コロンビア月例報告(2月分)
経済情勢
2009年3月18日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●「コ」政府は、「13日、ボゴタ首都区において開催されていた、コロンビア、ペルー及びエクアドルの対欧州連合(EU)自由貿易協定交渉第1ラウンドが終了。今後本年3月にリマで第2ラウンド交渉を、同5月にブリュッセルで第3ラウンドを、同6月に上記アンデス諸国のいずれかの都市において第4ラウンド交渉を開催予定。」と発表した。
●ウリベ大統領は、「独メルケル首相と会談を行い、「コ」・独投資協定及び二重課税防止条約締結を提案。また、メルケル首相はEUとのFTA交渉に関し、アンデス共同体(CAN)諸国がそれぞれ異なった速度で交渉を進展させることに合意。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、「Pekka Huhtaniemiフィンランド外務省次官及び12のフィンランド企業が当国訪問。同次官との会合で本年後半にフィンランドと投資協定交渉を行い、その後二重課税防止条約交渉を進めることで合意した。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、「当国税関・関税審議会(AAA)は今般セメント価格が2008年末と比べ20%程度上昇しており、建設業界に与える影響が大きいことから、時限措置として同輸入関税を10%から0%にすることを決定した。」と述べた。
●商工観光省は、「2008年にコロンビアを訪問した外国人数は、前年比16.2%増の230万人となった。政府としては、各国にコロンビアの国としてのイメージアップを図っていく他、旅行業におけるビジネス環境の改善、渡航情報の改善を働きかけていく。」と発表した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する米スポークスマン発言:オバマ大統領は、対「コ」FTAについて米経済対策との関連から、慎重さを維持している。また、コロンビアは基本的人権への侵害といった課題に対処していない。(12日)
(2)対欧州連合(EU)FTA交渉に関する関係者の発言
(イ)「コ」政府発表:13日、ボゴタ首都区において開催されていた、コロンビア、ペルー及びエクアドルの対欧州連合(EU)自由貿易協定交渉第1ラウンドが終了。同交渉ではコロンビア、ペルー、エクアドルが個別にEU側と交渉を行った。今後本年3月にリマで第2ラウンド交渉を、同5月にブリュッセルで第3ラウンドを、同6月に上記アンデス諸国のいずれかの都市において第4ラウンド交渉を開催予定。
(ロ)パルド・コロンビア自由貿易協定(FTA)等交渉代表:本交渉は財、サービス、農牧業、知的所有権、投資、市場参入にあたっての技術的障害、技術基準、政府調達等の計13分野に分かれて行われ、アンデス共同体(CAN)・EU間で1度も交渉されなかった知的所有権分野を含むすべての分野で進展があった。EU側は、ゼロ関税の範囲について、現在の対EU輸出特恵関税スキームであるSGP+が適用されている範囲とする提案を行った。これにより、コロンビアの対EU輸出産品の97.8%がカバーされることとなる。
本ラウンド交渉の進捗については満足しており、ウリベ大統領からは本年6月までに同交渉をまとめるよう指示があったが、それを達成する見込みが立った。(14日)
(ハ)EUとのバナナ関税問題に関する世界貿易機関(WTO)発表:EUは、ラ米の主要バナナ輸出国に対し、和解策として現在1トン当たり176ユーロの関税を2019年に同114ユーロに引き下げることを提案。(24日)
(3)対ドイツ関係に関するウリベ大統領発言:「コ」・独間の通商、投資強化また企業の競争力強化及び質の高い雇用の創出を目的として、投資協定及び二重課税防止条約締結を提案。また、メルケル首相は「コ」及びペルーのEUとのFTA交渉に関し、アンデス共同体(CAN)諸国がそれぞれ異なった速度で交渉を進展させることに合意。(3日)
(4)対フィンランド関係に関するプラタ商工観光相発言:Pekka Huhtaniemiフィンランド外務省次官及び12のフィンランド企業が当国訪問。同次官との会合で本年後半にフィンランドと投資協定交渉を行い、その後二重課税防止条約交渉を進めることで合意。フィンランド企業は今後の主な投資分野として、通信、森林保護、環境、海運、金属機械等の分野に興味を示している。(24日)
(5)対ベネズエラ関係に関するドゥケ商工観光省次官(国際通商担当)発言:長期的な貿易関係を保証するため、「コ」・「ベ」国境付近の企業から「ベ」とのFTA締結の要望があり、商工観光省として交渉準備を開始。(12日)
