コロンビア月例報告(5月分)

 

経済情勢

2008年6月25日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

9日、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス政府は米・「コ」FTAが同2国間だけでなく南北アメリカ地域全域の利益になる他、同地域の平和、安定及び安全保障に寄与するとして、ペロシ米下院議長に対し、本FTAの早期承認支援のため書簡を送付。

12日から16日にかけ、メキシコ・シティーにおいて「コ」・墨二重課税防止条約交渉が行われ、合意文書の交換がなされた。

6日、プラタ商工観光相は日本及びインドを訪問し、通商関係、投資関係、技術協力等の分野におけるアジア地域との統合戦略に関する「コ」政府の取り組みを説明。他方、「インドとは投資保護協定及び二重課税防止条約交渉が進展。」と述べた。

8日、モレノ・ボゴタ市長とゼーリック世界銀行総裁との間で会合が持たれ、ボゴタ首都区のメトロ建設費用のファイナンスに関し、世銀側から強い関心が示された。

●マルティネス鉱山・エネルギー相は、27日、「上昇をつづける原油価格に対する対抗策として、「コ」政府は2010630日までガソリンに対する補助金政策を続けることを発表。具体的内容として、期限日まで一月の値上がりを最大100ペソまでとする。また、アンティオキア県等現在バイオガソリンが販売されていない地域での販売のため、「コ」国営石油会社「エコペトロール」に対し、一日あたり2,500バレルのエタノールの輸入を許可する。」と発表した。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言

(イ)ブッシュ米大統領:「コ」政府が取り組むテロとの戦いや、「ベ」等の反米政権の影響力排除のため、本FTAの早期承認を米議会に求める。(7日)

(ロ)コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス政府は、米・「コ」FTAが同2国間だけでなく南北アメリカ地域全域の利益になる他、同地域の平和、安定及び安全保障に寄与するとして、それぞれペロシ米下院議長に対し、同FTAの早期承認支援のため書簡を送付した。(9日)

(ハ)ゼーリック世界銀行総裁:米・「コ」FTAは、二国間の通商関係のみならず、「コ」の国際化のための経済改革の一部となるものであり、両国に与える利益は大きい。米国政府及び民主・共和両党が同FTAを早期に承認することを期待する。(9日)

(ニ)プラタ商工観光相:米国を中心としたFTAの締結は、「コ」の持続的経済成長にとって必要であり、同FTAが本年中に締結された場合、本年の「コ」の実質経済成長率は7%程度と推測される。(22日)

(2)対カナダFTAに関するドゥアルテ「コ」首席交渉官の発言

 「コ」・加FTAは、6月第1週にボゴタで開催される第5ラウンドをもって終了予定。同ラウンドでの議論内容としては、農業及び工業製品の市場アクセス、原産地証明、紛争解決、ファイナンスサービス等になる見込み。(27)

(3)対欧州連合(EU)に関する関係者の発言

(イ)メルケル独首相:EU・アンデス共同体(CAN)連携協定(AA)について早期締結を期待する。ペルーのリマで開催されたラ米・カリブとEU首脳サミットの席上において、「エ」、ボリビア政府首脳と本件について会合を行う機会を持ち、本交渉の進展等について協議を行った。他方、今回のウリベ大統領等の協議で本協定と平行して、二重課税防止条約及び相互投資保護協定を交渉していくことで合意したほか、ウリベ政権の打ち出している外国投資誘致政策に対しては好意的に受け止めるとともに、独企業にとっても本政策により、「コ」が優良な投資目的地となることに期待する。(27日)

(ロ)ウリベ大統領:本協定の交渉に関しては、CAN諸国全体で行うことが重要であるが、経済的及び社会的統合をさらに強化するためには依然として多くの問題が存在する。また本協定の更なる進展のためには、「コ」及びペルーは「エ」、ボリビアにいかなる義務も課すべきでなく、「エ」及びボリビアは同様に「コ」、ペルーに対しいかなる義務を課すべきでない。即ち、「コ」・ペルー2国でのEUとの交渉を了承すべきである。(19日)

(ハ)ウリベ大統領:フィロン仏首相との会談において、「コ」及び仏政府は二重課税防止条約交渉を開始することについて合意した。本合意は、2010年までに外国直接投資額を125億ドルにするという国家目標を達成する方法の一つである。(19日)

