コロンビア月例報告(11月分)

 

経済情勢

2008年12月19日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●「コ」大統領府は、「ウリベ大統領は今般の米大統領選挙で当選したオバマ次期大統領に祝電を送付。その中で、「コ」政府が「コ」・米両国にとって共通のテーマである麻薬取引の根絶、テロとの戦い及び「コ」・米FTAの米議会での早期承認に向けた働きかけ等について継続して取り組んでいく旨を伝えた。」と発表した。(6日)

●ゲラ通信相は、「西政府に対し、当国における地上デジタルテレビ放送実施のため、制度的側面及び民間セクターでの協力を要請。当国は本年8月に同欧州方式(DVB-T)を採用しており、2010年第2四半期に数都市でデジタル放送を開始したい。」と述べた。(28日)

●「コ」大統領府は、「ラブロフ・ロシア外相が当国を訪問。ウリベ大統領及びベルムデス外相と会談を実施し、露政府に対し二国間関係強化のための施策として、投資協定及び租税条約の締結を提案した。」と発表した。(20日)

2009年の最低賃金決定のための第一回会合が労働者側、企業側、政府側代表の参加のもと19日開催。同会合では合意に達せず、次回会合を124日に予定。労働者側と企業側で合意に達しない場合は、政府の仲介案により翌年の最低賃金が決定される見通し。(29日)

●ウリベ大統領は、「国内避難民や最貧困地域であるエストラート1地域に居住する市民が、政府からの給付金を受領するための無料口座の開設を、当国金融業界に対し義務づける。今次施策は、銀行サービスの拡大プロセスを刺激する目的の他、特に今般のネズミ講商法(ピラミッド商法)で詐欺被害にあった地域に対し適用するもの。なお、同措置が適されれば付加価値税(IVA)及び当該金融機関が必要とする機材の輸入関税が免除される。」と述べた。(28日)

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAに関する関係者の発言等

(イ)「コ」大統領府発表:ウリベ大統領は今般の米大統領選挙で当選したオバマ次期大統領に祝電を送り、その中で「コ」・米両国にとって共通のテーマである麻薬取引の根絶、テロとの戦い及び「コ」・米FTAの米議会での早期承認に向けた働きかけ等について、継続して取り組んでいく旨述べた。(6日)また同大統領は、オバマ次期大統領と上記問題等について電話会談を行い、「非常に建設的な会談であった。」と述べた。(19日)

(ロ)ブッシュ大統領:オバマ次期大統領との会談において、米・「コ」FTAの米議会での早期承認に向け、同議会での仲介を提案。(11日)

(ハ)米各紙論調に関する報道(13日)

(ⅰ)12日付「ワシントン・ポスト」紙は米国議会に対し、17日に開会予定の同国臨時議会での米・「コ」FTAの早期投票を要請した。同紙は「協定を承認せよ」と題した社説において、同協定は議会で投票に付すべきであるにも拘わらず、ペロシ同国下院議長が本会議での審議を妨害していると述べている他、民主党の反対意見は、オバマ次期大統領が作り出したもので政治的理由に基づくものであり、経済的観点からは合理的でないとしている。また、同紙は、「同協定は二国間貿易市場を均等化することで金融危機にある米国へ与える利益は大きい。現在「コ」から米への輸出品目の大部分はアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)によってゼロ関税となっているが、米国からの輸出品目についてはゼロ関税の対象となっていない。米国から「コ」への輸出額は年間80億ドルを超えており、米・「コ」FTAが発効すれば米国の産業や雇用創出のための刺激策となる。」としている。

(ⅱ)同日付「ウォール・ストリート・ジャーナル紙」は、ブッシュ大統領に対して米国自動車業界への金融支援策と引き替えに同FTAの承認を米民主党に求めるべきとしている。

(ⅲ)同日付「ロサンゼルス・タイムズ」紙は、ゲームを止めて、米・「コ」両国にとって政治的・経済的に利益となる何かを承認するべきだとし、同協定の同議会承認を促している。

(ニ)ミークス米議員発表:17日から開催される米臨時議会では、まだ審議内容が明確になっていないため、米・「コ」FTAが審議対象から除外されているとはいえない。しかし、今般の金融危機の対策法案等が優先順位として高く、いくつかの産業部門ではアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の5年から10年の延長が提案されており、同協定が同臨時国会で審議される可能性は低いと考える。(7)

(ホ)プラタ商工観光相:基本的人権の問題、最近のDMG問題等を受け、同協定の米臨時議会での承認は難しくなっているが、当国政府としては同協定の承認に向けた働きかけに全力を尽くす。(7日)

