コロンビア月例報告(6月分)

 

経済情勢

2009年7月21日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●プラタ商工観光相は、「720日からペルー・リマにおいて、欧州連合(EU)とのFTA交渉第5ラウンド交渉を行う。主な交渉内容として、バナナ、砂糖及びエタノール等の欧州市場へのアクセスが課題。」と述べた。

●ベルムデス外相はチョケウアンカ・ボリビア外相と会談し、「コ」・ボリビア間の通商関係は「コ」輸出額が前年比2倍となるなど、通商量の増大を強調。また、主に政府調達、入札及び職業訓練等の分野において協力するため、合同委員会設立に関する文書に署名。

●ピニョン国際通貨基金(IMF)訪問団長は、「「コ」政策当局は世界金融危機及びその結果発生した経済減速に適正に対応。特に、中央銀行による政策金利の550ベーシス・ポイントの引き下げの他、2009年予算の外国市場での資金調達及び2010年予算の前倒し調達により、十分な資金を獲得。」と述べた。

●ウリベ大統領等は、国家統計庁(DANE)が本年第1四半期のGDP成長率(前年同期比)を▲0.6%との発表に関し、「当初の予想よりも良い結果であり、世界経済の動向からみても、「コ」経済はそれほど深刻な状況にない。最も重要なことは、2009年のGDP成長率をプラス成長とし、良質の雇用を維持すること。」と述べた。

●マルティネス鉱山・エネルギー相は、「「コ」国内の2008年末現在の推定石油埋蔵量は、約16.68億バレルで、少なくとも2017年まで自給可能。現在も当国東部平原地域等で多くの探査が行われており、埋蔵量の更なる増加が期待。」と述べた。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAに関する関係者の発言

(イ)ウリベ大統領とオバマ大統領との会談(29日)

(ⅰ)オバマ大統領:米・「コ」は強固な二国間関係を有しており、米議会で承認が滞っている米・「コ」FTAについては承認プロセスは難しいが、状況の進展を確信。

(ⅱ)ウリベ大統領:米・「コ」FTAは、テロ及び貧困との戦いを達成し、質の高い雇用の創出及び投資維持のため、民主主義確立のための治安対策を補完するもの。

(ロ)ディアス米マイアミ市長及びヴィジャライゴサ米ロス・アンゼルス市長(12日、ウリベ大統領との会談後):マイアミ及びロス・アンゼルス市は、コロンビアからの輸入が多い現状もあり、ウリベ大統領に対し米・「コ」FTAの同国議会承認のため、ロビー活動を行うなどの支持を表明。

(2)対欧州連合(EU)とのFTAに関する関係者の発言

(イ)プラタ商工観光相(19日):ボゴタ首都区で開催された対EUFTA交渉第4ラウンドで合意に至らなかったテーマについて、720日からペルー・リマにおいて、第5ラウンド交渉を実施。主な交渉内容として、バナナ、砂糖及びエタノール等の欧州市場へのアクセスが課題。バナナの関税問題(当館注:現在のバナナの対EUの輸出関税は1トンあたり176ユーロ)は、当国最大の関心事項であり、世界貿易機関(WTO)の枠組みだけでなく、本交渉の場にでも解決策が得られるよう取り組む。

 プラン・バジェホ制度(当館注:主要原材料を「コ」に輸入して製造した産品を輸出する場合の関税を免除する保税制度)について、フリーゾーン内でも引き続き適用されることを期待。

(ロ)その他報道概要(18日):欧州連合(EU)は、「コ」、「エ」及びペルーとのFTA交渉第4ラウンドにおいて、「コ」政府が2012年から導入するとしているE85(エタノール85%、ガソリン15%の混合燃料)対応車の販売義務付け措置を技術的障害として再考を提案。同様に、車、ワイン、その他酒類製品及び高品質製品の関税の引き下げも要求。

