コロンビア月例報告(2月分)
経済情勢
2008年4月1日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●29日、同日に失効予定であったアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)は、10ヶ月間延長することで米・「コ」政府間で合意した。これにより、同協定は本年12月末まで有効となる。
●バーナー加外相は「コ」・加FTA交渉について、「「コ」政府からの主張を受け、環境保護に関する章につき次回第5ラウンドで議論する。対「コ」投資に関心を示す加企業が増大。両国関係は非常に良い状態」と述べた。
●プラタ商工観光相は、「コ」・中投資保護協定交渉(於:北京)において90%の内容につき合意したと述べた。
●モレノ・ボゴタ市長は、「3月上旬、ボゴタ首都区のメトロ建設調査のための入札の仮仕様書をボゴタ商工会議所が発行する見込み。4月には同調査に関する入札を開始する。本年前半には業者が決定される」と述べた。
●スルアガ蔵相は本年のインフレ動向に関し、「当国経済の目標は、合理的な物価上昇をともなった高成長の達成。「コ」政府はインフレ対策に向けた要因分析を行っているが、食料品等の価格統制や介入は検討していない」等と述べた。
●マルティネス鉱山・エネルギー相は、「2007年の石油探査分野への投資受け、石油の自給年数が1年伸び、2015年まで自給可能な埋蔵量があることが確認された」と述べた。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言
(イ)プラタ商工観光相:ブッシュ米大統領は、本年2月末に失効となるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)を10ヶ月延長する協定に署名し、同協定は本年12月末まで有効となった。同協定の延長により、「コ」輸出業者の活動は少なくとも本年中は保証されることになる。未発効の米・「コ」FTAは、「コ」主要輸出品目である石油、花、被服、皮革等を含む合計6,000品目以上をカバーしている。(29日)
(ロ)米政府の発言:現在米議会で審議中の「コ」、パナマ、韓国とのFTAの中で、特に対「コ」FTAに対し民主党議員が強く反対している。「コ」経済は南米諸国の経済成長を維持する重要な役割を担っており、また、「コ」は同地域における戦略的同盟国であり、早期承認を要請する。(29日)
(ハ)米国労働組合AFL-CIOのリンダ・チャベス副理事長の発言:「コ」政府が労働者及び労働組合幹部に対し十分な保護政策を行っていないことから米民主党議員は同協定の承認を支持せず、再交渉を要求する可能性があることから、同承認まではまだ遠い道のり。(12日、米民主党有力議員との「コ」訪問時)
(2)対加FTAに関する発言
(イ)アラウッホ「コ」外相:対加FTAの早期署名について楽観的な立場。第4及び第5ラウンド交渉を通じ、同FTAをさらに前進させる明確な取り決めがなされよう。(19日、バーナー加外相との会談において)
(ロ)バーナー加外相:「コ」政府は同FTAに環境保護に関する章を設けることを主張しており、次回第5ラウンドで議論される。現在対「コ」投資に興味を示す加企業が増大しており、加・「コ」関係は非常に良い状態にある。(19日)
(3)対ベネズエラ関係
(イ)「コ」の対「ベ」自動車輸出に関し、本年の「ベ」政府の自動車輸入規制等が同業界にとっての不安定要因となっており、それらが銀行の新規貸し出し等を困難にしている。また同輸入規制の影響により、「コ」の主要自動車組み立て会社であるSofasa社は、本年に22,000台生産能力に相当する374人の従業員の解雇を予定している。(26日)
(ロ)アラウッホ外相の発言:今般のチャベス大統領の「コ」とのエネルギープロジェクトの中止宣言にもかかわらず、グアヒラ県のガスパイプラインについては、現在も操業中であり、「ベ」への供給が行われている。(4日)
(4)対中米FTAに関するプラタ商工観光相の発言
20日、「コ」上院において昨年8月9日に署名された対中米3カ国(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス)FTA法案が可決された。今後憲法裁判所審査及び大統領裁可へと進むことになる。(20日)
