コロンビア月例報告(2月分)

 

経済情勢

2010年 3月26日

在コロンビア日本大使館

Ⅰ.概要

●プラタ商工観光相は、「「コ」・エルサルバドルFTAが発効。同FTAにより工業製品の約53%が直ちにゼロ関税となり、建設、プラスチック、化学品、金属機械、出版、自動車部品、農業製品、技術サービス等の新分野での輸出増が期待される。」と述べた。(2日)

●全国輸出業協会(ANALDEX)は、「「べ」政府の為替管理のため、「コ」輸出業者が「ベ」に対して有している未払い額は約8億ドルに達しており、支払見込みは立っていない。」と述べた。(5日)

●プラタ商工観光相は、「31519日にかけてパナマにおいて対パナマFTA交渉第1ラウンドを、41216日にかけて第2ラウンド交渉をボゴタで開催予定。工業製品及び農業製品の市場アクセス、原産地証明規則、知的所有権及び衛生基準等15分野で交渉を行う。」と述べた。(19日)

●「Opain」社は、「ボゴタ市国際空港「エル・ドラド」新規ターミナル建設工事は、既存の空港ターミナルを取り壊すか保存するか議論が決着しないため当初予定の20123月までには終了せず、20147月になる見込み。」と発表した。(5日)

●「コ」政府は、コロンビア・チェコ二重課税防止条約交渉が大筋合意したと発表した。(13日)

 

Ⅱ.主な出来事

<対外関係>

(1)対米FTA関連

(イ)オバマ大統領(12日):米議会に対し本年中の対コロンビア、韓国及びパナマFTA承認に向け働きかけを行う。

(ロ)米国製造業組合発言報道(16日):米で最も影響力があるといわれる米国製造業組合は、オバマ大統領により最近策定された輸出額倍増目標を支持するとともに、現在米議会での承認が停滞している米・「コ」FTAを含むFTAの早期承認を求めた。

(ハ)ワシントン・ポスト紙報道(9日):EUと「コ」は米国と同程度の内容のFTA交渉を終了させつつあり、アドバンテージを失わないためにも米議会は早期に対「コ」FTAを承認すべき。

(2)対欧州連合(EUFTA交渉関連

(イ)FTA交渉関連報道(20日):2226日にかけてブリュッセルにおいて、最終ラウンドになると期待されるEU・「コ」FTA交渉第9ラウンドが開催予定。依然として関税率、バナナの対EU輸出枠、自動車輸入関税の撤廃期間等合意となっていないセンシティブな分野が残されている。

(ロ)マーチン・アイルランド外相発言(17日):ベルムデス外相に対し「コ」・EUFTAが、政治、経済及び社会的連携強化への貢献を踏まえ、同FTA合意の重要性を強調する書簡を送付。

(ハ)全国企業家連盟(ANDI)発表(19日): 2009年の対EU27カ国への輸出額は、1995年の25.53億ドルから42.81億ドルに急増しており、「コ」・EUFTAは「コ」製造業及び「コ」の発展にとり真に必要である点を指摘し、同FTA早期合意を「コ」政府に要請。

(3)対エルサルバドルFTA発効に関するプラタ商工観光相発言(2日):「コ」・エルサルバドルFTAが発効。同FTAにより工業製品の約53%が直ちにゼロ関税となり、建設、プラスチック、化学品、金属機械、出版、自動車部品、農業製品、技術サービス等の新たな分野での輸出増加が期待。同協定はグアテマラ、ホンジュラス及びエルサルバドル3カ国合同で交渉を行ったが、200911月にグアテマラとのFTAが発効した他、ホンジュラスについては同国新政府の同FTAの国内承認手続きの完了が残るのみ。

(4)対アンデス共同体諸国(CAN)関係

(イ)対コロンビア輸入セーフガード撤廃に関するエクアドル政府発表(5日):「エ」政府は対「コ」輸入セーフガードを発動していた236品目について、同措置撤廃を発表。同国政府は20097月からコロンビア・ペソの切り下がりを理由とした1346品目に上るセーフガード発動を発表したが、今次発表により1346品目全てのセーフガードが撤廃された。

(ロ)対ベネズエラ輸出に関する報道(5日):国家統計庁(DANE)発表の2009年対「ベ」輸出速報値は、米・「コ」新軍事取極締結を契機とした「ベ」政府の輸入制限措置等により前年比33%減の約40億ドルの見通し。

(ハ)パルド「コ」・「ベ」商工会議所会頭発言(10日):肉、靴、化粧品、油脂及び繊維製品の対「ベ」輸出は、「べ」政府の輸入制限措置により激減したが、その代わり皮肉にも「ベ」政府が最大の政敵国と位置づける米国からの輸入が増加。2009年の「コ」の対「ベ」輸出は33%減少したが、本年も同様の傾向が続く見通し。