(6)ウリベ大統領等の伯公式訪問に関する報道概要:16日及び17日、ウリベ大統領はベルムデス外相、プラタ商工観光相、「コ」企業代表団とともに両国経済関係強化等を目的として伯を訪問。ルーラ大統領との会談において、「コ」・伯両国は、森林資源及び食糧供給に影響を与えることなくバイオ燃料の増産を達成していることを強調。
ルーラ大統領は、「コ」に対しドルに依存することなく自国の通貨で通商を行い、後々には南米全体へ拡大させることを提案し、ウリベ大統領も理解を示した。
ウリベ大統領は、伯国営石油会社「Petrobras」社に対し、当国カルタヘナ市の石油精製所拡張プロジェクトでスイス企業「Glencore」社が撤退の意向を表明したのを受け、同プロジェクトに参加するよう要請した。これに対し、「PetroBras」社も同プロジェクトの参加に興味を示した。(18日)
(7)対中国関係
(イ)中国習近平国家副主席の当国訪問に関する大統領府発表:サントス副大統領及び習近平中国国家副主席は、経済・技術協力、災害支援、健康、投資・ビジネス振興等からなる7つの協定に署名。この協定により、総額580万ドルの支援が「コ」に対して行われる。
主なものとしては、社会保障省と中国伝統医薬品庁との間で漢方薬等の伝統技術、教育、衛生基準に関し意見交換を行うとともに、当国に2つの新たな研究所を設立する他、中国国家開発銀行とコロンビア通商銀行(Bancoldex)が協定を結び、資金協力を通じ両国間の情報交換及びビジネス環境の改善を目指す内容。
またサントス副大統領は、2008年11月に署名された中国・「コ」投資協定が今後中国からの投資を加速させることに期待するとともに、APEC加盟について加盟モラトリアム解除後は、コロンビアの加盟について支援を要請。さらに同副大統領は、本年3月のIDB総会の折に中国のIDB加盟を発表することの重要性を協調。(16日)
(ロ)プラタ商工観光相発言:第3回ラ米・中国企業サミットの開催地として、コロンビアが選ばれた。同サミットは2009年末に開催予定であり、約500社が参加予定。同サミットを利用し、中国側から当国のAPEC加入の支援を取り付けるよう働きかけていく。(23日)
(8)韓国企業の「コ」プロジェクト参入可能性:韓国企業「Samsung」社及び「Hyundai」社は「コ」及びラ米の首都交通システム整備事業等に参入の意向を示した。同社は、新たな道路を建設することなく渋滞を緩和するため、最新技術を使ったコンピューター制御による、都市交通管理を行うとしている。(26日)
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)IDB総会時におけるインフラセミナーの開催(25日)
(ⅰ)「コ」政府発表:本年3月27日から31日にかけて当国メデジン市において対内直接投資誘致等のため、フォーラム「Feria Expodesarrollo 2009」を開催し、40兆ペソを超える30件のインフラ・プロジェクトを紹介する。同セミナーでは、ボゴタ首都区-サンタマルタ市(当国大西洋岸主要貿易港)連結道路「ルータ・デル・ソル」、ボゴタ首都区近郊鉄道、国営発電会社「Isagen」社の株式売却計画や、発電所建設計画等の大型プロジェクトが含まれる。
(ⅱ)レンテリーア国家企画庁(DNP)長官:インフラプロジェクトや住居関係プロジェクトは各省庁にまたがるものであるが、今次セミナーは当国インフラプロジェクトに興味のある投資家が必要な情報を一カ所で入手できるように開催するもの。
(ⅲ)スルアガ蔵相:本セミナーは、各プロジェクトの実施に必要な資金調達先を確保するという点において重要。
(ロ)公共事業民活公社(INCO)発表:24日、ボゴタ・サンタマルタ間2車線道路建設プロジェクト「ルータ・デル・ソル」の入札プロセスとして仕様書の配布を開始。総費用は、25億ドルを想定。また、ボゴタ-ビジャビセンシオ間道路2車線プロジェクトについても近く入札を開始する予定。(24日)
(ハ)カルタヘナ港湾公社発表:現在建設中のカルタヘナ市新規港湾は、総投資額2.5億ドルであり、完成すれば1,200人の新規雇用創出が期待されている。現在環境省による環境への影響調査が行われており、今後3年以内に共用が開始される見込み。(5日)
(2)コロンビア経済に関する関係者の発言
(イ)スルアガ蔵相:世界的な金融危機や近隣国の景気減速による問題はあるが、「コ」各種経済指標は良好であり、本年成長率予想の3%は達成できると考える。1月にはグローバル国債10億ドルを発行した他、物価上昇率も前年より低い数値で推移している。(16日)
(ロ)ウリベ大統領発言:「コ」政府はコロンビア貿易銀行(Bancoldex)を通じ、国境地域における中小企業支援のため、雇用創出及び同地域における商業進行を目的とした総額1630億ペソのファイナンスを実施。(28日)
(3)その他
