コロンビア月例報告(3月分)
経済情勢
2009年4月21日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●コレア・エクアドル大統領は、「我々は今般実施している約650品目の輸入制限等のセーフガードを見直ししない。対話の道は開かれているが、アンデス共同体(CAN)が同措置の見直しを要求するのであれば、我々はCANを去らざるを得ない。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、「約1年にわたる交渉を経て、5日、インドとの投資協定に署名。同協定により、投資に関する明確な基準が設定されるとともに、当国におけるインドからの投資の増加、新規雇用の創出に期待。」と述べた。
●ガイトナー米財務長官は、当国で開催されたIDB総会において、「米政府は今般の金融危機の迅速な解決及び世界経済への波及を避けるため努力する。また、保護主義を避け、開かれた通商政策を維持するよう各国に要請する。」と述べた。
●ベルムデス外相は、「今次IDB総会は同機関への各国からの増資について、各国政府代表の間で合意に達したこと等成果があった。また、同総会を通じコロンビアのイメージを投資、労働、観光を行える国として世界に認知される上でも重要であった。更には、アジア、欧州、カリブ、ラ米、米国の代表者が一堂に会し、協議を行ったという意義も大きい。」と述べた。
●ビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁は、「2009年の製造業はマイナス成長になると予測するが、中央銀行の今般の政策金利及び預金準備率の引き下げが同業界にプラスに作用し、2009年後半は回復の兆しを示すと考えられ、2008年第4四半期のような大幅なマイナス成長(前年同期比▲8.0%)になるとは考えにくい。」と述べた。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言
(イ)カーク通商代表:「コ」の市場に関する両国関係強化を目的として、プラタ商工観光相と会談を実施。新たな米通商代表部メンバー及び米議会議員との今後の取組について協議した。また、4月17日から19日までトリニダード・トバゴで開催される第5回アメリカサミットの際の二国間会談についても合意。(28日)
(ロ)ブラウンフィールド駐「コ」米大使:「コ」企業は対米FTAの批准を待たずに、米・「コ」の良好な通商関係強化のために存在するアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の枠組みを引き続き活用することを推奨した。(26日)
(ハ)オバマ大統領:本年の米政府の通商アジェンダとして、まずパナマとのFTAについて「比較的早く」取り組む他、「コ」とのFTAに関しては、「前進する方向」で米議会承認に向けて取り組む。(3日)
(2)対欧州連合(EU)FTA交渉に関するプラタ商工観光相発言:23日から27日にかけて、リマにおいてEU・コロンビアFTA第2ラウンド交渉を実施。工業製品及び水産部門における市場アクセスのテーブルで特に前進があった他、全ての交渉テーブルにおいて前進が見られた。欧州側は、FTAの適用範囲の拡大の提案を行い、「コ」の対EU通商産品の97.8%がカバーされる予定。次回第3ラウンドは、5月4日から8日までベルギーで開催される予定であり、欧州からの輸入産品のFTA適用範囲がどこまでとなるかが焦点となる。(30日)
(3)対アンデス共同体(CAN)諸国関係
(イ)ウリベ大統領:本年1月のチャベス大統領との会談の際に提案した、「コ」政府は「コ」・「ベ」経済の成長促進のため、通商関係の協定を前進させる用意がある。(4日)
(ロ)ベルムデス外相:「ベ」・「コ」両国は、同国中小企業支援のための総額2億ドルの基金の設立や、経済関係を補完する法的枠組みについて検討を進めている他、バイオ燃料を含めたエネルギーに関する5つの交渉テーブルを立ち上げたこともあり、二国間関係は良好である。(28日)
(ハ)コレア・エクアドル大統領:我々は今般実施している約650品目の輸入制限等のセーフガードを見直ししない。対話の道は開かれているが、CANが同措置の見直しを要求するのであれば、我々はCANを去らざるを得ない。(30日)
(4)対メキシコ通商関係等に関するサラサール在墨「コ」大使発言:「コ」・墨間では、メソアメリカ開発イニシアチブの創設やFTAの再締結を通じた二国間関係強化に取り組んでいる。現在墨・「コ」通商関係は、墨の輸出超過である。また、現在までの「コ」における墨からの投資額の累計は52億ドルであるが、墨における「コ」の投資は1.3億ドルに止まっている。(16日)
