コロンビア経済定期報告(9月)
【ポイント】
●26日、ウリベ大統領は国連総会に出席し、演説の中で現在滞っている対米FTAの米議会承認に関し、米議会はこの5年間に「コ」が成し遂げた社会的、経済的、政治的発展を認識することが重要と述べた。また、「コ」は、労働者や労働組合等を保護する目的等で、治安対策をはじめとするあらゆる分野で努力をしてきたと繰り返した。また同FTAの米議会承認のため、追加的かつ特別なロビー活動が今後とも必要と述べた。
●ドゥアルテ・「コ」FTA主席交渉官は、「コ」・加、ペルー・加間のFTA交渉第2ラウンドがオタワで開催され、人的交流関係、技術的障害関係部門の小委員会で大変良い交渉結果を得ることができたと述べた。
●本年8月の自動車販売台数は、本年前半からのペソ高及び低金利等による貸付の好条件を受け引き続き好調な伸びを記録し、22,945台となった結果、年初来8ヶ月では168,327台となった。本年後半にかけても順調な販売が期待されるため、昨年1年間の総販売台数である201,587台を上回るのはほぼ確実となっている。
●9月の為替相場は、月初2,160.99ペソ、月末2,023.19ペソとペソ安傾向となり、うち、最安値2,191.00ペソ(7日)、最高値2,009.46ペソ(26日)となった。
●国家統計庁(DANE)は、9月の消費者物価指数は0.08%(前年同月0.21%)になったと報じた。9月の数字としては1964年以来最も低い数字となっている。これにより、年初来9ヶ月間では4.67%(前年同期4.15%)、過去12ヶ月間では5.01%(前年同期4.58%)となった。
【本文】
1.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTA関係
(イ)26日、ウリベ大統領は国連総会に出席し、演説の中で現在滞っている対米FTAの米議会承認に関し、米議会は、この5年間に「コ」が成し遂げた社会的、経済的、政治的発展を認識することが重要と述べた。また、「コ」は、労働者や労働組合等を保護する目的等で、治安対策をはじめとするあらゆる分野で努力をしてきたと繰り返した。また、同FTAの米議会承認のため、追加的かつ特別なロビー活動が今後とも必要と述べた。
(ロ)15日、米グティエレス商務長官等は当国メデジン市を訪問し、3時間近くに渡りウリベ大統領と対米FTAについて協議し、米国議会側の労働組合の保護や基本的人権の尊重に関する疑念に関し説明を聴取した。同会合の後、グティエレス長官は、「我々は、今回の訪問により、米国議会で本件FTA承認に対し投票を行う議員に伝達すべき情報を引き出すことが出来た。いつ、どうやって同投票が行われるかは定かではないが、良い結果になることを確信している。」と述べた。
(ハ)米下院顧問の情報によれば、同議会は2008年2月末までのアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の期限を2年間延長することを検討している模様である。
(2)対加FTA関係
(イ)ドゥアルテ・「コ」FTA主席交渉官は、「コ」・加、ペルー・加間のFTA交渉第2ラウンドがオタワで開催され、人的交流関係、技術的障害関係部門の小委員会で大変良い結果を得たと述べた。人的交流分野の目的は、査証取得等のプロセスの簡略化、及び査証関係協定の80%近くを再検討することである。一方、技術的障害関係部門の小委員会では、工業製品の規制に関する諸問題に関し、二国のみで直接交渉できることのメリットについて評価できる発言があった。ドゥアルテ同交渉官は、「今次第2ラウンドの最も重要な点の一つは、ビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁、レイナ「コ」グラフィック工業連盟(Andigraf)総裁等の民間の代表者等、豊富な人材をもって交渉できたことである。」とも述べた。
(ロ)加とのFTA交渉は、年末まで残り2回のラウンドを予定しており、9月30日からボゴタにおいて第3ラウンドが開始される予定。
(3)対EU関係
21日、アンデス共同体(CAN)と欧州連合(EU)間の連携協定(AA)交渉第1ラウンドが終了した。同会合において、数ヶ月後を目途として、双方の通商活発化のための関税率や輸出入に関する制度、また、技術的な障害等につき情報交換を行うことで合意した。ドゥアルテ「コ」首席交渉官によれば、今次第1ラウンドは同協定の通商分野における全体像等に関する意見交換がほとんどであったとしつつ、本年11月15日にアンデス諸国は、関税率引き下げに向けた最初の水準を決める必要がある他、同問題についてEU側と情報交換を行う予定と述べた。また第2ラウンドは、本年12月10日から14日までベルギー・ブリュッセルで、第3ラウンドは2008年3月にリマで開催されることになっている。
