コロンビア月例報告(1月分)
経済情勢
2009年2月27日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●エンジェル米下院西半球小委員会委員長は、「米・「コ」FTAは、オバマ大統領の今般の経済危機への対策としては優先順位が低いため、米議会承認は最も遅い場合本年末になる見込み。また、対パマナFTAが対「コ」FTAより前に審議される予定。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、「今般エクアドル政府が627品目について輸入制限措置を行った問題では、当国輸出産品のうち、砂糖、酒、自動車、繊維等380品目に影響が出る見込みであり、当国の対「エ」輸出額全体の15%にあたる2.1億ドル程度が減少すると見ている。」とした他、「コ」政府は「上記輸入制限措置に対しては、当国として通商上特段対抗措置をとることは予定していない。」と発表した。
●「コ」政府は、チャベス・「ベ」大統領の当国訪問に関し、「24日、チャベス大統領が当国を訪問し、ウリベ大統領との会談の中で、両国中小企業への金融支援のための基金を設立し、「コ」・「ベ」がそれぞれ1億ドルずつ出資することが合意された。また、二国間経済委員会の創設についても合意。」とした他、「チャベス大統領は自動車の輸入規制について、今後当国からの自動車の輸入枠の増大を示唆。」と発表した。
●国際通貨基金(IMF)はコロンビア経済について、「堅実な金融システム、「コ」政府当局によるマクロ経済政策による主要経済指標の改善により、国内銀行が経営上困難に陥った際の国内預金者保護について若干の改善の余地はあるが、「コ」は今般の世界経済危機の影響を最小限に抑える備えが出来ている。」と発表した。
●「コ」大統領府は、「エドゥアルド・ムニョス前商工観光次官(国際通商担当)の後任として、ガブリエル・ドゥケ新次官が就任。ドゥケ新次官は、対米FTA交渉官として交渉に当たった経験があり、今後の対メキシコFTA改定交渉や独、英国、仏、印、韓国等との投資協定交渉におけるリーダーシップの発揮が期待される。」と発表した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言等
(イ)ウリベ大統領:「コ」政府は、オバマ米新政権の下でも対米FTAの同議会承認のため、継続性と慎重さをもって取り組む。(28日)
オバマ大統領と電話会談を実施。同会談で対米FTAの同議会承認について、米民主党は「コ」政府に対し、基本的人権や労働組合の保護を要求しているため、困難な状況である等、懸案事項について建設的な対話ができた。(28日)
(ロ)ランジェル米下院調停委員長:コロンビア、パナマ、韓国とのFTAの議会承認に関しては、オバマ大統領の基本政策の下、民主・共和両党が共同して取り組む。(15日)
(ハ)プラタ商工観光相:オバマ大統領の就任後、2月中旬を目途に米国ワシントンを訪問し、米新政権の通商政策を聴取するとともに、関係者に「コ」・米FTA承認の必要性を説明する予定。(24日)
(ニ)エンジェル米下院西半球小委員会委員長:対「コ」FTAは、オバマ大統領の今般の経済危機への対策としては優先順位が低いため、米議会承認は最も遅い場合本年末になる見込み。また、対パマナFTAが対「コ」FTAより前に審議される予定。(22日)
(2)対欧州連合(EU)FTA交渉に関するプラタ商工観光相発表:EU・コロンビアFTA交渉第1ラウンドを2月9日から13日までボゴタ首都区で開催予定。以前のアンデス共同体(CAN)とEUのブロック間交渉ではなく、コロンビア、ペルー、エクアドルがそれぞれの国ごとにEUと交渉を行う。同交渉は本年6月までの合意を目指す。同協定締結により、EUとの通商拡大や当国への投資促進が期待できる。(20日)
(3)対アンデス共同体(CAN)諸国関係
(イ)エクアドルの輸入制限措置に対するプラタ商工観光相発言:「エ」政府が627品目について輸入制限措置を行った問題では、当国輸出産品のうち、砂糖、酒、自動車、繊維等380品目に影響が出る見込みであり、当国の対「エ」輸出額全体の15%にあたる2.1億ドル程度が減少すると見ている。(23日)
(ロ)上記措置に関する「コ」政府発表:今般のエクアドル政府の輸入制限措置に対しては、当国として通商上特段対抗措置をとることは予定していない。(29日)
(ハ)チャベス・「ベ」大統領の当国訪問に関する政府発表:24日、チャベス大統領が当国カルタヘナ市を訪問し、今般の世界経済危機への対処のため、経済の調和を目的として両国共通の懸案事項をウリベ大統領と協議。同会談の中で、両国中小企業への金融支援のための基金を設立し、「コ」・「ベ」がそれぞれ1億ドルずつ出資することが合意された。
また二国間経済委員会の創設についても合意。同委員会は両国の地域的統合のため、2010年までに両国間の通商額を100億ドルにすることを目標とする。
