コロンビア月例報告(4月分)
経済情勢
2009年6月3日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●カーク米通商代表は、「オバマ政権は、ブッシュ前政権中に交渉を行った対パナマ、コロンビア及び韓国とのFTAについて、同FTAの承認は議会事項であるが、現在の状況を進展させることを約束する。」と述べた。
●ダビンズ英国際労働組合総裁は、「米議会議員と同様、英議会議員団は他の欧州諸国の議員に対し、「コ」における労働組合に対する基本的人権がある程度尊重されるようになるまで、「コ」・EU間のFTA交渉を凍結するよう働きかけるべきである。」と述べた。
●「コ」政府発表は、「14日、ウリベ大統領はチャベス大統領と会談。同会談において、「ベ」が本年のコロンビアからの輸入車枠として、1万台を設定する旨表明。また、「コ」・「ベ」国境地域の中小企業支援のため、総額2億ドルの基金を設立する点についても合意。」と発表した。
●ウリベ中央銀行総裁は、「国際通貨基金(IMF)が当国の本年の経済成長率を0%としたのをはじめ各国際機関がGDP成長率を変更したが、中央銀行としては本年のGDP成長率予測を製造業、建設業、商業の販売動向等を精査した結果、0.5%から1.5%の範囲に下方修正する。」と述べた。
●「コ」政府は、「レンテリーア国家企画庁(DNP)長官が退任し、後任として、ホルヘ・ウンベルト・ボテロ新長官が就任。レンテリーア前長官は世界銀行コロンビア代表部代表となる。」と発表、また、「本年3月に退任したロサーノ環境・住居・国土開発大臣の後任としてカルロス・コスタ大臣が就任。」と発表した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言等
(イ)報道:30日、プラタ商工観光相とカーク米通商代表との間で米・「コ」FTAに関し会合が行われた結果、米・「コ」両国政府は同FTA承認を阻害している問題を検討するための作業チームを組織することで合意。同チームの第1回目の会合は今後数週間のうちに開催される予定。(5月2日)
(ロ)カーク米通商代表:オバマ政権は、ブッシュ前政権中に交渉を行った対パナマ、コロンビア及び韓国とのFTAについて、同FTAの承認は議会事項であるが現在の状況を進展させることを約束する。(24日)
(2)対欧州連合(EU)とのFTAに関する関係者の発言等
(イ)報道内容:5月4~8日にかけて、ブリュッセルにおいてコロンビア、エクアドル及びペルーとEUとのFTA締結交渉第3ラウンドが開催予定。6月の第4ラウンドでの合意が期待されており、9月には同協定への署名が予定されている。(5月2日)
(ロ)ダビンズ英国際労働組合総裁:米議会議員と同様、英議会議員団は他の欧州諸国の議員に対し、「コ」における労働組合に対する基本的人権がある程度尊重されるようになるまで、「コ」・EU間のFTA交渉を凍結するよう働きかけるべきである。(9日)
(3)対ロシア関係に関するベルムデス外相発言:「コ」政府は、通商、投資、観光及び麻薬取引対策及び対テロリズムへの協力といった分野においてロシアとの関係強化を希望。(28日、第4回コロンビア・ロシア協力委員会において)
(4)対ベネズエラ(CAN)関係
(イ)「コ」政府発表:14日、ウリベ大統領はカラカスにおいてチャベス大統領と会談。同会談において、「ベ」が本年のコロンビアからの輸入車枠として、公共交通用車両、一般家庭用車両5,000台、輸送用車両を5,000台の1万台を設定する旨表明。また、「コ」・「ベ」国境地域の中小企業支援のため、総額2億ドルの基金を設立する点についても合意。(15日)
(ロ)プラタ商工観光相:「ベ」政府の今次決定は、「コ」国内に自動車組立工場を持つ企業、特に「ベ」との関係を強化しているCCA社(マツダ)、GM、日野自動車等にとっては良い知らせであるとともに、同業界の雇用維持につながる。他方、2008年の当国の対「ベ」輸出実績が15,000であり、同数字と比べると満足できる数値ではない。(15日)
(ハ)マルティネス鉱山・エネルギー相:2012年から「ベ」から石油輸入のためのパイプライン建設の進捗状況、特に「ベ」国内の状況に関し懸念を持っている。現在、2007年10月より、第一段階として当国から「ベ」に対して2億立方フィートの原油を輸出している。(3日)
(ニ)プラタ商工観光相発言:「ベ」政府は同国送金管理委員会(Cadivi)が「ベ」輸入業者が「コ」企業に対する債務返済のための送金について、承認手続きを迅速に行うよう要請。同債務は約2.6億ドルであり、主に、化粧品、被服、金属機械、農産加工業、自動車等多岐に渡っている。また、両国の通商関係を規定する協定については、「ベ」がアンデス共同体(CAN)から脱退後も有効であった関係協定が失効する時期(2011年11月)を考慮に入れつつ、案文が既に用意されている。(21日)
