コロンビア月例報告(2009年12月分)
経済情勢
2010年 1月15日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●プラタ商工観光相は、「EUとラ米バナナ生産諸国との間で、対EUバナナ輸出関税を現在の1トンあたり176ユーロから直ちに148ユーロに引き下げ、今後10年で114ユーロに引き下げる内容の合意文書に署名した。」と発表した。(15日)
●商工観光省は、「2010年1月リマにおいて、「コ」及びペルーとEUとのFTA交渉ミニラウンドを開催予定。同交渉での実質合意が期待される。」と発表した。(23日)
●パルドFTA交渉代表は、「韓国・「コ」FTA交渉第1ラウンドが終了。次回交渉は2010年3月1~5日の日程で開催予定。」と述べた。(9日)
●「コ」政府は、ボゴタ首都区-サンタマルタ市間道路「ルータ・デル・ソル」落札者を、第一工区はConsorcio Vial Helios(亜・「コ」共同企業体(JV))、第二工区は、Estructura Plural Promesa de Sociedad Futura Concesionaria Ruta del Sol S.A.S.(伯・「コ」JV)、第三工区は落札者なしと発表した。
●「コ」政府は、政令により2010年の最低賃金を前年比3.64%増の515,000ペソ(約250ドル)、交通手当額を前年比3.70%増の61,500ペソ(約30ドル)と決定した。
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言等
(イ)報道(15日):米国下院は14日、「コ」、ペルー及び「エ」とのアンデス特恵関税麻薬取締協定(ATPDEA)を2010年末まで1年間の延長を承認。近く同上院でも承認される見込み。
(ロ)グラスリー米民主党上院議員(3日):オバマ大統領に対し雇用創出のため、「コ」、パナマ及び韓国とのFTAを早期に議会で承認するよう要請。
(ハ)バルコ在米コロンビア大使(19日):米・「コ」FTAは、輸出拡大を通じた雇用創出対策に政府が重点を置いていることから2010年前半には米議会で承認される見通し。
(2)対欧州連合(EU)関係
(イ)プラタ商工観光相(15日):15日、世界貿易機関(WTO)本部において、EUとラ米バナナ生産諸国との間での合意文書に署名。同内容は、対EUバナナ輸出関税を現在の1トンあたり176ユーロから、直ちに148ユーロに引き下げた後、今後10年で114ユーロまで引き下げる内容。
(ロ)ウリベ大統領(17日):EUとのバナナ対EU輸出関税に関する合意は、現在交渉中の「コ」・EUFTAの2010年1月の合意に向けた障害を取り除いた。
(ハ)商工観光省発表(23日):2010年1月リマにおいて、「コ」及びペルーとEUとのFTA交渉ミニラウンドを開催予定。同交渉での実質合意が期待される。
(3)対EFTA諸国(スイス、リヒテンシュタイン、ノルウェー、アイスランド)関係のプラタ商工観光相発言(17日):「コ」下院が16日、「コ」・EFTA諸国FTAを承認。今後同協定は上院での承認の後、憲法裁判所審査及び大統領裁可へと進む。
(4)「コ」・カナダFTAに関するケント・ラ米・カリブ担当相(5日):カナダは、承認手続きが終業する日程等は明かでないが、「コ」とのFTAを近く批准予定。
(5)対アンデス共同体諸国関係のウリベ大統領発言(3日):米と新たな軍事取極署名を契機とした「ベ」政府による輸入制限というチャベス大統領の決定は、コロンビア経済に対する不公平かつ違法な妨害である。
(6)対パナマ関係、プラタ商工観光相(17日):パナマと「コ」政府は、今後数年間に投資協定や自由貿易協定や統合に関する協定の可能性を含め、野心的取り組みを開始する。同活動に先立ち、2010年の早い段階で具体的な取り組みについて結論が出される。
(7)対チリ二重課税防止条約発効へ(3日):「コ」上院は2日、チリ・「コ」二重課税防止条約を承認し、2010年1月1日から発効することとなった。
(8)対アジア・太平洋諸国関係
(イ)中国投資銀行「Sinolatin」発表(5日):「コ」における石炭及び金採掘プロジェクト及びインフラプロジェクトのファイナンスのため、1~3億ドルの融資を「コ」政府等に提案。
(ロ)サントス副大統領(17日):「コ」は2010年の上海万博に参加し、「コ」がビジネス、生物多様性、文化及び歴史における高い潜在性を示す。また同万博への参加は、「コ」企業が中国及びその他太平洋諸国の企業とのビジネスを行う機会である他、同地域は「コ」政府にとって通商政策上重要な地域である。