チャベス大統領は自動車の輸入規制について、今後当国からの自動車の輸入枠の増大を示唆。(26日)
(4)JICAフィージビリティー調査に関する報道概要:ボゴタ水道公社(EAAB)は、日本の国際協力機構(JICA)によるボゴタ首都区緊急給水計画調査が終了したと発表。同調査結果を受け、EAABは合計64本の災害時の緊急給水用の井戸を掘る事業を実施する。費用は約1230億ペソであり、2020年の供用開始を目指す。(22日)
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)レンテリーア国家企画庁(DNP)長官発言:「コ」政府は本年、総額55兆ペソ、名目GDP比10.7%のインフラ整備を実施。うち、23兆ペソは公的投資で、32兆ペソを民間投資により実施する。主な分野としては、2010年までに2,500kmの道路を建設する「Plan 2500」沿った道路整備や、ラ・リネア・トンネル、ブエナベントゥーラ(当国太平洋岸の主要貿易港)-ブガ間のアクセス道路等の運輸分野の他、鉱山・エネルギー、通信、水等の分野を想定。上記投資による「コ」の競争力強化、経済成長、雇用創出等に期待。(22日)
(ロ)スルアガ蔵相発言:2009年予算ではインフラ整備に5.7兆ペソを投入。うち、4.1兆ペソ(前年3.3兆ペソ、25%増)を道路整備に振り分ける。同部門は、雇用面及び経済成長とって重要である。また道路以外としては、住居、水供給、災害対策等を想定。(21日)
(ハ)中国企業「Chino Airplan S.A.」社発表:メデジン空港を含む国内6空港の改築、維持、運営等の入札を落札。今後、新ターミナル等の調査・設計計画等を近く発表予定。(9日)
(ニ)道路公社(INVIAS)発表:ラ・リネア・トンネル建設工事を落札した「Union Temporal Segundo Centenario」社は、契約面、法務面、再保険契約等の同建設工事落札者決定プロセス全てを終了した。(17日)
(2)コロンビア経済に関する関係者の発言
(イ)スルアガ蔵相:本年の経済成長率を3.5%から3.0%へ下方修正。また、同年の物価上昇率予測を5%(2008年は7.67%)とした他、「コ」中央政府の財政赤字目標を16.2兆ペソ、名目GDP比3.2%、また、政府統合では9.5兆ペソ、同GDP比1.8%と見込む。(20日)
(ロ)経済アナリストの「コ」経済の見方:多くの経済アナリストが2008年の「コ」経済成長率を3.5%、2009年を3.0%と見ている。他方、国連ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)は2009年の同国の経済成長率を2.0%としている。懸念材料としては、製造業の不振、世界的な需要減による輸出の減少、及び失業率の増大等があげられる。また、2008年は100億ドル程度であった対内直接投資が、88億ドル程度まで減少することが予想される他、対ドル為替相場についてはペソ安ドル高傾向を示し、本年末には1ドル=2,590ペソのレベルで落ち着くと予想される。(4日)
(ハ)国際通貨基金(IMF)発表:2008年末に「コ」経済及び「コ」政府が実施した経済対策について調査を実施。堅実な金融システム、「コ」政府当局によるマクロ経済政策による主要経済指標の改善により、国内銀行が経営上困難に陥った際の国内預金者保護について若干の改善の余地はあるが、「コ」は今般の世界経済危機の影響を最小限に抑える備えが出来ている。(28日)
(ニ)ウリベ大統領:当国は外国投資家の支援を得て、世界経済危機の影響を抑えるように努力する。本年1月には、10億ドルのグローバル国債をニューヨーク市場で売り出し、2.7倍の申し込みがあった他、近年では最低の利率で販売することができた。また、国内各地で実施されているインフラ事業が「コ」の競争力を高め、経済活性化に寄与することとなる。(13日)
(ホ)アリアス農業相:当国農業セクターは、2008年は歴史的な高成長を記録した。また、米については完全自給を達成した他、うずら豆についても輸入の依存から脱却しつつある。今後は米国との自由貿易協定(FTA)が同分野にとって重要となる。(15日)
(3)企業情報
(イ)2008年12月の業績に関する報道:経済危機の影響により、2008年12月は消費の減少が予想されていたが、結果として商業や観光部門では前年同月を上回る良好な業績であった。例えば、当国の主要観光地であるカルタヘナ市では外国人の訪問が増加し、ホテルの利用状況も盛況であった。(16日)
(ロ)ウリベ大統領発表:スイス訪問の際、「C-Holding」社のマテロ社長と会談。同社長は、同社がアンティオキア県ウラバ地区に、新規港湾、自動車部品製造工場、住居部品工場等を同地域のフリーゾーン内に建設することについて関心を示した。(30日)
(4)その他
(イ)ガソリン価格に関する報道振り:「コ」自動車所有者で構成された団体の分析によると、世界的な石油価格の下落にもかかわらず、当国ではガソリン価格が1ガロン7,481ペソで凍結されているため、適正とされる価格(5,532ペソ)よりも35%程度高く支払っていることになっている。(19日)
