コロンビア月例報告(2010年 1月分)
経済情勢
2010年 2月23日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●プラタ商工観光相は、「米・「コ」FTAの米議会承認は複雑な問題であり、目標達成には時間を要する。「コ」として本年の通商アジェンダ上のプライオリティーは、パナマ、韓国、ドミニカ共和国及び日本との協定交渉。」と述べた。(15日)
●商工観光省は、「プラタ商工観光相とエンリケス・パナマ商工相が両国投資・通商関係活性化のための第一回準備会合を開催。次回第二回準備会合は両国FTAの範囲及びモダリテ
ー等について議論のためパナマで開催予定。」と発表した。(15日)
●ピエドライータ国家企画庁(DNP)長官はボゴタ市メトロ建設計画に関し、「2月第2週までには、ボゴタ市メトロ第1号線の建設総額が明かとなる見込み。同総額の内、70%が「コ」政府、30%がボゴタ市の負担となる。その後、国家政治経済社会評議会(CONPES)で承認され、国からの資金拠出が可能となった後で、本体工事の入札が開始される。」と述べた。(29日)
●ウリベ中銀総裁は、「対「ベ」輸出が2008年の60億ドルから15億ドル程度と大幅に減少する見込みで、他国の輸出増によっても穴埋めできない規模になることが予想されるため、本年GDP成長率は2~3%になると予想。」と述べた。(25日)
●商工観光省は、「2009年に「コ」を訪問した外国人数は、前年比10.4%増の132.4万人。」と発表した。(21日)
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米FTAに関する関係者の発言等
(イ)オバマ米大統領(28日、ダボスより):コロンビアとの通商関係強化を期待。米・「コ」FTA承認にあたり、「コ」における信頼や支援等のシグナルを理解する必要がある。
(ロ)メコンネル米共和党上院議員(29日):オバマ大統領は、米議会承認がペンディングとなっている案件の承認促進のため共和党への支持要請は可能。特に米・「コ」FTAは、通商額の増加及び新規雇用創出という観点から米国にとって有益。
(ハ)ウリベ大統領(2日):「コ」が近年、治安及び基本的人権の尊重といった分野で行ってきた努力を踏まえれば米国は、早期に米議会において米・「コ」FTAを批准すべき。
(ニ)プラタ商工観光相(15日):米・「コ」FTAの米議会承認は複雑な問題であり、目標達成には時間を要する。「コ」として本年の通商アジェンダ上のプライオリティーは、パナマ、韓国、ドミニカ共和国及び日本との協定交渉である。
(ホ)ブラウンフィールド当地米大使(23日):本年、米国では中間選挙が予定されており、同国議会で米・「コ」FTAは承認されないと思料。
(ヘ)スタインバーグ国務副長官(13日):「コ」を訪問しウリベ大統領と会談。「コ」との関係は戦略的であり、経済、社会、文化等の面で相互に利益となる「偉大なる同盟国」と位置づけられる。「コ」政府の努力により治安改善で進展が見られが、明確な米・「コ」FTA承認迅速化のためのアジェンダは持っていない。
(2)対欧州連合(EU)関係のプラタ商工観光相発言(23日):18~22日にかけて、リマにおいて「コ」及びペルーFTA交渉第8ラウンドを開催。最終合意には至らず終了。次回会合はブリュッセルで2月末か3月始めに開催予定。同ラウンドでの大筋合意に期待。
(3)対ベネズエラ関係
(イ)報道発表(9日):ベネズエラ政府が同国通貨ボリバル・フエルテの対ドル為替レートを、2.25から食料品等の基礎物品について2.60ボリバル、その他を4.30ボリバルに切り下げた問題について、「コ」との関係では一連の「ベ」政府による輸入制限措置のため、通商量が大きく減少しているため「コ」に与える影響は少ないと考えられる。
(ロ)「コ」・仏系スーパー「Exito」発表(19日):「ベ」政府による同国「Exito」の収用問題に関して、同スーパーのファイナンスには影響はない。「コ」及び「ベ」企業は今般の「ベ」政府の政策を否定し、極端で、不適切で、憲法に反していると評する。
(ハ)ウリベ大統領(23日):「ベ」政府による「Exito」の収用に関して、外国投資の排除は、「ベ」国民を貧困に陥れるものである。
(4)対パナマ関係に関する商工観光省発表(15日)
(イ)発表概要:プラタ商工観光相とエンリケス・パナマ商工大臣は、ドゥケ商工観光次官(国際通商担当)及びデ・ソト・パナマ商工次官等同席の下、両国投資・通商関係活性化のための第一回準備会合を開催。次回第二回準備会合はパナマで開催予定であり、両国FTAの範囲及びモダリティー等について議論予定。
