コロンビア月例報告(6月分)
経済情勢
2008年7月28日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●ポールソン米財務長官は「コ」・米FTAに関し、「ペロシ下院議長と数回の会合を行い進展があった。同協定承認に向け良い環境が整いつつある。」と述べた。(10日)
●プラタ商工観光相は、「7日、「コ」・加FTA交渉が終了。今後、同協定は法令審査の後、議会に提出予定。発効までさらに8ヶ月の期間を要する。」と述べた。(8日)
●プラタ商工観光相は、対EFTA諸国とのFTA交渉終了に際し、「本協定は同4カ国の対「コ」投資インセンティブを高めると同時に、「コ」の国際化政策や欧州諸国との関係深化に資する。特に欧州諸国との経済関係の強化は、今般のペソ高・ドル安傾向にとり有効な対策。」と述べた。(10日)
●ガジェゴ運輸相等は、「本年12月にボゴタ首都区近郊の鉄道整備に関する入札を開始予定。同鉄道はボゴタ首都区のメトロ建設計画とは別に実施され、2011年開通を目指す。費用は約6,270億ペソ。」と述べた。(17日)
●スルアガ蔵相は、「インフレ是正及びペソ高抑制対策として2008年予算の執行にあたり、旅費及び携帯電話料金等の一般行政経費5,000億ペソを含む1.5兆ペソを削減。」と述べた。(25日)
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言
(イ)マケイン米共和党大統領候補:「コ」は麻薬との戦いに取り組んでおり評価するとともに、米・「コ」FTAの米議会承認のため、無条件に支援を行う。(1日)
(ロ)ポールソン米財務長官:自分は2大政党間の調整も担当しているが、ペロシ下院議員と数回の会合を行い、かなりの進展があったことから、同FTAの米議会承認に向け良い環境が整いつつあると認識している。(10日)
(ハ)プラタ商工観光相:「コ」政府は、現在のブッシュ政権下で本協定が承認されることを確信している。また米大統領選挙後のことであるが、「コ」・加FTAの「コ」での議会審査が予定されており、これらも米議会での承認にあたり好材料になると考える。(10日)
(2)対カナダFTAに関する関係者の発言
(イ)プラタ商工観光相:7日、「コ」・加FTA交渉が終了。2007年7月16日にリマで交渉が始まり、約11ヶ月の期間を要した。今後同協定は法令審査の後、議会に提出されることとなる。発効までさらに6ヶ月から8ヶ月の期間を要する見込み。
本協定発効により、「コ」からの輸出品目の97%がゼロ関税となる他、「コ」輸出業者にとって新たな市場開拓が期待される。また、加は世界の主要な10の投資国であることから、当国政府が推進する法的安定協定等の締結により、当国への投資増加が期待できる。
「コ」政府は今後とも、特別関税制度を維持するとともに、フリーゾーンで製造された製品に対しては同協定で言及される関税面でのメリットを付与する。また、農産品等のセンシティブ品目については、両国間で一定価格ゾーン・メカニズムを維持する。(7日)
(ロ)アリアス農業相:本協定の交渉により、加への市場アクセスだけでなく、果物、野菜、木材、エタノール、砂糖、花卉等の「コ」主要農業分野における12万人の新規雇用への期待が持てる等、同セクターへの保護も可能となった。(7日)
(ハ)ビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁等:本協定は、労働や環境に関する協定等も含んでおり、「コ」の経済成長維持や新規雇用創出、また中小企業の技術的成長、及び中小企業との連携促進の機会提供等からも、民間セクターにとって非常に意義のあるものといえる。(7日)
(3)対欧州連合(EU)に関する関係者の発言
(イ)ドゥアルテ「コ」首席交渉官:7月7日から11日にかけてブリュッセルにてアンデス共同体(CAN)・欧州連合(EU)連携協定(AA)第4ラウンドを開催予定であり、同ラウンドでは協定のモダリティー、即ち、開発の度合いに応じた義務の免除、CAN諸国それぞれの国に応じた合意の履行等について議論される。(12日)
他方、EU側は、知的所有権、商業及び持続可能な発展について、CAN諸国側が共同提案を行わなかったことから同ラウンドの中断を決定。これにより交渉継続の唯一の選択肢は、CAN諸国が経済分野の交渉を本当に行いたいのかどうか、その意思を明確に示すことであり、また、CAN諸国内部の意見の相違に鑑み、同協定交渉の経済分野に限っては「コ」及びペルーのみで交渉を行い、その他政治的対話及び協力分野はCAN全体で交渉を行うというもの。(7月1日)
(ロ)モラティーノス西外相:西は本協定交渉に関し、他の構成国の意見は尊重しつつも、ペルー及び「コ」のように、より迅速な交渉の進展に関心のある数カ国のみとの交渉継続を支持する。(19日)