(5)対中国投資保護協定に関するプラタ商工観光相の発言
18日から20日までの「コ」・中国投資保護協定交渉(於:北京)において、「コ」政府は中国政府と同協定内容の90%まで合意。中国はアジア諸国のなかで日本に次ぐ投資国であり、同協定により「コ」・中国間の投資環境の改善が期待される。
<国内情勢>
(1)ボゴタ首都区のメトロ建設計画に関する関係者の発言
(イ)モレノ・ボゴタ市長:3月上旬にボゴタ商工会議所は同首都区のメトロ建設調査のため入札の仮仕様書を発行する見込みである。これを受け、4月には同調査に関する入札を開始し、本年前半には業者が決定される見込み。(19日)
(ロ)ビジェガス・ボゴタ首都区交通局長:今次計画の優先項目は、統合的公共交通システムの構築、ボゴタ首都区近郊鉄道の機能的活用、同市の渋滞緩和、及び同市メトロ一号線の整備等。メトロ建設に関しては、具体的設計、及び財政的、法的及び技術的な面からの裏づけが必要となり、これら全てはモレノ市長の任期中(2011年末)になされる必要がある。(24日)
(ハ)スルアガ蔵相及びレンテリーア国家企画庁(DNP)長官:ガジェゴ運輸相は、「「コ」政府が、総プロジェクトの70%まで財政援助する」との発言をしたが、「コ」政府側に支援する用意はあるものの、依然として具体的支援割合は明確になっていない。また、具体的内容については同建設計画に関する調査・設計が終了した後に決定される。また「コ」政府は2017年以前の予算での援助は予定していない。(21日)
(ニ)トロトセンブルグ在コロンビア世界銀行代表:当行は、ボゴタ首都区メトロ建設プロジェクトに興味を持っている。現在同市からの正式ファイナンス要請は受けていないが、同ファイナンスには時間がかかることから、どのような援助が可能か検討していきたい。(26日)
(2)「コ」経済に関するスルアガ蔵相発言
「コ」経済分野面での目標は、合理的な物価上昇をともなった高成長であり、右に向け「コ」政府及び中央銀行はともに経済政策を行ってきた。本年1月以降の高い物価上昇率は、非常に難しい問題の始まりであり、「コ」政府は本年のインフレ目標達成に向け、その要因等を分析している。また、「コ」政府は、インフレ抑制のための、食料品等の価格統制や介入は検討していないが、「生産者との調整」という新たな手法を検討している。(5日)
(3)企業動向:「コ」政府とババリア社の法的安定協定の署名
(イ)報道概要:8日、「コ」政府とババリア社(「コ」ビール等飲料製造会社)は、むこう20年間の同社の企業活動の法的安定を確保する協定に署名した。同協定によりバランキージャ市、ブカラマンガ市等に建設予定の同社工場拡張の建設費用等9,603.51億ペソの投資が保護対象となる。右保護措置を受けるため、今後同社は投資予定額の1%にあたる96億ペソを「コ」政府に支払う。同プロジェクト実施により、今日までに4,525人の新規直接雇用及び2,973人の間接雇用が創出される。加えて同社の工場拡張工事が完了すれば、5,955億ペソの輸出増が見込まれる。(11日)
(ロ)プラタ商工観光相発言:同協定に関し現在までに44の申請があり、20については承認しており、うち今次ババリア社を含む7社と署名を行っている。(11日)
(4)ラ・リネア・トンネル建設計画
(イ)概要: 6日、「ラ・リネア・トンネル」に関する入札が締め切られ応札者はいなかった。これを受け、20日、ガジェゴ運輸相は同入札を再開すると発表し、翌21日、「コ」政府は道路公社(INVIAS)ホームページにおいて、同トンネル建設工事に関する入札を再開する旨を正式に発表した。今次入札では、(ⅰ)(a)カラルカ市-カハマルカ市間の一般道路の2車線化工事、(b)トンネル本体の掘削工事、(c)送風機等電気機器の設置工事のうち、(c)を別契約として、合計2件の入札とする、(ⅱ)「コ」に住所を有しない外国企業であっても「コ」国内企業と同様の条件で入札に参加できる、(ⅲ)共同企業体(JV)を形成する場合には、前回の入札では外国企業比率が50%であったが、同割合を100%に引き上げる等の改善点が見られる。同入札は本年4月1日に締め切られる見込み。
(ロ)ガジェゴ運輸相の発言:同建設工事のコスト削減のため、同工事に必要な機材等の輸入について関税を免除する措置を検討している。(20日)