(ロ)プラタ商工観光相:世界貿易機関(WTO)による勧告履行のため、現在水際で行われているパナマからの製品の輸入制限措置を客年12月から停止。本年2月1日から、現行の参考価格制度(Precio Indicativo)に代わる、WTOの勧告内容とも整合性のある新たなシステムを導入。本施策により「コ」政府は、不正確なインボイスの作成や税関における不正行為の取締への配慮を怠ることなしに、国際通商上の約束に沿った税関規則を定める。(当館注:パナマ政府は「コ」政府による国内産業保護のためのパナマ・コロン市等のフリーゾーンから「コ」に輸入される産品の輸入制限措置及び参考価格制度について、WTO協定違反として提訴していた。)
(5)対日本関係
(イ)ベルムデス外相訪日に関する報道(13~19日):12日からベルムデス外相が訪日。同訪日ではFEALAC外相会合参加の他、岡田外相、緒方JICA理事長、峰崎財務副大臣及び横路衆議院議長との会合を行った。また、経団連での日本企業関係者との対話を行い、今日コロンビアが外国人投資家に対して提供する、投資、ビジネス及び観光等についてプレゼンテーションを行った。
(ロ)青いバラの生産開始(16日):コロンビア農牧業公社(ICA)での認可を受けて、青いバラの種子の種蒔がコロンビアで開始された。同商品は、対日輸出向けのみ生産される予定であり、50ドル程度で販売される見通し。
(6)ガビリア上海万博担当大使発言(13日):上海万博は「コ」産品をアジア市場に売り込む、輸出先多様化という「コ」政府の政策の観点から重要。同万博は本年5月から10月まで約半年間行われる予定で、全世界から約7000万人の来場者が予想。
(7)世界経済フォーラムに関するウリベ大統領発言(25日):本年4月の当国カルタヘナ市で開催されるラ米・世界経済フォーラムに世界主要企業の経営者を招待する。同会合には、各国政府首脳、同企業経営者及び大学関係者等約500名が参加予定。同フォーラムは、多国籍企業が当国を重要なパートナーと認識し、投資やビジネスといった面で魅力的となった新しいコロンビアを紹介する上で重要な機会。
<国内情勢>
(1)国内インフラ関係
(イ)ボゴタ市メトロ建設計画
(ⅰ)ピエドライータ国家企画庁(DNP)長官(29日):2月第2週までには、ボゴタ市メトロ第1号線の建設総額が明かとなる見込み。同総額の内、70%が「コ」政府、30%がボゴタ市の負担となる。その後、国家政治経済社会評議会(CONPES)で承認され、国からの資金拠出が可能となった後で、本体工事の入札が開始される。
(ⅱ)ウリベ大統領(8日):ボゴタ市メトロ建設計画及びボゴタ市近郊鉄道建設計画に関し、「コ」政府として将来の資金援助を約束したが、実際の資金供与のためには同交通システム建設に関しての明確な調査と数値を有することが必要。
(ⅲ)モレノ・ボゴタ市長(7日):メトロ建設計画に関し、当初カジェ127通りまでの設計であったが、資金の見通しがつかないため、カジェ100通りまでとする変更を国家企画庁(DNP)に伝達。
(ロ)ボゴタ-サンタマルタ市間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画に関するガジェゴ運輸相発言(12日、15日):14日、「ルータ・デル・ソル」第一工区落札者「Consorcio Vial Helios」(「コ」・亜企業)及び第二工区落札者「Consorcio Ruta del Sol」(「コ」・伯企業)との契約書に署名。
第三工区は落札者は決まっていないが、投資家誘致のため同工区建設予算を4000億ペソ増額し、最大2.3兆ペソとする。入札は本年2月に再開し、本年6月に落札者を決定予定。
(ハ)ブエナベントゥーラ港の貨物取扱量に関する報道(8日):2009年の貨物取扱量が前年比5%増となり、約1,000万トンとなった。主な要因として、機械や被服等非伝統的産品の輸出量が増加が挙げられる。
(2)当国経済に関するウリベ中銀総裁発言(25日):本年のGDP成長率は2~3%、インフレ期待値は2~4%と考える。本年の当国GDP成長率がチリ、伯及びペルーよりも低くなる要因としては、対「ベ」輸出が2008年の60億ドルから15億ドル程度と大幅に減少する見込みであり、他国の輸出増によっても穴埋めできない規模になることが予想されるため。
(3)財政
(イ)スルアガ蔵相(19日):2010年予算に関し、同年の期待インフレ率が当初予想より低くなることによる税収減及び関税収入等の為替差損による歳入減が1.7兆ペソ予想されるため、一般行政経費2.2兆ペソ及び投資的経費2兆ペソの減額を行う。なお投資的経費については水、衛生等の社会政策経費は減額しない。本措置で政府全体での財政赤字は対名目GDP3.7%を予測。
(ロ)国税・税関庁発表(22日):2009年の税収入は当初予想73.1兆ペソを下回り、前年比4.9%増の68.9兆ペソとなった。2010年の税収予測は69.7兆ペソを想定。2009年税収の主な内訳は、所得税28.9兆ペソ(前年比15.9%増)、付加価値税18.4兆ペソ(4.3%)、銀行取引税3.1兆ペソ(2.4%減)等である。