(4)対EFTA諸国とのFTA交渉終了に関するプラタ商工観光相発言
本交渉を通じ、EFTA諸国(スイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)との投資及び通商関係を強化できた。本協定は右4カ国の対「コ」投資インセンティブを高めることが出来る他、「コ」の国際化政策の強化や欧州諸国との関係も深めることができた。特に欧州諸国との経済関係の強化は、今般のペソ高・ドル安傾向への有効な対策。(10日)
(5)対アンデス共同体(CAN)関係
(イ)ドゥラン・パナマ外務次官:パナマは、CAN加入のため関係手続きを開始しており、今後1年以内に加入する予定。南米経済統合の観点から、本共同体の意義はパナマにとって大きい。(26日)
(ロ)チャベス「ベ」大統領:「ベ」における物価上昇対策としていくつかの経済政策を実施。特に「コ」との通商関係の強化が目的。輸入価額が5万ドル以下の製品について輸入量を増やし、また輸入手続きを迅速に行う。(12日)
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)ラ・リネア・トンネル試掘工事の道路公社(INVIAS)発表
全長8,570メートルの内、8,070メートルまで工事が進んでおり、貫通まで残り500メートル。本年8月に達成する見込み。総工費は試掘トンネル826億ドル、関連施設455億ドル。今後トンネル本体工事は、試掘トンネル工事から得られた地質や地盤に関するデータを基に進められる。(18日)
(ロ)ボゴタ首都区メトロ建設計画
ボゴタ首都区メトロ第1号線建設にあたっての設計確認、法律及びファイナンスのコンサルタント実施のための入札が行われ、中国、西企業等合計で23社が参加した。なお、今次入札に日本企業は参加していない。本年8月に世界銀行からの専門家の参加のもと選定が行われ、最終落札者の決定が行われる。(3日)
(ハ)ボゴタ首都区近郊の鉄道整備計画に関するガジェゴ運輸相等の発言
本年12月にボゴタ首都区近郊の鉄道整備に関する入札を開始予定。同鉄道は、ボゴタ首都区のメトロ建設計画とは別に実施される。本鉄道は2011年開通を目指しており、費用は約6,270億ペソを予定。(17日)
(ニ)新規水力発電所建設に関するマルティネス鉱山・エネルギー相発言
2018年までに約3,000メガワットの電力供給を確実にするため、新たに6カ所に水力発電所を2013年12月から2018年11月にかけて建設予定。建設予定地は、Hidorosogamoso de Isagen(サンタンデール県)、Pescadero Ituango(アンティオキア県)、PorceⅣ(アンティオキア県)、MielⅡ(カルダス県)、Cucuana(トリマ県)及び el Quimbo(ウイラ県)を予定。(13日)
(2)財政政策に関する関係者発言
(イ)スルアガ蔵相:インフレ是正及びペソ高抑制対策として今後の2008年予算の執行にあたり、旅費及び携帯電話料金等の一般行政経費5,000億ペソを含む1.5兆ペソを削減する。(25日)
(ロ)ウリベ大統領:今回の予算削減政策に関し、投資への影響を最小限に抑える必要があると同時に、治安対策関連経費、社会政策費、インフラ整備費、また最貧困層支援プログラム経費については削減しない。(25日)
(3)2009年予算に関するスルアガ蔵相発言
2009年予算総額は現在の経済情勢に鑑み、当初予定額の146.5兆ペソを10兆ペソ程度削減を行った結果、135.5兆ペソとなる見込み。(8日)うち、投資的経費については1.26兆ペソの削減を行い、8.92兆ペソを予定(前年比12.4%減)。この削減により、道路や小規模市町村における発電プラント建設に影響が出るおそれがあるが、治安対策関連の投資経費については削減しない。また、2009年の財政計画に関し国が保有する国営企業Isagen社株式の売却を予定しており、3兆ペソの収入を見込んでいる。(16日)
(4)炭化水素に関する「コ」政府発表
新規石油鉱区として、カタトゥンボ(マグダレナ川中流域)、マグダレナ川下流域、リャノス地域、プトマジョ県、中央山脈の5つの地域を指定。同地域には中小100カ所で探査が行われる。(24日)
(5)「コ」政府のペソ高是正策
(イ)中央銀行実施措置(20日)
(a)公定歩合を9.75%で維持、(b)6月24日から本年末まで間に、毎日2000万ドルを買い続けるドル買い措置を発表したが、その後26日に同銀行は8月8日までの同措置停止を発表、(c)市中銀行に対し、本年9月初めまでの今後67日間に、貯蓄・普通預金の11.5%、定期預金(CDT)の6%を中央銀行に準備預金するよう義務づける。
