コロンビア月例報告(8月分)

 

経済情勢

2008年9月30日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●ベルムデス新外相は、「「コ」政府は、生物多様性、気候変動、代替エネルギー及び観光等の分野で、二国間関係及び国際関係の多様化のため努力。他方、経済協力開発機構(OECD)等との対話プロセスの拡大、チリ等との環太平洋を見据えた戦略的経済連携のための協定締結推進、米国等との科学技術協定の締結を検討。また、米国等との自由貿易協定(FTA)、欧州連合(EU)との連携協定(AA)等の貿易協定の発効促進を推進する他、APEC加入促進のため、日、中、韓、インドとの関係強化を模索する。」と述べた。

●ウリベ大統領及びプラタ商工観光相は米・「コ」の米議会承認に関し、「米議会では、本年10月頃に採決が行われる予定となっており、同承認の見通しは明るい。」と述べた。

●ウリベ大統領は、「「コ」政府は、二国間の競争力強化及び両国の経済成長促進のため、ドミニカ共和国との自由貿易協定(FTA)締結に関心を持っている。」と述べた。

●「コ」政府は、「本年11月に中国の胡錦涛国家主席が「コ」を訪問予定。今次訪問は、「ベ」から「コ」太平洋岸へとつながる石油パイプライン建設支援及び同国における石油資源に関する二国間取引の促進を目的。」と発表した。

●トロツェンブルグ世界銀行「コ」担当理事は、「コ」経済について「マクロ経済上良好な成長を記録している他、同国への対内直接投資が前年を約10億ドル上回る見込みであることから、世界市場においても良い市場であると認知されていると言える。また、同国における貧困の減少も「コ」への信頼を増加させている。」と述べた。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)「コ」外交政策に関するベルムデス新外相発言

 「コ」政府は、発展、生物多様性、気候変動、代替エネルギー及び観光といった技術協力分野で、二国間関係及び国際関係の多様化のため努力。他方、経済協力開発機構(OECD)等との対話プロセスを拡大したいと考えている他、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイとの環太平洋を見据えた戦略的経済連携のための協定の締結を推進する。また、米国及びスイスとは科学技術協定の締結を検討していく。

 また、近隣諸国との関係改善を図っていく他、プエブラ・パナマ計画(PPP)等を利用した地域統合の促進、米国、加との自由貿易協定(FTA)、欧州連合(EU)との連携協定(AA)等の貿易協定の発効促進を推進する。

 他方、APEC加入促進のため、日、中、韓、インドとの関係強化を模索する。(25日)

(2)対米FTAに関する関係者の発言

(イ)「コ」政府発表:本年末の米・「コ」FTAの米議会での承認を目標に、米国等でのロビー活動を行う。平行して、本年末に期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)延長の可能性も模索する。右プロセスは、18日の米国アトランタで開催された米州競争力フォーラムに際し、ウリベ大統領及びプラタ商工観光相とグティエレス米商務長官との会合から開始された。また、910日及び11日には、プラタ大臣が「コ」労働組合幹部、学術関係者、「コ」主要都市の市長とともに、米国議会を訪問する予定となっている他、同25日には、米国でのコロンビア広報イベントが開催に合わせ、プラタ大臣の他、「コ」企業関係者及び同国議会関係者約70名が訪問予定となっている。(18日)

(ロ)ウリベ大統領及びプラタ商工観光相発言:本協定の米議会承認に関し、米議会では今次議会内に、すなわち本年10月頃に採決が行われる予定となっており、同承認の見通しは明るい。(20日)

(3)対欧州連合(EU)との連携協定(AA)に関するムニョス商工観光次官発言

 EUとアンデス共同体(CAN)とのブロック間でのAA交渉は不可能であり、CAN諸国として共通認識を持てない状況であるため、今後の交渉の進展のため、CAN諸国のうち数カ国のみとの交渉を進める等、EU側により柔軟な対応を要求したい。(22日)

(4)対ドミニカ共和国に関するウリベ大統領発言

 「コ」政府は、二国間の競争力強化及び両国の経済成長促進のため、ドミニカ共和国との自由貿易協定(FTA)締結に関心を持っている。(19日)

