コロンビア月例報告(3月分)

 

経済情勢

2008年4月24日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●ブッシュ米大統領は、「47日の週に米・「コ」FTAを議会に提出する。その場合には、90日(議会開会日)以内に投票が行われ、議会による可否の判断が求められる。」と述べた。

●ベネズエラ政府は、「コ」製品の購入を制限し、「ベ」国内で生産が行われていない産品及び、「ベ」国内生産では国内需要をまかなえない産品に限り対「ベ」輸出を認めると発表した。今次発表により、服飾、繊維、木材、革製品等が輸入制限の対象となる。

●「コ」及び韓国政府は、「コ」国民の教育レベル向上及び情報通信産業分野の促進を目的とした情報通信技術促進協定に署名した。具体的プロジェクトとしては、2009年にセミナーの開催等を通じ、韓国側が行ってきた同分野での政策等を踏まえた提言する予定。

●アリアス農相は、「今般の農産品等の価格上昇を抑制するため、「コ」関税委員会により肥料、農薬等農産品投入剤の輸入関税引き下げが承認された。」と発表した。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言

(イ)グティエレス商務長官:我々米議会議員及び同政府職員は、今次「コ」訪問により労働問題、経済社会面における「コ」政府の取り組みを評価する。「コ」が米国にとり非常に重要な同盟国であることから、FTA協定が承認される日は近いであろう。(2日、訪問先の当国メデジン市において)

(ロ)ブッシュ大統領:米・「コ」FTAを投票に付するため、来る47日の週に同協定を議会に提出する。その場合には、90日(議会開会日)以内に投票が行われ、議会による可否の判断が求められる。今回の措置は、「コ」が抱える「べ」や「エ」との危機乃至は「コ」自身の国家安全保障にとり緊急に必要。(31日)

(ハ)12日、プラタ商工観光相は米国ワシントンにおいて対米FTA早期承認促進のため、米民主党議員と会合を行った。また、25日から28日にかけて米国カリフォルニア州サン・ディアゴ市及び同州サン・フランシスコ市を訪問し、同地域議会関係者、企業関係者、政府関係者と会合を行った。上記カリフォルニア州訪問時の同大臣発言:米・「コ」FTAが実現する場合、当地カリフォルニア州にもたらす利益は大きい。「コ」企業にとり、同FTAの米議会での承認は非常に重要な意味を持つ。今回の米国カリフォルニア訪問で、カリフォルニア州選出の民主党議員のハビエル・ベセーラ氏及び米国ヒスパニック商工会議所会頭デイビッド・リサラガ氏等と会合を行い、本FTA承認への支援を要請した。

(ニ)ウリベ大統領と16名の「コ」労働団体代表者との会合の際の労働者側発言:同FTAは、「コ」労働者だけでなく、特に当国工業分野の関係団体が米国との取引額を増やす点等でも必要であり、対米FTA承認のための「コ」政府への支援を表明する。(28日)

(2)対加FTAに関するプラタ商工観光相及びドゥアルテ首席交渉官の発言

 「コ」・加FTA交渉は5日及び6日にマイアミで実施予定。センシティブな問題として、市場アクセスの問題と農産品分野の原産地証明があるが、現在まで全工程の75%の作業が進展しており、最終合意は本年前半にも行われる予定。(228日)

(3)対EFTA諸国FTAに関するプラタ商工観光相及びドゥアルテ首席交渉官の発言

 今月31日から46日まで当国ボゴタ首都区において「コ」・ペルーとEFTA諸国(スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェー)とのFTA4ラウンド交渉が開催される予定。当国の優先事項は、「コ」輸出業者が右諸国での一般特恵関税を享受できるようにすること。今次交渉もペルーと共同して行う予定であるが、最終的には異なった2つの協定を締結することになる。現在まで、防疫・検疫分野、競争分野、協力分野では合意に達している。(30日)

(4)対チリFTA関係

 41日、「コ」下院は全会一致で「コ」・チリFTA法案を可決し、大統領裁可及び憲法裁判所審査へと進む。プラタ商工観光相の発言:今次FTAにより、情報、ソフトウェア、健康、音響、観光等の面でビジネス拡大の可能性が広がる。また、投資、政府調達の他、長年問題となってきたサービス分野での問題が解決され、両国間のさらなる緊密化が期待できる。(41日)