(イ)為替相場に関するウリベ中央銀行総裁発言:現在食料品の国際価格の低下と需要の減少により、今般のペソ安ドル高傾向はあるが、国内市場における物価への影響は今後数ヶ月間は軽微なものとなろう。また、現在当国ではガソリン価格が凍結されておりインフレの懸念材料であり、ガソリン価格の引き下げはインフレ圧力を緩和することになるので、ガソリン価格凍結には賛成できない。(13日)
(ロ)観光客数に関する商工観光省発表:2008年にコロンビアを訪問した外国人数は、前年比16.2%増の230万人となった。政府としては、各国にコロンビアの国としてのイメージアップを図っていく他、旅行業におけるビジネス環境の改善、渡航情報の改善を働きかけていく。(21日)
(ハ)オジョス全国テレビ委員会(CNTV)発言:本年末にはクンディナマルカ、ボヤカ、アンティオキア、カルダス、トリマ各県で、「コ」総人口の42%、115市町村で地上デジタル放送が視聴可能となる。(18日)
(ニ)レストレポIDB総会事務局長発言:当国メデジン市で開催されるIDB第50回年次総会は、各国から多くの参加者が予定されているが、ウリベ大統領及び同大統領が推進してきた治安対策が認識され、コロンビアに対する信頼が増すことになると考える。(15日)
(ホ)大統領府発表:大統領選挙出馬のため辞任したアリアス農相の後任として、アンドレス・フェルナンデス現農業庁(ICA)長官が就任。(9日)
(ヘ)大統領府発表:中央銀行フアン・マリオ・ラセルナ委員及びレオナルド・ビジャール委員の後任として、フアン・パブロ・サラテ大蔵省次官及びセサール・バジェホ・マニサレス市立大学学長が就任。サラテ次官の後任は、ナタリア・サラサール現大蔵省マクロ経済政策局長が昇格する。(28日)
(ト)セメントの関税に関するプラタ商工観光相発表:当国税関・関税審議会(AAA)は、今般セメント価格が2008年末と比べ20%程度上昇しており、建設業界に与える影響が大きいことから、時限措置として同輸入関税を10%から0%にすることを決定。(11日)
(チ)電気自動車の輸入に関するプラタ商工観光相発言:当国における電気自動車の消費促進及び排気ガス削減のため、本年100台に限り電気自動車の輸入関税を0%とすることを決定。主な輸入先として米国、日本、インド等を想定。本施策により、「コ」への対内直接投資及び新規雇用創出に期待。(19日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)2008年12月の新規建設着工面積 137.3万㎡(27.7%減)
(ロ)2008年全体の新規建設着工面積 1,699.6万㎡(11.7%減)
(2)金利(出所:中央銀行):2月末の政策金利 8.00%(9.75%)
(3)貿易(出所:DANE)
(イ)08年の総輸入額 396.68億ドル(328.97億ドル 20.6%増)
(ロ)08年の総輸出額 376.26億ドル(299.91億ドル 23.0%増)
(4)雇用(1月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 14.2%(13.1%)
(ロ)全国推定失業者数 283万人(268万人)
(ハ)失業率主要13都市平均 14.9%(12.4%)
(5)為替(2月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,420.26ペソ
(ロ)月末 2,555.89ペソ
(ハ)最高値 2,420.26ペソ(1日)
(ニ)最安値 2,596.37ペソ(24日)
(6)株式指数(2月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 7,728.296ポイント
(ロ)月末 7,807.860ポイント
(ハ)最高値 8,055.789ポイント(6日)
(ニ)最安値 7,515.070ポイント(24日)
(7)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)2月(対前月比) 0.84%(1.51%)
(ロ)年初来2ヵ月間 1.43%(2.58%)
(ハ)2008年3月からの12ヵ月間 6.47%(6.35%)
(8)対外債務(出所:中央銀行)
(イ)11月末現在対外債務 459.05億ドル(438.66億ドル)
(ロ)対名目GDP比 18.9%(21.1%)
(ハ)うち公的債務 288.66億ドル(283.05億ドル)
(ニ)うち民間債務 170.39億ドル(155.61億ドル)
(9)ガソリン価格(2009年3月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,476.79ペソ(前月と同じ)
(10)外国からの送金額(出所:中央銀行)2008年 48.48億ドル(7.8%増)
(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
2009年1月の自動車販売台数 13,848台(17,485台)