(4)対アンデス共同体(CAN)関係
(イ)26日、ニューヨーク国連総会の枠組みで開催されたCAN外相会合において、「べ」のCAN復帰を要請することとされ、同復帰実現にあたっての条件につき今後検討をしていくこととなった。アラウッホ外相は、「べ」はCAN復帰の条件についての技術的側面等につき文書を以て提示する用意がある、また、それらがCAN各国により検討対象となると述べた。
(ロ)26日の同外相会合において、「べ」復帰のほか、チリとパナマとの関係強化の可能性についても話し合われた他、「ベ」を除くCAN諸国外相は、パナマ及びチリの外相とより緊密な連携を図るための政治対話に関する協定に署名した。
(5)対スペイン関係
20日、当国外務省は2005年3月に署名された「コ」・西投資保護協定が22日に発効する見込みと発表した。本協定は発効後に行われる投資等だけでなく、発効前に行われた投資等に対しても適用されることから、「コ」・西相互間の新規投資、生産性の向上、新規雇用の創出等さまざまな面での経済効果が期待できるとしている。
(6)対パナマ関係
マイグアスカ鉱山・エネルギー省次官は、2010年までに「コ」・パナマ両国間の電線の相互接続を行っていくことを発表した。同プロジェクトは、総額2.16億ドルを予定しており、総延長は161kmになる見込みで、2008年から工事が開始される。
<国内情勢>
(1)「コ」道路整備計画等
(イ)ガジェゴ運輸相は、「コ」道路整備計画のひとつである市町村間の道路の約2,500kmを舗装、リハビリを行う「プラン・ビアル2500」が、この17ヶ月間で約半分が施工済みとなったと発表した。
(ロ)ガジェゴ運輸省は、総延長512kmに及ぶボゴタ-ブエナベントゥーラ(太平洋岸の主要貿易港)間道路の双方向2車線化計画に関し、最初に2012年までを工期として、ボゴタ-ヒラルドタ間道路の2斜線化工事を行っていくことを発表した。これは現在入札広告が開始されている同じくボゴタ-ブエナベントゥーラ間道路整備プロジェクトのひとつであるラ・リネア・トンネル建設計画と同様の工期となっている。
(2)「コ」経済概況
西系金融機関であるBBVA銀行は、本年の「コ」経済成長見通しが当初見通しの5.9%から6.5%前後になると発表した。これは本年前半の経済成長率が7.5%という高成長を記録したことによるもの。また、同銀行は2008年の経済成長について、引きつづき好調な経済成長が続くとしつつも、国内需要の減少等を受け4.9%になる見込みであると発表した。
(3)財政状況
(イ)税関国税庁(DIAN)は、本年8月までの税収が前年同期比16.8%増の41兆7000億ペソになったと発表した。
(ロ)大蔵省は、2007年予算に関し、本年末までの税収は64.5兆ペソ、一般歳出は76.2兆ペソになり、財政赤字が12.8兆ペソになると発表した。
(4)企業動向
(イ)全国商工会議所協会(Confecamaras)は、本年前半の「コ」国内の新規起業社数は経済成長及び外国投資の伸び等を受けて、前年同期比9.3%増の19,773社になったと報じた。
(ロ)「コ」におけるトヨタ自動車の販売業者であるディストヨタ社は、本年初来8ヶ月間の新車販売台数が前年比37.8%増の3,306台になったと発表した。これにより、本年末までの同販売予想は5,600台と期待されている。
(5)自動車販売台数
本年8月の自動車販売台数は、本年前半からのペソ高及び低金利等による貸付の好条件をうけ引き続き好調な伸びを記録し22,945台となった結果、本年初来8ヶ月では168,327台となった。本年後半にかけても順調な販売が期待されるため、昨年1年間の総販売台数である201,587台を上回るのはほぼ確実となっている。
(6)その他
(イ)21日、ボゴタ-ブエナベントゥーラ間道路整備プロジェクトの一つであるラ・リネア・トンネル建設計画に関する入札広告の開始が発表された。同計画は、「中央山脈横断、独立200周年記念(ラ・リネア)トンネル、及びカラルカ市-カハマルカ市間道路2車線化プロジェクト」という正式名称となっており、トンネル本体の掘削工事、トンネル内部の送風機等電気機器の設置工事、及び同トンネルをはさんだ両主要都市であるカラルカ市-カハマルカ市間の一般道を2車線化する工事等を一括して発注・契約するターンキー方式(llave en mano)を採用している。
(ロ)世界銀行発行の「Doing Buisiness」は、民間企業の投資プロセス等に関し、「コ」がラ米で1番、世界で6番目に簡略化、迅速化のためさまざまな改革を行っている国であると述べている。特に租税や対外取引等における施策が評価されており、プラタ商工観光相は本記事内容に関し満足するとともに、「コ」の投資誘致政策の結果だと強調した。
