コロンビア月例報告(7月分)
経済情勢
2008年8月28日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●当国憲法裁判所は「コ」・米FTA議定書を承認。「コ」国内での手続きの完了により、今後米議会での同協定の早期批准に向けロビー活動の活発化が期待。
●ウリベ大統領は、「チャベス・「べ」大統領との会談によりカリブ地域・太平洋岸にまたがる鉄道建設、「ベ」への自動車輸出規制の再検討、投資保護協定及び二重課税防止条約締結の検討について合意した。」と述べた。
●Bhojwani当地インド大使は、「インドの民間企業の数社は、「コ」における石炭、金、フェロニッケルを中心とした鉱物資源や炭化水素分野の探査・開発のため約50億ドルの投資を予定。」と述べた。
●国家企画庁(DNP)は、「「コ」の競争力強化のためのインフラ整備として、国内20の空港、港湾等の整備が必要。特にボゴタ首都区、メデジン市等の大都市における空港整備の他、カルタヘナ港整備等が必要。」と述べた。
●ウリベ大統領は、「ボゴタ首都区のメトロ建設計画及びクンディナマルカ県の鉄道整備の2つの大量輸送システム整備に対する資金援助を検討。同鉄道整備計画については、これまでの調査結果に基く同計画への資金援助を実施。他方、ボゴタ首都区のメトロ建設に関しては、ボゴタ市側に同工事着工の延期を要請した。」と述べた。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAを巡る「コ」・米関係者の発言
(イ)当国憲法裁判所は「コ」・米FTA議定書に関し、憲法上問題ないとして同議定書を承認した。同協定に続き議定書についても「コ」国内での手続きが完了したことにより、今後米議会での同協定の早期批准に向けロビー活動が活発化する見込み。(24日)
(ロ)プラタ商工観光相:同議定書の憲法裁判所審査の終了を多とする。同協定は「コ」が経験したことのない長い交渉期間を経て締結されたものであり、当国の経済成長にとって重要な要素であり、貧困や暴力に対処するための最大の武器となる。(24日)
(ハ)ブッシュ米大統領:同協定の米議会承認は「コ」支援のための最良の方策であり、国家安全保障の面から緊急を要する。また、同協定は米経済にも良い影響を与え、米企業の不利益を避けることにもつながる。現在「コ」では殺人事件の減少の他、経済も良好に推移しており、国民の生活水準も改善している。以上のことから、再度米議会に対し同協定の早期批准を要請する。(22日)
(ニ)シェイファー米農務長官:米議会での承認が停滞している面も有るが、ブッシュ政権は近い将来に同協定を発効させる目標を掲げており、本年11月に行われる同国大統領選挙後にも承認される可能性がある。(18日)
(ホ)ウリベ大統領:本協定に関し、憲法裁判所での審査終了は、米議会での早期批准のための良い材料になる。米国での同協定承認にあたり最も重要な要素は、投資誘致のための「コ」への信頼強化である。(29日)
(2)対欧州連合(EU)に関する関係者の発言
(イ)ベルムデス外相及びプラタ商工観光省は、EU議長国フランスを訪問し、欧州連合(EU)とアンデス共同体(CAN)の連携協定(AA)交渉に関し、CANのうちペルーと「コ」の2カ国が個別に交渉を進める可能性等につき協議を行った。また、二重課税防止条約締結の可能性についても議論を行うとともに欧州市場におけるバナナの関税問題についても議論した。(24日)
(ロ)クシュネール仏外相:仏はEUの議長国として、同交渉がその度毎に進展するよう、関係する全ての分野において協力を継続する考えである。(4日)
(ハ)CAN発表:EUとのAA交渉に関し、8月14日まで構成国内での認識の違いを解決するべく協議を行う。右期日までにコンセンサスが得られない場合には、9月にリマで予定されている次期ラウンド交渉は行わないものとする。(30日)
(3)WTO関係
(イ)ラミーWTO事務局長は、ドーハ・ラウンド交渉が最終合意に至らず決裂した旨発表した。これにより、欧州連合(EU)と「コ」、「エ」等5カ国が交渉を進めてきたEUへのバナナ輸出関税の段階的引き上げ合意が署名に至らなかった。(29日)
(ロ)プラタ商工観光相発言:農業分野に高い関心を有する「コ」にとり、本ラウンド交渉の決裂は、最悪の知らせである。バナナの市場アクセスに関する今次交渉による合意は、ラ米諸国と欧州連合(EU)が独自に交渉した好ましい結果である。同結果にEU側が署名しないのは不公平である。(29日)