(ハ)商工観光省発表(10日):11月30日、プラタ商工観光大臣はクリーン豪州貿易担当相と、農業、サービス及びインフラ分野等における両国の協力関係のためのMOUに署名。両大臣は、将来両国間で投資保護協定及び通商協定締結の意向を明らかにした。
(ニ)対韓国関係に関する報道(3日):「コ」・韓国二重課税防止条約交渉が終了し、実質合意となった。
(ホ)パルドFTA交渉代表(9日):韓国・「コ」FTA交渉第1ラウンドが終了、今回の会合は交渉内容等のTORを作成する準備会合。次回交渉は2010年3月1~5日の日程で開催予定。
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)ボゴタ首都区-サンタマルタ市間道路「ルータ・デル・ソル」落札者発表報道(16日):「ルータ・デル・ソル」は、工区が大きく3つに分かれており、全長1,071km。
(a)第一工区(クンディナマルカ県ビジェタ市~同県エル・コラン市、78km):Consorcio Vial Helios(亜・「コ」共同企業体(JV))。
(b)第二工区(クンディナマルカ県プエルト・サルガル市~セサール県サン・ロケ市、528km):Estructura Plural Promesa de Sociedad Futura Concesionaria Ruta del Sol S.A.S.(伯・「コ」JV)
(c)第三工区(セサール県サン・ロケ市~ボリバル県カルメン・デ・ボリバル市及びマグダレナ県ジェ・デ・シエナガ市~セサール県バジェドゥパール市、465km):落札者なし
2008年12月から開始された同入札は、7JV、22企業からプロポーザルの提案があった。全工区に応札した中国及びコロンビアの企業からなるJV、Union Temporal Concesion RDSは、「コ」政府が定める入札条件に従ったプロポーザル提出は不可能であるとして、入札からの撤退を表明。
なお第三工区については、2010年1月下旬に落札者が決定される見込み。
(ロ)ボゴタ首都区メトロ建設計画に関する報道(17日):新設されたボゴタ首都区メトロ建設プロジェクト部長に、カミロ・セア氏が就任。同部長は現モレノ・ボゴタ市長の任期である2011年末までに、メトロ運営会社の創設の他、メトロ第一号線入札の実施等を行う。
(ハ)メトロ建設計画に対するピエドライータ国家企画庁(DNP)長官発表(19日):メトロ建設計画について、未だ国家政治経済社会審議会(CONPES)では承認されていない(当館注:COPESは大統領や蔵相、DNP長官等が参加し国の重要プロジェクトの審査を行う。)他、輸送需要や受注者選定基準の他、ファイナンス、運賃及び運営面等においても、必要な情報がそろっていない。
(2)2010年の最低賃金交渉動向(30日)
(イ)政府発表:1月あたり最低賃金は政令により、前年比3.64%増の515,000ペソ(約250ドル)、1月あたり交通手当額は、前年比3.70%増の61,500ペソ(約30ドル)と決定。
(ロ)関係報道概要(30日):29日に行われた官・労・使からなる最後の最低賃金交渉では、「コ」政府側(パラシオ社会保障相)が4.0%のベア、労働者側が7.5%のベアを提示したが合意には至らず、政令発出による決着となった。(政府による決着は4年連続)
(ハ)モラ労働組合センター(CUT)総裁:「コ」政府は最低賃金の上昇を抑制することで使用者の負担を軽減し、失業率の上昇に歯止めをかけようとしているが、失業率は11.2%であり「コ」政府の政策は機能していない。
(ニ)ゴメス労働者総同盟(CGT)総裁:バスやタクシー、公共料金の価格は最低賃金の増加幅より増加しており、1月18,000ペソの増では対応できない。
(ホ)ウリベ大統領:2010年の最低賃金は、2%以下となる見込みの2009年物価上昇よりも70%以上も上回っている。当初「コ」政府のベアは3.0%であったが、長時間の議論を経て政府の経済対策チームはより多くの賃金増を達成。
あらゆる努力にも拘わらず、労働者と使用者の間で最低賃金が合意に達しなかったことは残念である。
(3)特別資産税に関する報道概要(17日):16日、下院及び上院総会において、特別資産税を2011年以降も有効とする法案が可決。同時に税率改定も承認され、総資産額が30~50億ペソの者は税率を0.6%、同資産額が50億ペソ以上の者については1.2%とすることが決定。税収見込みは年間3.1兆ペソを想定。同税収は、学校建設や下水道整備等の社会資本整備、道路等のインフラ整備及び治安対策費に充てられる。
(4)その他
(イ)鉱山エネルギー省発表(10日):エル・ニーニョ現象による降雨不足を原因とする電力供給不足を踏まえ、同月22日まで国内の電力供給維持のため、対エクアドル電力輸出を停止する。
