コロンビア内政・外交状況(2月分)

                                                                                                                                                                                                            

1. 概要

内政 17日、政府は左派系政党を除く主要政党との間で、税制改革、司法改革及び国家機構改革に関する「政治合意」を結んだ。パラミリタリーの和平プロセスについて、OASの和平支援ミッションが活動を開始し、更に、武装放棄した元「パラ」構成員に対する合意事項履行の監視を行うため集結地を設けるべきとの議論が高まった。

外交 ウリベ大統領は、欧州各国(ベルギー、仏、伊、独)を訪問した(9-13)ほか、第12G15首脳会議出席のためベネズエラを訪問した(27)。スペインのアスナール首相がカルタヘナを訪問した(20-22)ほか、コスタリカのパチェコ大統領も当国を公式訪問(21-23)した。

 

2. 内政

(1) 政治合意(Acuerdo Político)

()17日、自由・保守両党を含む主要10政党が、政府と「政治合意(Acuerdo Político)」を結んだ。一方、“Polo Democrático”等左派系政党は同合意に参加しなかった。政府と本政治合意を結んだ諸政党は、今後、政府が提案する、税制改革、司法改革及び国家機構改革の3点で協力をすることとなった。

()ウリベ大統領は昨年末に行った演説において、「国内重要課題を熟慮して欲しい」と呼びかけると共に、「国家政策形成に際してコンセンサスを形成することが民主主義においては不可欠である」と述べ、上記3課題を緊急課題と位置づけ、主要政党に対し右課題について政府の間で政治合意を結ぶことを提案していた。その後、各政党内での調整が行われた結果、本政治合意の成立が実現した。

(2) OAS和平支援ミッション関連動向

()1日夜、OASコロンビア和平プロセス支援ミッション(MAPP-OEA)団長に任命されたセルヒオ・カラマニャ氏が当国に到着し、ミッション活動開始のための準備作業に着手した。

()6日、OASは、常設理事会において決議859を採択し、コロンビア和平プロセス支援ミッション(非合法武装勢力の武装放棄と社会復帰プロセスの検証と技術的援助が目的)の派遣を正式に承認した。

()17日、OASコロンビア和平プロセス支援ミッションは、メデジン市において、昨年11月に武装放棄を行ったパラミリタリー・グループの社会復帰プロセスを中心とする検証開始のための準備作業に着手した。

(3) パラミリタリー和平プロセス関連

()19日、レストレポ政府和平高等弁務官は和平プロセスに関する報告書を発表し、「パラミリタリー・グループは、政府との和平プロセスを開始し、停戦及び敵対行為の停止を約束したにも関わらず、2002年末から2003年末までに、殺害362件、住民虐殺16件、誘拐180件を行っており、これら犯罪行為を内容とする敵対行為の停止の約束を履行していない」と批判した。同報告書ではさらに、右事態を受け、「パラミリタリー・グループは敵対行為の停止の履行及び右検証を可能とするために、早期に、集結地域を設定し、構成員を集結させるべきである。また、政府も、右目的達成のために努力する」とした。サントス副大統領は同日メデジン市において、「敵対行為の停止を十分に監視するためには、元構成員の集結が必要であり、大統領も右を可能な限り早期に実現することを希望している」旨発言した。

()19日、カラマニャOASコロンビア和平プロセス支援ミッション団長は、「敵対行為停止のための検証を効果的に行うには、パラミリタリー勢力の集結を実施することが必要である」旨発言し、レストレポ和平高等弁務官の発言を支持した。

 

3. 治安

(1) ネイバ市における高級住宅住民誘拐事件等

()24日午後11時頃、FARCメンバーがウイラ県ネイバ市の高級住宅街集合住宅2ヶ所を襲撃し、裕福な商店主、牧畜業者3名を誘拐した。犯人グループは軍ガウラ(誘拐対策局)特殊部隊の制服を着用し、集合住宅の敷地出入口扉を迫撃砲等で破壊した後、アパート内に侵入して被害者を拉致した。(なお、ネイバ市では20017月にも、警察ガウラに扮したFARC構成員が高級マンションの住民15(ロサダ上院議員(当時)の妻及び息子2名を含む)を誘拐する事件が発生している。)