(5)対日本関係

 リコー・コロンビア社は、本年前半の収益が450億ペソとなり、前年同期40%増となった。今次結果は、BBVA、サンタンデール等の金融機関や伯系石油会社「ペトロブラス」社等の石油会社からの発注増によるもの。

(6)対中国関係

(イ)「コ」政府発表:本年11月に中国の胡錦涛国家主席が「コ」を訪問予定。同訪問は、現在「コ」政府が「ベ」政府と共同して建設を進めている、「ベ」から「コ」太平洋岸へとつながる石油パイプライン建設支援及び同国における石油資源に関する二国間取引の促進を目的。他方中国側は、「コ」産大豆、同魚介類等の取引についても関心を示している。(15日)(当館注:当地中国大は同発表を確認していない)

(ロ)対「コ」文化協力に関する中国政府発表:「コ」国内数都市で開催される国際的フェスティバル及び文化事業の展示会等に際し、「コ」で製作された映画の加工等の技術支援について関心を有している。また、「コ」の多くの市町村において同文化省により実施されている全国読書計画及び全国共同音楽計画等の支援も検討。同プロジェクトではコンピューターや楽器を寄付により募り、供与を実施する。(15日)

(7)地域統合に関するウリベ大統領とトリホス・パナマ大統領発言

 2012年までに電力の相互接続を2国間で可能とする協定に署名した。同プロジェクトは、「コ」企業ISA社とパナマ企業Etesa社によるコロンビア-パナマ電力相互接続株式会社により運営される。第一段階として300メガワットの電力がパナマに供給される他、2015年までには600メガワットの電力が供給可能に、また約2億ドルの投資が予定されている。(4日)

<国内情勢>

(1)国内インフラ関係

(イ)ラ・リネア・トンネル建設計画

 「コ」政府は、ラ・リネア・トンネルの試掘トンネルが貫通するに当たり式典を行い、ウリベ大統領、ガジェゴ運輸相、ガルシア道路公社(INVIAS)総裁等が参加した。同大統領他は、トリマ県(ボゴタ首都区側)ベルメジョン口から同トンネルに入り、トンネル貫通点において最後の岩を壊すセレモニーを行った。(5日)

 INVIASは、本トンネル工事の入札期限を915日まで延期する旨発表した。同入札の延期は3度目であるが、理由として同入札に参加意向を示している国内及び外国企業が、現在北京オリンピックが開催中であり本入札に対応できない、また、欧州企業等が夏期休暇に入っている等の理由により本入札の延期を要請しているとし、入札内容について特段変更はないとしている。(23日)

(ロ)ボゴタ首都区のメトロ建設計画

 ボゴタ首都区メトロ建設のための調査の入札に関し、選定された6社は、世銀の応援を得て92日までにメトロの技術的、法的、金融的仕組みに関するプロポーザルをボゴタ首都区側に提出することになっている。この後23日にボゴタ首都区が落札企業を発表し、その企業が、高架式か、地下式か、地上式かを決定する。(92日)

(ハ)ボゴタ首都区-サンタマルタ市間道路建設計画に関する民間委託公社(INCO)発表

 「コ」政府及び世銀は、ボゴタ首都区-サンタマルタ市(カリブ海沿岸都市)間道路(ルータ・デル・ソル)の建設に関し、クンディナマルカ県ビジェタ市-プエルトサルガル市間78kmについての建設計画を決定した。

 本プロジェクトは、「コ」カリブ海沿岸地域からパナマへとつなぐアメリカン・ハイウェイと並んでラ米で最も重要なプロジェクトとなる。同2プロジェクトへの投資総額は、約13.5兆ペソとなる見込みであり、本年末には全計画内容が決定される。(8日)

(2)ウリベ政権の経済運営に関するスルアガ蔵相発言

 ウリベ政権が発足した2002年から本年までの6年間、「コ」政府はバランスのとれた経済運営を行ってきた。海外投資家の「コ」に対する信頼が増大した結果、外国直接投資が大幅に増加した他、2002-2007年の経済成長率は、ラ米諸国の中でも良好な伸びを示している。これらにより、失業率の減少、正規雇用の増加、公的支出の増加、及び対外債務の対GDP比の減少等の結果につながった。(9日)

