コロンビア月例報告(4月分)

 

経済情勢

2008年5月29日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●ブッシュ大統領は7日、米・「コ」FTA法案を米下院議会に対し送付した。同法案提出により米議会は90日以内に可否を決定するための投票を行うこととなる。

●上記法案提出を受け米下院は10日、「コ」政府が労働組合の保護、及び「コ」国内の政治スキャンダル等の問題等に関し解決策を示していないとして、同法案審議を凍結すると発表。

14日、墨において開催されていた第三回ラ米太平洋フォーラムにおいて、同地域10カ国の通商関係大臣により、米・「コ」FTAの早期承認・発効に向けて支援を行うことが確認された。

●モレノ・ボゴタ市長は「米州開発銀行及び当市役所との協議により、同銀行に対し同市メトロ第一号線建設のため25億ドル(返済期間25年、年利率4.5%)の借款を要請すると発表。25億ドルのうち150万ドルは同メトロ建設のための調査・設計等に充てられる。」と述べた。

●ポンボ貿易振興公社(Proexport)総裁は、「直接投資額増加のため、本年に158社の外国企業が新たに「コ」へ投資することを目標とする。主な戦略として投資誘致策や利便性を外国訪問やセミナーの開催等により広報を行う。本年第1四半期には23の外国企業が新規に「コ」へ進出。」と述べた。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言

()ブッシュ大統領:米・「コ」FTA法案を米下院議会に対し送付する。同法案は、緊急性を要する問題であり、本年9月までに承認されることが必要である。また、国家安全保障の点からも重要である。(同法案提出により米議会は90日以内に可否を決定するための投票を行わなくてはならない。)

(ロ)ウリベ大統領:ブッシュ大統領が行った同法案の米議会提出に謝意を表する。米国の対「コ」政策は民主・共和両党によって行われているのであり、現在の「コ」の現状を把握し、状況が改善していることを認識してもらうため、同国両党議員の訪「コ」を通じ引き続き働きかけていく。(8日)

(ハ)上記法案提出を受けた後米下院は、「コ」政府が労働組合の保護、及び「コ」国内の政治スキャンダル等の問題等に関し解決策を示していないとして、同法案審議を凍結した。(10日)

(ニ)上記米議会措置に対するウリベ大統領の発言:「コ」政府は同協定の米議会承認のため、米国議員の同意を引き出すため、引き続き粘り強く働きかけを行っていく。麻薬取引の撲滅、非合法武装勢力との戦い等における「コ」政府の努力を考慮すれば、米議会が同協定を承認しないのは理解に苦しむ。(20日)

(ホ)墨において開催されていた第三回ラ米太平洋フォーラムにおいて、同地域10カ国の通商関係大臣により、米・「コ」FTAの早期承認・発効に向けて支援を行うことが確認された。右は「コ」のほか、コスタリカ、チリ、エクアドル、墨、パナマ、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ペルーとなっている。また、墨及び加政府は、同協定が同2カ国にとっても重要であるとして、個別に「コ」政府に対し支援を表明した。(14日)

(2)対カナダ二重課税防止条約に関するプラタ商工観光相発言

 今次交渉において、当国大蔵省及び同国税・税関庁(DIAN)からも担当者が参加し、本条約交渉が終了した。同条約は「コ」議会において審議された後、憲法裁判所において審査される。また「コ」政府は、2010年までに更なる新規投資を呼び込むため、20カ国と同条約を発効させることを目標とする。(15日)

(3)対欧州連合(EU)連携協定(AA)に関するドゥアルテ・「コ」首席交渉官発言 

 今次ラウンドでは、今まで各分野で交渉が行われてきた共同合意文書を補強し、また関税面でのEU提案を検討する等満足な結果が得られた。また同ラウンドにおいて、アンデス共同体(CAN)諸国として一律に交渉するのは困難であることから、経済規模や発展の程度に応じ、ある国がいくつかの分野において義務を負い、他方ある分野においては履行義務を免除される点について合意した。

 加えて、今次ラウンドでは、従来からEU側の関心事項であったCAN域内での財の移動の自由について、CAN諸国が2008年から2009年までに実施予定の活動計画をEU側に提出した。