(5)対エクアドル関係に関する「コ」・「エ」商工会議所発表:本年の「コ」・「エ」取引額は、「エ」政府が実施している輸入制限措置及び世界的な金融危機の影響により、約20%減少し、約4.6億ドルとなる見込み。(25日)
(6)日・「コ」投資協定に関する報道:24日、東京において日・「コ」投資協定締結第1ラウンド交渉が終了。本協定の目的は国際的な基準の下、投資促進のため法的枠組みを設定することである。第1ラウンドは同協定の内容に基礎や今後の見通しに関する協議が行われた。2008年の日本からの対内直接投資実績は前年比42%増の1300万ドルとなっている。(25日)
<国内情勢>
(1)トラック購入規制に関するガジェゴ運輸相発言:「コ」政府はボゴタ首都区、メデジン市、カリ市においてトラックを廃棄しており、本年3月31日までに477台の貨物トラックを含む1,846台について処分を行い、費用は60億ペソであった。また、必要文書の不足等、手続き的な問題によりそれぞれの自動車の廃棄プロセスは平均で約35日かかっている。(21日)
(2)インフラ関係
(イ)「コ」政府発表:本年第2四半期に、経済対策として大量交通輸送システム建設計画、エル・ドラド国際空港拡張計画、ブエナベントゥーラ地区の2つの新規港湾建設計画、カリブ海沿岸の他の港湾等拡張計画等のプロジェクトの実施を推進。(30日)
(ロ)ボゴタ首都区メトロ建設計画に関するウリベ大統領等の発言:コ」政府は、ボゴタ首都区近郊鉄道建設計画、ボゴタ首都区メトロ建設計画及びトランスミレニオ新規路線着工計画に関し、同時に行うことは不可能であるが、将来の予算措置を検討しているため、モレノ・ボゴタ市長及びゴンサレス・クンディナマルカ県知事に対し、できるだけ早期に計画を進めるよう要請。(28日)
(ハ)パナマへの送電線接続プロジェクトに関するウリベ大統領発言:本プロジェクトは、両国の地域統合プロセスの中心的なものであり、コロンビアのコルドバ県にあるセロマトソ送電所からパナマにあるパナマⅡ送電所に電力を送付するもの。本プロジェクトを実施する「Interconecxion Electrica Colombia-Panama」社は、コロンビアの電力会社「ISA」社及びパナマの送電会社「Etesa」社から構成される。(3日)
(3)経済見通し等
(イ)ウリベ中央銀行総裁:本年第1四半期のGDP成長率は、マイナス成長の可能性も含め低い見通しである。また、2008年第4四半期のGDP成長率は▲0.7%であり、数字の面からも「コ」経済が不況期に入っているといえる。しかし、本年第2四半期からは回復の傾向を示すと考えられ、2009年全体の成長率は低いながらもプラス成長になると考える。(14日)
(ロ)ウリベ中央銀行総裁:国際通貨基金(IMF)が当国の本年の経済成長率を0%としたのをはじめ各国際機関がGDP成長率を変更したが、中央銀行としては製造業、建設業、商業の販売動向等を精査した結果、同成長率予測を0.5%~1.5%の範囲に下方修正する。(5月2日)
(ハ)ウリベ大統領発言:経済状況が厳しい現在、新たな対策を実施予定。具体的内容としては、3000万ペソを上限とする住居対策を検討。新規住宅建設の際、国民が負担する利率のうち、政府が3~5%を補助する予定。当国おいて建設業は、多くの新規雇用効果もあり当国経済に与える影響が大きいことに鑑み、本政策を実施することとなった。(25日)
(ニ)ウリベ大統領発言:今般トリニダード・トバゴで開催された米州サミットでは、次の点に関し成果があった。すなわち、(イ)コロンビアが今後4年の間に開催予定での次回米州サミットの開催地となるよう模索する。(ロ)米州開発銀行(IDB)への増資等に伴い、国際機関からの貸し出し枠の増大の必要性を強調。(ハ)オバマ大統領と会談を行い、同大統領から「コ」訪問の可能性について言及があった他、プラン・コロンビアや米・「コ」FTAについて協議することについても合意した。(20日)
(4)財政
(イ)フリーゾーンに関する大統領府発表:ウリベ大統領は、プトゥマジョ、ナリーニョ、ウイラ、カケタ、カウカ各県における2年間期限のフリーゾーンを設置する政令に署名。同フリーゾーンは、今般のピラミッド商法により影響を受けた地域への投資促進を目的として行うもの。税の減免等のフリーゾーンの適用を受けるためには、最低100万ドルの投資及び50人の新規雇用の創出が必要。(7日)
(ロ)国際通貨基金(IMF)からの融資に関する関係者の発言
