コロンビア月例報告(10月分)
経済情勢
2009年11月19日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●ドゥケ商工観光次官(国際通商担当)は、26日、「米通商代表部高官と会合を行い、米・「コ」FTAの米議会承認の十分な時間確保のため、本年末で期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の向こう2年間の延長を米政府に要請した。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、16日、「エクアドル政府は、本年7月11日から行っている1,346品目を対象とした対「コ」輸入セーフガード措置の段階的停止を発表。今後4ヶ月間にセーフガードを実施している残りの製品について順次セーフガードを撤廃する。これは、両国通商関係正常化進展の兆しである。」と述べた。
●プラタ商工観光相は、31日、「「コ」世界貿易機関(WTO)代表部は、ベネズエラ政府機関による「コ」からの農業製品の輸入制限、衛生証明、家畜衛生基準証明書発行に係る制限等の即時解除をWTOに提訴。」と発表した。
●運輸省は、「27日、ボゴタ-サンタマルタ(当国カリブ海岸主要都市)市間道路「ルータ・デル・ソル」建設に関する入札が締め切られ、中国、スペイン、伯、アルゼンチン及び国内企業が応札。落札者は本年12月11日に発表予定。」と発表した。
●「コ」政府は、「20日、上下院本会議において、前年比7%増となる総額148.3兆ペソの2010年予算が承認された。」と発表した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言
(イ)報道概要(9日):クリントン国務長官の米・「コ」FTAの米議会承認手続きを2年間遅らせる旨の発言に関し、「コ」企業は懸念を表明。また同国農業者は、関税免除という保証が欠落すれば、コロンビアへの直接投資が遠のくと指摘。
(ロ)ドゥケ商工観光次官(国際通商担当)(26日):米通商代表部高官と会合を行い、米・「コ」FTAの米議会承認の十分な時間確保のため、本年末で期限を迎えるアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)の向こう2年間の延長を米政府に要請。
(2)対アンデス共同体(CAN)諸国関係
(イ)ベルムデス外相(10日):ファルコニ・エクアドル外相と会談を行い、同国との外交関係正常化プロセスの進展に満足。同会合において、カーター・センター及び米州機構も参加し、治安に関する二国間国境委員会を新たに開始する他、治安、犯罪、国境地域開発の3分野の会合の場を設けることで合意。
(ロ)プラタ商工観光相(16日):エクアドル政府は、本年7月11日から行っている1,346品目を対象とした対コロンビア輸入セーフガード措置の段階的停止を発表。今後4ヶ月間にセーフガードを実施している残りの製品について順次セーフガードを撤廃する。これは、両国通商関係正常化進展の兆しである。
(ハ)プラタ商工観光相(31日):「コ」世界貿易機関(WTO)代表部は、ベネズエラ政府による「コ」農業製品の輸入制限、衛生証明、家畜衛生基準証明書発行に係る制限等の即時解除求めをWTOに提訴。
(3)ウリベ大統領及び「コ」企業関係者の伯訪問(21日)
(イ)両国首脳会談関係報道
(ⅰ)ルーラ大統領はウリベ大統領に対し、2010年8月までの10カ月間に、両国の通商関係を2倍にするため、あらゆる措置をとると提案。(2008年の対伯輸出6.5億ドル、伯からの輸入21.9億ドル)
(ⅱ)両首脳は本年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15に先立ち、11月26日に伯マナウス市において、伯、「コ」、エクアドル、ペルー、ボリビア及びベネズエラ等の大統領が一堂に会し、COP15への共同提案を議論するための会議を開催することで合意。
(ロ)伯企業等との懇談におけるウリベ大統領の発言内容
(ⅰ)コロンビアと伯は国境を接するが、それは壁といえるほどであり、両国関係は緊密でなかった。「コ」における治安改善等もあり、両国経済関係の強化を希望。
(ⅱ)伯はコーヒーやトウモロコシ、オレンジジュース、大豆及び肉等の主要生産国である他、石油やバイオ燃料等多くの成長可能性がある。
(ⅲ)「コ」は中米・カリブ諸国と南米をつなぐ橋であり、またカリブ海側に1600kmの、太平洋側に1300kmの海岸を有している。「コ」の上記地政学的利点は伯にとって明らかであり、「コ」にとって世界各国への接近等の伯のリーダーシップは大きな利点である。