(3)本年の農業分野における経済成長率に関するアリアス農相発言

 近年「コ」農業分野の実質成長率は12%程度の低成長であったが、本年の成長率は米、トウモロコシ、野菜等の生産増により5.1%と予想。(7日)

(4)2009年予算審議に関する大統領府発表

 「コ」議会第3、第4共同委員会は812日から2009年予算(競争力及び社会的団結のための予算、総額140.5兆ペソ)審議を開始。スルアガ蔵相が冒頭「コ」経済状況、来年度の経済予測等について発表を行った。(13日)

(5)財政状況

(イ)エチャバリア中央銀行理事発言:「コ」政府はペソ高を抑制するため、財政支出削減を進めるべき。近年公的支出は大幅な伸びを示しており、「コ」政府は適切な管理をしていない。現在、当国の政策金利は高水準であるが、これは物価上昇抑制のためであり、ペソ高の直接の要因とはなっていない。(13日)

(ロ)トロツェンブルグ世界銀行「コ」担当理事発言:「コ」はマクロ経済上良好な成長を記録している他、同国への対内直接投資が前年を約10億ドル上回る見込みであることからも、世界市場においても良い市場であると認知されていると言える。また、同国における貧困の減少も「コ」への信頼を増加させている。(25日)

(6)トラック運送業者のストライキに関する動向

(イ)ウリベ大統領、ガジェゴ運輸相、運送業者、「コ」トラック協会との間で会合が行われ、ガジェゴ運輸相が約束した運送料引き上げの未履行による731日から続いているストライキを815日で停止することが合意された。

(ロ)ガジェゴ運輸相発言:上記合意が行われた616日以降、当国における貨物自動車の伸びを規制する法案を作成してきた他、運送料についても世界的な原油価格の上昇による影響を抑える方策を模索してきた。今次合意を受け、老朽化した車両を廃棄するための入札を930日から開始するとともに、運送料改定についても前向きに検討する。

(ハ)「コ」政府発表:運送業への新規参入等を抑制するため、3トン以上のトラックの新規購入に際しては、車両の廃棄証明書か、登録費用を払わなければ登録が出来ない制度を導入。他方、バンコルデックス銀行を通じ、登録費用等支払いのため、同業者への低利融資を実施する。

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)新規建設着工面積数(6月)(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)6月の新規建設着工面積 119.7万㎡(24.5%減)

   (ロ)年初来6ヶ月間の新規建設着工面積 815.1万㎡(8.02%減)

(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

   (イ)7月のコーヒー輸出量 83.6万袋(94.7万袋)

   (ロ)7月のコーヒー生産量 89.1万袋(99.5万袋)

(3)金利(出所:中央銀行):8月末の政策金利 10.00%9.25%

(4)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来6ヶ月間の輸入額  189.32億ドル(152.93億ドル 23.8%増)

   (ロ)年初来6ヶ月間の輸出額   190.62億ドル(133.88億ドル 42.4%増)

(5)雇用(7月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 12.1%11.2%

   (ロ)失業率主要13都市平均 11.9%11.2%

(6)為替(8月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,800.54ペソ

   (ロ)月末 1,932.20ペソ

   (ハ)最高値 1,771.31ペソ(4日)

   (ニ)最安値 1,932.20ペソ(29日)

(7)株式指数(8月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 9,061.206ポイント

   (ロ)月末 9,375.014ポイント

   (ハ)最高値 9,375.014ポイント(29日)

   (ニ)最安値 8,833.364ポイント(12日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)8月(対前月比) 0.19%(▲0.19%

     (ロ)年初来8ヶ月間 6.74%4.58%

   (ハ)079月からの12ヶ月間 7.87%5.22%

(9)投資(出所:中央銀行)

    本年88日現在の外国直接投資 55.34億ドル(25.3%増)

(10)対外債務(5月末現在)(出所:中央銀行)

   (イ)対外債務 458.30億ドル(431.00億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 22.1%25.0%

   (ハ)うち公的債務 295.56億ドル(275.31億ドル)

   (ニ)うち民間債務 162.73億ドル(155.70億ドル)

(11)ガソリン価格(9月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,461.45ペソ(前月比100ペソ増)

(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

      (イ)7月の自動車販売台数 20,686台(21,996台)

   (ロ)年初来7ヶ月間合計 131,436台(140,637台)