コロンビア月例報告(9月分)
経済情勢
2009年10月27日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●「コ」政府発表は、EUとの自由貿易協定交渉に関し、「11月第二週にボゴタ首都区においてミニ・ラウンドを開催し、最終合意に当たりペンディングとなっているバナナ、食肉、砂糖、エタノール、ロン等の対EU輸出関税について議論する。」と発表した。
●ベルムデス外相は韓国を訪問し、柳明桓外交通商部長官と会談。同会談で、本年中のFTA交渉開始、現在交渉中の投資協定の早期合意、及び二重課税防止条約交渉の開始について合意した。
●ボゴタ首都区は同市メトロ1号線建設に関し、「多数の政府及び企業が関心を示している。モレノ市長は、50人近い大使と会合を行った。また同市交通局は、中国、日本、伊、仏、西、カナダ、伯等の企業関係者と会合を行った。」と発表した。
●世銀は、「Doing Businessレポートのビジネス環境ランキングでコロンビアは、183か国中37位にランクアップし、墨及びチリを上回りラ米ではプエルト・リコに次ぐ順位となった。」と発表した。
●国家統計庁(DANE)は、2008年第2四半期の経済成長率を、対前年同期比▲0.5%及び、前期比0.7%と発表した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言
(イ)アイゼンスタッド米商務長官(30日):米・「コ」FTAは、米政府のアジェンダに盛り込まれているが、米政府は米議会での承認のため、必要な修正手続きを行う。
(ロ)米通商代表部の発表(16日):対「コ」及び対韓FTAのパブリックコメント受付を終了。1ヶ月半の間に上記協定締結による利点等に関する約500の回答を受け取っており、同回答は、米議会承認に向け議会で発表される。
(ハ)コロンビア側の動き(23日):米・「コ」FTAの米議会での承認の停滞を受け、「コ」政府及び同国企業からなる訪問団が、本年末で期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の2年間延長を求め米議会へのロビー活動を開始。
(2)対欧州連合(EU)とのFTAに関する関係者の発言等
(イ)第4ラウンドの開催(25日):「コ」及びペルーとEUとの自由貿易協定交渉第4ラウンドがブリュッセルで行われ、25日終了。交渉テーブルの大部分で合意したが、バナナ等対EUの輸出関税が未決着。
(ロ)「コ」政府発表(30日):11月第二週にボゴタ首都区において、ミニ・ラウンドを開催し、最終合意に当たりペンディングとなっているバナナ、食肉、砂糖、エタノール、ロン等の対EU輸出関税等について議論する。
(ハ)欧州労働組合同盟(22日):「コ」においては労働組合幹部がゲリラにより暗殺される等、労働者に対する基本的人権が尊重されておらず、同国とのFTAに反対。
(3)対アンデス諸国関係に関する関係者の発言等
(イ)セペダ「コ」・「ベ」商工会議所経済部長:現在「コ」・「ベ」二国間の外交問題及び「コ」の輸出先多様化の努力はあるが、「コ」輸出事業者にとって「ベ」市場からの撤退は不可能であり、「コ」の「ベ」に対する現在の地位を維持するよう他の戦略を模索すべき。
(ロ)「ベ」航空当局発表:「ベ」政府は、「コ」航空会社の「ベ」への飛行に関する許可更新を行わないことを決定。本決定により「コ」航空会社アビアンカ・サム社、アイレス社、アエロ・レプブリカ等に大きな影響が出る見込みの他、貨物輸送への影響が懸念される。
(ハ)「コ」・「エ」政府合意(25日):両国外交関係正常化に向けた直接対話プロセスを開始。10月には両国が相互に臨時代理大使の派遣を予定。
(ニ)マルティネス鉱山・エネルギー相(30日):今般の「エル・ニーニョ」現象により水不足であり、水力発電による発電量が減少していること等を踏まえ、ボゴタ首都区のガス供給及「コ」全域の電力確保のため、対「ベ」・「エ」エネルギー供給量を減少させる。
(4)対日本関係
(イ)カルデナス在京大使(7日):日本市場への拡大は、ゆっくりとまた複雑なプロセスであるが、コーヒー、フェロニッケル、花卉、バナナ等現在輸出されている商品の増加の可能性及び果物や冷凍鶏肉など、今後同市場に参入し成功を収める可能性がある。更には、「コ」における日本から対内直接投資拡大の可能性もある。現在両国間で投資協定が交渉中の他、将来的には経済連携協定交渉の開始が期待される。
(ロ)日系証券会社の当国参入(11日):野村證券は、ボゴタ首都区-ヒラルド市間道路建設工事のJVへ参加するための契約書に署名。野村證券は、1500億ペソの債券の発行を行う他、不動産の購入を担当する。