(ロ)大蔵、農業、商工観光省実施措置(19日)
(a)輸出業者への雇用対策として、2,000億ペソの補助金(農業省分1,000億ペソ、商工観光省分1,000億ペソ)を追加拠出。農業省は、1ドル当たり100ペソの補助金を、コーヒー(総計500億ペソ)、花卉(同270億ペソ)、バナナ(同130億ペソ)等を支払う。他方商工観光省は、雇用維持を条件として、工業製品関係の輸出業者一律に、1ドル当たり100ペソの補助金を支払う。
(ハ)大蔵省による新たな輸出還付金証明書制度(CERT Laboral)創設(19日)
ペソ高で影響を受けている輸出業者雇用維持のため、現在のCERT(Certificado de Reembolso Tributario 輸出還付金証明書制度)を拡充し、同業者の厚生年金等の支払いにあてられるようにするためのCERT Laboralの創設を発表。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)経済成長率(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)本年第1四半期の実質GDP成長率(前年同期比、違法作物分を除く) 4.1%(9.1%)
(ロ)主なセクター別
(ⅰ)金融 7.5%
(ⅱ)運輸 7.4%
(ⅲ)鉱物 5.2%
(ⅳ)農牧業 3.8%
(ⅴ)サービス 3.3%
(ⅵ)商業 3.1%
(ⅶ)鉱工業 2.1%
(ⅷ)ガス、水、エネルギー 0.6%
(ⅸ)建設 ▲5.7%
(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)年初来5ヶ月間のコーヒー生産量 507.2万袋(450.2万袋 12.6%増)
(ロ)年初来5ヶ月間のコーヒー輸出量 488.0万袋(430.9万袋 13.3%増)
(3)金利(出所:中央銀行):6月末の政策金利 9.75%(9.00%)
(4)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来4ヶ月間の輸入額 122.72億ドル(98.56億ドル 24.5%増)
(ロ)年初来4ヶ月間の輸出額 119.96億ドル(85.99億ドル 39.5%増)
(5)雇用(5月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 10.7%(11.4%)
(ロ)失業率主要13都市平均 11.8%(11.4%)
(ハ)全国推定失業者数 約225万人(約232万人)
(ニ)主要13都市推定失業者数 約121万人(約113万人)
(6)為替(6月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 1,744.01ペソ
(ロ)月末 1,923.02ペソ
(ハ)最高値 1,655.42ペソ(17日)
(ニ)最安値 1,923.02ペソ(27日)
(7)株式指数(6月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 10,042.544ポイント
(ロ)月末 9,176.042ポイント
(ハ)最高値 10,297.135ポイント(3日)
(ニ)最安値 9,158.323ポイント(26日)
(ホ)5月の取引総額 74.28兆ペソ(99.12兆ペソ)
(8)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)6月(対前月比) 0.86%(0.12%)
(ロ)年初来6ヶ月間 6.02%(4.55%)
(ハ)07年7月からの12ヶ月間 7.18%(6.03%)
(9)投資(出所:中央銀行)
本年5月16日現在の対内直接投資額 34.61億ドル(27.80億ドル 24.5%増)
(10)対外債務(3月末現在)(出所:中央銀行)
(イ)対外債務 453.12億ドル(422.55億ドル)
(ロ)対名目GDP比 21.8%(24.5%)
(ハ)うち公的債務 293.12億ドル(272.21億ドル)
(ニ)うち民間債務 160.00億ドル(150.33億ドル)
(11)ガソリン価格(7月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,236.44ペソ(前月比125ペソ増)
(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)5月の自動車販売台数 18,257台(21,643台)
(ロ)年初来5ヶ月間合計 93,869台(98,990台)
(ハ)本年末までの推定自動車販売台数 225,000台(2007年実績:272,845台)