(ニ)全国輸出業協会(ANALDEX)(26日):「べ」政府の為替管理のため、「コ」輸出業者が「ベ」に対して有する未払額は約8億ドルに達しており、支払見込みは立っていない。

(5)対パナマ・FTA交渉に関するプラタ商工観光相発言(19日):31519日にかけてパナマにおいて対パナマFTA交渉第1ラウンドを、41216日にかけて第2ラウンド交渉をボゴタで開催予定。工業製品及び農業製品の市場アクセス、原産地証明規則、知的所有権及び衛生基準等15分野で交渉を行う。

(6)対日本関係

(イ)ウリベ大統領(11日、JICA専門家等との会見において):「コ」にとり国際協力機構(JICA)のプレゼンスは重要であり、日本政府がJICAを通じ行っている各種プロジェクトに謝意を表する。また、現在交渉中の日・「コ」投資協定の早期合意を期待。

(ロ)プラタ商工観光相(25日):日・コロンビア投資協定第5ラウンドにおいての進捗を強調。同交渉では全条文において議論が行われ、多くの事項で合意に達したが、合意に達しない条項等も依然として存在する。

(7)対中国関係(中国との外交関係樹立から30年記念行事において)(15日)

(イ)ベルムデス外相発言:通商、観光、自然資源及び今後輸出拡大可能性のある工業分野で「コ」が世界に提供可能な産品を展示するため、今次上海万博は重要な機会。

(ロ)高正月駐「コ」中国大使:「コ」は中国にとって戦略上重要な国であり、中国人にとっては観光地としても注目を集めている。

 

<国内情勢>

(1)国内インフラ関係

(イ)リネア・トンネル建設計画に関する報道(26日):避難用通路115メートルが完成。本年6月までに400メートルが完成予定。同トンネル建設工事は2013年に完了予定で、供用開始は2015年の予定。

(ロ)ボゴタ市メトロ建設計画

(ⅰ)全国金融業協会(ANFI)発表(23日):ボゴタ市メトロ建設計画は、既存のボゴタ市大量交通輸送システム「トランスミレニオ」と比べ、1kmあたりの建設費が5倍であり、国家レベルでの財政的リスクがある。

(ⅱ)セア・ボゴタ市メトロ建設プロジェクト部長(15日):メトロ建設プロジェクトについて、現在「トランスミレニオ」第3フェーズの着工が遅れているが、当初の予定通り2011年下半期に着工する。

(ハ)ボゴタ-サンタマルタ間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画(16日):国家政治経済社会評議会(CONPES)は、落札者が決まっていない「ルータ・デル・ソル」第3工区建設予算を2.43兆ペソと決定し、18日から同工区入札を開始。

(ホ)民間活力推進庁(INCO)発表(22日):「コ」大西洋岸バイパスである「トランスベルサル・ラス・アメリカス」の第一工区であるラ・グアヒラ県-パナマ間の建設工事入札を22日から開始。予算額は1.6兆ペソで、本年6月に落札者決定予定。

(ヘ)ボゴタ市国際空港コンセッション企業「Opain」社発表(5日):ボゴタ市国際空港「エル・ドラド」新規ターミナル建設工事は、既存のターミナルを取り壊すか保存するか議論が決着しないため当初予定の20123月までには終了せず、20147月になる見込み。

(2)2010年経済見通しに関するプラタ商工観光相発言(17日):2010年の輸出、対内直接投資及び国内製造業動向の見通しは明るい。理由として、コーヒー、原油及び金生産量増、鉱物及び石油部門における対内直接投資の増加、本年の全世界の需要回復見通し及び基礎原材料の国際価格の上昇傾向等がある。本年輸出額は中国、伯、チリ及びカナダ等のベネズエラに代替する輸出先を確保できたこともあり、375億ドルと予想。

(3)財政

(イ)最低賃金に関するピエドライータ国家企画庁(DNP)長官発言(14日):当国では例えばボゴタ市はウルグアイと同様の所得水準だが、太平洋岸のチョコ県はボリビアと同程度の所得水準であり、地域別、あるいは都市・農村別に最低賃金決定を提案。

(ロ)国際通貨基金ミッションのピニョン団長発言(17日):「コ」政府が抜本的な税制改革法案を「コ」議会に提案する必要がある。その税制改革は単に「コ」政府の歳入増が目的ではなく、課税ベースを拡大し、免税等の租税制度のゆがみを是正することにより、製造業部門が活動しやすくなり、将来生じうる金融危機に対応できる経済を構築できる。

 「コ」政府が専門家の協力を得ながら、労働条件を見直すための労働改革についても議論に着手すべき。また、今般の世界金融危機前及び金融危機中に実施された「コ」政府による経済政策は、「コ」への危機波及を最小限に抑えるために適切な政策であった。