(3)対カナダ関係のウリベ大統領発言(11日、ウリベ大統領のカナダ訪問時):ハーパー加首相の多大な尽力もあり、加議会での「コ」とのFTAの審議状況は「前向きに進化」した。また同協定は「コ」が貧困に打ち勝ち、公正な社会を構築し、より強固な経済を持ち、また世界に向け経済大国と「コ」を結びつける意味で重要。

 同協定は「コ」上院・下院第二委員会で承認された他、加議会でも審議が進んでいる。

(4)対EFTA(ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイス、アイスランド)諸国関係(20日):「コ」上院本会議において、「コ」・EFTA諸国とのFTAが承認され、下院へ送付。本年720日から再開される国会で審議される予定。

(5)対アンデス共同体(CAN)諸国関係

(イ)プラタ商工観光相(30日):エクアドル政府による本年1月に経常収支悪化による一方的セーフガード発動に関し、CAN事務局長が同域内諸国(コロンビア、ペルー、ボリビア)との特恵関税協定を維持するよう決定したことを歓迎。

(ロ)セリ「エ」経済相(30日):CANの上記決定はあるが、特に「コ」との間では、今般のペソ安ドル高傾向を受け不均衡が生じているため、為替相場を理由とする新たなセーフガード発動の適用を計画中。

(ハ)ベルムデス外相発言(18日):チョケウアンカ・ボリビア外相と会談。「コ」・ボリビア関係については「コ」輸出額が前年比2倍となるなど、通商量の増大を強調。また、主に政府調達、入札及び職業訓練等の分野において協力するため、合同委員会設立に関する文書に署名。

(6)対パナマ関係報道(20日):ウリベ大統領とマルティネリ・パナマ新大統領は会見し、通商、治安、政治及び電力の相互接続プロジェクト等について協議。

(7)対日本投資協定交渉に関する報道(23日):2326日にかけてボゴタ首都区において、日・コロンビア投資協定第二回交渉を開催。同交渉においては、協定の基礎となる条文を定め、よりセンシティブな条項について議論が進められる。同協定交渉は少なくともあと2ラウンド開催される見込み。平行して、当国大蔵省及び同中央銀行は日本との二重課税防止条約交渉について議論を進めている。

 

<国内情勢>

(1)インフラ関係

(イ)ウリベ大統領(18日):当国道路整備計画の達成のため努力している。インフラ整備は金融危機対策としての意義は大きく、雇用創出効果も高い。

(ロ)アルバレス・ボゴタ首都区運輸部長(24日):現在西企業「Semer-Transporte Metropolitanode Barcelona」社が行っているボゴタ首都区の地下鉄設計に関し、技術的理由により詳細設計書のボゴタ首都区への提出時期は当初モレノ市長が述べていた720日でなく、8月末になる見込み。但し、本プロジェクトのタイムテーブルは変更せず、メトロ第1号線はモレノ市長の任期中に完成させる予定。

(2)経済見通し等

(イ)ピニョン国際通貨基金(IMF)訪問団長発言(27日):「コ」政策当局は世界金融危機及びその結果発生した経済減速に適正に対応。特に、中央銀行による政策金利の550ベーシス・ポイントの引き下げと2009年予算の外国市場での資金調達及び2010年予算の前倒し調達により、十分な資金を獲得を強調。

(ロ)ウリベ大統領、スルアガ蔵相及びピエドライータ国家企画庁長官発言(26日):今般、国家統計庁(DANE)が本年第1四半期のGDP成長率(前年同期比)を▲0.6%と発表したが、当初の予想よりも良い結果であり、世界経済の動向から見ても「コ」経済はそれほど深刻な状況にない。他方、対前期比の成長率は金融危機対策の成果等を反映し0.2%とプラス成長である。最も重要なことは、2009年のGDP成長率をプラス成長とし、良質の雇用を維持することである。

(3)税制に関するスルアガ蔵相発言(18日):今般の経済危機により2010年以降、対名目GDP4.0%程度の歳入不足が見込まれるため、民主主義のための治安対策目的の特別財源である資産税を2011年以降も適用可能とするよう検討を開始。