(ⅰ)スルアガ蔵相:金融危機対策のため、国際通貨基金(IMF)に対し、104億ドルのフレキシブル・クレジットラインの供与を要請。同融資は、今後金融危機でさらなる影響を受けた際の債務の調達や追加的投資を行う際の備えとしての性格を有している。(21日)
(ⅱ)ウリベ大統領:今般の金融危機はいつまで続くかわからないため、いざというときの備えをいつでも使えるようにする必要があるが、いつくかの国で起こっているように債務過多にならないよう慎重に利用する必要がある。「コ」の対外債務は、2002年は名目GDP比48%であったが、2008年は同19%まで減少している他、財政赤字も同0.1%まで減少している。(27日)
(5)衛星に関するゲラ通信相発言:国際標準的な情報通信技術の利用は、国家の経済社会的発展を遂げるための基礎となる。他方、太平洋岸地域、オリノコ川地域及びアマゾン地域等では、当国の地理的な理由により上記サービスを利用できない国民が存在している。これらの人々に対し、同サービスを提供する唯一の手段は衛星通信である。現在政府は、コロンビア衛星計画(SATCOL)を計画しており、2009年6月にも調達のための入札を開始したいと考えている。(17日)
(6)人事に関する大統領府発表
(イ)レンテリーア国家企画庁(DNP)長官が退任し、後任として、ホルヘ・ウンベルト・ボテロ新長官が就任。レンテリーア前長官は世界銀行コロンビア代表部代表となる。ボテロ新長官は、ハーバード大学で経済学を学んだ他、2005年から米州開発銀行(IDB)で専門家として勤務。(4日)
(ロ)新環境大臣に関する大統領府発表:本年3月に退任したロサーノ環境・住居・国土開発大臣の後任としてカルロス・コスタ大臣が就任。コスタ大臣は、世界銀行において気候変動に関する専門家として勤務していた他、水利・気象・環境研究センター、DNP環境政策局長も歴任している。(7日)
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)鉱工業(出所:国家統計庁(DANE))
年初来2ヶ月間の鉱工業生産前年同期比(対前年同期比) ▲11.6%(7.4%)
(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC)
(イ)3月のコーヒー生産量 76.5万袋(87.2万袋)
(ロ)3月のコーヒー輸出量 81.7万袋(90.4万袋)
(ハ)年初来3ヶ月間のコーヒー生産量 250.9万袋(336.6万袋)
(ニ)年初来3ヶ月間のコーヒー輸出量 262.8万袋(312.7万袋)
(3)金利(4月末現在)(出所:中央銀行) 6.00%(9.75%)
(4)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来2ヵ月間の輸出額 48.01億ドル(56.68億ドル 15.3%減)
(ロ)年初来2ヵ月間の輸入額 53.10億ドル(60.16億ドル 11.7%減)
(5)雇用(3月)
(イ)失業率全国平均 12.0%(11.2%)
(ロ)失業率主要13都市平均 14.0%(12.3%)
(6)為替(4月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,544.24ペソ
(ロ)月末 2,288.64ペソ
(ハ)最高値 2,544.24ペソ(1日)
(ニ)最安値 2,288.64ペソ(30日)
(7)株式指数(4月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 8,022.970ポイント
(ロ)月末 8,331.800ポイント
(ハ)最高値 8,362.530ポイント(29日)
(ニ)最安値 8,022.970ポイント(1日)
(8)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)4月(対前月比) 0.32%(0.71%)
(ロ)年初来4ヶ月 2.26%(4.15%)
(ハ)08年5月からの12ヶ月 5.73%(5.73%)
(9)投資(出所:中央銀行)
本年4月17日現在の対内直接投資額 23.00億ドル(14.1%減)
(10)ガソリン価格(5月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,094ペソ(前月比400ペソ減)
(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)3月の自動車販売台数 15,324台(18,122台)
(ロ)年初来3ヶ月間合計 44,798台(54,325台)
(ハ)2009年全体の自動車販売台数予測 185,000台