コロンビア月例報告(5月分)

 

経済情勢

2009年6月19日

在コロンビア日本大使館

 

 

Ⅰ.概要

●プラタ商工観光相は、「今月ブリュッセルで行われたコロンビア、エクアドル、ペルーとEUとのFTA交渉第3ラウンドでは、重要な進展が見られた。本年615日からボゴタで開催予定の第4ラウンド交渉で合意に達する可能性が出てきた。」と述べた。

●ウリベ大統領は、「「コ」政府は、ボゴタ首都区大都市交通輸送システム「トランスミレニオ」新規路線整備計画、同メトロ建設計画及びボゴタ近郊鉄道整備計画について、ボゴタ首都区-クンディナマルカ地方統合輸送システム計画の範囲内において少なくとも2500億ペソの援助を行う旨決定。」と発表した。

●ウリベ中央銀行総裁は、「本年の経済成長予測を精査した結果、13%から▲11%の範囲(但し、目標値は0.5%)に下方修正。今般の修正は経済危機の影響により、輸出、当国への投資及び外国からの送金の減少が予想されることによるもの。他方、本年の物価上昇率については、今般の食料品価格の下落及び国内消費に弱い面が見られることから、目標値である年4.55.5%は達成可能。」と述べ、「特に本年の「コ」経済については、物価上昇率の下落、食料品価格の下落、製造業の回復等明るい材料があること及び当国の政策金利について下げる余地が残されていることから、マイナス成長になるとは考えていない。」とした。

●国際通貨基金(IMF)は、「4月に「コ」政府から申請のあった総額105億ドルのフレキシブル・クレジットラインについて、当基金での精査の結果、リスクが低いとして承認を決定。」と発表した。

●スルアガ蔵相は、「今般の金融危機の影響等により、本年の経済成長率は低くなると予想されるが、同危機の影響は2010年も続くと予想。今後の経済対策のため、公的投資を減少させることのないよう、やむを得ず財政赤字及び対外債務が増加することもありうる。」と述べた。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAに関する関係者の発言

(イ)ランジェル米下院環境調停委員長:米・「コ」FTAに関して、米議会が同承認に当たり求めている「コ」における基本的人権の保護等に関し進展が見られたとは考えていないため、オバマ大統領のさらなる仲介が必要。(6日)

(ロ)カーク米通商代表:対コロンビアFTAを含めブッシュ前政権時代に交渉を行ったFTAの米議会承認については、オバマ政権の主要政策目標であり、WTOドーハ・ラウンド交渉よりも優先度は高い。したがって、米議会に対しては早期の上記FTAの承認を要請。(19日)

(ハ)ドノヒュー米商工会議所会頭:米で最も権威のある本商工会議所が、ウリベ大統領とともに米・「コ」FTA早期批准に向け支援を行っていく。(27日)

(2)対欧州連合(EU)とのFTAに関するプラタ商工観光相発言:今月ブリュッセルで行われたコロンビア、エクアドル、ペルーとEUとのFTA交渉第3ラウンドでは、重要な進展が見られた。これにより、本年615日から19日までボゴタで開催予定の第4ラウンド交渉で合意に達する可能性が出てきた。(11日)

(3)フェリペ・スペイン皇太子のコロンビア訪問関係

(イ)フェリペ皇太子:EUとアンデス共同体(CAN)諸国との間で交渉が行われている協定への署名はスペインがEU議長国となる2010年に行われることを期待。また、今次の「コ」訪問の機会に、今後2年間に2.53億ユーロを限度とするクレジット・ラインを含む資金協力協定に署名。(29日)

(ロ)ウリベ大統領:コロンビアへの治安回復等により、当国への体内直接投資が増加しており、今後スペインからの投資増にも期待。(29日)

(4)対カナダ関係

(イ)プラタ商工観光相:カナダ議会が加・「コ」FTA承認にあたり8つの条件(即ち、暴力によって国内避難民となったコロンビア人の数の再検討、労働法制の整備、貧困との戦いのための更なる方策、基本的人権の尊重を訴える団体とのよりよい関係の構築等)を付したとするモレノ当国上院議員の発言は間違いである。加政府は、本件に関し未だ公式なコメントを発出していないばかりか、同FTA実施のための法整備等を約束している。(15日)

(ロ)ベルムデス外相:加を訪問し政府関係者等と協議を行った。その結果、本協定の加議会での承認にあたって、加政府及び野党側からも条件なしでの支援を得た。(30日)