(4)その他

(イ)ソニー・コロンビア社は、デジタルTV欧州方式(DVB)対応のデジタルテレビ生産を開始するため、墨に生産工業建設を決定。当国での販売は、メキシコからの輸入産品にかかる関税がゼロとなる2010年から開始される見込み。(30日)

(ロ)マルティネス鉱山・エネルギー相(24日):「コ」国内の2008年末現在の推定石油埋蔵量は、約16.68億バレルであり、2007年当時の13.58億バレルから増加。少なくとも2017年まで自給可能。推定石油埋蔵量の増加は、東部平原等で新たに油田が発見されたことによるものある他、引き続き同地域等で多くの探査が行われており、埋蔵量の更なる増加が期待される。

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)経済成長率(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)本年第1四半期の実質GDP成長率(前年同期比)▲0.6%4.1%

   (ロ)主なセクター別

    (ⅰ)鉱物 10.6%

    (ⅱ)金融 4.7%

    (ⅲ)建設 4.1%

    (ⅳ)電気、ガス、水道 1.9%

    (ⅴ)サービス ▲0.2%

    (ⅵ)運輸、通信 ▲2.0%

    (ⅶ)商業 ▲2.7%

   (ハ)主要機関によるコロンビア経済成長予測

    (ⅰ)国際通貨基金(IMF) ▲0.3%2009年)、2.3%2010年)

    (ⅱ)中央銀行 0%2009年)、22.5%2010年)

    (ⅲ)コロンビア大蔵省 0.5%2009年)

(2)鉱工業(出所:DANE

   (イ)4月の鉱工業生産指数(対前年同月比) ▲14.5%9.2%

   (ロ)4月の新規着工申請面積 104.7㎡(148.4万㎡)

   (ハ)年初来4ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲9.3%(3.3%)

   (ニ)年初来4ヶ月間の新規着工申請面積 408.0万㎡(520.2万㎡)

(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC

   (イ)5月のコーヒー生産量 70.2万袋(82.0万袋)

   (ロ)5月のコーヒー輸出量 55.2万袋(86.4万袋)

   (ハ)年初来5ヶ月間のコーヒー生産量 355.6万袋(507.2万袋)

   (ニ)年初来5ヶ月間のコーヒー輸出量 373.0万袋(490.5万袋)

(4)金利(5月末現在)(出所:中央銀行) 4.50%9.75%

(5)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来4ヵ月間の輸入額 106.40億ドル(122.72億ドル 13.3%減)

   (ロ)年初来4ヵ月間の輸出額 99.40億ドル(120.15億ドル 17.3%減)

(6)雇用(5月)

   (イ)失業率全国平均 11.7%10.8%

   (ロ)失業率主要13都市平均 12.2%11.8%

(7)為替(6月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 2,140.66ペソ

   (ロ)月末 2,145.21ペソ

   (ハ)最高値 2,014.91ペソ(16日)

   (ニ)最安値 2,188.50ペソ(25日)

(8)株式指数(6月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 9,262.720ポイント

   (ロ)月末 9,879.730ポイント

   (ハ)最高値 9,879.730ポイント(30日)

   (ニ)最安値 9,262.720ポイント(1日)

(9)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)6月(対前月比) ▲0.06%0.86%

   (ロ)年初来6ヶ月 2.22%6.02%

   (ハ)対前年同月比 3.81%7.18%

(10)投資(出所:中央銀行)

   本年5月末までの対内直接投資 32.20億ドル(14%減)

(11)対外債務(出所:中央銀行)

   (イ)3月末現在対外債務 468.19億ドル(451.79億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 22.3%18.6%

   (ハ)うち公的債務 304.92億ドル(293.53億ドル)

   (ニ)うち民間債務 163.27億ドル(158.26億ドル)

(12)ガソリン価格(7月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

   レギュラーガソリン1ガロン 7,094ペソ(前月と同じ)

(13)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

   (イ)5月の自動車販売台数 14,146台(18,527台)

   (ロ)年初来5ヶ月間合計  72,391台(93,869台)