コロンビア月例報告(3月分)
経済情勢
2010年 4月28日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
●「コ」政府は、EU・「コ」FTA交渉が大筋合意したと発表した。ペンディング事項であった農産物の市場アクセス、原産地証明、知的財産権等について合意した。なお、調印は、EU-中南米・カリブ諸国(EU-LAC)首脳会議の開催に合わせて、5月18日にマドリッドにて行われる予定。(1日)
●「コ」政府は、英国との投資協定に調印したと発表した。(17日)
●プラタ商工観光相は、「「コ」・ホンジュラスFTAが発効した。これに伴い中米3カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス)との、貿易、サービス、投資、政府調達の進展が期待される。」と述べた。(27日)
●米州開発銀行(IDB)は、「コ」政府に対し、2010年中に8.4億ドルの融資を承認した。これは「コ」政府による国家開発計画の各種プロジェクトに充てられる。(20日)
●アンデス開発公社(CAF)は、「コ」政府に対し、サンタ・マルタ港開発向けに1,675万ドルの融資を承認した。(11日)
Ⅱ.主な出来事
<対外関係>
(1)対米国FTA関連
(イ)ウリベ大統領発言(2日):モンテビデオにおけるクリントン国務長官との会談を経て、米・「コ」FTAの最終的な承認に向けた手応えを感じている。
(ロ)エル・ティエンポ紙報道(4日):米議会は、対「コ」FTAを進展させるため、「コ」に対し労働規範等に関する要求を提出予定。
(ハ)ビジェガス全国企業家連盟(ANDI)会長発言(5日):今般米国側が懸案事項として提出した、当国の労働基準、労働組合幹部に対する暴力問題等に関する要求は、FTA交渉の進展を遅らせるものであり、受け入れ難い。また、これまでのオバマ大統領及びクリントン国務長官の発言とも矛盾。
(ニ)オバマ大統領発言(12日):対「コ」及び対パナマFTA承認に向け、両国との関係進展を約束。
(2)対欧州連合(EU)FTA関連
(イ)FTA交渉関連報道(2日):2月22日~26日にかけてブリュッセルにおいてEU・「コ」FTA交渉第9ラウンド(最終ラウンド)が開催された。ペンディング事項となっていた農産物(バナナ、砂糖等)の市場アクセス、原産地証明、知的財産権等について合意し、3月1日、同FTAは大筋合意。なお、調印は、EU-中南米・カリブ諸国(EU-LAC)首脳会議の開催に合わせて、5月18日にマドリッドにて行われる予定。
(ロ)個別品目に関する報道
(ⅰ)バナナ(3日):EUは、同FTA発効後10年間につき、「コ」からのEU向けバナナ輸出価格を現行の1トン当たり176ユーロから75ユーロまで引下げる。
(ⅱ)自動車(3日):「コ」は、EUからの輸入車に対する関税を、同FTA発効後7年間で段階的に現行の35%からゼロ関税とする。また、2012年から開始される輸入車はE85(バイオエタノール混合85%)対応車に限るとする規制を義務づけない。
(ⅲ)乳製品(18日):欧州産粉ミルク4,500トンの関税割当(無税)が設けられる。また、乳製品全般の「コ」市場における普及については、同FTA発効後、17年間の保護期間が設けられる。
(3)その他FTA関連
(イ)対カナダ:ウリベ大統領は20日、カナダ議会におけるカナダ・「コ」FTAの承認を図るべく、ハーパー加首相の提案である、人権問題の見直し(毎年実施)を受け入れることとした。これを受け、カナダ議会のFTA反対派リーダーは、今後「コ」とのFTAを批准させることで合意。
(ロ)対中米
(ⅰ)対ホンジュラスFTA発効に関するプラタ商工観光相発言(27日):「コ」・ホンジュラスFTAが発効。これに伴い中米3カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス)との、貿易、サービス、投資、政府調達の進展に期待。