(ヘ)カルデロン墨大統領:墨政府は、「コ」政府の同協定の米議会での早期承認に向けた取り組みを引き続き支援する。また、ウリベ大統領に米オバマ新政権とラ米全地域間の強固な協力関係を築くため、共働していく旨提案。また、「コ」はラ米地域における墨製品の最大の輸出国であり、また、同地域においては2番目の投資国であることから、「コ」・墨通商関係のより緊密化への努力を繰り返し述べた。(11日)

(2)対欧州連合(EU)との連携協定(AA)に関する発言等

()ベルムデス外相:フェレロEU対外関係担当委員と会合を実施。コロンビア及びペルーとEUとの自由貿易協定(FTA)交渉に関し、バイでの交渉の開始の可能性が出てきた。当初はアンデス共同体(CAN4カ国でEUとの連携協定(AA)交渉として、(a)政治的対話、(b)技術協力、(c)自由貿易協定(FTA)交渉を進めることとなっていたが、同委員がEU委員長に対し、同交渉についてはバイでの交渉を認める等の若干の柔軟性をもって取り組むことを進言する予定となったことによるもの。同交渉は2009年初頭にも開始される見込み。(12日)

(ロ)プラタ商工観光相:コロンビアとペルーは、20092月にも欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)交渉をバイで開始できる準備が整っている。同協定は、米国とのFTAに次いで重要なものと認識。アンデス共同体の会合において同加盟国4ヵ国でのEUとの交渉が決裂したのを受け、また、先般のベルギー訪問により、先方との合意も取り付けている。同協定第一ラウンド交渉は、ボゴタ、リマ、ブリュッセルのいずれかの都市で開催を予定しており、2010年中の合意を目指す。(121日)

(ハ)コレア「エ」大統領:EUのコロンビア及びペルーとのFTA交渉開始の決定に対し抗議文書を送付。今次決定は、CANによる地域統合に致命的な打撃となる。(14日)

(3)地上デジタル放送に関するゲラ通信相発表:西政府に対し、当国における地上デジタルテレビ放送実施のため、制度的側面及び民間セクターでの協力を要請。当国は本年8月に同欧州方式(DVB-T)を採用しており、2010年第2四半期に数都市でデジタル放送を開始したい。(28日)

(4)ロシア外相訪問に対する「コ」大統領府発表:ラブロフ・ロシア外相が当国を訪問。ウリベ大統領及びベルムデス外相と会談を実施し、露政府に対して二国間関係強化のための施策として、投資協定及び租税条約締結を提案。(20日)

(5)EFTA諸国とのFTAの署名に関するプラタ商工観光相発言:ジュネーブにおいて、EFTA諸国(アイスランド、スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン)とのFTAに署名。同協定は本年612日に交渉が終了したもの。本協定により、現在の「コ」輸出産品の100%がゼロ関税となる他、輸出手続きの迅速化が可能となる。(26日)

(6)カナダとのFTA署名に関する大統領府発表:22日、リマにおいてAPEC会合に出席していたウリベ大統領とハーパー加首相は、「コ」・加FTAに署名。(23日)

(7)対中国関係

(イ)中国との投資協定に関する大統領府発表:胡錦涛国家主席とウリベ大統領は、22日、APEC会合出席に合わせ、本年1024日に交渉が終了した「コ」・中国投資協定に署名。

(ロ)プラタ商工観光相:「コ」・中国投資協定締結により、明確な法的安定性を確保することに成功。同協定により内国民待遇や十分な保証なしでの収用の禁止の他、送金の自由化等、両国企業が安心して投資できる環境が整った。今後は天然資源分野を中心とした中国からの直接投資の増加が期待できる。(27日)

 

<国内情勢>

(1)国内インフラ関係

(イ)スペイン企業「Terminal de Contenedores de Barcelona」社発表:2.1億ドルを投資し、ブエナベントゥーラ港に水深-12mのコンテナターミナルを建設予定。同建設プロジェクトは2010年から開始される。(24日)

(ロ)カルタヘナ港公社発表:今般のパナマ運河拡張計画により取引貨物の増加が予想されるため、新規に3基のガントリークレーンを取得予定。また、同時に12,000TEUのコンテナを収用する基地を建設予定であり、投資総額は1.5億ドル。(121日)

(ハ)Opain社発表:ボゴタ首都区「エル・ドラード」国際空港の改築工事を4ヶ月前より実施しており、20096月に供用開始の見込み。総投資額は2500億ペソとなる。(12日)