(4)対ブラジル関係
(イ)プラタ商工観光相:ルラ伯大統領及びミゲル開発商工相と会談を実施。「コ」・伯間での二重課税防止条約締結について提案した。(19日)
(ロ)ルラ大統領:近年の「コ」・伯間の通商量の増加はめざましく、2007年の取引額は2002年の3倍近い。伯向けの輸出品の増加は非常に重要である。また、「コ」政府が実施している法的安定協定の締結は、伯企業にとって対「コ」投資の重要なインセンティブとなっている。また、今後伯及び「コ」はバイオ燃料の生産等の分野において協調して取り組んでいく。(19日)
(5)対ベネズエラ関係に関するウリベ大統領発言
チャベス・「ベ」大統領と会談を実施。同会談では新たな「コ」・「ベ」二国間関係構築のため、政治、経済両面での関係強化について合意。経済面ではカリブ地域から太平洋岸へとつながる二国間における鉄道を建設する。また、「コ」輸出業者に課されている手数料支払い、「ベ」政府による自動車輸出規制等の再検討、また、投資保護協定及び二重課税防止条約締結の検討について合意した。(11日)
(6)対メキシコ(G2)関係に関する「コ」政府発表
1994年に発効した墨・「コ」FTAの適用範囲拡大等のため、7月31日から8月2日までボゴタで交渉官レベルの会合を実施予定。特に農牧業、石油化学関連産品の特恵関税化を期待。「コ」は墨政府に対し第三国からの鉄鋼調達を可能にするため、原産地証明規則の弾力化を提案している。他方、繊維・被服部門では第三国から原料調達した産品にも原産地証明規則を適用可能とするため、右修正を提案している。(30日)
(7)対日本関係
日本の情報通信メーカーである京セラが4年ぶりに「コ」でビジネスを開始する。同社の業務再開は同業他社の業績回復を受けたもの。今後、電話会社「テレフォニカ」社の下で携帯電話を販売する。(25日)
(8)「コ」・印関係に関する当地インド大使発言
インドの民間企業数社は、「コ」における石炭、金、フェロニッケルを中心とした鉱物資源や炭化水素分野への投資に興味を示しており、今後数年間に約50億ドルの投資が予定されている。(3日)
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)トリブガ港開発計画に関するプラタ商工観光相発言
チョコ県で計画されているトリブガ港開発計画に関し、同地区で投資家が税免除を受けられるフリーゾーンの設置を検討。同地区の新港建設では約300億ペソの投資が期待される。(8日)
(ロ)国内インフラ整備に関する国家企画庁(DNP)の提言発表
「コ」の競争力強化のためのインフラ整備として、国内の20の空港、港湾等の整備が必要。特にボゴタ首都区、メデジン市等の大都市の空港整備、カルタヘナ港の整備、ブエナベントゥーラ港に入ってくる貨物をククタ市等の「ベ」との国境地帯に輸送するための中継地の整備が必要。(10日)
(ハ)ボゴタ・メトロ建設計画等に関するウリベ大統領発言
「コ」政府はボゴタ首都区のメトロ建設計画及びクンディナマルカ県の首都近郊鉄道整備の2つの大量輸送システム整備プロジェクト対する資金援助を検討。首都近郊鉄道整備計画については、すでに調査結果等が存在するため、まず同計画への資金援助を実施。他方、ボゴタ首都区のメトロ建設に関しては、同年に右2つに対する資金援助の実施は困難であるため、ボゴタ市側に同工事着工の延期を要請した。(16日)
(2)国会開会時のウリベ大統領の経済政策演説(20日)
(イ)政策金利
現在の当国政策金利は高い水準にある。右は物価上昇抑制のための方策としては理解するが、経済成長に悪い影響が出ることを懸念している。また、「コ」は金融面でインフレ的ではなく、化石燃料や食料品分野における世界的インフレの影響を受けているため、右是正策として貿易協定に抵触しない範囲で食料品輸入関税を引き下げる。
(ロ)ペソ高
石油の生産増により取得した外貨を、外貨のままで貯えることができるような立法措置を検討し、新たな石油開発の資金とする。また、「コ」へ持ち込むドル短期資金を抑制するペソ高防止対策に加えて、ペソ高により影響を受けている輸出業者に対する支援策として、税還付証明書制度(Certs)の実施のため3,500億ペソを投入する。
(ハ)石油探査
