コロンビア月例報告(9月分)

 

経済情勢

2008年10月29日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

30日、米国下院本会議はアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の12ヶ月間の延長を満場一致で可決。同上院での採決及び大統領裁可を経て成立する見込み。これによりATPDEAの有効期限は2009年末までとなる。

●ウリベ大統領は、「米国議会における米・「コ」FTAの早期承認に期待。米議会関係者は「コ」における犯罪の減少及び近年の「コ」経済成長の認識が必要。また、本協定の同議会での承認による最大の効果は「コ」に対する投資家の信頼、また外国投資の増大であり、これらが「コ」の社会的問題の解決、より質の高い雇用への改善及び国内ゲリラや違法作物等の撲滅につながる。」と述べた。

●マルティネス鉱山・エネルギー相は、「「コ」政府はインドと石油、エネルギー分野における投資強化のための覚書に署名。同覚書は石油等の探査、製造、精製等にあたり、協働していく旨を規定するものであり、石油・ガスの製造、探査のための投資を容易にする他、同分野の専門家の育成等を協働で実施する内容。」と述べた。

●「コ」道路公社(INVIAS)は、「29日に本件ラ・リネア・トンネル建設工事に係る入札を締め切った。韓国、中国、伯、西、墨、伊、「コ」等から合計で8社の企業が参加を表明。落札者は本年11月前半までに決定され、同年中に「コ」政府と同落札企業との間で契約が締結される見込み。」と述べた。

●プラタ商工観光相は、「新規企業設立の促進・保証のため、(a)制度的な連携強化、(b)ビジネス活動やファイナンスの際の手続きの簡素化、(c)中長期的なビジネス環境の改善、を3つの柱とする振興策を実施予定。」と述べた。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAに関する関係者の発言

()アンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の延長

 米国下院本会議はアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の12ヶ月間の延長を満場一致で可決。同上院での採決及び大統領裁可を経て成立する見込み。これによりATPDEAの有効期限は2009年末までとなる。(30日)

(ロ)プラタ商工観光相を団長とする黒人系コロンビア人団体、新聞社団体、労働組合関係者、中業企業関係者の「コ」代表団総勢約70名が米国を訪問し、本年中の「コ」・米FTAの議会承認に向け米議会関係者と会合を行った。「コ」側からは同国における経済や治安、基本的人権等に関する指標が提示され、同国の状況の改善をアピールした。(9日)

(ハ)ブッシュ米大統領:「コ」との自由貿易協定(FTA)は、経済協定以上の真の友情の表明を意味する。同協定は両国間の安全保障にとり極めて重要である。(20日)

(ニ)ウリベ大統領:米国議会における米・「コ」FTAの早期承認に期待。同議会関係者は「コ」における犯罪の減少及び近年の経済成長を認識する必要がある。また、本協定の同議会での承認による最大の効果は「コ」に対する投資家の信頼、また外国投資の増大であり、これらが「コ」の社会的問題の解決、より質の高い雇用への改善及び国内ゲリラや違法作物等の撲滅につながる。(19日)

(2)対欧州連合(EU)との連携協定(AA)に関するサルコジ仏大統領発言:EUと「コ」・ペルーでAA交渉を進め、早期に合意に達する点について賛成であり、今後調整していきたい。また、今般のバナナの関税問題についても状況の改善に解決策を検討していきたい。(24日、ウリベ大統領との会談後に)

(3)対メキシコ関係に関するムニョス商工観光次官発言:現在交渉中の「コ」・墨自由貿易協定(FTA)交渉については、本年10月にラウンドを実施することで合意。本年末までには交渉が終了し、署名が行われる見込みとなった。(25日)

(4)対日本関係

(イ)東京三菱UFJ銀行及びBBVA銀行(西系金融機関)発表:当国メデジン公社が建設している同市近郊の水力発電所「PorceⅢ」に関し、建設費用の一部である20億ドルについて保証を行う契約が締結された。(30日)

(ロ)当国におけるトヨタ車の販売会社「DISTOYOTA」発表:工業機械調達のための資金供給サービスを開始。主要原材料移動のための機械、工業製品洗浄装置、重貨物運搬機器等の調達を容易にするもの。(3日)