(ⅱ)対パナマ:15~19日にかけてパナマシティにおいて、パナマ・「コ」FTA交渉第1ラウンドが開催。
(4)プラタ商工観光相発言(8日):(米・「コ」新軍事取極締結を契機とした)ベネズエラ政府の輸入制限措置に伴い、2月の2国間貿易総額は前年同月比-80.0%と、大幅に落ち込んだ。
(5)対中国及び対韓国関係
(イ)対中国輸出に関する報道(15日):「コ」の対中国輸出向け石炭は、エル・セレホン鉱山にて生産。中国の石炭需要増加に伴い、同鉱山における2010年の石炭生産量は32百万トンに上る見通し。
(ロ)対韓国FTA(8日):1~5日にかけてボゴタにて韓国・「コ」FTA交渉第2ラウンドが開催され、電気事業、透明性確保、国境をまたがるサービス等の分野で合意。今後、5月3~5日にロス・アンゼルスにて開催予定のミニ・ラウンドを経て、6月14~18日にソウルにて第3ラウンドが開催予定。
(6)対英国関係:英国と「コ」は17日、ボゴタにて投資協定に調印。
<国内情勢>
(1)国内インフラ関連
(イ)ボゴタ市メトロ建設計画
(ⅰ)ウリベ大統領発言(6日):公約であるボゴタ市公共交通網(トランスミレニオ、メトロ、ボゴタ市近郊鉄道(トレン・デ・セルカニア))整備の遅延なき実施が最重要。ただし、メトロ第1号線の建設は運賃収入で賄える運営形態でなければならない。
(ⅱ)世銀発表(31日):(ボゴタ市メトロ建設計画に協調している)世銀は、メトロのプロジェクト詳細設計に係る入札に関し、事前選定された参加業者6社のリストを承認。参加業者の国籍はオーストラリア、フランス、米国、カナダ及びイタリアであり、落札業者は7月に発表予定。
(ロ)ボゴタ-サンタ・マルタ間道路「ルータ・デル・ソル」建設計画(9日):公共事業民活公社(INCO)は、「ルータ・デル・ソル」第3工区入札を3月10日~5月10日にかけて実施すると発表。政府の建設予算は2.3兆ペソ。
(ハ)アンデス開発公社(CAF)発表(11日):CAFは、「コ」政府に対しサンタ・マルタ港開発向け1,675万ドルの融資を承認。
(ニ)港湾インフラに関するガジェゴ運輸相発言(16日):ブエナベントゥーラ、トゥマコ、バランキージャ、サンタ・マルタ港等における拡張及び改修プロジェクトは順調に進んでおり、これによる「コ」の競争力向上に期待。投資総額は30億ドルに上るとみられ、他の中南米諸国では同規模の大型プロジェクトを推進している国はない。
(2)2010年成長率見通しに関するピエドライータ国家企画庁(DNP)長官発言(28日):民間アナリスト等は、2009年の実質GDP成長率が前年比+0.4%(第4四半期は前年同期比+2.5%)と当初見通しを上回ったことを受け、2010年見通しを3%程度と上方修正している。しかしながら、対外環境や国内需要が本格的に回復していないことを勘案し、政府見通しについては2.5%に据置く。
(3)財政
(イ)税収:国税・関税庁(DIAN)発表によれば、2010年1~2月の税収は前年同期比11.5%増の11.6兆ペソとなった。このうち所得税収は5兆ペソ、付加価値税収は3.7兆ペソ。
(ロ)財政規律法案に関するスルアガ蔵相発言(16日):議会に対し財政規律法案を提出予定。目的はマクロ経済及び財政の安定化であり、債務管理政策及び反景気循環的政策が主な内容となる。
(ハ)弾力的信用枠(FCL)に関するスルアガ蔵相発言(24日):国際通貨基金(IMF)に対するFCL更新申請を検討中。これは世界的な経済危機に対する予防的措置であり、金額は約105億ドルを予定。なお、「コ」はこれまでFCLによる資金引出しを行っていない。
(4)企業情報
(イ)サンチェスCCA(マツダ現地法人)社長発表(12日):Mazda 3の生産のため6百万ドルを投資。また、70人を新規雇用。
(ロ)SONY発表(16日):4月中旬以降、欧州の地上デジタル放送方式(DVB)に対応したテレビの販売を始める。なお、販売予定のテレビはメキシコ産であり、同国とはFTAが発効していることから、無関税で輸入される。