(4)対アンデス共同体(CAN)加入に関するトリホス・パナマ大統領発言

 アンデス共同体(CAN)加入を目的とした、諸手続が進んでいる。第一段階としては、政治的対話メカニズムの設置を予定している。(16日)

(5)対メキシコ二重課税防止条約の交渉終了

 12日から16日にかけて、メキシコ・シティーにおいて「コ」・墨二重課税防止条約交渉が行われ、合意文書の交換が行われた。両国政府による署名の後、今後両国議会において審議されることとなる。「コ」はすでに、西、チリ、スイス、加と合意文書の交換を行っている。同協定の締結により、外国直接投資の誘致及び国際通商を促進のための環境整備、二重課税の回避、課税に関する法的安定性、信頼性の向上等が期待される。(21日)

(6)対アジア関係

 プラタ商工観光相は、日本及びインドを訪問し、通商関係、投資関係、技術協力等の分野におけるアジア地域との統合戦略に関する「コ」政府の取り組みを説明した。他方、インドとは投資保護協定及び二重課税防止条約交渉が進展しているとした。(6日)

 

<国内情勢>

(1)国内インフラ関係

(イ)港湾関係

(ⅰ)約2年以上にわたり運輸省、国家企画庁(DNP)、大蔵省、地方政府、関係民間企業等との間で協議が行われた結果として、「コ」民間委託公社(INCO)は、ブエナベントゥーラ港、サンタマルタ港、バランキージャ港のコンセッション契約の延長に署名した。ブエナベントゥーラ港の開発に関しては、同港港湾公社が作成した基本計画を拡張し、さらに民間部門から4.5億ドルの投資が行われる予定。サンタマルタ港の開発に関しては、ターミナル築造等のためとして更に1.3億ドルの投資を予定。バランキージャ港の開発に関しては、基本計画実施のため1.8億ドルの投資が予定されており、関連機器等の設置が行われる見通し。

(ⅱ)ガジェゴ運輸相:本契約は太平洋及びカリブ海沿岸の港湾の競争力を高め、ひいては「コ」としての持続的経済成長、及び正規雇用の創出につながるものとなる。

(ⅲ)ウリベ大統領:「コ」が外国企業等にとってさらに魅力的となるためには、インフラ整備を進める必要がある。各港の公社がこれら整備を行い、諸懸案事項を解決するよう望む。

(ロ)ボゴタ首都区のメトロ建設計画

(ⅰ)モレノ・ボゴタ市長とゼーリック世界銀行総裁との間で会合が持たれ、ボゴタ首都区のメトロ建設費用のファイナンスに関し、世銀側から強い関心が示された。同行は同メトロ設計にかかる費用に関し貸し出しを行っている。(8日)

(ⅱ)ボゴタ首都区メトロ建設計画のフィージビリティ調査に関する入札が行われ、応札企業56社のうち最終候補として6社が選ばれた。今後、同6社は、詳細な設計等に関する書類を提出し、6月に最終的な落札業者が決定される見込み。6社の内訳は、InecoMetro de Mardrid社(西)、IIF Consulting Engineers Urbanismo y Sistemas de Transportes社(墨)、Steer Dabvies Gleave社(英)、Poyry Infra社(スイス)、Halcrow社(英)、Sener Ttransportee Metropolitano de Barcelona社(西)となっている。(21日)

(ロ)ラ・リネア・トンネル建設工事入札に関するガルシア道路公社(INVIAS)総裁発言

 15日、ラ・リネア・トンネル建設工事入札が締め切られた。合計で171社(国内企業107社、海外企業64社)が入札への参加表明を行った。外国企業としては、西、日本、中国、加、韓国、伯等があげられる。同結果に満足しているとともに、今後のプロポーザル審査においても、良い結果となることを期待する。(19日)

(2)企業動向に関する企業監督庁報告

 200712月時点の「コ」企業21,000社の財政状況は、平均企業収益が前年比12%増、平均利益が同17%増となった。(29日)

