コロンビア月例報告(11月分)

 

経済情勢

2009年12月14日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●プラタ商工観光相は、20日、「16日~20日ボゴタ首都区においてコロンビア・EUFTA交渉第7ラウンドを開催。最終合意には至らなかったが、本交渉結果として植物衛生及びサービスに関し最終合意に達し、通商、持続的開発、農産品市場アクセス、原産地規制、知的所有権及び紛争解決分野等で重要な進展が見られた。」と述べた。

●プラタ商工観光相は、17日、「今般ベネズエラ政府が行った農業産品を中心とする輸入制限措置に関し、世界貿易機関(WTO)に提訴する。また、「ベ」送金管理委員会(CADIVI)が持つ我が国輸出業者等に対する負債2.7億ドルが懸案事項として残る。」と述べた。

25日、ボゴタ首都区において第三回ラ米・中国企業家サミットが開催され、200人以上の中国人企業家及び400人以上のコロンビア及び他のラ米企業家が参加した。

●スルアガ蔵相は、19日、「日本市場において450億円(約5億ドル)の円建て外債(サムライ債)の発行が決定。コロンビアは非アジア諸国で、投資適格でない国としてサムライ債を発行した最初の国である。」と述べた。

●サンクレメンテ航空庁長官は、28日「ボゴタ首都区国際空港「エル・ドラド」の新規空港ターミナル等建設工事は、当初予定の2012年までには終了せず、完成は2014年になる見込み。」と発表した。

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTAに関する関係者の発言

(イ)リレイ米アラバマ州知事(5日、コロンビア企業14社から成る代表団との懇談にて):米・「コ」通商関係拡大のため両国FTAの必要性を強調。また、FTA早期承認のため米議会に対し働きかけを行っている。

(ロ)米民主党議員の動向(21日):コロンビアとのFTAについて200611月の署名からすでに3年が経過しているにも拘わらず、米議会で承認されていないため、オバマ大統領に対し本件に関するリップサービスを停止し、早期に態度を明らかにするよう要請。

(ハ)マーフィー米商工会議所国際部副部長(24日):米議会のコロンビア、パナマ及び韓国とのFTA承認に期待するとともに、同メッセージを米ホワイトハウスにも伝達。

(2)対EUFTA交渉関係

(イ)プラタ商工観光相(20日):16日~20日、ボゴタ首都区においてコロンビア・EUFTA交渉第7ラウンドを開催。最終合意には至らなかったが、本交渉結果として植物衛生及びサービスに関し最終合意に達した他、通商、持続的開発、農産品市場アクセス、原産地規制、知的所有権及び紛争解決分野等で重要な進展が見られた。残された問題は、バナナ、砂糖及び自動車である。

 植物衛生分野では、コロンビアとEUの当局間での意見交換円滑化のための要件を定めた他、農業製品及び食料品が人体の健康、動物及び環境保護に影響を与えることなく通商できる制度を整えた。 

(ロ)パルド・コロンビア交渉代表(20日):今週(1620日)ジュネーブの世界貿易機関(WTO)においてバナナの対EU輸出関税に関する議論が行われた。マルチ機関において取られたこのステップは、解決プロセス終了を見据えたもの。その他今般交渉で合意に至らず、今後解決すべき課題については「コ」・EU双方のハイレベルで交渉される。

(ハ)アギラールEU通商代表次長(24日):WTOにおける交渉の進展によるが、合意にこれほど近くなったことは今までになく、本年末までの最終合意に期待。

(3)対アンデス共同体(CAN)諸国関係

(イ)コロンビア・エクアドル政府発表:両国国境における治安及び防衛面に対処する二国間国境委員会が再開(14日)。23日、コロンビア・エクアドル両国は、両国の臨時代理大使の着任を受け、外交関係を再開。同外交関係再開は20083月のコロンビア国軍による、エクアドル領内のFARC基地攻撃による関係断絶依頼18ヶ月振り(24日)。

(ロ)ククタ市商工会議所発表(4日):当会議所の予測によれば、2名のベネズエラ国境警備隊員が同国領内で殺害された問題を受け、チャベス大統領がコロンビア・ベネズエラ国境を封鎖した影響により、両国間の85%の物流が遮断された。

(ハ)プラタ商工観光相(17日):今般ベネズエラ政府が行った農業産品を中心とする輸入制限措置に関し、世界貿易機関(WTO)に提訴する。また、「ベ」送金管理委員会(CADIVI)が持つコロンビア輸出業者等に対する負債2.7億ドルが懸案事項として残る。

(4)対中米諸国関係(11日):13日から、中米3カ国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル)とコロンビアとのFTAが発効。本FTAは今般のベネズエラ政府による輸入制限措置等を受け、輸出代替先を確保する「コ」政府の政策によるもの。