(5)炭化水素関係の発言
(イ)マルティネス鉱山・エネルギー相:2007年に石油探査分野への投資を行った結果、石油の自給年数が1年伸び、2015年まで自給可能な埋蔵量があることが確認された。今後も同探査への投資を増加させる努力を続けること予定。本年は同探査及び原油関係のインフラ整備に35億ドルの投資を行うことを予定。(4日)
(ロ)同マルティネス鉱山・エネルギー相:「コ」政府は本年4月より、ビチャーダ県900万ヘクタール(同県の90%の面積)を含む合計1200万ヘクタールの土地の石油探査の入札を開始する。探査期間は3年程度を予定しており、今次探査により同県における投資促進及び雇用創出効果が期待されている。(22日)
(6)バイオ燃料関係
(イ)バイオ燃料生産に関する全国コーヒー生産者連盟(FNC)発表:20億ペソの投資により、コーヒーの果汁等残滓を原料として、バイオ・エタノール生産に取り組む。本年には当国アンティオキア県アンデス市及びカルダス県マニサレス市に試験製造工場を建設する予定。(24日)
(ロ)アリアス農相発言:当国企業であるBiogeos社及びImageomega社の共同企業体がグアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドルの3カ国においてバイオ・ディーゼル生産工場建設に関し落札した。今次落札をもって同3カ国に対するバイオ燃料生産に関する技術移転が開始される。同プロジェクトに対し、コロンビア農業研究所(Corpoica)を通じ、農業省が60億ペソの補助を行っており、日量1万リットルの生産が可能となる見込み。(25日)
Ⅲ.主な経済指標( )は昨年同時期の数値
(1)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)1月のコーヒー生産量 140万袋(96.1万袋)
(ロ)1月のコーヒー輸出量 101万袋(87.0万袋)
(2)金利(出所:中央銀行):2月末の公定歩合 9.75%(8.00%)
(3)貿易(出所:DANE)
(イ)07年全体の輸出額 299.91億ドル(243.91億ドル 23.0%増)
(ロ)07年全体の輸入額 328.97億ドル(261.62億ドル 25.7%増)
(4)雇用(1月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 13.1%(13.8%)
(ロ)失業率主要13都市平均 12.4%(14.4%)
(ハ)全国推定失業者数 約268万人(約273万人)
(ニ)主要13都市推定失業者数 約126万人(約137万人)
(5)為替(2月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 1,939.77ペソ
(ロ)月末 1,845.17ペソ
(ハ)最高値 1,845.17ペソ(29日)
(ニ)最安値 1,939.77ペソ(1日)
(6)株式指数(2月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 9,107.375ポイント
(ロ)月末 9,191.930ポイント
(ハ)最高値 9,479.228ポイント(21日)
(ニ)最安値 8,887.588ポイント(6日)
(7)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)2月 1.50%(1.17%)
(ロ)年初来2ヶ月間 2.58%(1.95%)
(ハ)07年3月からの12ヶ月間 6.35%(5.25%)
(8)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)1月の自動車販売台数 17,700台(18,700台)
(9)税収(2008年1月)(出所:国税・税関庁(DIAN))
(イ)税収総額 7.4兆ペソ(6.8兆ペソ 27.1%増)
(ロ)うち、内国税収入(IVA、所得税等)6.4兆ペソ
(ハ)うち、外国税収入(関税収入等)1兆ペソ
(10)ガソリン価格(本年3月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン 1ガロン・6,866.44ペソ(前月比64.06ペソ増)