コロンビア経済定期報告(3月)

 

【ポイント】

11日、ブッシュ米大統領は当国を訪問し、現在米議会で審議中のFTAの早期批准に向けて努力することを約束した。

20日、ボゴタにおいて「コ」・中国間の投資促進を目的とした投資保護促進協定の第1ラウンド交渉が始まった。同交渉は、22日に終了し、近く第2ラウンド交渉が開始される予定。

14日、今後の対米FTAの発効を考慮し、上院は、トウモロコシ等を栽培する農家の競争力の強化及び市場拡大のための農業収入安定化法を可決した。

●国家企画庁(DNP)は、2002年から2006年にかけての4年間に、貧困率が56%から45%11ポイントダウンしたと報じた(極貧率は21.56%12%へ減少)。

3月の消費者物価指数は、前月に引き続き、大幅上昇(1.21%)となった。ウリベ大統領は、一連のインフレ傾向に歯止めをかける有効な対策を労働組合と共に考える必要があると述べた。

3月の対ドル為替レートは、引き続きペソ高を維持し、月初2231.94ペソ,月末2190.30ペソで推移した。(最高値:2155.06ペソ)

 

1.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTA関係

(イ)11日、ブッシュ米大統領は、当国を訪問し、ウリベ大統領と会談した際、現在米議会で審議中のFTAが早期に批准されるよう最大限努力することを約束した。また、ブッシュ大統領は米議会にて、ペルー、コロンビア、パナマとの自由貿易協定の締結は、米国にとってさらなる貿易の機会増大につながると繰り返した。

(ロ)アラウッホ外相は、20日及び21日ワシントンを訪問し、民主、共和両党の議員に対し同協定の早期承認を強く求めた。

(ハ)コロンビア上院議会においては、同協定に反対の立場をとる議員より、米国での承認手続きに明確な進展が見られるまでは、上院における審議を中止すべきとの提案がなされた。

(2)対欧州連合関係

(イ)13日、ウリベ大統領は「コ」訪問したケーラー独大統領と会談を行い、その際「ウ」大統領はアンデス共同体(CAN)と欧州連合(EU)との貿易交渉開始を繰り返し求めた他、独が両ブロックの貿易交渉締結に当たって、重要な役割を演じ得ると述べた。また、プラタ商工観光相は、来年をめどに具体的交渉をスタートさせたいとしている。

(ロ)20065月以来、「コ」政府は独政府と投資保護協定交渉を行っており、本年前半までの合意が期待されている。

(3)対中米関係

ムニョス商工観光省次官は、コロンビアと中米3ヵ国(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス)の自由貿易協定交渉を終えたと発表した。右交渉は当初予定より9ヵ月遅れたが、延べ6ラウンドにわたる会合が行われた。農業分野においては全体の72%の品目ついて、工業分野においては75%以上の品目についての合意が行われた。本合意につき企業関係者は、除外品目が多いことや関税引下げ期間が長いことを受け、不満の意を示した。

(4)その他

(イ)20日、ボゴタにおいて「コ」・中国間の投資促進を目的とした投資保護促進協定の第1ラウンド交渉が始まった。中国側からは商業省6名が参加し、「コ」側は商工観光省外国投資担当課長等7名が参加した。この協定は両国の国際規格統一、「コ」・中相互の投資の保護などが議題となっている。プラタ商工観光相は、中国は投資の輸入国から輸出国へと変化をとげるプロセスを開始したと述べた。

当局の話として、第1ラウンド交渉は22日に終了し、双方の挨拶、紹介等が行われ、具体的進展はなかった模様。近く第2ラウンド交渉が開始される予定であるが、具体的日時等は発表されていない。

(ロ)商工観光省によれば、2010年までの4年間に、コロンビアにおける投資促進を目的とした、新たな自由貿易協定交渉をカナダ、EU等と開始したいとしている。同時に、チリ、日本、中国、英等合計20カ国と2重課税防止協定の交渉もスタートしたいとしている。これらの計画は「対外貿易最高審議会」による決定の由。

 

<国内情勢>

(1)通常国会開始される

20日、通常国会が開始された。今次国会では、対米FTAや国家開発計画等、重要案件がまず審議される予定。

(2)国家開発計画(2007-2010)「共同体国家−全国民のための発展」委員会承認

22日、議会経済第三委員会において、ウリベ第2期政権の国家開発計画が最終的に承認された。これは2007年から2010年までの4年間に、総額228.6兆ペソを各計画に投ずるもの。