(ハ)アリアス農相は、本年1月から8月までの農牧業セクターにおける貸付総額が投資のための新規貸付額の増加等を受け、前年同期比44.4%増の2.02兆ペソになったと報じた。これら資金は、農耕機械の取得等生産性の向上のため、及び商業化、大規模耕作化、灌漑、排水設備等のインフレ整備に当てられている。
2.主な経済指標
(1)経済成長
(イ)国家統計庁(DANE)は、本年第2四半期の実質GDP成長率が第1四半期(8%)より若干低下し、6.97%になったと報じた(前年同期5.89%)。分野別にみると、金融業(15.68%)、鉱工業(12.10%)、運輸(12.05%)、商業(10.84%)となっている。これにより本年前半の成長率は7.59%となっている。
(2)コーヒー
全国コーヒー生産者連盟(FNC)によれば、本年8月のコーヒー生産量はコーヒー農園等で行われているコーヒー樹の植え替え計画を受けて、前年同期比13.1%減の99万袋になったと報じた。また、FNCは、9月以降にかけてコーヒーの収穫時期を迎えるため大幅な生産増が見込めるとした。
(3)炭化水素・バイオ燃料等
(イ)コロンビア石油公社(Ecopetrol)によれば、年初来8ヶ月の石油輸出量は、一日あたり16.8万バレルの21.77億ドルとなり、前年同期の24.16億ドルより若干減少した。
(ロ)18日、Ecopetrolは、炭化水素庁主催の石油探査のための入札である「カリビアン・ラウンド」において、石油探査箇所13箇所のうちの8箇所において同探査業者に選定された。同2箇所においては同社が100%、その他6箇所については他の石油業者とのJVにより実施される見込み。
(ハ)ヴァレンシア大統領府顧問は、対プエブラ・パナマ計画(PPP)「コ」大統領府委員として講演したバイオ燃料セミナーにおいて、7日、グアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドルにバイオ燃料のパイロット工場を3箇所建設する旨を明らかにすると同時に、同3カ国等とはバイオ燃料分野だけでなく農業、鉱山・エネルギー、環境、運輸分野等多くの分野において、協力、協調していくことを強調した。
(4)金利
21日、中央銀行は、政策決定会合において公定歩合を9.25%で維持することを決定した。理由として米サブプライム問題の影響について、見極めるためとしている。
(5)貿易
DANEは、年初来7月の輸入額(FOB)は169.07億ドルになったと報じた。引き続き好調な自動車の他、ボイラー等機械産業の伸びによるもの。一方、年初来7月の輸出額(FOB)は前年同期比15.3%増の157.60億ドルになった。これにより、収支は11.47億ドルの赤字(前年同期3.119億ドルの黒字)となった。
(6)雇用
DANEは、8月の全国平均失業率は10.6%(前年同月12.9%)、また、「コ」主要13都市の平均失業率は11.4%(前年同月12.7%)となったと報じた。これにより雇用者は約1880万人、失業者は約215万人と推定される。スルアガ蔵相は、同月の数字に満足するとともに、「当国政府は2010年までの失業率に関する目標として8%から8.5%の数値を設定しており、同目標達成も不可能ではない。」と述べた。また、「本年前半の好調な経済成長、及び治安の改善により、本年だけで70万人の新規雇用創出及び相当程度の不完全雇用の解消が達成された。」と述べた。
(7)為替
9月の為替相場は、月初2,160.99ペソ、月末2,023.19ペソのペソ安傾向となり、うち、最安値2,191.00ペソ(7日)、最高値2,009.46ペソ(26日)となった。
(8)消費者物価指数
DANEは、9月の消費者物価指数は0.08%(前年同月0.21%)となったと報じた。9月の数字としては1964年以来最も低い数字となっている。これにより、年初来9ヶ月間では4.67%(前年同期4.15%)、過去12ヶ月間では5.01%(前年同期4.58%)となった。分野別では、教育(0.49%)、医療(0.24%)、住宅(0.19%)となる一方、食料品は-0.01%となった。都市別に見ると、パスト市が0.44%で最も高くなっており、最も低いのはメデジン市の-0.18%となっている。
(9)対外債務
中央銀行によれば、本年6月末時点における対外債務残高は前月から微増となり、対GDP比24.9%の433.04億ドルとなった(前年同月末はGDP比27.1%の369.07億ドル)。うち、公的部門は277.92億ドル、民間部門は155.12億ドルとなっている。