 次回第4ラウンド交渉日程は、25日、エクアドルで開催されたEU・アンデス共同体(CAN)連携協定第三ラウンド交渉の終了時に本年77日から11日までブリュッセルで行うこととされた。

(4)対ベネズエラ関係

 「ベ」カラカスにおいて、マリン在「ベ」大使と「ベ」企業関係者との間で会合が行われ、「コ」・「ベ」間の通商関係を活性化させるため、また、補完関係の強化等のために食料品分野を中心とした新たな取り組みを模索することで合意した。同会合は、「ベ」・「コ」経済統合会議所(Cavecol)の主催で行われ、「ベ」商業関係団体が多数参加した。(1日)

(5)対メキシコFTAに関するウリベ大統領発言

 現在再交渉中のG2(「コ」・墨)FTAの交渉の主目的はより多くの「コ」産品が墨市場において特恵関税で販売されることであり、現在有効なFTAに含まれていない「コ」農産品について今次交渉対象として調整して行く。(9日)

(6)地域統合関係に関するマルティネス鉱山・エネルギー相発言

 「コ」及びパナマ政府は、両国間の電力の相互接続を可能とする二国間協定署名に際し、同協定を執行するための労働協定についても合意した。「マ」鉱山・エネルギー相は、パナマ運河庁長官及びエネルギー庁長官等と会合を行い、今後両国議会において同協定の批准に努めることを合意した。現在検討中の施設は300メガワットであり、中米相互連結システムを利用することにより、600メガワットまで拡大することが可能。2011年に完成予定であり、同システムの完成により「コ」に外貨収入をもたらすだけでなく、同地域の発電にかかるコストの低減が可能となる。(24日)

(7)対アジア外交に関するアラウッホ外相及びプラタ商工観光相発言

 現在韓国、インド、中国、日本、豪州、シンガポール等のアジア地域には、世界の40%の貿易取引量があり、世界の三分の一以上のGDPを生み出している巨大な市場である。しかし、同地域からの投資はわずかであり、今後貿易協定等を通じ直接投資誘致を進めるとともに、現在同地域からの輸入超過となっていることから、「コ」の同地域への輸出を増加させることが必要である。(10日)

 

<国内情勢>

(1)ボゴタ首都区のメトロ建設計画に関する関係者の発言

(イ)モレノ・ボゴタ市長:米州開発銀行及び当市役所との協議の結果として、同市メトロ第一号線建設等のため同銀行に対し、25億ドル(返済期間25年、年利率4.5%)の借款を要請することとなった。借入金25億ドルのうち150万ドルは、同メトロ建設のための調査・設計等に充てられる。(10日)

(ロ)メトロ建設計画の設計に関する入札についてのボゴタ市発表:同メトロ建設のための設計に関する入札社は全部で27カ国、56社に達した。入札参加業者を国別に見ると、日本、ロシア、インド、台湾、中国等がある。(19日)

(2)財政政策

(イ)2009年予算に関するスルアガ蔵相発言:まもなく大蔵省による2009年予算編成作業が始まる。現在各省庁等の概算要求額のリストを作成中であり、本年615日までには議会に提出する予定。予算見込額は、146.56兆ペソ(2008125.7兆ペソ、16.6%増)程度となる予定(9日)。

(ロ)2007年予算に関する大蔵省発表:2007年の公的部門統合政府予算の赤字は名目GDP0.8%、一方中央政府(GNC)予算の赤字は同比3.2%となり、政府目標の3.9%を達成した。2006年のGNC予算の赤字は4.1%であり、これは「コ」政府の歳出削減等の努力の結果といえる。他方、2008年の部門統合政府予算の赤字は同比1.4%、またGNC予算の赤字を同比3.3%と設定した。(14日)

(ハ)2008年税収に関する国税・税関庁(DIAN)発表:本年第1四半期の税収は、16.88兆ペソとなり、同時期目標値の16.43兆ペソを上回ったものの、関税収入及び銀行取引税収入は目標値を下回った。(9日)

(3)鉱物資源関係

(イ)石油生産に関する炭化水素庁発表:20083月期の原油生産は、日量平均56.3万バレルとなり、前年同月比8.47%増となった。他方、天然ガス生産量は、日量8.74億立方フィートとなり、前年同月を10.21%上回った。これらの増産の背景には、各国の「コ」への直接投資があげられる。(25日)