(3)農業収入安定化法成立

(イ)14日農業収入安定化法(AIS)が、上院で可決され、大統領の承認へと進んだ。同法律は、米とのFTAの成立が予定されている中で、インゲン豆、とうもろこし、小麦といったセンシティブな作物を栽培している農家の競争力強化と市場の拡大を目指すもので、年間5千億ペソの予算を確保している。

(ロ)アリアス農業大臣によれば、この法律は小規模農家や地方農家を対象としたもので、米とのFTAや国家開発計画を補完する重要な法律と述べた。

(4)財政

(イ)税関(DIAN)によれば、本年初2ヶ月間の税収は、前年同時期を26%上回り、10.06兆ペソになった。これは、主に経済成長により消費が伸びたことによる付加価値税の増収によるもの。

(ロ)中央銀行は、2006年の財政収支は、対GDP0.9%2.7兆ペソの赤字になったと報じた。また、中央政府の債務総額はGDP4.6%14.7兆ペソになったと報じた。

(5)企業動向

(イ)「コ」株式市場において16日、ブラジルの投資会社ボトランティム社が、パス・デル・リオ製鋼所株式の52%を取得した(総額約17800億ペソ)。同製鋼所は、ボヤカ県にあり、2,500人の従業員を有している。また、同社は鉄鋼において「コ」国内全体の28%にを生産(国内需要200万トンの14%)している。「コ」においては100万トンは国内生産であり、残りの100万トンは輸入に依存している。

(ロ)カルフール・グループのホセ・ルイス・ドュラン総裁は、約2000億ペソの投資を以て開設したマーケットのオープニングにおいて、「コ」は重要な市場のひとつであり、今後も注目すべきであるとしつつ、特に「コ」における政治面、治安面、及び経済面における状況を評価した。

(ハ)アビアンカ・コロンビア航空と中華航空は、コロンビア及びラ米諸国から中国及び近隣の極東地域に旅行する乗客がアビアンカ航空(ロサンゼルス、マドリード、ニューヨーク等)と中華航空を利用する場合、より安い料金で旅行が可能となることに同意した。

(ニ)スペイン対外貿易協会(El Instituto Espanol de Comercio Exterior)は28のスペイン企業に対してアンデス諸国における戦略的パートナーを模索している。他方「コ」においては、172の「コ」企業が西企業との連携を希望している。35日及び6日にボゴタで開催された西・「コ」投資協力フォーラムにおいて、農工業、バイオ燃料、建設、代替エネルギー等多くの分野にいおて両者企業間で協議が行われた。

(ホ)コロンビアコーヒー生産者連盟(FNC)のイメージキャラクターであるフアン・バルデスがコロンビアコーヒーのプロモーションのため日本で行われているフーデックス・フェスタ2007に登場(316日)した。「コ」におけるコーヒーの輸出で、日本は米に次いで2位である。

(6)自動車販売台数

2月期の自動車販売台数は、前年同月比33.5%増の19,279台となり本年2ヶ月間で総計37,977台となった。先月同様、好調な伸びが維持されており、本年は過去最高の販売台数を記録することが見込まれる。

(7)その他

(イ)国家企画庁(DNP)によれば、2002年から2006年(ウリベ第一期政権)にかけての4年間に、貧困率が56%から45%へ減少したと報じた。(極貧率は、21.56%から12%へと減少)レンテリーナDNP長官は、この4年間の経済成長(5%以上)を受けての賃金上昇により、主に各家庭の可処分所得が増えた結果だとしている。一方スルアガ大蔵大臣は、貧困対策に打ち込んできたウリベ政権の一定の成果だとしつつも、依然として貧困率は高い状況にあり、2010年までには39%まで低下させたいとしている。

(ロ)商工観光省は、2007年初2ヶ月間に「コ」を訪れた外国人は、前年同時期比16.5%増の188,330人と報じた。地域別では南米からが42%、北米からが27%、EUからが17%であり、国別では1位は米(19%)、ついでベネズエラ(14.1%)、エクアドル(10%)、西(5.5%)になっている。訪問先として、1位はボゴタ(51%)、ついでカルタヘナ(11%)、メデジン(8.2%)となっている。

(ハ)リカルド・ガラン国家テレビ委員会(CNTV)総裁は、今後数年間の間に新しいデジタルテレビ方式が導入されるとして、来年末までに新方式が決定されると述べた。

 