()一方、同日深夜、ネイバ市から西方に約40kmの同県サンタ・マルタ市中心街の占拠を試みたFARC部隊と軍の間で戦闘が生じ、軍兵士12(幹部級を含む)及びFARC構成員4名が死亡した。

()25日夜、緊急会議が開催され、ウリベ大統領は、ネイバ市での住民誘拐事件発生に際しての治安機関の対応の遅れの責任を問い、陸軍現地司令官、軍ガウラ局長を含む軍・大統領府治安局(DAS)関係者6名の罷免を決定した。

(2) 年少者が被害者となった諸事件

()スクールバスからの少女誘拐事件

 10日、バジェ・デ・カウカ県カンデラリア市郊外において、スクールバスで帰宅中の少女(9)が、バスに乗り込んできた男性組に誘拐された。少女の誘拐発生後、少女の同級生を含む現地住民が大規模な解放要求キャンペーンを展開した結果、誘拐発生から11日後の20日、被害者の少女は無事解放された。同事件について、FARCは、一般犯罪グループに誘拐されていた少女を救い出した旨表明した。

()カサナーレ県の爆弾事件

 15日夜、カサナーレ県サカマ村(ボヤカ県境付近)の中央広場で、FARC28戦線が仕掛けたと見られる爆弾が爆発し、4才から15才の年少者15名及び警官6名を含む計23名が負傷した。

 

4. 対外関係

(1) ウリベ大統領の各国訪問

()欧州訪問

 ウリベ大統領は9日から13日まで、ベルギー、フランス、イタリア、ドイツの各国を訪問し、EU関係者、各国政府関係者等との会合を行った。今次欧州訪問においては、欧州諸国から、対コロンビア新規支援及びコロンビアを含むアンデス諸国産品に対するEUの特恵制度適用延長の表明があったほか、従来左派ゲリラ組織ELNへの姿勢が寛容であったドイツのシュレーダー首相が、EUのテロ組織リストに加える旨表明した。他方、ウリベ大統領が欧州議会において演説を行った際には、同議会議員多数がウリベ大統領の政策に対する抗議の意思表示として議場を退場する事態も生じた。

()G15首脳会議出席

 27日、ウリベ大統領は、第12G15首脳会議出席のためベネズエラを訪問し、チャベス同国大統領との会談も行った。ウリベ大統領は、反政府勢力の抗議活動激化により深刻な情勢に直面するベネズエラに関するコメントを求められたものの、「隣国内が騒がしいときには思慮深く行動すべき」と述べるに止まった。

(2) スペインのアスナール首相の当国訪問

スペインのアスナール首相は、20日から22日までカリブ海岸に位置するカルタヘナ市(注:ユネスコによる文化遺産指定都市)を訪問し、スペイン国際協力庁(AECI)文化遺産保存プログラム事務所の改修工事完成式典、イベロアメリカ民主主義フォーラム等に出席したほか、ウリベ大統領と会談し、同大統領及びその政策に対するスペイン政府による支持を表明した。

(3) コスタリカのパチェコ大統領の当国訪問

 コスタリカのパチェコ大統領は、21日から23日まで当国を訪問した。パチェコ大統領は21日及び22日に当国カルタヘナに立ち寄った後、23日、ボゴタ市に到着し、ウリベ大統領との首脳会談を行ったほか、両国領海における麻薬密輸関連活動等違法活動の防止・取締のための監視活動の強化等における海事分野での二国間協力協定への署名を行った。

(4) ペルーのロドリゲス外相の当国訪問

 19日及び20日、ペルーのロドリゲス外相が当国を公式訪問し、ウリベ大統領、バルコ外相、ウリベ国防相等と会談したほか、資産洗浄対策、環境、教育分野における二国間協力協定への署名を行った。

(5) 米国財務省による経済制裁対象麻薬密輸関係者リスト発表

20日付「エル・ティエンポ」紙は、米国財務省が、麻薬密輸業者リストへFARC及びパラミリタリー幹部名を掲載し、同幹部と関係のある人物は経済制裁の対象とすると共に、同幹部名の米国内資産を凍結する措置を下した旨報じた。

 

5.今後の主な予定

ウリベ大統領、米国訪問(322)

バルコ外相、米国(ウリベ大統領に同行)、フランス及びアジア(日本・中国)訪問(325-414)

ウリベ大統領、メキシコ訪問(418-19)

(以上)