(5)対韓国関係に関する商工観光省発表:商工観光省と韓国外交通商省は、工業通商協力に関するMOUを締結。同MOUにより、通商、投資、技術協力面における関係強化が期待される他、将来のFTA交渉の開始も期待されている。(16日)
(6)対インド関係に関するプラタ商工観光相発言:約1年にわたる交渉を経て、5日、インドとの投資協定に署名。同協定により、投資に関する明確な基準が設定されるとともに、当国におけるインドからの投資の増加、新規雇用の創出に期待。インドは、医薬品、ソフトウェア産業等のセクターにおける資金及び技術の主要な供給国となっており、経済大国である。(8日)
(7)第50回米州開発銀行(IDB)年次総会(於:当国メデジン市、27日~31日)の関係者の発言等(30日、31日)
(イ)ガイトナー米財務長官:米政府は今般の金融危機の迅速な解決及び世界経済への波及を避けるため努力する。また、保護主義を避け、開かれた通商政策を維持するよう各国に要請。
(ロ)中国が48番目の加盟国としてIDBに加入。同国は、本年にラ米地域に少なくとも2000億ドルを投資する予定。
(ハ)ベルムデス外相:今次総会はIDBへの増資について、各国政府代表の間で合意に達したこと等成果があった。同目的のため本年4月には、IDB理事会において詳細について議論されることとなった。また、同総会は、当国のイメージを投資、労働、観光を行える国として世界に認知される上でも重要であった。更には、アジア、欧州、カリブ、ラ米、米国の代表者が一同に開始、協議を行ったという意義も大きい。
(ニ)モレノIDB総裁:IDBは、ラ米地域の経済において発展を持続させ、貧困の削減への道を継続させるという重要な役割を担っている。中国がIDBの新たなメンバーとして加入したことにより、同地域の発展が加速されることになる。
(ホ)レンテリーア国家企画庁(DNP)長官発言:IDB年次総会開催に合わせ、「コ」政府はさらなる外国投資誘致のための、インフラプロジェクトを紹介するセミナー「Expo Desarrollo」を開催。115計画、総額360億ドルについてプレゼンテーションが行われた。結果、アジア、米国、欧州等の各企業が参加し、コロンビア政府等との間で合計1,391の会合が行われた。
<国内情勢>
(1)コロンビア・インフラ基金設立に関する「コ」政府発表:IDB総会の場において、IDB、アンデス開発公社(CAF)がコロンビア貿易銀行(Bancoldex)との間でコロンビア・インフラ基金設立に合意。第1フェーズとして5億ドルが拠出される。同基金を通じ、国内投資家、年金基金、保険会社の資金、国際投資家、マルチ機関からの資金の集約が期待される。主な投資分野としては、エネルギー、情報通信、道路、鉄道、港湾、空港等多岐にわたっている。(4月1日)
(2)「コ」経済に関するスルアガ蔵相発言:「コ」政府は2008年の成長については、悪い結果を期待していなかったが、今般の金融危機の影響を最小限に抑えるため、インフラ整備やその他の財政支出が必要。今後の財政出動にあたっては、効率的な投入が必要である。(30日)
(3)2009年の経済成長率に関するビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁発言:2009年の製造業はマイナス成長になると予測するが、中央銀行の今般の政策金利及び預金準備率の引き下げが同業界にプラスに作用し、2009年後半は回復の兆しを示すと考えられ、2008年第4四半期のような大幅なマイナス成長(前年同期比▲8.0%)になるとは考えにくい。(25日)
(4)企業情報に関する報道振り:ベネズエラ及びエクアドルの「コ」産自動車の輸入規制の影響により、「コ」自動車組立会社及び同国自動車部品会社は、現在まで約4億ドルの損失が生じた他、約7,000人の雇用を削減した。(6日)
(5)ガソリン価格に関するマルティネス鉱山・エネルギー相発言:将来の石油価格上昇に備えるための基金への原資とするため、当国のレギュラー・ガソリン価格を凍結していたが、同凍結措置を6月まで継続することを決定。(17日)
(6)「コ」国内産業奨励策に関するウリベ大統領発表:コロンビア貿易銀行(Bancoldex)を通じ、国内産業の雇用維持及び業績悪化を防止のため、「コ」国内で生産された自動車及び家電製品を購入する消費者に対し、低利及び長期の総額5億ドルの特別融資を実施する。(7日)
