コロンビア月例報告(1月分)
経済情勢
2008年3月5日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●対米FTAに関しブッシュ米大統領は、「コ」はラ米における第1の同盟国であり、また、同FTAが「コ」における貧困を解消する鍵となっており、米議会に対し早期承認を要請すると述べた。
●プラタ商工観光相は、本年2月末に期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)に関し、同FTAの承認及び発効に時間がかかることから、シュワブ米通商代表に対し2009年までの延長を求めた、と述べた。
●ウリベ大統領はボゴタ首都区のメトロ建設に関し、「コ」政府として現大量交通輸送システム「トランスミレニオ」の全体額の70%相当額についてファイナンスを行う予定、と述べた。
●ビジェガス・ボゴタ首都区交通管理担当顧問は、本年2月には同市メトロ建設のための調査・研究に係る入札を開始したい、と述べた。
●スルアガ蔵相によれば、2007年の対内直接投資は80億ドルに達する見込みであり(注:中央銀行の速報値によれば、78.69億ドル)、2008年も同様の投資額が期待される由。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言
(イ)ブッシュ米大統領:「コ」はラ米における第1の同盟国であり、同国は暴力や麻薬取引と戦っている。また、米・「コ」FTAは「コ」における貧困を解消する鍵であり、米議会に対し同FTAの早期承認を要請する。(28日、一般教書演説)
(ロ)ライス米国務長官:ブッシュ大統領は同FTAの米議会承認に向け熱心に取り組んでいる。同FTAは、環境や労務といった米政府の懸案事項に対し、よい方策となっている。今回「コ」を訪問した強硬反対の民主党員は、近年の治安対策による改善、民主主義の進展、麻薬取引の取り締まり等を実際に見て、同国に対するイメージをポジティブに変えた。(25日、訪問先の当国メデジン市にて)
(ハ)シュワブ米通商代表:民主党の多数が賛成していない状況ではあるが、米議会において同FTAの承認を早めるため、本年3月または4月にニュークリアー・オプションを用いて、同FTAを同議会に提出することを検討している。(13日)
(ニ)プラタ商工観光相:「コ」政府はこの先5ヶ月の間、対米FTAの米議会早期承認のため民間セクターとも共働し、同議会に対する働きかけを集中的に行っていく。また、在米「コ」大使館において、バルコ大使及び「コ」民間企業の間で会合が行われた結果、ワシントン、カリフォルニア、テキサス、フロリダ州等の同承認に大きな影響力を有する地方政府に対しても働きかけを行っていくことが決定された。(15日)
本年2月末に期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)に関し、同FTAの承認及び発効に時間がかかることから、シュワブ米通商代表に対し2009年までの延長を求めた。(31日)
(2)対EU連携協定(AA)交渉等を巡るウリベ大統領の発言
欧州連合(EU)とアンデス共同体(CAN)間の連携協定(AA)交渉をより多くの投資促進、雇用創出のため更に加速させたい。(21日、ソラーナEU上級代表とのブリュッセルでの会合において)
(3)日・スペイン関係
(イ)サパテロ首相発言:「コ」・西関係は外交的、政治的に見ても最良の状況にある。本23日に署名する両国の協力戦略協定は、両国企業による投資促進につながるだけでなく、基本的人権の尊重等のその他の面の改善も目的としている。(23日)
(ロ)ウリベ大統領:EU・CAN間のAA交渉が順調に進められるよう、支援をお願いしたい。(上記署名式の際に)
(4)対ベネズエラ関係
(イ)「ベ」政府は、2008年の「コ」自動車組み立て企業からの輸入枠を発表した。
(ⅰ)Sofasa社:8,000台
(ⅱ)Colmotores社:8,000台
(ⅲ)Compania Colombiana Automotoriz(CCA)社:4,000台
(ロ)自動車輸入規制に関し、米金融機関「Citybank」は同輸入制限による「コ」経済への影響は4.8億ドル(名目GDP比 0.3%)であり、深刻ではないとしている。