国内8ブロック、合計約1200万ヘクタールで石油探査の入札を実施。同地域では約20億バレルの原油埋蔵量が推定され、右資源により2016年まで国内自給が可能である。他方、原油の国際価格が高水準であることから、国内農業に配慮しつつバイオ燃料等石油代替燃料の増産にも努力する。
(ニ)エネルギー増産
近年9ヶ所の電源プラントが新たに完成したことにより、合計で3,428メガワットの電力が供給可能となり、現在検討中のプロジェクトと合わせ2020年まで電力自給が可能となる見込み。
(ホ)歳出削減措置
ペソ高是正策として政府予算の削減を検討しているが、教育、能力開発、健康、幼児及び高齢者の栄養保護、社会保障関係費、犯罪被害者及び国内避難民救援等の費用は削減しない。
(3)誘拐被害者救出に関するスルアガ蔵相発言
政府国軍によるイングリッド・ベタンクール元大統領候補、3人の米国人兵士を含む計15人の人質が救出されたことに伴い、「コ」におけるビジネス環境がさらに望ましいものとなった。(3日)
(4)2009年予算概要
総額140.5兆ペソ(前年比13.1%増)、うち一般行政経費73.5兆ペソ(前年比14.4%増)、公債費37兆ペソ(前年比4.8%減)、投資的経費29.9兆ペソ(前年比42.2%増)。今次予算の特徴としては、石油の国際価格上昇に配慮し、同分野への補助金として5.9兆ペソを割り当てる他、地方向け補助金や教育や上下水道整備のための公共事業関係経費を増額した点が上げられる。(29日)
(5)企業動向
(イ)アマヤ「コ」繊維協会総裁発言:本年前半の対「ベ」向けを中心とした輸出増にもかかわらず、ペソ高、国内消費量の減少、国際競争の激化、違法取引の影響等により、同業界の業績不振が続いている。この結果、繊維、被服業界では1.5万人のリストラを行った。(28日)
(ロ)アルボレダ・ルノー当地法人社長発言:本年の自動車販売台数は、中央銀行の政策金利が10%と高い水準にあり、自動車購入時のローンが組みにくくなっていることから前年比13%減の約22万台となる見込み。(29日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)6月のコーヒー輸出量 94.5万袋(89.3万袋)
(ロ)6月のコーヒー生産量 104.6万袋(121.9万袋)
(2)金利(出所:中央銀行):7月末の政策金利 10.00%(9.25%)
(3)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来5ヶ月間の輸入額 156.37億ドル(126.24億ドル 23.9%増)
(ロ)年初来5ヶ月間の輸出額 154.01億ドル(112.96億ドル 36.3%増)
(4)雇用(6月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 11.2%(11.2%)
(ロ)失業率主要13都市平均 11.7%(11.7%)
(5)為替(7月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 1,923.02ペソ
(ロ)月末 1,800.54ペソ
(ハ)最高値 1,719.48ペソ(7日)
(ニ)最安値 1,923.02ペソ(1日)
(6)株式指数(7月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 9,179.042ポイント
(ロ)月末 9,061.206ポイント
(ハ)最高値 9,227.682ポイント(4日)
(ニ)最安値 8,719.378ポイント(16日)
(7)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)7月(対前月比) 0.48%(0.17%)
(ロ)年初来7ヶ月間 6.53%(4.72%)
(ハ)07年8月からの12ヶ月間 7.52%(5.77%)
(8)ガソリン価格(8月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,361.44ペソ(前月比130ペソ増)
(9)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)6月の自動車販売台数 16,881台(21,085台)
(ロ)年初来6ヶ月間合計 110,750台(123,410台)