(7)若者の雇用対策に関する「コ」政府発表:国立職業訓練センター(SENA)を通じ、18歳から30歳の若者約23.5万人を対象とした、18ヶ月間の新技術の職業訓練を新たに実施。同プログラムは、今般の金融危機を受け国内の雇用維持のため実施するもので、今次プログラム実施費用の1.1兆ペソはコロンビア国債(TES)としてSENAが保有している資産から調達する。(19日)
(8)シンガポール航空の動向に関するプラタ商工観光相発表:シンガポール航空の経営陣は、「コ」政府に対し、第一段階として同国への貨物機の定期就航を提案。本年6月に同航空会社代表団が「コ」を訪問し、同就航実現のための協定について協議を行う予定。(24日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)経済成長率(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)2008年第4四半期の実質GDP成長率:▲0.7%(8.1%)
(ロ)2008年全体の実質GDP成長率:2.5%(7.5%)
(ハ)2008年全体の各セクター別成長率
農林水産業2.7%(3.9%)
鉱山等探査 7.3%(2.9%)
製造業 ▲2.0%(9.5%)
電気、ガス、水道 1.2%(3.7%)
建設 2.8%(11.5%)
商業(レストラン、ホテル等)1.3%(8.7%)
運輸・通信 4.0%(11.0%)
金融・保険・不動産 5.6%(7.3%)
サービス業 2.1%(4.7%)
製品及び輸入品の税金等収入-補助金 3.3%(11.5%)
(ニ)2009年の経済成長率予測
大蔵省 3.0%
中央銀行 1~3%
S&P社 2.0%
経済アナリスト ▲2%
国内経済アナリスト 1.5%
(2)新規建設着工面積数(出所:DANE)
1月の新規建設着工面積 106.4万㎡(29.8%減)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)2月の生産量 86.8万袋(109万袋)
(ロ)年初来2ヵ月間の生産量 174.4万袋(249.4万袋)
(ハ)2月の輸出量 94.3万袋(119.4万袋)
(ニ)年初来2ヵ月間の輸出量 181.1万袋(222.3万袋)
(4)金利(出所:中央銀行):2月末の政策金利 7.00%(9.75%)
(5)貿易(1月)(出所:DANE)
(イ)輸入額 27.83億ドル(29.37億ドル 5.2%減)
(ロ)輸出額 24.61億ドル(28.35億ドル 13.2%減)
(6)雇用(2月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 12.5%(12.0%)
(ロ)全国推定失業者数 253万人(251万人)
(ハ)失業率主要13都市平均 13.1%(12.7%)
(7)為替(3月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,555.89ペソ
(ロ)月末 2,544.24ペソ
(ハ)最高値 2,335.29ペソ(19日)
(ニ)最安値 2,590.97ペソ(2日)
(8)株式指数(3月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 7,807.860ポイント
(ロ)月末 8,022.970ポイント
(ハ)最高値 8,039.130ポイント(24日)
(ニ)最安値 7,610.560ポイント(2日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)3月(対前月比) 0.50%(0.81%)
(ロ)年初来3ヵ月間 1.94%(3.41%)
(ハ)2008年4月からの12ヵ月間 6.14%(5.93%)
(10)対内直接投資(出所:中央銀行、貿易振興公社)
2008年の対内直接投資 105.64億ドル(90.49億ドル、16.7%増)
(11)対外債務(出所:中央銀行)
(イ)2008年12月末現在対外債務 463.92億ドル(445.53億ドル)
(ロ)対名目GDP比 19.2%(21.4%)
(ハ)うち公的債務 294.47億ドル(288.19億ドル)
(ニ)うち民間債務 169.45億ドル(157.34億ドル)
(12)ガソリン価格(2009年4月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,476.79ペソ(前月と同じ)
(13)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)2月の自動車販売台数 15,826台(18,281台)
(ロ)年初来2ヵ月間合計 29,474台(36,229台)