(ハ)今次輸入規制を受けSofasa社、Colmotores社、CCA社は、800人から1,000人の労働者の解雇を行うと発表した。(30日)
(5)対メキシコ(G2)関係
2008年以降の墨から「コ」への自動車輸入に関し、特恵税率(4%)の範囲を6,000台まで拡大する(現行は4,000台)。同措置は2011年の特恵関税の範囲撤廃に向け順次拡大されていく見込み。また、2009年1月より「コ」から墨への自動車輸出に関し、関税が撤廃されることとなっている。
(6)韓国との関係に関する国際協力庁発表
「コ」及び韓国は向こう3~5年にかけての援助プログラムを結んだ。同プログラムの主なものとして、科学技術、投資等がある他、韓国人ボランティア及び専門家を「コ」に派遣することを予定している。(16日)
<国内情勢>
(1)ボゴタ首都区のメトロ建設計画に関する関係者の発言
(イ)ウリベ大統領:ボゴタ首都区のメトロ建設に対する「コ」政府の援助に関し、現大量交通輸送システム「トランスミレニオ」の全体額の70%相当額についてファイナンスを行う予定である。(同大統領は、同市で計画されている商業メガプロジェクト「ラテンアメリカン・トレード・マート」(注:同市において計画されている、ホテル、ショッピング・センター、コンベンション・センター等の複合施設で、6,000億ペソの投資額が予想されている。)建設計画発表会にて発言。)
(ロ)ビジェガス・ボゴタ首都区交通管理担当顧問:本年2月には同市メトロ建設のための調査・研究に係る入札を開始したい。同入札では本プロジェクト実現のためのファイナンス、コスト、詳細設計等多くの分野を調査対象としており、期間は6ヶ月程度を予定している。
(2)2007年及び2008年の「コ」経済見通しに関する発言
(イ)スルアガ蔵相:「コ」マクロ経済は、消費及び投資を中心として好調な伸びを示しており、米国の経済減速による影響を最小限に押さえる準備ができつつある。国際市場における「コ」債券の利率の歴史的な低水準等により、1億ドルの対外債務の借り換えを達成することができた。今次借り換えは、国際市場における「コ」経済の信頼性の向上や同国経済の安定性を反映している。
(ロ)ビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁:主要国の経済減速及び右による直接投資の減少による「コ」経済への影響について懸念している。また、これらマイナス要因を補填するものとして対米FTAの早期発効を要請する。
(3)財政政策
(イ)税収に関するフランコ国税・税関庁(DIAN)長官発言:2007年税収は、前年の52.70兆ペソを14.4%上回る60.32兆ペソとなった。同年は「コ」の好調な経済成長や脱税等に対する監視機能の強化等が主な要因となり、本年の徴税目標である57.76兆ペソを上回った。また、2002年の税収は名目GDP比13.4%であったが、2007年は同17.1%となった。2008年の税収目標は、同17.5%相当の67.80兆ペソとした。
(ロ)「コ」経済に関するウリベ中央銀行総裁発言:現在の景気後退時における物価上昇は、中央銀行の中長期的目標である経済成長の維持に対し影響があると考えており、懸念している。
(ハ)2007年財政に関するスルアガ蔵相の発言:2007年第3四半期までの中央政府の負債額は、歳出削減に取り組んだ結果前年同期比26%減の6.11兆ペソ(名目GDP比1.7%)となった(内訳、歳入:51.14兆ペソ、歳出:57.25ペソ)。
(4)企業動向
対内直接投資に関するスルアガ蔵相の発言等
2007年の対内直接投資は80億ドルに達する見込みであるが(注:中央銀行の速報値によれば、78.69億ドル)、2008年についても同様の投資額が期待されている。(主な背景として、トランスミレニオ(ボゴタ首都区大量輸送交通システム)の第3フェーズ、第3の民放チャンネルの導入、カルタヘナ港等における石油精製施設の拡充、ルータ・デル・ソル(ボゴタ首都区・サンタマルタ市間主要幹線道路)等大型公共事業の落札者の決定見込等があげられる。)
(5)その他
(イ)ガソリン価格(当国鉱山・エネルギー省発表):本年2月1日より、レギュラーガソリン1ガロンあたりの価格を64.67ペソ引き上げ6,802.38ペソとする。