(ハ)ボゴタ水道公社(Acueducto)発表(22日):ボゴタ水道公社(Acueducuto)は、JICAが実施した開発調査「ボゴタ首都区飲料水の持続的供給」の完成を受け、今後数ヶ月の内に、ボゴタ首都区北西部スバ地区及び南部のサン・クリストバル地区において緊急給水用の井戸建設を開始。
(5)対中国関係
(イ)ベルムデス外相の中国訪問(4日):ベルムデス外相は中国を訪問し、習近平国家副主席と会談。両国外交関係及び多くの分野における協力関係強化を確認した他、「コ」における中国企業の投資や中国人観光客の増加等について議論が行われた。
(ロ)プラタ商工観光省(8日、中国訪問後):被服や靴等、「コ」と中国は通商関係において競合関係にあり補完関係にないため、同国とFTA交渉を行う予定はないが、同国からの投資誘致の働きかけを行う。
(6)対韓国関係(「コ」政府発表)(5日)
ベルムデス外相は韓国を訪問し、柳明桓外交通商部長官と会談。同会談で、本年中のFTA交渉開始、現在交渉中の投資協定の早期合意、及び二重課税防止条約交渉の開始について合意。また「ベ」外相は、韓国企業関係者とも会合を行い、「コ」の治安改善や経済成長について述べた他、同国企業の「コ」のインフラやエネルギー部門への投資を訴えた。
<国内情勢>
(1)インフラ関係
(イ)ラミレス国家企画庁(DNP)長官代理:国家政治経済社会審議会(Conpes)は、「コ」の競争力強化のための高速道路戦略プログラムの第1段階として、カリブ海沿岸都市連結道路「トランスベルサル・デ・ラス・アメリカス」、コロンビア北部山間部高速道路、ボゴタービジャビセンシオ間二車線化道路建設計画を承認。投資額は10兆ペソ。なお、本工事の資金は国営石油会社「Ecopetrol」社売り上げの10%が使われる。
(ロ)ボゴタ首都区発表(20日):メトロ1号線建設に関し、多数の政府及び企業が関心を示している。モレノ市長は50人近い大使と会合を行い、中でも新中国大使Gao Zhengyue大使が、両国間で協定を締結した上で同メトロを建設することに言及した点を強調。また、同市交通局は、中国、日本、伊、仏、西、カナダ、伯等の企業関係者と会合を行った。
(ハ)Ecopetrol、サンタンデール県庁、ブカラマンガ市商工会議所発表(14日):バランカベルメハ市とマグダレナ川周辺主要都市とを結ぶ道路建設の詳細な計画がまもなく完成。投資額は2400億ペソを想定。同道路は、対「ベ」通商円滑化のためであり、「コ」中心部から北部への移動時間の短縮が期待されている。
(2)ビジネス環境ランキング結果等
(イ)世銀発表(8日):Doing Businessレポートのビジネス環境ランキングでコロンビアは、183か国中37位にランクアップし、墨及びチリを上回りラ米ではプエルト・リコに次ぐ順位となった。
(ロ)世界経済フォーラム発表(8日):2009-2010年の世界競争力ランキングでコロンビアは、前年74位から69位にランクアップした。
(ハ)ドゥアルテ商工観光次官(企業振興担当)(13日):Doing Businessレポートにおける37位へのランクインは、2007年から「コ」政府が行ってきた税金の支払いの弾力化、貸付利用手続きの簡素化、ビジネスにおける安全性の強化といった側面が要因。
(3)今後の経済見通し
(イ)ウリベ大統領(25日):本年は今般の金融危機の影響もあり、難しい局面であるが、本年後半にかけて経済の回復の動きが見られ、プラス成長は達成可能。
(ロ)スルアガ蔵相(4日):世界金融危機は「コ」に大きな打撃を与えておらず、「コ」経済は徐々に回復のシグナルを発してきた。現在、政府の本年の成長率見込みは0.5%であり、中央銀行の予測は0%である。他方、「コ」政府の2010年の成長率は2.5%と予測し、近年の当国経済成長率から見れば低いが、持続的に成長している。また、当国経済の強さは金融業界にあり、同業界は今般の金融危機の影響をそれほど受けておらず、クレジットの利用も減少してない。
(4)財政
(イ)2010年予算額の承認(10日):9日、上・下院合同経済委員会は2010年予算を提出時と同額の148.3兆ペソで承認。今般の経済危機の影響等による歳入不足懸念はあったが、予算の減額は行われなかった。今後国会では、予算のセクター及びプログラム毎の配分の議論が行われ、憲法の規定により10月20日までに国会を通過する。
(ロ)2010年最低賃金交渉開始(29日):2010年の最低賃金額の議論のため、政府、企業家、労働者の各代表が参加し、労働政策決定委員会が開始。労働者側は本年の物価上昇率予想3.5%に、5%上乗せした8.5%アップを提示。他方、政府側は4%アップを提示。
(5)その他