(5)対チリFTA関係

(イ)報道:8日のコロンビア・チリFTA発効を記念し、18日、ボゴタ首都区において、フォーラム「コロンビア・チリ二国間通商の強化及び拡大」が開催。チリからフェルナンデス外相を団長に、コロンビア企業との意見交換を行う等、新たなビジネスチャンスの拡大を目的に通商、サービス及び投資等さまざまな分野から約900社が参加。(19日)

(6)カルデロン墨大統領とウリベ大統領との会談内容に関する報道:ウリベ大統領は、29日、当国メデジン市においてカルデロン墨大統領と会談。同会談でカルデロン大統領より、「コ」との通商及び投資関係を強化したい旨要請があり、墨・「コ」FTAの適用範囲等の拡大を進めていくこと等が合意された。(30日)

(7)対インドに関する報道概要:「コ」・印外交関係樹立50周年を記念し、フォーラム「コロンビアに投資を」が開催された。同フォーラムでプラタ商工観光相及びポンボ貿易振興公社(PROEXPORT)総裁から来訪した印企業に対し、対「コ」投資の利便性について説明。また、インドとは既に投資協定を締結している他、すでにホテル、石油化学、石炭、機械金属、バイオ燃料及び鉱物等の分野において多くのインド企業が参入している旨強調。(62日)

 

<国内情勢>

(1)インフラ関係

(イ)ウリベ大統領:「コ」政府は、ボゴタ首都区大都市交通輸送システム「トランスミレニオ」新規路線整備計画、同メトロ建設計画及びボゴタ近郊鉄道整備計画について、ボゴタ首都区-クンディナマルカ地方統合輸送システム計画の範囲内において少なくとも2500億ペソの援助を行う旨決定。同援助については、モレノ・ボゴタ市長及びゴンサレス・クンディナマルカ県知事との間で覚書(MOU)に署名。(6日)

(ロ)米州開発銀行(IDB)発表:IDBはボゴタ首都区に対し、上記統合輸送システム計画に関し、優遇金利による1000万ドルの借款を承認。(15日)

(ハ)ラ・リネア・トンネル建設計画にアンデス開発公社(CAF)及びインフラ協会発表:本件工事に関し、「コ」政府と落札業者との間で契約書が交わされて5ヵ月経過したが、依然として工事開始のための環境ライセンスに関する合意や建設予定地の土地の取得状況、及び掘削工事等の日程等は明らかになっていない。(15日)

(ニ)ボゴタ-サンタマルタ間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画の報道:「コ」政府は、本道路建設工事の総工費が約25億ドルである等、当国にとって重要なプロジェクトである他、同入札への参加に興味を示している企業からの要請もあり、入札期限を本年827日から930日まで延長することを決定。(23日)

(ホ)プラタ商工観光相発表:当国における中小企業支援及び大規模インフラプロジェクト実施支援のため、民間資金による基金を設立。同基金に対しては、コロンビア貿易銀行(Bancoldex)が1.25億ドル、国内及び外国の投資家からの資金として約5億ドルを予定。(30日)

(2)経済見通し等

(イ)ウリベ中央銀行総裁発表:本年の経済成長予測を精査した結果、13%から▲11%の範囲(但し、目標値は0.5%)に下方修正。今般の修正は、経済危機の影響により、輸出、当国への投資及び送金の減少が予想されることによるもの。他方、本年の物価上昇率については、今般の食料品価格の下落及び国内消費に弱い面が見られることから、目標値である年4.55.5%は達成可能。(9日)

 特に本年の「コ」経済については、物価上昇率の下落、食料品価格の下落、製造業の回復等明るい材料があること及び当国の政策金利について、まだ下げる余地が残されていることから、マイナス成長にならないと考える。(19日)

(ロ)国際通貨基金(IMF)発表:4月に「コ」政府から申請のあった総額105億ドルのフレキシブル・クレジットラインについて、当基金で「コ」の主要経済指標等を精査した結果、リスクが低いとして承認を決定。他方、当基金としては「コ」の2009年の経済成長率について、第1四半期は▲34%2009年全体では▲2.0%と予測する。(22日)

(ハ)ダボーブ世界銀行総裁発言:今般の金融危機対策として、「コ」政府がとった対策を賞賛するとともに、ラ米の手本として世銀としても引き続いて援助していく旨表明。「コ」は、世銀の支援規模から見ても伯、墨についでラ米で3位、世界で9位を占めている。(8日)