(5)アンデス共同体(CAN)関係(対ベネズエラ・エクアドル外交問題に関する発言等)

(イ)一般情勢:「コ」繊維の総輸出の53%が対「ベ」向けであることから、今般の同国との外交問題により3月の1ヶ月間に株価が36%下落するなどの大きな影響を受けた。特に、4日、「コ」株式市場は右外交問題を懸念して大幅下落となり、同日終値は前日比4.5%減の8,564.61ポイントとなった。(5日)

(ロ)「コ」企業団体の発言:「エ」、「ベ」等近隣諸国との外交関係の危険性や脆弱性は明らかであり、特に「ベ」との商業関係依存度を是正し、取引市場の多様化を図るべきである。(5日)

(ハ)プラタ商工観光相:対エクアドル通商関係では外交問題の影響はほとんど無く、通常通り取引が行われている。今後「エ」及び「ベ」との外交関係の修復を急ぐほか、市場の多様化についても検討していく。(7日)

(ニ)ベネズエラ政府は「コ」製品の輸入を制限し、「ベ」国内で生産が行われていない産品、及び「ベ」国内生産では国内需要をまかなえない産品に限り対「ベ」輸出を認めると発表した。今次発表により、服飾、繊維、木材、革製品等が同輸入制限措置の対象となる。(26日)

 

<国内情勢>

(1)ボゴタ首都区のインフラ整備計画に関するウリベ大統領の発言

 「コ」政府は、ボゴタ首都区が行った決定、すなわち、カレーラ10通りのトランスミレニオ(同市大量交通輸送システム)建設計画及びソアチャ市(同市近郊都市)のトランスミレニオ建設計画を尊重、また、支援する。他方、ボゴタ首都区のメトロ建設計画は、その重要性は認めるが、「コ」政府の支援等の範囲等については現在決定できる状況になく、政府がコミットできることは、現トランスミレニオへの負債等の支払いが完了する2017年以降のプロジェクトに関与することとなる。(12日)

(2)ボゴタ首都区の国際空港整備に関するサントス副大統領の発言

 OPAIN社(ボゴタ首都区エル・ドラード国際空港建設工事を請け負っている共同企業体)は数ヶ月にわたる議論の結果、現在の空港建物を取り壊し新たな建物を建設することで合意した。同工事は20日より開始されるが、現在の空港施設は新たな施設が完成した後に、取り壊される予定。(14日)

(3)2007年予算に関するスルアガ蔵相発言

 2007年の予算状況は、税収の増加等により前年比で好転の傾向を示しており、同年1月から11月までの財政赤字は、昨年の名目GDP3.3%から2.6%へと減少している。(7日)

(4)企業動向

(イ)トヨタ自動車及び三井物産の「コ」企業ソファサ社からの撤退

 トヨタ自動車及び三井物産は、「コ」企業ソファサ社からの撤退を発表した。トヨタ及び三井物産は同社の40%の株式を保有していたが、同株式をルノー社に売却することにより、同ルノー社が100%の株式を取得することになる。他方、トヨタ自動車は今後当国に新たな販売会社を設立し、販売を開始するが、ソファサの販売代理店は利用するため、サービス面では変化はない。(3日)

(ロ)マツダ車等の販売会社であるCCAcompania colomibana automotoriz)社は、「ベ」政府が実施した輸入割り当て等を受け、同社の自動車輸出への懸念から、430日からの440人の社員の雇用契約の更新は出来ないと発表した。また、同現状に鑑み、同社は国内市場向けに「Mazda 2」等の小型車の販売を強化するとともに、中長期的には他の市場を探すとした。(11日)

(5)その他

(イ)在豪大使館開設にともなうアラウッホ外相の発言:在豪コロンビア大使館の開設を通じて、「コ」はアジア・大洋州の各国との経済関係の強化を模索する。在豪大使には、ディエゴ・ベタンクール氏(父親はベタンクール元大統領)を起用する方針である。(14日)