(5)対日本関係

(イ)スルアガ蔵相発言(19日):日本市場において450億円(約5億ドル)の円建て外債(サムライ債)を発行。同資金は2009年及び2010年予算の原資として使用。日本でのロードショーは成功裏に終了した他、コロンビアは非アジア諸国で、投資適格でない国としてサムライ債を発行した最初の国である点を強調。

(ロ)カルデナス在京大使(7日):約50名のコロンビアのバラ及びカーネーション輸出業者が、1111日~13日に東京で開催された国際花卉展示会に参加。2008年の花卉対日輸出は約4000万ドルであったが、今後増加が期待される他、コロンビアは世界で2番目の花卉輸出国であり、また、世界で1番のカーネーションの生産国。

(ハ)当国スズキ自動車幹部(13日):当国におけるバイク100万台製造記念式典を開催。今般のベネズエラとの外交関係悪化や同政府による輸入制限措置はあるが、本年はベネズエラに対して前年比1.5万台減の2万台のバイクを輸出。

(ニ)我が国広告会社「電通」辻国際部長発言(27日):「コ」企業「SSA」社との提携戦略を発表。本戦略により、「コ」広告業界に重要なプレゼンスを示すとともに、同国への投資及び新規雇用創出を行う。

(6)第三回中国・ラ米企業家サミットに関する商工観光省発表(25日)

(イ)プラタ商工観光相(同サミットに先立ち行われた特別総会「成長と政府の役割」にて):「コ」・中国通商関係は競争関係であり、補完関係にない。コロンビアは石炭、フェロニッケル及び石油等の基礎原材料について利点があるが、当国で製造しているすべてのものは中国でも製造。例えば靴、繊維、プラスチックの製造量は中国の方が大きい。

 今後パナマ運河拡張により、ポストパナマックス船が通行可能になれば、運送コストが下がり、中国との通商量増加が予想される。

(ロ)同サミット開催に係る報道:同サミットは、200人以上の中国人企業家及び400人以上のコロンビア及び他のラ米企業家が参加。主要参加者として、ウリベ大統領、中国・国家国際通商審議会「Yu Ping」副総裁、プラタ商工観光大臣、セリ・エクアドル経済大臣、モレノ米州開発銀行(IDB)総裁、モレノ・ボゴタ市長及びその他中国政府高官等が出席。

(ハ)その他報道:同日中国企業家とラ米企業家との間でビジネス・ラウンドも開催され、「コ」・中国の商工会議所関係者の他、コロンビア企業49社、中国企業28社の他、コスタリカ、亜、チリ、キューバ、グアテマラ、墨及びペルー等の企業も参加。

 参加企業からは、インフラ、自動車部品、情報通信技術及び鉱物・石油分野について興味が示されてた他、ボゴタ首都区メトロ建設計画やボゴタ首都区近郊鉄道整備計画、ボゴタ-サンタマルタ間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画等についても興味が示された。

(7)その他アジア諸国関係

(イ)プラタ商工観光相(28日):「コ」とシンガポールは、FTA交渉開始に向け対話を開始。また、同国との投資協定及び二重課税防止条約についても交渉予定。本年にはコロンビア航空会社「AVIANCA」社とシンガポール航空との間で航空協定が締結され、将来シンガポール航空の航空機がコロンビアに発着する可能性もある。

(ロ)ベルムデス外相(30日、APEC会合参加総括として):2010年にコロンビアがAPECに加盟できる可能性は明らかでない。そのため「コ」としては、APEC加入だけでなく貿易・投資関係を保証する戦略を発展させるための投資協定、自由貿易協定の締結を通じたアジア太平洋地域における「コ」のプレゼンス拡大が今後の主目標となる。

 

<国内情勢>

(1)インフラ関係

(イ)サンクレメンテ航空庁長官発表(28日):ボゴタ首都区国際空港「エル・ドラド」の新規空港ターミナル等建設工事は、当初予定の2012年までには終了せず、完成は2014年になる見込み。これは同空港運営コンソーシアム「Opain」社が、コロンビア国立大学の調査結果に基づき現在のターミナルを取り壊す決定を行ったため、同工事終了までにあと5年かかるとの予測を発表したことによるもの。

(ロ)マルティネス鉱山・エネルギー相(27日):スルアガ蔵相及びガジェゴ運輸相によるイニシアチブ、即ち、「コ」政府が保有する同国営石油会社「Ecopetrol」社株式による配当の15%、約75億ドルを国内インフラ整備のための原資とする案に同意。

(2)財政

(イ)特別資産税に関するスルアガ蔵相発言(26日):2011年以降も現行の特別資産税を有効とするための現在議会審議中の法案について、2011年以降は総資産額が3050億ペソの者は税率を0.6%、同資産額が50億ペソ以上の者については1.2%とすることを決定。税収見込みは年間3.3兆ペソを想定。