(ニ)「コ」政府が定めた国家開発計画について、2008年までの達成目標6項目の内、(a)市民サービスの向上、(b)持続的経済成長、(c)貧困の削減及び雇用の創出の3項目で達成することができなかった。また、2010年までに貧困率を2006年の45%から39.5%に引き下げる目標も達成が難しい状況。(26日)

(3)財政

(イ)国税・税関庁発表:本年1月から4月までの徴税額は、当初予定額を3680億ペソ下回り23.6兆ペソとなった。今般の経済危機の影響により、主に法人税及び銀行取引税の減少が顕著。「コ」政府は本年の経済成長率予測を引き下たが、本年の徴税目標である73.1兆ペソは引き下げない方針。(5日)

 

(ロ)スルアガ蔵相:今般の金融危機の影響等により、本年の経済成長率は低くなると予想されるが、同危機の影響は2010年も続くと予想。今後の経済対策のため、公的投資を減少させることのないよう、やむを得ず財政赤字及び対外債務が増加することもありうる。(6日)

(4)その他

(イ)地上デジタルテレビ方式選定に関する報道:パナマ政府は地上デジタル方式として、ラ米でウルグアイ、コロンビア、仏領ガイアナに次いで欧州方式を選定。他方、伯及びペルーは日本方式、加、墨、ホンジュラス、エルサルバドルは米国方式を選定。エクアドル、ベネズエラは中国方式について試験放送を行っている。チリ、アルゼンチン、パラグアイでは、日本政府からの経済協力、ラ米地域におけるデジタル方式対応テレビ及びセット・トップ・ボックス生産工場設立等の働きかけにより、日本方式への関心が高まっている。(15日)

(ロ)カルタヘナ石油精製施設に関する報道:「コ」石油会社エコペトロール社は、カルタヘナ市の石油精製施設からスイス企業「Glencore」が撤退を表明した件に関し、Glencore社から全保有株式、約5.49億ドルを買い取る旨合意。今後エコペトロール社により、石油精製施設の拡張及び改修プロジェクトが行われる。(28日)

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)鉱工業(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)3月の鉱工業生産指数(対前年同月比) 0.4%(▲9.2%

   (ロ)3月の新規着工申請面積 105.5㎡(127.3万㎡)

   (ハ)年初来3ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲7.5%(1.4%)

   (ニ)年初来3ヶ月間の新規着工申請面積 303.2万㎡(384.5万㎡)

(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC

   (イ)4月のコーヒー生産量 34.5万袋(88.6万袋)

   (ロ)4月のコーヒー輸出量 55.0万袋(91.4万袋)

   (ハ)年初来4ヶ月間のコーヒー生産量 285.4万袋(425.2万袋)

   (ニ)年初来4ヶ月間のコーヒー輸出量 317.8万袋(404.1万袋)

(3)金利(5月末現在)(出所:中央銀行) 5.00%9.75%

(4)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来3ヵ月間の輸出額 75.12億ドル(86.57億ドル 13.2%減)

   (ロ)年初来3ヵ月間の輸入額 79.73億ドル(88.82億ドル 10.2%減)

(5)雇用(4月)

   (イ)失業率全国平均 12.1%11.1%

   (ロ)失業率主要13都市平均 12.9%11.3%

(6)為替(5月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 2,288.64ペソ

   (ロ)月末 2,140.66ペソ

   (ハ)最高値 2,140.66ペソ(29日)

   (ニ)最安値 2,288.64ペソ(1日)

(7)株式指数(5月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 8,331.800ポイント

   (ロ)月末 9,262.720ポイント

   (ハ)最高値 9,262.720ポイント(29日)

   (ニ)最安値 8,331.800ポイント(1日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)5月(対前月比) 0.01%0.93%

   (ロ)年初来5ヶ月 2.28%5.12%

   (ハ)086月からの12ヶ月 5.73%6.39%

(9)対外債務(出所:中央銀行)

   (イ)2月末現在対外債務 466.39億ドル(449.41億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 22.2%18.5%

   (ハ)うち公的債務 299.42億ドル(291.91億ドル)

   (ニ)うち民間債務 166.97億ドル(157.50億ドル)

(10)ガソリン価格(6月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

   レギュラーガソリン1ガロン 7,094ペソ(前月と同じ)

(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

   (イ)4月の自動車販売台数 13,447台(20,991台)

   (ロ)年初来4ヶ月間合計  58,245台(75,342台)