(イ)来訪外国人数に関する「コ」政府発表(19日):本年の年初来8ヶ月間の外国からの観光客数は、前年同期比9.2%増の894,742人であった。本年8月までの客船の来訪数が26%増加し、クルーズ船による訪問者も58%増加。特に当国カリブ海沿岸の港湾観光都市サンタマルタ市への来訪者が最も増えて前年同期比187%増、同カリブ海沿岸のカルタヘナ市が14%増。他方、サン・アンドレス諸島は前年同期25%減となった。
(ロ)関税引き下げに関する政府発表(25日):「コ」政府は、今般のペソ高の進行により影響を受けている輸出業者に対するコスト削減を目的として、「コ」国内で生産されていない主要原材料約1,700種類の関税をゼロとすると発表。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)経済成長率(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)2009年第2四半期(4-6月期)の経済成長率
(ⅰ)対前年同期比 ▲0.5%
(ⅱ)対前期比 0.7%
(ロ)同期の各セクター別の成長率(対前年同期比)
(ⅰ)建設 16.8%
(ⅱ)鉱物 10.2%
(ⅲ)金融 4.3%
(ⅳ)サービス 0.5%
(ⅴ)電気・ガス・水道 0.1%
(ⅵ)運輸 ▲ 1.2%
(ⅶ)農業 ▲ 1.8%
(ⅷ)商業 ▲ 3.9%
(ⅸ)製造業 ▲10.2%
(2)鉱工業(出所:DANE)
(イ)7月の鉱工業生産指数(対前年同月比) ▲6.5%(1.1%)
(ロ)7月の新規着工申請面積 129.8万㎡(193.3万㎡)
(ハ)年初来7ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲8.2%(0.5%)
(ニ)年初来7ヶ月間の新規着工申請面積 725.8万㎡(1,008.5万㎡)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC)
(イ)8月のコーヒー生産量 39.7万袋(71.5万袋)
(ロ)8月のコーヒー輸出量 47.4万袋(64.2万袋)
(ハ)年初来8ヶ月間のコーヒー生産量 522.0万袋(772.4万袋)
(ニ)年初来8ヶ月間のコーヒー輸出量 545.4万袋(738.5万袋)
(4)金利(9月末現在)(出所:中央銀行) 4.00%(10.00%)
(5)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来7ヵ月間の輸入額 187.52億ドル(223.78億ドル 16.2%減)
(ロ)年初来7ヵ月間の輸出額 183.84億ドル(228.52億ドル 19.6%減)
(6)雇用(8月)
(イ)失業率全国平均 11.7%(11.2%)
(ロ)失業率主要13都市平均 13.1%(11.4%)
(7)為替(9月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,057.81ペソ
(ロ)月末 1,925.49ペソ
(ハ)最高値 1,911.66ペソ(23日)
(ニ)最安値 2,057.81ペソ(1日)
(ホ)本年末の為替相場見通し(中央銀行予測) 2,120.58ペソ
(8)株式指数(9月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 10,604.480ポイント
(ロ)月末 11,257.910ポイント
(ハ)最高値 11,264.380ポイント(28日)
(ニ)最安値 10,279.390ポイント(3日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)9月(対前月比) ▲0.11%(▲0.19%)
(ロ)年初来9ヶ月 2.12%(6.53%)
(ハ)対前年同月比 3.21%(7.57%)
(10)対内直接投資(出所:中央銀行)
(イ)8月31日現在実績 53.74億ドル(59.08億ドル)
(ロ)本年の対内直接投資見込み 90億ドル(105.64億ドル)
(11)対外債務(6月末現在)(出所:中央銀行)
(イ)対外債務 465.09億ドル(458.87億ドル)
(ロ)対名目GDP比 21.1%(19.1%)
(ハ)うち公的債務 310.68億ドル(294.39億ドル)
(ニ)うち民間債務 154.41億ドル(164.47億ドル)
(12)ガソリン価格(10月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,073.50ペソ(前月と同じ)
(13)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)8月の自動車販売台数 15,062台(17,540台)
(ロ)年初来8ヶ月間合計 117,312台(148,976台)