(ニ)レンテリーア国家企画庁(DNP)長官発言:2007年から2010年の4カ年の国家開発計画における投資予想は当初69兆ペソであったが、現在のところ、当初の予定を大きく上回る87.8兆ペソになる見込み。特に、鉱物、エネルギー、運輸、上下水道等の分野における民間投資の伸びが顕著。(121日)

(2)最低賃金交渉動向:2009年の最低賃金決定のための第一回会合が、労働者側、企業側、政府側代表の参加のもと19日に開催。同会合では合意には至らず、次回会合は124日を予定。今般の金融危機の影響により、労働者側が最低賃金の大幅増を主張する一方、企業側は同要請に否定的立場を示していることから、労働者側の代表が次回会合には参加しない予定であり、状況は不透明。今後労働者側と企業側で合意に達しない場合、政府の仲介案により翌年の最低賃金が決定される見通し。(29日)

(3)企業動向に関する金融監督庁発表:本年第3四半期の企業業績は、世界的な金融危機にも拘わらずほとんどの企業で黒字となり、特にComcel社(通信)、Bavaria社(飲料)、Nacional de Chocolates(食料)、Almacenes Exito(スーパー)等の企業が好調。(7日)

(4)石油生産状況に関する石油庁(ANH)発表:10月の平均生産量は、前年同月比13%増の一日62.3万バレルとなった。また、本年平均生産量は一日あたり58.4万バレルとなった。(19日)また、今般の石油開発の進展により2009年には、一日あたり70万バレルの生産が可能なる見通し。(27日)

(5)その他

(イ)サン・アンドレス諸島に関するプラタ商工観光相発言:米「The Times」紙及び旅行ガイド「Lonely Planet」誌による世界の訪問すべき10ヵ所にサン・アンドレス及びプロビデンシア諸島が選ばれた。同内容は「コ」の知名度を高めることにつながる他、当国は2010年までに400万人の観光客の来訪を目指しており、同目標達成のための好材料となる。(6日)

(ロ)貧困層救済に関するウリベ大統領発表:国内避難民や最貧困地域であるエストラート1地域に居住する市民が、政府から給付金を受領するための無料口座の開設を、当国金融業界に対し義務づける。今次施策は、銀行サービスの拡大プロセスを刺激する目的の他、特に今般のネズミ講商法(ピラミッド商法)で詐欺被害にあった地域に対し適用するもの。なお、同措置が適されれば付加価値税(IVA)及び当該金融機関が必要とする機材の輸入関税が免除される。(28日)

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)当国経済成長予測(2009年)

   (イ)当国大蔵省:3.54.0%

   (ロ)米州開発銀行:2.5%

   (ハ)高等教育開発財団(Fedesarrollo、「コ」主要シンクタンク):2.93.1%

(2)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)9月の新規建設着工面積 179.3万㎡(2.9%増)

   (ロ)年初来9ヶ月間の新規建設着工面積 1,313.8万㎡(6.4%減)

(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))

   (イ)10月のコーヒー輸出量 81.5万袋(84.4万袋)

   (ロ)10月のコーヒー生産量 93.9万袋(112.9万袋)

(4)金利(出所:中央銀行):11月末の政策金利 10.00%9.50%

(5)貿易(出所:DANE

     年初来9ヶ月間の輸入額  295.80億ドル(237.39億ドル 24.6%増)

(6)雇用(10月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 10.1%10.1%

      (ロ)全国推定失業者数 227万人

   (ハ)失業率主要13都市平均 11.0%10.1%

    (ニ)主要13都市推定失業者数 108万人

(7)為替(11月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 2,392.58ペソ

   (ロ)月末 2,318.00ペソ

   (ハ)最高値 2,281.24ペソ(9日)

   (ニ)最安値 2,392.58ペソ(1日)

(8)株式指数(11月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 7,226.031ポイント

   (ロ)月末 7,314.813ポイント

   (ハ)最高値 7,419.091ポイント(4日)

   (ニ)最安値 6,873.628ポイント(6日)

(9)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)11月(対前月比) 0.28%0.47%

     (ロ)年初来11ヶ月間 7.20%5.17%

   (ハ)0712月からの12ヶ月間 7.73%5.41%

   (ニ)中央銀行のインフレ目標 4.55.5%09年)、4%10年)、24%11年)

(10)投資(出所:中央銀行)

    本年10月末現在の外国直接投資 71.12億ドル(57.08億ドル)

(11)ガソリン価格(12月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,476.79ペソ(前月比 ▲175ペソ)

(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

      (イ)10月の自動車販売台数 17,895台(22,484台)

   (ロ)年初来10ヶ月間合計 187,192台(208,725台)