両国の地域統合プロセスを進めるため、アンデス共同体(CAN)とメルコスールとの協定を深化させる必要がある。
(ⅳ)「コ」・伯通商関係では「コ」の輸入超過だが、地域統合により「コ」産自動車や自動車部品の輸出等を通じ、赤字を減少させたい。
(ⅴ)両国間の長期的な法的枠組みとして、投資協定、二重課税防止条約及び自由貿易協定等の締結が必要。
(ⅵ)ボゴタ首都区-サンタマルタ間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画や、石炭等輸送鉄道整備計画の「コ」国内における大規模インフラ事業への伯企業の参入を期待。
(ⅶ)伯は「コ」において三番目の対内直接投資国となった他、ISA社やInterconexion ElectricaS.A.社といった「コ」企業も対伯投資に重要な役割を担っている。
(4)ナランホ国家警察長官の日本訪問に関する大統領府発表(16日):ナランホ国家警察長官は日本を訪問。数週間前に日本外務省が行った「コ」に対する危険情報の引き下げについて、多くの日本人が対「コ」投資や観光を行いやすくなるとして、歓迎の意を表した。
(5)対中国関係に関するビジェガスANDI総裁発言(30日):プラタ商工観光相に対し、「コ」製品の輸出先の多様化及び経済的パートナーとしてアジア太平洋地域を見るという戦略の中で、巨大市場を持つ中国との製品及びサービス取引拡大のため、同国と自由貿易協定交渉を前進させるよう提案。
(6)Seong-Hoa Hong当地韓国大使発言(29日):「コ」・韓国FTAのフィージビリティー調査結果は良好である他、ウリベ大統領と李明博大統領は客年11月にペルーで開催されたAPECの際、両国FTA締結について協議しており、近く同FTA交渉が開始される。(当館注:韓国・コロンビアFTA第一回交渉は、12月7日の週から韓国ソウルで開催予定。)
(7)対マレーシア関係(22日):在マレーシア・「コ」大使及び同国経済開発担当機関は、コロンビア貿易振興公社(Proexport)とともに「コ」との投資及びビジネス機会に関する第一回フォーラムを開催。同フォーラムには、製造業、農業、サービス分野から70社が参加した他、健康サービス、バイオ燃料及びインフラ分野等からも集まり、マレーシア企業にとって対「コ」投資のため情報収集の機会となった。
<国内情勢>
(1)インフラ関係
(イ)ボゴタ-サンタマルタ間道路「ルータ・デル・ソル」入札に関する運輸省発表(28日):27日、ボゴタ-サンタマルタ(当国カリブ海岸主要都市)市間道路「ルータ・デル・ソル」建設に関する入札が締め切られ、中国、スペイン、伯、アルゼンチン及び国内企業が応札。落札者は本年12月11日に発表予定。
(ロ)当国私立大学「ロサリオ大学」及び民間競争力協会発表調査(21日):「コ」主要4港(ブエナベントゥーラ港、カルタヘナ港、バランキージャ港及びサンタマルタ港)を結ぶ道路は、全部で800kmが整備されているに過ぎず、チリの36港を結ぶ道路の総延長2,415kmと比べ大幅に遅れている。
(ハ)レストレポ大統領補佐官(金融危機対策担当)(29日):本年9月までに金融危機対策のためインフラプロジェクトに投資された金額は、予算総額55兆ペソのうち58%の31兆8200億ペソとなった。具体例としてコロンビア貿易銀行(Bancoldex)の特別融資、15箇所の新たなフリーゾーンの設置、20件の法的安定契約の締結等がある。
(2)経済見通し
(イ)国連開発計画発表(15日):「コ」政府はミレニアム開発目標で示された主要な目標を達成できておらず、その中で最も重要である2015年までに貧困率を28.5%(2008年で46.0%)にする目標についても現在のところ失業率が上昇しており、達成が難しい状況。
(ロ)ピエドライータ国家企画庁(DNP)長官(27日):ミレニアム開発目標を達成できないとの断言は危険である。2015年まで5年残されている他、50%の指標は既に達成されており、70%の指標について前進が見られる。
コロンビアは、基礎教育、胎児死亡率において目標を達成している。また、幼児死亡率、子宮ガンによる死亡率及び地方の基礎衛生等についてまもなく目標達成の見込み。貧困問題については、2005年に実施された国勢調査結果に基づいて基準及び目標を再計算する必要がある。
(3)2010年予算の議会承認(21日):20日、上下院本会議において、2010年予算が承認。予算総額は148.3兆ペソで、前年比7%増。83兆ペソが一般行政経費、40兆ペソが公債費、25.3兆ペソが投資的経費となっている。
(4)財政
(イ)大蔵省発表(27日):「コ」中央政府の本年前半の財政赤字は、輸出、税収の減及び投資的経費、一般行政経費の支出増のため4.2兆ペソの赤字となった。