(5)その他
(イ)金融部門利益:金融監督庁(9日発表)によれば、1月の金融部門利益は3,640.4億ペソ、前年同月比-34%。2009年末以降の景気後退に伴う資金需要の後退が原因とされる。
(ロ)労働者送金額:中央銀行(11日発表)によれば、1月の労働者送金額は2.7億ドル、前年同月比-18%。経済危機に伴う世界的な雇用情勢の悪化が原因とみられる。
(ハ)対内直接投資に関するプラタ商工観光相発言(24日):2010年1~2月の対内直接投資額は14.0億ドルと前年同期から大幅な回復をみせている。2010年中の目標総額である105億ドルは達成可能。
(ニ)米州開発銀行(IDB)による融資承認:IDB(20日発表)は、「コ」政府に対し、2010年中に8.4億ドルの融資を承認。これは「コ」政府による国家開発計画の各種プロジェクトに充てられる。
Ⅲ.主な経済指標 ( )は前年同期の数値
(1)実質GDP成長率(2009年)(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)前年比(以下同)0.4%(2.4%)
(ロ)セクター別
(ⅰ) 農林水産業 1.0%(2.6%)
(ⅱ) 鉱業 11.3%(7.3%)
(ⅲ) 製造業 ▲6.3%(▲1.8%)
(ⅳ) 電気・ガス・水道 1.2%(1.2%)
(ⅴ) 建設 12.8%(▲0.3%)
(ⅵ) 商業 ▲2.9%(1.7%)
(ⅶ) 運輸・通信 ▲1.2%(4.0%)
(ⅷ) 金融・保険・不動産 3.1%(5.6%)
(ⅸ) サービス 1.3%(2.1%)
(ハ)需要別
(ⅰ) 消費 0.7%(2.3%)
(ⅱ) 投資 ▲5.2%(7.5%)
(ⅲ) 輸出 ▲8.2%(7.2%)
(ⅳ) 輸入 ▲9.1%(9.8%)
(2)経済活動指数(出所:国家統計庁(DANE))
(イ)鉱工業生産(1月) 前年同月比実質+0.2%(同-10.5%)
(ロ)新規建設着工承認面積(1月) 108.1万㎡(106.4㎡)
(3)雇用(2月失業率)(出所:DANE)
(イ)全国平均 12.6%(12.5%)
(ロ)主要13都市平均 13.4%(13.6%)
(4)消費者物価指数(3月)(出所:DANE)
(イ)前月比+0.25%(同+0.50%)
(ロ)前年同月比+1.84%(同+6.14%)
(ハ)前年末比+1.78%(同+1.94%)
(5)金利(3月末現在の政策金利)(出所:中央銀行):3.5%(7.0%)
(6)為替(3月)(対ドル為替レート)(出所:中央銀行)
(イ)月初 1,932.32ペソ
(ロ)月末 1,928.59ペソ
(ハ)最高値 1,892.99ペソ(15日)
(ニ)最安値 1,934.21ペソ(30日)
(7)株式指数(3月)(出所:コロンビア証券取引所(BVC))
(イ)月初 11,753.52ポイント
(ロ)月末 12,118.31ポイント
(ハ)最高値 12,118.31ポイント(31日)
(ニ)最安値 11,737.08ポイント(2日)
(8)貿易(1月)(出所:DANE)
(イ)輸入額 27.0億ドル(27.8億ドル、前年同月比-3.1%)
(ロ)輸出額 29.1億ドル(25.3 億ドル、同+15.3%)
(9)対外債務(2009年末)(出所:中央銀行)
(イ)総額 536.0億ドル(463.7億ドル)
(ロ)名目GDP比 23.2%(19.1%)
(ハ)うち公的債務 369.5億ドル(294.5億ドル)
(ニ)うち民間債務 166.5億ドル(169.3億ドル)
(10)ガソリン価格(2010年3月)(出所:鉱山・エネルギー省)
レギュラーガソリン1ガロン 7,365.79ペソ(前月と同じ)
※4月以降は200ペソ引上げ7,565.79ペソ
(11)自動車販売台数(2月)(出所:Econometria社)
16,873台(15,626台)
(了)