(ロ)「コ」及び韓国政府は、「コ」国民の教育レベル向上及び情報通信産業分野の促進を目的とした情報通信技術促進協定に署名した。具体的には本年及び2009年に情報通信技術国家計画支援プロジェクトを通じて韓国側が行ってきた同分野での経験等を踏まえた協力を行う予定。他方、ボゴタ首都区において韓国政府の150万ドルの協力を受け、通信省、国際協力庁及び韓国の国際協力機構によるプロジェクトが計画されている。(28日)

(ハ)農産品投入剤の輸入関税に関するアリアス農相の発言:今般の農産品等の価格上昇を抑制するため、また同農産品の生産コスト削減を目的として、関税委員会は肥料、農薬といった農産品投入剤の輸入関税引き下げを承認した。他方、中国産靴及び衣類等の違法輸入を抑制するため、同産品の数量割り当てを実施することが承認された。(10日)

(ニ)中央銀行による在外コロンビア人の送金額等の発表:在外コロンビア人の当国への送金は2007年全体で前年比15.5%増の44.93億ドルに達した。他方、2007年の経常収支は名目GDP3.4%58.51億ドルの赤字となった。(28日)

(ホ)国家政治経済社会評議会(Copnes)は、国内のバイオ燃料の持続的な増産、及び同分野での正規雇用の創出等を目的として、同燃料政策に関する基本方針を策定した。同方針よれば、(a)持続可能な生産のもと、(b)「コ」が同燃料の主要輸出国となる、(c)エネルギー源の多様化を進める、ことを目指すというもの。(31日)

 

Ⅲ.主な経済指標( )は前年同期の数値 

(1)経済成長率

   (イ)2007年の実質経済成長率(違法作物含む) 7.52%6.80%

   (ロ)セクター別

      農牧業 2.58%2.29%

      鉱山等探査 4.56%0.12%

      電気、ガス、水道 2.34%3.01%

      工業 10.62%10.83%

      建設 13.31%14.84%

      商業(レストラン、ホテル等)10.40%11.05%

      運輸・通信 12.48%10.31%

      金融・保険・不動産 8.26%1.39%

      サービス業 3.06%2.16%

      金融仲介業 22.53%(▲6.72%

   (ハ)2008年経済成長率見込み 5%程度(出所:大蔵省)

(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

    2月のコーヒー生産量 110万袋(101万袋 8.9%増)

(3)金利(出所:中央銀行):3月末の公定歩合 9.75%8.25%

(4)貿易(1月)(出所:DANE

   (イ)輸出額  28.35億ドル(18.26億ドル 75.1%増)

   (ロ)輸入額   29.37億ドル(23.06億ドル 27.4%増)

(5)雇用(2月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 12.0%12.7%

   (ロ)失業率主要13都市平均 12.7%12.8%

   (ハ)全国推定失業者数 約251万人(約261万人)

   (ニ)主要13都市推定失業者数 約131万人

(6)為替(2月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,845.17ペソ

   (ロ)月末 1,834.96ペソ

   (ハ)最高値 1,810.68ペソ(27日)

   (ニ)最安値 1,902.17ペソ(7日)

(7)株式指数(3月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 9,191.939ポイント

   (ロ)月末 8,973.881ポイント

   (ハ)最高値 9,226.055ポイント(13日)

   (ニ)最安値 8,561.111ポイント(4日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)3月 0.81%1.21%

     (ロ)年初来3ヶ月間 3.41%3.18%

   (ハ)074月からの12ヶ月間 5.93%5.78%

(9)対内直接投資(出所:中央銀行、貿易振興公社)

   (イ)2007年の対内直接投資 90.29億ドル(64.63億ドル 39%増)

   (ロ)セクター別(抜粋)

      石油   34.29億ドル

      工業   15.16億ドル

      金融   11.96億ドル

      鉱業   10.47億ドル

(10)対外債務(200712月末現在)(出所:中央銀行)

   (イ)対外債務 447.25億ドル(401.07億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 26.0%29.5%

   (ハ)うち公的債務 287.80億ドル(262.51億ドル)

   (ニ)うち民間債務 159.45億ドル(138.56億ドル)

(11)ガソリン価格(4月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

   レギュラーガソリン1ガロン 6,931.44ペソ(前月比65ペソ増)

(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

   (イ)2月の自動車販売台数 18,712台(19,289台)

   (ロ)年初来2ヶ月間合計 36,229台(37,990台)

   (ハ)2008年全体の予想販売台数 263,000