(ロ)世界観光機関(UNWTO)発表:2003年から2008年にかけて、コロンビアはウリベ大統領が推進する民主主義確立のための治安対策や「コ」政府の観光客誘致キャンペーンを通じ、観光分野で大きな発展を見せており、同国に対する各国のイメージの回復プロセスは他国への模範となる。(28日)
(ハ)ウリベ大統領及びクラウス世界経済フォーラム総裁発表:2010年3月~4月に開催されるラ米世界経済フォーラムの開催地として、当国カルタヘナ市が選ばれた。選定された理由としては、近年の投資家への信頼及び民主主義のための治安対策が評価されたものであると同時に、同国への投資促進というコロンビア独自の目論見もある。(30日)
(ニ)プラタ商工観光相発表:今後数ヶ月の間に、「コ」アトランティコ県及びアンティオキア県において、健康に関するフリーゾーン2箇所を設置予定。同地域では1000人の新規雇用の創出が期待されている他、国内及び国外に向けた健康製品及びサービスの供給地となる見込み。(22日)
(ホ)「コ」大統領府発表:エドゥアルド・ムニョス前商工観光次官(国際通商担当)の後任として、ガブリエル・ドゥケ新次官が就任。ドゥケ新次官は、対米FTA交渉官として交渉に当たった経験があり、今後の対メキシコFTA改定交渉や独、英国、仏、印、韓国等との投資協定交渉におけるリーダーシップの発揮が期待される。(27日)
(ヘ)「コ」花卉輸出者協会発表:本年2月のバレンタイン・デー向けの1月の花卉の輸出額は、世界経済危機の影響は見られず、前年同期比16.6%増となった。(2月2日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)実質経済成長率
(イ)スルアガ蔵相の経済成長率予測 3.5%(2008年)、3.0%(2009年)
(ロ)ロバート・シュタイナーFedesarrollo理事長予測 3.0%(2009年)
(ハ)ウリベ中央銀行総裁 2.5%(2009年)
(ニ)国連ラ米・経済委員会(CEPAL) 2.0%(2009年)
(2)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)11月の新規建設着工面積 111.6万㎡(8.7%減)
(ロ)年初来11ヶ月間の新規建設着工面積 1,562.3万㎡(9.9%減)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)2008年のコーヒー輸出量 1,108.5万袋(1,130.0万袋)
(ロ)2008年のコーヒー生産量 1,147.8万袋(1,261.8万袋)
(4)金利(出所:中央銀行):1月末の政策金利 9.00%(9.50%)
(5)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来11ヶ月間の輸入額 366.03億ドル(300.63億ドル 21.8%増)
(ロ)年初来11ヶ月間の輸出額 346.63億ドル(268.15億ドル 29.3%増)
(6)雇用(12月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 10.6%(9.9%)
(ロ)全国推定失業者数 209.9万人(191.7万人)
(ハ)失業率主要13都市平均 10.9%(10.2%)
(7)為替(1月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,243.59ペソ
(ロ)月末 2,420.26ペソ
(ハ)最高値 2,197.72ペソ(6日)
(ニ)最安値 2,420.26ペソ(30日)
(8)株式指数(1月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 7,560.680ポイント
(ロ)月末 7,728.296ポイント
(ハ)最高値 7,855.653ポイント(6日)
(ニ)最安値 7,502.646ポイント(20日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)1月(対前月比) 0.59%(1.06%)
(ロ)2008年2月からの12ヶ月間 7.18%(6.00%)
(10)投資(出所:商工観光省)
2008年1~9月の対内直接投資 80.43億ドル(66.49億ドル 21%増)
(11)ガソリン価格(2009年2月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,476.79ペソ(前月と同じ)
(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)2008年の自動車販売台数 219,498台(253,034台)
(ロ)2008年12月の自動車販売台数 14,550台(21,465台)