(ロ)国内債の運用に関するスルアガ蔵相発言(26日):2010年に償還期限を迎える国内債に関し、同年以降の国債の償還に備えるため「コ」政府は国内市場に新規国債の発行で対応することを決定。

(3)その他

(イ)金融監督庁発表(5日):9月の金融機関統合の利益は、国際的なクレジット利用の増加及び中銀による累次の政策金利引き下げによる利ざやの増加等を受け、前年同月比1.8兆ペソ増の約7兆ペソとなった。

(ロ)ゲラ情報技術・通信相発表(28日):コロンビア通信衛生整備計画(SATCOL)に基づき、通信衛星を製造、衛生軌道上への配置を行う落札者の決定は、条件を満たす企業が無かったため、政府間交渉で決定。現在までに本計画に興味を示す企業の政府、露及び加政府と交渉を行う。

(ハ)航空庁及び墨航空会社「Mexicana」幹部発表(23日):ボゴタ首都区と墨カンクン市間の直行便が16日から1週間に4回の頻度で就航予定。これは、当国からカンクン市への旅行者の増加や、米国へのトランジット旅行者のビザなしでの乗り継ぎの要請に応えるもの。

(ニ)送金に関する中銀発表(23日):本年1-10月間の当国への送金額は前年同期比17%減の33.66億ドルとなった。

(ホ)年金基金に関する「コ」政府発表:18日、政令第4488号が成立。同政令は、新年金管理機関「Colpensiones」を設立する内容。同機関は、新たな公的年金管理団体として、年金利用者のよりよいサービスに資するため社会保障省の下部機関として、現行の社会保障公社の代替機関となる。

(ヘ)コーヒー生産農家支援策に関するムニョス全国コーヒー生産者連盟(FNC)総裁発言(27日):コーヒー生産量がコーヒー木の更新、異常気象等により激減していることを受け、「コ」政府は新たなコーヒー農家支援策として、コーヒー生産者の負債を軽減するため、農薬購入価格の20%引き下げ、流通価格を1袋(60kg)あたり65万ペソ引き上げる政策を実施。

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)鉱工業(出所:DANE

   (イ)9月の鉱工業生産指数(対前年同月比) ▲3.8%(▲3.3%

   (ロ)9月の新規着工申請面積 119.9万㎡(123.8万㎡)

   (ハ)年初来9ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲7.1%(1.1%)

   (ニ)年初来9ヶ月間の新規着工申請面積 969.5万㎡(1,313.9万㎡)

(2)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC

   (イ)10月のコーヒー生産量 54.4万袋(93.9万袋)

   (ロ)10月のコーヒー輸出量 53.5万袋(83.9万袋)

   (ハ)年初来10ヶ月間のコーヒー生産量 623.1万袋(944.0万袋)

   (ニ)年初来10ヶ月間のコーヒー輸出量 649.0万袋(916.3万袋)

(3)貿易(出所:DANE

   (イ)年初来9ヵ月間の輸入額 240.43億ドル(295.80億ドル 18.7%減)

   (ロ)年初来9ヵ月間の輸出額 238.53億ドル(292.68億ドル 18.5%減)

(4)金利(11月末現在)(出所:中央銀行) 3.50%10.00%

(5)雇用(10月)

   (イ)失業率全国平均 11.5%10.1%

   (ロ)失業率主要13都市平均 12.4%11.0%

(6)為替(11月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,993.80ペソ

   (ロ)月末 1,998.45ペソ

   (ハ)最高値 1,953.45ペソ(18日)

   (ニ)最安値 2,008.72ペソ(3日)

(7)株式指数(11月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 10,687.03ポイント

   (ロ)月末 11,245.01ポイント

   (ハ)最高値 11,382.69ポイント(25日)

   (ニ)最安値 10,687.03ポイント(1日)

(8)消費者物価指数(出所:DANE

   (イ)11月(対前月比) ▲0.07%0.28%

   (ロ)年初来10ヶ月 1.92%7.20%

   (ハ)対前年同月比 2.37%7.73%

   (ニ)中銀のインフレ目標 4.55.5%09年)24%10年)

(9)対外債務(8月末現在)(出所:中央銀行)

   (イ)対外債務 490.02億ドル(456.62億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 22.3%19.0%

   (ハ)うち公的債務 336.74億ドル(289.33億ドル)

   (ニ)うち民間債務 153.28億ドル(167.29億ドル)

(10)ガソリン価格(12月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

   レギュラーガソリン1ガロン 7,173.49ペソ(前月比 100ペソ高)

(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

   (イ)10月の自動車販売台数 16,250台(17,895台)

   (ロ)年初来10ヶ月間合計  149,367台(187,192台)