(ハ)2010年の財政赤字に関する報道(5日):スルアガ蔵相は2010年の財政赤字目標を中央政府で対名目GDP4.5%、政府統合で同3.7%とすると発表。他方アナリストは、前年の製造業分野の業績が悪く、本年の納税額は2009年の業績により決定されるため、本年の税収は当初予想を下回ることが予想され、中央政府の財政赤字は5%を予想。

(ニ)最高財政政策審議会(CONFIS)発表(9日):CONFIS速報値によると、2009年の中央政府の財政赤字は対名目GDP4.1%で、中央政府の税収額は当初予想額よりも3.5兆ペソ少なかったこともあり、当初目標の同4.0%を上回った。また政府統合では同2.7%であった。

(ホ)チェコとの二重課税防止条約合意(13日):12日、交渉が行われていたコロンビア・チェコ二重課税防止条約交渉が大筋合意し、今後署名され、各々の議会へ送付される。

(4)その他

(イ)全国テレビ委員会発表(16日):欧州方式によるデジタル放送実施のタイムテーブルとして、本年末までに全人口42%をカバーする目標を設定。同目標を受け「コ」国営放送(RTVC)は、デジタル放送のための送信機及び関連インフラ整備のための入札を開始。 同機器設置により、「コ」主要都市の内、ボゴタ市全域、カリ市、メデジン市、サンタマルタ市、カルタヘナ市、バランキージャ市、トゥンハ市、ビジャビセンシオ市及びイバゲ市でデジタル放送が視聴可能となる。

(ロ)金融監督庁発表(3):金融業開始申請のあった「Grameen Aval」(「コ」・米)、「Coomeva」(「コ」)、「Falabella」(チリ)、「WWB Colombia」(米)及び「Finandina」(「コ」)の新規銀行開設を承認。今次承認より国内銀行数は18から23となる。

(ハ)送金額に関する中銀発表(10日):2009年の外国から送金額は、前年48.42億ドルから14.4%減の41.45億ドルとなった。

(ニ)エルニーニョ現象による水不足に関するマルティネス鉱山エネルギー相発言(11日):今般の水不足問題について、客年にとられた政策により現在各ダムの平均貯水率は55%で、本年5月までは少なくとも水供給に影響は出ない見込みであるため、「慎重に、冷静に」行動することを強調。他方、「コ」政府としては国民に節水を訴えていく。

(ホ)大統領府による人事発表(10日):貿易振興公社(Proexport)ポンボ総裁が、在ブラジル・コロンビア大使に就任。ポンボ新大使は伯との政治・経済関係の更なる強化が課題となる。

 

Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値

(1)新規建設着工面積数(出所:国家統計庁(DANE))

   (イ)200912月の鉱工業生産指数(対前年同月比)2.0%(▲8.7%

   (ロ)2009年の鉱工業生産指数(対前年比) ▲5.9%(▲3.5%

   (ハ)200912月の新規着工申請面積 137.7万㎡(137.3万㎡)

   (ニ)2009年の新規着工申請面積 1,343.1万㎡(1,699.6万㎡)

(2)金利(出所:中央銀行):2月末の政策金利 3.50%8.00%

(3)貿易(出所:DANE

    (イ)2009年の総輸入額  328.98億ドル(396.69億ドル 17.1%減)

   (ロ)2009年の総輸出額  328.53億ドル(376.26億ドル  12.7%減)

(4)雇用(1月)(出所:DANE

   (イ)失業率全国平均 14.6%14.2%

   (ロ)失業率主要13都市平均 15.3%14.9%

(5)為替(2月)(対ドル為替レート)

   (イ)月初 1,981.29ペソ

   (ロ)月末 1,932.32ペソ

   (ハ)最高値 1,914.87ペソ(22日)

   (ニ)最安値 2,003.76ペソ(8日)

(6)株式指数(2月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))

   (イ)月初 11,551.45ポイント

   (ロ)月末 11,724.52ポイント

   (ハ)最高値 11,797.69ポイント(24日)

   (ニ)最安値 11,222.65ポイント(5日)

(7)消費者物価指数(出所:DANE

      (イ)2月(対前月比) 0.83%0.84%

   (ロ)年初来2ヵ月間 1.52%1.43%

     (ハ)20093月からの12ヵ月間 2.09%6.47%

(8)対外債務(出所:中央銀行)

   (イ)200911月末現在対外債務 533.12億ドル(459.23億ドル)

   (ロ)対名目GDP比 23.1%18.9%

   (ハ)うち公的債務 367.66億ドル(288.66億ドル)

   (ニ)うち民間債務 165.46億ドル(170.57億ドル)

(9)ガソリン価格(20103月より)(出所:鉱山・エネルギー省)

    レギュラーガソリン1ガロン 7,365.79ペソ(前月と同じ)

(10)自動車販売台数(出所:Econometoria社)

       20101月の自動車販売台数 15,136台(13,848台)