(5)対韓国関係

(イ)韓国国営石油会社(Knoc)発表:当国南東部メタ県の石油探査について当国石油庁(ANH)と契約を締結。韓国企業が「コ」東部地域における石油探査契約を締結するのは初めて。本年はソウルにおいて韓国とラ米地域間の経済協力・ビジネスフォーラムが開催されるなど、今後同分野における二国間関係強化が期待される。(20日)

(ロ)石油庁(ANH)発表:韓国国営石油会社(Knoc)及び同国民間石油会社「Golden Oil Corp」社は、当国東部のメタ県及びビチャーダ県を対象とした石油探査のためのミニ・ラウンド参加のため仕様書を取得する等、本入札に関心を示している。(11日)

(6)対インド関係

(イ)マルティネス鉱山・エネルギー相発表:「コ」政府はインドと石油、エネルギー分野における投資強化のため、覚書に署名。同覚書は石油等の探査、製造、精製等にあたり、協働していく旨規定するものであり、石油・ガスの製造、探査のための投資を容易にする他、同分野の専門家の育成等を協働で実施する内容。現在、同国企業「Ongc Videsh Limited」社は中国企業「Sinopec」社と一日あたり25,000バレルの石油生産を実施している。また、同国企業は今般開催されたカリブ・ラウンド(「コ」カリブ海沿岸地域における石油探査に係る入札)のうち数ブロックを落札している。(12日)

(ロ)「コ」・インド商工会議所の設置発表:「コ」・インド合計で60の企業から構成される日・印商工会議所の第一回総会が開催。同会議所は、二国関係の貿易、投資関係の強化に向け活動していく。(29日)

(7)地域統合関係

(イ)パナマとの電力網相互接続に関する大統領府発表:「コ」とパナマ間の電力網相互接続のため、8月のウリベ大統領とトリホス大統領との合意に引き続き、第13回パナマ・「コ」近隣委員会総会での外相会談において右合意が再度確認された。相互接続会社の定款については、本社をパナマに置き、支店を「コ」に置くことで合意。また、遅くとも2010年までのプロジェクトの実施についても合意。(3日)

(ロ)ガジェゴ運輸相発表:「コ」政府はパナマ・ベネズエラ間を結ぶ観光道路建設に関し、「コ」領内の道路建設費用として25億ドルの投資を実施。また、2012年の供用開始を目指す。(101日)

 

<国内情勢>

(1)国内インフラ関係

(イ)ラ・リネア・トンネル建設計画に関する道路公社(INVIAS)発表:29日に本件ラ・リネア・トンネル建設工事に係る入札を締め切った。韓国、中国、伯、西、墨、伊、「コ」等から合計で8社の企業が参加を表明。落札者は本年11月前半までに決定され、同年中に「コ」政府と同落札企業との間で契約が締結される見込み。(30日)

(ロ)ボゴタ首都区のメトロ建設計画

(ⅰ)ソサ・アンデス開発公社(CAF)副総裁発言:同市のメトロ建設の必要性については理解するが、当方として同プロジェクトへの参加は不透明である。理由として、同メトロ建設、運営、維持等に必要なコストについて詳細に分析することが必要である他、料金設定等、同プロジェクトが実施可能であるか注視する必要があるためである。(19日)

(ⅱ)モレノ・ボゴタ市長発言:ボゴタ市大量交通輸送システム「トランスミレニオ」の建設費用はほぼ使用済みであり、今後当市のインフラプロジェクトの優先順位としては、メトロ建設及び同市近郊鉄道の整備が急務である。(11日) 

 また、メトロ建設費用として4兆ペソを想定しており、30%にあたる1.2兆ペソを多国籍金融機関からの融資により調達する予定。今後の予定としては、20093月に同メトロ建設のための調査・設計を完了させることとし、同年後半には同メトロ1号線建設のための入札を開始する。(9日)

(ⅲ)ウリベ大統領発言:「トランスミレニオ」の新路線の建設に関しては、予算を削減することなく予定通り実施することが必要。その上で右システムを補完するものとして、メトロを検討すべき。「コ」政府としてはメトロ建設計画及びボゴタ近郊鉄道への援助も検討中。(11日)

(2)財政

(イ)2009年予算に関する政府発表:「コ」議会経済共同委員会は、24日、総額140.5兆ペソの2009年予算(うち一般行政経費73.5兆ペソ、国債費37兆ペソ、投資的経費29.9兆ペソ)を承認した。今後同予算案は、上下院それぞれの本会議で承認された後、大統領裁可を経て成立する見込み。(25日)