(ロ)全国テレビ委員会(CNTV)発表(14日):「コ」における地上デジタル放送は2010年中頃に開始予定だが、ソニー、LG及びSamsun等の欧州方式対応テレビが輸入されている。同テレビは現在市場では販売されていない。今後CNTVが、テレビ販売のためのスペック等の条件を決定予定。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)実質経済成長率(2009年第3四半期)
(イ)前年同期比 ▲0.2%、
(ロ)対前期比 0.2%
(ハ)各セクター別成長率(前年同期比)
(ⅰ)建設 13.7%
(ⅱ)鉱物 8.8%
(ⅲ)農牧業 2.0%
(ⅳ)電気・ガス・水道 1.7%
(ⅴ)金融 1.1%
(ⅵ)サービス 0.9%
(ⅶ)運輸 ▲2.9%
(ⅷ)商業 ▲4.0%
(ⅸ)製造業 ▲5.8%
(ニ)需要別成長率(前年同期比)
(ⅰ)消費 1.0%
(ⅱ)輸出 ▲10.0%
(ⅲ)投資 ▲10.7%
(ⅳ)総需要 ▲3.0%
(ホ)2010年の経済成長予測(ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)):2.5%
(2)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)10月の鉱工業生産指数(対前年同月比) ▲2.8%(▲7.1%)
(ロ)10月の新規着工申請面積 119.0万㎡(119.9万㎡)
(ハ)年初来10ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲6.6%(▲1.8%)
(ニ)年初来10ヶ月間の新規着工申請面積 1,088.5万㎡(1,450.6万㎡)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)11月のコーヒー生産量 76.0万袋(93.3万袋)
(ロ)11月のコーヒー輸出量 55.4万袋(91.5万袋)
(ハ)年初来11ヶ月間のコーヒー生産量 699.1万袋(1,037.3万袋)
(ニ)年初来11ヶ月間のコーヒー輸出量 704.4万袋(1,007.8万袋)
(4)金利(出所:中央銀行):12月末の政策金利 3.50%(9.50%)
(5)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来10ヶ月間の輸入額 270.10億ドル(333.08億ドル 18.9%減)
(ロ)年初来10ヶ月間の輸出額 268.02億ドル(323.92億ドル 17.3%減)
(6)雇用(11月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 11.1%(10.8%)
(ロ)失業率主要13都市平均 12.1%(10.4%)
(7)為替(12月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 1,998.45ペソ
(ロ)月末 2,044.23ペソ
(ハ)最高値 1,990.29ペソ(2日)
(ニ)最安値 2,046.20ペソ(29日)
(8)株式指数(12月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 11,245.01ポイント
(ロ)月末 11,602.42ポイント
(ハ)最高値 11,614.81ポイント(24日)
(ニ)最安値 11,245.01ポイント(1日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)12月(対前月比) 0.08%(0.44%)
(ロ)対前年同月比 2.00%(7.67%)
(10)対外債務(出所:中央銀行)
(イ)9月末現在対外債務 512.04億ドル(454.45億ドル)
(ロ)対名目GDP比 22.1%(18.5%)
(ハ)うち公的債務 350.04億ドル(285.63億ドル)
(ニ)うち民間債務 162.00億ドル(168.82億ドル)
(11)ガソリン価格(2010年1月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,173.49ペソ(前月と同じ)
(12)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)11月の自動車販売台数 17,231台(17,756台)
(ロ)年初来11ヶ月間合計 166,589台(204,948台)
(13)外国からの送金額(出所:中央銀行)
年初来11ヶ月間 37.24億ドル(44.04億ドル)