(ロ)原油埋蔵量に関する「コ」政府の発表(Halliburton社調査結果):「コ」東部草原地域には、推定1200億バレルの原油が埋蔵されており、今後原油探査企業等にとっては更なる投資のインセンティブとなることが期待される。(3日)

(ハ)鉱物輸出に関するマルティネス鉱山・エネルギー相発言:本年1月の石油及び鉱物の輸出は前年同期75%の大幅増となっており、2008年も原油に関しては新規探査が予定されているほか、石炭増産計画も予定されており、本年以降の見通しも明るい。(24日)

(4)投資誘致策に関するポンボ貿易振興公社(Proexport)総裁発言

 「コ」への直接投資額増加のため、本年に158社の外国企業が新たに「コ」へ投資することを目標とする。これら新規投資は、「コ」の持続的経済成長及び雇用の創出に寄与すると考えている。主な戦略としては、「コ」が行っているフリーゾーン等の投資誘致策や利便性を外国訪問やセミナーの開催等により広報する。近年5カ年間においては「コ」の経済は成長しており、ラ米地域におけるプラットフォームになったといえる。本年第1四半期には、23の外国企業が新規に「コ」へ進出した。(17日)

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値 

(1)経済成長率予測

   (イ)2008年の実質経済成長率見込み 「コ」中央銀行予測 3.7%5.7%

   (ロ)同国連ラ米委員会(CEPAL)予測 6%

(2)鉱工業

   (イ)年初来2ヶ月間の鉱工業生産前年同期比 7.4%14.15%

   (ロ)2月の新規着工申請面積 135.6万㎡(163.6万㎡ 17.1%減)

(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

   (イ)3月のコーヒー輸出量 92万袋(90万袋 2.0%増)

    (ロ)年初来3ヶ月間のコーヒー輸出量 314万袋(273万袋 13.0%増)

   (ハ)3月のコーヒー生産量 87万袋(77万袋 12%増)

   (ニ)年初来3ヶ月間のコーヒー生産量 336万袋(182万袋 45.8%増)

(4)金利(出所:中央銀行):4月末の公定歩合 9.75%8.50%

(5)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来2ヶ月間の輸出額  56.68億ドル(37.31億ドル 51.9%増)

   (ロ)年初来2ヶ月間の輸入額   60.16億ドル(46.18億ドル 30.3%増)

(6)雇用(3月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 11.1%12.0%

   (ロ)失業率主要13都市平均 11.9%12.6%

   (ハ)全国推定失業者数 約234万人(約239万人)

(7)為替(4月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,834.96ペソ

   (ロ)月末 1,767.27ペソ

   (ハ)最高値 1,765.30ペソ(23日)

   (ニ)最安値 1,834.96ペソ(1日)

(8)株式指数(4月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 8,973.881ポイント

   (ロ)月末 9,935.251ポイント

   (ハ)最高値 9,935.251ポイント(30日)

   (ニ)最安値 8,973.881ポイント(1日)

(9)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)4月(対前月比) 0.71%0.90%

    (ロ)年初来4ヶ月間 4.15%4.11%

   (ハ)075月からの12ヶ月間 5.73%6.26%

(10)対外債務(2月末現在)(出所:中央銀行)

   (イ)対外債務 451.69億ドル(420.95億ドル)

   (ロ)対名目GDP 22.3%24.5%

   (ハ)うち公的債務 291.50億ドル(271.70億ドル)

   (ニ)うち民間債務 160.19億ドル(149.26億ドル)

(11)投資(出所:中央銀行)

    本年411日現在の対内直接投資額 25.27億ドル(26.8%増)

(12)ガソリン価格(5月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,011.45ペソ(前月比80ペソ増)

(13)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

    (イ)3月の自動車販売台数 18,122台(20,274台)

   (ロ)年初来3ヶ月間合計 54,351台(58,264台)

(14)携帯電話販売台数(出所:商工庁)

   (イ)本年第1四半期の携帯電話販売台数 300,940台(289,281台 4.03%増)

   (ロ)本年331日現在の携帯電話普及台数 33,596,246