(ロ)税収状況に関するフランコ国税税関庁(DIAN)長官発言:本年8月末の当国の税収は、45.7兆ペソであり、本年1年間の税収目標である67.8兆ペソの約68%まで到達。本年末までには右目標は達成できる見込み。(9日)

(3)新規起業支援に関するプラタ商工観光相発言:「コ」政府は、新規企業設立の促進・保証のため、(a)制度的な連携強化、(b)ビジネス活動やファイナンスの際の手続きの簡素化、(c)中長期的なビジネス環境の改善、を3つの柱とする政策を実施。昨年は外国通商手続きの迅速化、また、投資家保護政策の強化、企業の財政的負担軽減等を重点とした施策を実施した結果、世銀発行の雑誌「Doing Business」で「コ」がラ米諸国でチリについでビジネス環境が良好な国として評価された点を踏まえ、今後この分野に重点的に取り組む。(5日)

(4)コーヒー生産者支援に関する関係者発言(3日)

(イ)「コ」政府発表:「コ」政府は全国コーヒー生産者連盟(FNC)と協定を結び、コーヒーの国際価格の下落等により収入が伸び悩んでいる当国コーヒー生産農家への補填策として、2008年から2011年にかけて総額9000億ペソの援助を行う。具体的内容としては、(a)コーヒー生産農家の収入安定策、(b)技術援助、(c)付加価値の高い特別コーヒーの生産、(d)コーヒー小作農家への支援として、コーヒーの取引相場が生産コストを下回った際に赤字分を補填するためとして総額5000億ペソを投入等の施策を実施予定。

(ロ)アリアス農業相:本施策の目的は、2014年にコーヒー生産量を1700万袋とする当国政府の目標に沿ったもの。同目標を達成するため、今後30万ヘクタールの土地改良を実施する等の新規施策を検討中。

(5)「コ」国営石油会社「Ecopetrol」発表:「コ」国営石油会社「Ecopetrol」は、ニューヨーク証券取引所で株式の上場を開始した。同社は本年に2000万ドル分の株式を同取引所で取引する予定。(19日)

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)新規建設着工面積数(7月)(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)7月の新規建設着工面積 193.3万㎡(8.2%増)

   (ロ)年初来7ヶ月間の新規建設着工面積 1,008.5万㎡(5.3%減)

(2)コーヒー(8月)(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

   (イ)8月のコーヒー輸出量 58.8万袋(97.7万袋)

   (ロ)8月のコーヒー生産量 71.5万袋(99.0万袋)

(3)金利(出所:中央銀行):9月末の政策金利 10.00%9.25%

(4)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来7ヶ月間の輸入額  223.78億ドル(180.27億ドル 24.1%増)

   (ロ)年初来7ヶ月間の輸出額   228.52億ドル(160.16億ドル 42.7%増)

(5)雇用(8月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 11.2%10.7%

   (ロ)失業率主要13都市平均 11.4%11.3%

(6)為替(9月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,932.20ペソ

   (ロ)月末 2,184.76ペソ

   (ハ)最高値 1,932.20ペソ(1日)

   (ニ)最安値 2,184.76ペソ(30日)

(7)株式指数(9月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 9,375.014ポイント

   (ロ)月末 9,248.462ポイント

   (ハ)最高値 9,709.192ポイント(1日)

   (ニ)最安値 9,007.535ポイント(17日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)9月(対前月比) ▲0.19%0.08%

     (ロ)年初来9ヶ月間 6.53%4.67%

   (ハ)0710月からの12ヶ月間 7.57%5.01%

(9)投資(出所:中央銀行)

    本年8月末現在の外国直接投資 56.60億ドル(44.18億ドル 28.1%増)

(10)対外債務(6月末現在)(出所:中央銀行)

   (イ)対外債務 455.74億ドル(432.41億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 21.4%24.0%

   (ハ)うち公的債務 292.69億ドル(278.38億ドル)

   (ニ)うち民間債務 163.05億ドル(154.03億ドル)

(11)ガソリン価格(10月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,651.45ペソ(前月比75ペソ増)

(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

      (イ)7月の自動車販売台数 17,540台(22,945台)

   (ロ)年初来7ヶ月間合計 148,976台(163,914台)