(ロ)中小企業振興に関するプラタ商工観光相の発言:「コ」政府は、2008年の中小・零細企業への技術振興費として150億ペソを投入する。主に収益性の高いプロジェクトへや発展可能性の高い企業への投資を行い、さらなる投資促進、輸出の増大及び雇用創出を目的とする。
(ハ)バイオ燃料関係:「コ」農業省及び同省関係の研究機関であるコロンビア農牧業調査研究所(Corpoica)の協力により、ナリーニョ県トゥマコ市に建設されたバイオディーゼル生産工場の開所式典が行われ、ウリベ大統領等が参加した。同工場においては、日量2,000リットルの生産が予定されており、同県サラオンダ市等の1万人以上のエネルギーを供給することが期待されている。同工場建設に関し、「コ」政府は農業省より15億ペソ、Corpoicaより2億ペソの合計17億ペソの投資を行った。(18日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同時期の数値
(1)経済成長(出所:中央銀行):07年全体の経済成長予測 7.0%
(2)鉱工業及び建設業(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)07年11月の建設着工申請面積 122.2万㎡(139.9万㎡)
(ロ)年初来11ヶ月間の建設着工申請面積 1,734.6万㎡(1,438.2万㎡)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)07年のコーヒー生産量 1,221.4万袋(1,207.8万袋)
(ロ)07年のコーヒー輸出量 1,088.4万袋(1,094.5万袋)
(4)金利(出所:中央銀行):1月末の公定歩合 9.50%(7.50%)
(5)貿易(出所:DANE)
(イ)07年初来11ヶ月間の輸出額 268.35億ドル(222.79億ドル 20.4%増)
(ロ)07年初来11ヶ月間の輸入額 300.62億ドル(238.15億ドル 40.3%増)
(6)雇用(1月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 9.9%(11.8%)
(ロ)失業率主要13都市平均 10.3%(12.8%)
(ハ)2007年全体全国平均 11.1%(12.0%)
(ニ)2007年全体主要13都市平均 11.4%(13.0%)
(7)為替(1月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,014.76ペソ
(ロ)月末 1,939.77ペソ
(ハ)最高値 1,939.77ペソ(31日)
(ニ)最安値 2,014.76ペソ(2日)
(8)株式指数(1月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 10,694.181ポイント
(ロ)月末 9,107.376ポイント
(ハ)最高値 10,694.181ポイント(2日)
(ニ)最低値 8,251.227ポイント(21日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)1月 1.06%(0.77%)
(ロ)07年2月からの12ヶ月間 6.00%(4.71%)
(10)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)12月の自動車販売台数 22,455台(19,187台)
(ロ)年初来12ヶ月間の自動車販売台数累計 258,463台(201,523台)
(11)携帯電話加入台数(2007年末現在)(出所:商工庁、商工観光省の下部機関)
(イ)総計:32,295,306件(27,711,052件 16.5%増)
(ロ)Comcel社:20,914,278件
(ハ)Telefonica Moviles社:8,372,060件
(ニ)Colombia Moviles社:3,008,968件
(12)対外債務(2007年11月末現在)(出所:中央銀行)
(イ)対外債務 442.61億ドル(398.14億ドル)
(ロ)対名目GDP比 25.9%(29.2%)
(ハ)うち公的債務 282.67億ドル(260.23億ドル)
(ニ)うち民間債務 159.94億ドル(137.91億ドル)