(ハ)社会的緊急事態政令に関する報道(23日):「コ」政府は健康保険の国庫負担分の財源を確保するため、「社会的緊急事態」(Emergencia Social)という名称の政令を発出し、2011年12月を期限として1.15兆ペソの増税実施を発表。具体的には、2010年2月1日よりビール税を3から16%に、遊興税を5から20%に引き上げ9000億ペソの増収を見込む他、たばこ及び酒税の引き上げにより2250億ペソの増収を見込む。
(4)その他
(イ)外国人来訪者数に関する商工観光省発表(21日):2009年に「コ」を訪問した外国人数は、前年比10.4%増の132.4万人となった。世界的に見ると観光客数は4%減少したが、「コ」を訪問する観光客数は増加している。
(ロ)欧州方式によるデジタルテレビ放送の開始の報道(30日):29日、公共放送の「Canal Uno」、「Senal Colombia」及び「Canal Institucional」は、欧州方式(DVB)による地上デジタル放送を開始。同日、ボゴタ市ショッピングセンターで同方式のデジタル放送デモンストレーションも開始され、ゲラ情報技術・通信相及びカレーニョ全国テレビ委員会(CNTV)委員長等が視察を行った。
今般デジタル放送開始によりボゴタ市北部及び北東部がデジタル放送が視聴可能となったが、本年末までには「コ」国内に5つの送信所に送信機が設置され、2万人以上の人口を有する市町村の4分の1、全人口の42%がデジタル放送を視聴できる予定。
(ハ)情報技術・通信相の交代(21日):ゲラ情報技術・通信大臣は同大臣の兄が上院議員選挙に立候補するため、辞表をウリベ大統領に提出。辞表は受理される見通しで、後任は当分の間メディーナ次官が大臣代理を務める。(当館注:当国憲法第179条の規定では、3親等内の親族が大臣の職にある場合、上院議員選挙に立候補できないため。)
(ニ)プラタ商工観光相(16日):国内輸出業者のコスト削減のため行ってきた、「コ」で生産されていない主要原材料約1,600品目の輸入関税をゼロとする措置について本年12月31日までの延長を決定。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)経済成長率
(イ)ウリベ中央銀行総裁 2~3%(2010年)
(ロ)ビジェガス全国工業連盟(ANDI)総裁 3~3.5%(2010年)
(ハ)高等教育開発財団(Fedesarrollo) 0.2%(2009年)、2.4%(2010年)
(2)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)11月の鉱工業生産指数(対前年同月比) 2.0%(▲13.1%)
(ロ)11月の新規着工申請面積 116.8万㎡(119.0万㎡)
(ハ)年初来11ヶ月の鉱工業生産指数(前年同期比) ▲5.9%(▲2.9%)
(ニ)年初来11ヶ月間の新規着工申請面積 1,205.3万㎡(1,562.3万㎡)
(3)コーヒー(出所:全国コーヒー生産者連盟(FNC))
(イ)2009年のコーヒー輸出量 781.2万袋(1,147.8万袋)
(ロ)2009年のコーヒー生産量 789.4万袋(1,108.6万袋)
(4)金利(出所:中央銀行):1月末の政策金利 3.50%(9.00%)
(5)貿易(出所:DANE)
(イ)年初来11ヶ月間の輸入額 298.37億ドル(366.04億ドル 18.5%減)
(ロ)年初来11ヶ月間の輸出額 296.60億ドル(346.63億ドル 14.4%減)
(6)雇用(12月)(出所:DANE)
(イ)失業率全国平均 12.0%(11.3%)
(ロ)失業率主要13都市平均 13.0%(11.5%)
(7)為替(1月)(対ドル為替レート)
(イ)月初 2,044.23ペソ
(ロ)月末 1,981.29ペソ
(ハ)最高値 1,957.82ペソ(19日)
(ニ)最安値 2,044.23ペソ(4日)
(8)株式指数(1月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 11,602.14ポイント
(ロ)月末 11,551.45ポイント
(ハ)最高値 11,780.66ポイント(19日)
(ニ)最安値 11,378.82ポイント(25日)
(9)消費者物価指数(出所:DANE)
(イ)1月(対前月比) 0.69%(0.59%)
(ロ)2008年2月からの12ヶ月間 2.10%(7.18%)
(10)ガソリン価格(2010年2月より)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,365.79ペソ(200ペソ増)
(11)自動車販売台数(出所:Econometoria社)
(イ)2009年の自動車販売台数 185,119台(219,498台)
(ロ)2009年12月の自動車販売台数 18,521台(14,550台)