(3)炭化水素・バイオ燃料関係

(イ)ガソリンへの補助金に関するマルティネス鉱山・エネルギー相発言

 上昇をつづける原油価格に対する対抗策として、「コ」政府は2010630日までガソリンに対する補助金を継続することを発表した。また、同期限日まで一月の値上がりを最大100ペソまでとするとともに、トリマ県、ウイラ県、アンティオキア県等現在バイオガソリンが販売されていない地域での販売開始のため、「コ」石油会社「エコペトロール」に対し、一日あたり2,500バレルのエタノールの輸入を許可する。(27日)

(ロ)4月のエネルギー需要

 本年4月のエネルギー需要は、前年比5.4%となり、前年5月から12ヶ月間累計のエネルギー需要は、同2.9%増となった。(19日)

(ハ)バイオ燃料生産に関するアリアス農相発言:農村地域の貧困問題解消政策として、ヤシを原料とするバイオ燃料生産施設に40万人、サトウキビを原料とする同様のプラントに20万人、合計で60万人の新規雇用創出を検討している。(14日)

(ニ)南米共同体会合でのウリベ大統領発言:石油不足時の代替資源や同国際価格の高騰への対策として、バイオ燃料産業の発達と代替エネルギー生産をもっと加速必要がある。これらの政策は、国内での化石燃料の消費削減等につながる。他方、石油代替燃料の開発のほか、新規油田の探査も重要な対策となる。(23日)

(4)その他

(イ)いすゞ自動車のコロンビア進出

いすゞ自動車とGM社は、新たに共同企業体(JV)を結成し、GM-Isuzu Camiones Andinos de Colombia Ltda社を設立すると発表した。同社は、「コ」及び周辺国をマーケットと位置づけ販売を展開する。(13日)

(ロ)関税減免措置に関するプラタ商工観光相発言

 「コ」政府は外国通商関税委員会の勧告に基づき、ペソ高により影響を受けた鉱工業分野における競争力及び国際市場における安定性を回復させるため、6ヶ月間鉱工業生産のための主要原材料に係る関税をゼロとする。(13日)

(ハ)ペソ高是正措置

 「コ」政府は今般のペソ高に鑑み、昨年5月にペソ高是正策として行った「強制預託措置」の預託額を総資金の40%から50%に引き上げる措置を行った他、直接投資向け資金を少なくとも2年間「コ」に留め置かなくてはならない施策を実施すると発表した。しかし、その後もペソ高が続いており、現在のところ効果は出ていない状況にある。なお、5月末の時点で本年当初比約13.5%のペソ高が進行している。(30日)

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値 

(1)鉱工業(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)年初来3ヶ月間の鉱工業生産前年同期比 1.35%15.26%

   (ロ)3月の新規着工申請面積 127.0万㎡(151.6万㎡ 19.4%減)

(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

   (イ)4月のコーヒー輸出量 90万袋(72.5万袋 19.5%増)

    (ロ)年初来4ヶ月間のコーヒー輸出量 400万袋(342.8万袋 14.3%増)

(3)金利(出所:中央銀行):5月末の公定歩合 9.75%8.75%

(4)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来3ヶ月間の輸入額  88.82億ドル(73.89億ドル 20.2%増)

   (ロ)年初来3ヶ月間の輸出額   86.57億ドル(61.16億ドル 41.5%増)

(5)雇用(4月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 11.0%11.0%

   (ロ)失業率主要13都市平均 11.5%11.2%

   (ハ)全国推定失業者数 約234万人(約225万人)

(6)為替(5月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,767.27ペソ

   (ロ)月末 1.744.01ペソ

   (ハ)最高値 1,744.01ペソ(30日)

   (ニ)最安値 1,797.13ペソ(8日)

(7)株式指数(5月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 9,935.251ポイント

   (ロ)月末 10,042.544ポイント

   (ハ)最高値 10,297.135ポイント(8日)

   (ニ)最安値 9,854.804ポイント(28日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)5月(対前月比) 0.93%0.30%

    (ロ)年初来5ヶ月間 5.12%4.42%

   (ハ)076月からの12ヶ月間 6.39%6.23%

(9)投資(出所:中央銀行)

    本年59日現在の対内直接投資額 33.15億ドル(24.40億ドル 26.4%増)

(10)ガソリン価格(6月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,111.45ペソ(前月比100ペソ増)

(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

    (イ)4月の自動車販売台数 20,991台(20,094台)

   (ロ)年初来4ヶ月間合計 75,342台(80,728台)