(ロ)スルアガ蔵相が「Ministry of the year」に選ばれる(6日):「Emergin Markets」誌が行う企画「Ministry of the year」のラ米部門でスルアガ蔵相が選ばれた。本件選定は投資家、銀行関係者、エコノミスト、格付会社及び学界関係者等によって行われ、授賞式は世銀・国際通貨基金(IMF)総会開催に併せトルコ・イスタンブール市で行われた。
(5)企業情報
(イ)サンチェスCCA(マツダ現地法人)社長発表(23日):対「ベ」及び対「エ」の政治的関係を反映し、上記2カ国への自動車輸出が大幅減少。また、本年の自動車生産台数は前年比29,000台減少した他、800人の人員削減を行った。
(ロ)「トヨタ・デ・コロンビア」オープン(24日):トヨタ自動車直営の販売店「トヨタ・デ・コロンビア社」が23日、ボゴタ首都区近郊のコタ市に本社を開設した。(当館注:当地のトヨタ自動車販売店として「Sofasa」社と「Distoyota」社があったが、本年初め「Sofasa」社のトヨタ自動車販売部門が独立し、「トヨタ・デ・コロンビア」を設立した経緯がある。)
(ハ)コロンビア航空会社「AVIANCA」社と「TACA」社の提携発表(8日):コロンビア航空会社「AVIANCA」社と、エルサルバドル航空会社「TACA」社は、新企業設立で合意。同新会社は、米州100路線をカバーする他、ラ米各地で旅客及び貨物サービス網を整備する。他方、今次提携は上記2社の合併を意味するものではなく、今後も上記2社は独立して運行を行う。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)経済成長率 各機関の経済成長率予測
(イ)国際通貨基金:0.3%(2009年)
(ロ)国家企画庁(DNP):2.5%(2010年実質)、7.4%(2010年名目)
(ハ)高等教育開発財団(Fedesarrollo):2.5~3.0%(2010年)
(2)鉱工業(出所:DANE)
(イ)8月の鉱工業生産指数(対前年同月比) ▲3.3%(▲9.2%)
(ロ)8月の新規着工申請面積 123.8万㎡(126.1万㎡)
(ハ)年初来8ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲7.5%(▲0.8%)
(ニ)年初来8ヶ月間の新規着工申請面積 849.6万㎡(1,134.6万㎡)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC)
(イ)9月のコーヒー生産量 46.7万袋(77.7万袋)
(ロ)9月のコーヒー輸出量 50.1万袋(93.9万袋)
(ハ)年初来9ヶ月間のコーヒー生産量 568.7万袋(850.1万袋)
(ニ)年初来9ヶ月間のコーヒー輸出量 595.5万袋(832.4万袋)
(4)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来8ヵ月間の輸入額 212.94億ドル(257.85億ドル 17.4%減)
(ロ)年初来8ヵ月間の輸出額 210.57億ドル(261.42億ドル 19.4%減)
(5)金利(10月末現在)(出所:中央銀行) 4.00%(10.00%)
(6)雇用(9月)
(イ)失業率全国平均 12.2%(11.0%)
(ロ)失業率主要13都市平均 12.9%(11.3%)
(7)為替(10月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 1,925.49ペソ
(ロ)月末 1,993.80ペソ
(ハ)最高値 1,825.68ペソ(13日)
(ニ)最安値 2,006.18ペソ(28日)
(8)株式指数(10月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 11,257.91ポイント
(ロ)月末 10,687.03ポイント
(ハ)最高値 11,376.81ポイント(6日)
(ニ)最安値 10,687.03ポイント(30日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)10月(対前月比) ▲0.13%(0.35%)
(ロ)年初来10ヶ月 1.98%(6.90%)
(ハ)対前年同月比 2.72%(7.94%)
(10)ガソリン価格(11月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,073.50ペソ(前月と同じ)
(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)9月の自動車販売台数 15,805台(20,321台)
(ロ)年初来9ヶ月間合計 133,117台(169,297台)