。過去最高の生産量は1999年の日産815千バレルであり、毎年着実に減産している。

(ロ)炭化水素庁(ANH)によれば、2005年の炭化水素事業関連の契約数は目標数の30件を大幅に超える59件となった。右の内訳は、28件が技術評価、31件が探査若しくは生産となっている。

(ハ)BHPビリトン社は、ANHと契約を結びカリブ海沖95万平方メートルで石油及び天然ガスの調査を行う。右投資額は6年間で1,300万ドルとなる。

(ニ)商工観光省は、炭化水素及び鉱物資源セクターへの投資を促進するために、同セクターにかかる開発機材・設備の輸出入に対する免税措置を今後5年間延期することを決定した。

(ホ)石炭大手セレホンのカルデロン社長は、今後2年間において10億ドルを投資し、年間の採掘量を約2,800万トンから約4,500万トンに拡大すると述べた。

(5)金利

2006年初めの中央銀行理事会は、公定歩合の維持を決定すると共に、2005年のインフレ率目標の達成及び順調な経済成長に満足の意を表明した。

(6)貿易

(イ)DANEによれば、20051月から11月までの輸出額は、対前年比27.5%増の1925,190万ドルとなった。伝統産品の場合、特に石油及び関連製品、石炭及びコーヒーが大幅に伸び、36.4%増であった。また、非伝統産品の場合、特に自動車及び花卉が大幅に伸び、20%増となった。国・地域別輸出先シェアーでは米国(39.7%)が圧倒的で、次いでCAN19.8%)及びEU13%)となる。2005年全体では200億ドルを越すものと期待される。

(ロ)また、同期間における輸入額は1791,600万ドル(FOB)であった。よって、同期における貿易収支は133,630万ドルの黒字となった。なお、輸入超過国は中国、伯及び墨の順となっている。

(7)失業率

(イ)DANEによれば、200512月末の全国平均失業率は10.4%(前年同月12.1%)となり、統計史上最も低い数値となった。また、主要13都市平均失業率は12.2%(前年同月13.0%)であった。

(ロ)パラシオ社会保障相は、20068月の現政権末までの目標として40万人の新規雇用を創出し、全国平均失業率を10%以下にするとした。右新規雇用の大部分は、「道路整備2,500km」計画によって確保される。

(8)為替

(イ)1月の対ドル為替レートは、月初2,284.22ペソ(月間最安値)、月末2,267.63ペソ、月間最高値2,262.04ペソ(21日)と緩やかなペソ高傾向で推移した。右傾向は、20024月以来のペソ高水準となっている。一部アナリストは、引き続き外国投資の流入によりペソ高傾向は続き、輸出産業に悪影響を及ぼすとしつつも、年末には1ドル2,354.54ペソの水準になると予想している。

(ロ)ハビエル・ディアス全国輸出業者協会(ANALDEX)総裁は、2005年におけるペソ高により輸出セクターは総額約10兆ペソの損害を受けたため、中銀によるより積極的な市場介入策の継続を求めた。他方、同総裁は2005年の輸出総額は、一次産品価格の上昇及びベネズエラの経済回復により200億ドルを超えたと述べた。

(9)消費者物価上昇率

DANEは、20061月の消費者物価上昇率は0.54%(前年同月0.82%)、過去12ヶ月では4.56%(前年同期5.43%)と公表した。分野別では食料品(1.03%)及び医療(0.58%)が高い数値を示した。

(10)債務状況

(イ)中央銀行は、20059月末における対外債務残高が対GDP31.3%3745,500万ドルと公表した(公的債務:2341,400万ドル、民間債務:1404,100万ドル)(※2002年末の同残高の同比は58.5%)。

(ロ)サルディ大蔵省公債局長は、2006年においてもTES国債発行を通じ対外債務コストを軽減させる政策を継続する旨述べた。また、同局長は、現在のTES国債の発行残高は前年比32.5%増の79.9兆ペソと公表した。

(ハ)20日、韓国輸出入銀行(KEXIM)及び「コ」輸出銀行(BANCOLDEX)は、「コ」の対韓国輸入(特に機材)の促進を図るためにKEXIMBANCOLDEX1千万ドルのクレジット・ラインを設けることに合意及び署名した。また、貿易振興公社(PROEXPORT)が右ラインの利用を開拓する。