2.主な経済指標

(1)経済成長

(イ)国家統計庁(DANE)は、2006年全体の経済成長率は、前年の4.72%から上昇し6.8%になると発表した。また、右は過去28年で最高の数字であり、他のラテンアメリカ諸国と比較しても非常に重要な数値であるとした。

(ロ)分野別にみると、建設部門が14.36%でトップ(中でも、土木工事関係が17.75%、住宅が12.14%の上昇。)であり、次いで工業部門が10.79%、3位がホテル、レストランなどのサービス分野の10.69%となっている。

(ハ)スルアガ大蔵大臣は、2006年の経済成長について、政府の経済政策が適切に実施された結果だと評価し、この良い状況が雇用にも反映すれば、さらに高い成長率が期待できるとコメントした。

(ニ)ウリベ中央銀行総裁は、現在の好状況が維持されれば、2007年の年間成長率は、4.5%から6.5%程度が期待できるとし、またウリベ大統領は特に現在の高い投資水準の維持の重要性を強調した。。

(2)鉱工業及び建設業

ANDIの実施した企業アンケートによれば、20071月の工業生産は、前年同時期比で、8.8%増加し、同業種の販売は全体で9.1%増加したとした。ANDIのヴィジェガス総裁は、1月が通常生産水準の低い月であることを考慮すれば、この結果は好ましいものと述べた。

(3)金利

23日、中央銀行理事会は、公定歩合を0.25%引き上げ8.25%とすることを決定した。ウリベ総裁によれば、貨幣に対する需要及び信用が引き続き上昇基調のため、引き続きインフレ対策を要するためと説明している。

(4)貿易

DANEによれば、1月期の輸入額(FOB)は前年同月比28.3%増の23億ドルになったと報じた。これは、主に自動車及びその部品の増加によるもの。主な輸入先としては、米国、伯、中国の順となっている。1月期の輸出額(FOB)は前年同月比、8.6%増の18億ドルになったと報じた。主な増加要因としては、車両及びその部品の輸出増(40%贈)によるもの。この結果、1月期の収支は3.4億ドルの赤字となった。

(5)雇用

DANEによれば、2月の全国平均失業率は前年同月より0.5%減少し、12.7%となった。一方主要13都市における平均失業率は12.8%(前年同月14.2%)となった。なかでもイバゲ市、マニサレス市及びカルタヘナ市において失業率が高くなっている。

(6)為替

(イ)3月の対ドル為替レートは引き続きペソ高を維持し、月初2231.94ペソ、月末219030ペソとなった。最安値は2246.88ペソ(2日)、最高値は2155.06ペソ(29日)を記録した。29日、スルアガ蔵相は、ペソ切り上げによる国家経済へのインパクトを軽減させる手立てを取ったと報じた。

(7)消費者物価指数

(イ)3月の消費者物価指数は、前年同月比1.21%(前年0.70%)の大幅上昇となった。これにより本年3ヶ月間では3.18%(前年同期1.91%)、過去12ヶ月では5.78%(前年同期.11%)となった。スルアガ蔵相は、2月以降の物価指数は非常に高く、好ましくないとしつつ、55%近くは、霜被害を受けた食料品分野によるものと指摘した。

(ロ)2月以降の大幅な物価上昇をうけ、ウリベ大統領は一連のインフレ傾向に歯止めをかけるため生産部門労働組合との間で有効な対策を考える必要があると述べた。

(8)対外債務

(イ)スタンダード&プアーズ社は、コロンビアの好調な経済指標及び財政状況から、対外「コ」国債をBBからBB+へ引き上げた。これにより90年代の投資環境を回復することとなった。また、内国向け公債については、長期をBBBからBBB+へ、短期をA3からA2へ引き上げた。

(ロ)多くのアナリストは、この決定は「コ」に対する信用の増大によるものだとし、外国からの資金調達コストを減らすものと歓迎した他、ペソ高につながるともした。

(9)炭化水素

(イ)ハビエル石油公団(Ecopetrol)総裁は、前年比645%増の総額20.65億ドルに及ぶ2007年の投資計画を発表した。同計画は、新油田の探査、生産、精製、輸送等の広範囲にわたる設備投資を内容としている。

(ロ)サモラ炭化水素庁長官は、2006年において新たに2.52億バレルの原油が確認され、これによって推定埋蔵量は15億バレルになり、2014年まで輸入に頼らずに自給出来ると述べた。