コロンビア内政・外交状況(10月分)

 

1.概要

内政:ウリベ大統領の支持率は8ポイント減少したが、依然、67%の高い数値を維持している。非合法武装勢力との和平プロセスに関しては、FARCとの人道的人質交換の進展が南部2村の非軍事化を巡って停滞した一方で、パラミリタリーの武装解除に関しては武装解除者の刑罰免除や社会復帰の問題が不透明のままなるも交渉は進展した。

外交:米国の対コロンビア支援が人員面で増強される見通しがついた他、デンマークのNGOFARCに対して資金供与を行ったことに対し、コロンビア政府他、EU、デンマーク政府が非難した。

 

2.内政

(1)内政一般

(イ)9日付エル・ティエンポ紙が9月下旬に主要4都市の18歳以上の男女1000人に対して実施したコロンビア・ギャラップ社のアンケート結果を掲載した。興味深い点は次の通り。

(a)ウリベ大統領の支持率は75%から67%に減少し、39%がコロンビアの状況が良くなっていると考えている一方で、38%が悪くなっていると回答。

(b)経済手腕に対しては、47%が満足し、47%が不満を感じている。

(c)収監中のゲリラと誘拐被害者との交換は37%が支持し、55%が反対している。

(ロ)12日、大統領再選、税制及び年金改革、公立病院の経営危機、教育改革、自由貿易協定に抗議するために全国規模のデモ行進があった。ボゴタ市では、公務員、学生、先住民や黒人の政治運動家、失業者、政治リーダーら10万人が参加した。

(ハ)22日、下院第一委員会において、大統領再選憲法改正法案が賛成24票、反対9票、棄権2票で可決された。今後、本法案は下院本会議での審議・可決、大統領の署名を経て、憲法裁判所が承認すれば施行される。

(2)和平プロセス

(イ)FARC

(a)FARCはロペス・ミケルセン元大統領、サンペール元大統領に宛てた20日付書簡の中で、人道的人質交換交渉のためにFARCの影響力が強いカルタヘナ・デ・チャイラ及びサン・ビセンテ・デ・カグアン2村の非軍事化を改めて提案した。

(b)24日付エル・ティエンポ紙は、FARCの現在の撤退が、国軍とのあからさまな戦闘を避けつつ部分攻撃による国軍の消耗を促し、後にFARCが戦線を再編成して撤退した地域を取り戻すための戦略であると報じた。

(c)レストレポ和平高等弁務官が当地法王庁大使に宛てた28日付書簡の中で、人道的人質交換に関し、政府は残虐な犯罪を犯していないFARC受刑者(15名)を一方的に解放するのに対し、FARCも同数の人質を解放し、その後、残りの人質解放につきボゴタ市の法王庁大使館或いは他の大使館で交渉を行うことを提案する一方、如何なる地域の非軍事化もしないことを確認した。

(ロ)ELN

(a)11日付エル・ティエンポ紙は、ELN指導部がマルランダFARC最高司令官に宛てた書簡の中で、コロンビアの革命プロセスを強化するために団結することを提案した旨報じた。

(b)20日、交渉促進者としてコロンビア政府とELNの間を取り持ってきたメキシコ政府は、両者の直接交渉推進を提案した。

(c)26日、ウリベ大統領はELNとの和平プロセスについて、現在、同組織との和平プロセスは存在せず、それはELNFARCの許可なしに和平プロセスを進めることを怖れているからであると述べた。

(ハ)パラミリタリー

(a)8日付エル・ティエンポ紙は、「パラ」側がマンクーソ、イバン・ロベルト・ドゥケ、エルネスト・バエスの配下を中心とした3000人の「パラ」の武装解除を提案し、和平高等弁務官と合意したと報じた。

(b)20日付エル・ティエンポ紙がブリュッセル発AFP電をキャリーして、EUの財政支援は(政府、非合法武装勢力の)両者が、集結、武装放棄、解体のための確実な目標と期日及び麻薬の生産と流通の停止につき合意したとき、つまり、和平プロセスが完全に明確になったときに行われるだろうと報じた。

(c)22日、レストレポ和平高等弁務官は、24日の週よりベネズエラとの国境付近で活動するカタトゥンボ・ブロックの武装解除に向けた準備が開始されると宣言した。

(d)25日、アンティオキア県知事はレストレポ和平高等弁務官との会談の後、11月1日から12月中旬の間にバナネロ・ブロックの武装解除が行われることで合意したと述べた。

(e)27日、「パラ」リーダーのマンクーソとエルネスト・バエスは、武装解除する「パラ」構成員の治安機関への入隊を提案した。翌28日、この提案に対しウリベ大統領は「パラ」と麻薬犯罪との係わりからこれを拒否し、また、プレテル内務・司法大臣は政府としては武装解除者は森林保護員プロジェクトやその他の生産プロジェクトに組み入れることを考えていると述べた。

 

3.治安(10月分。<>はボゴタ市の統計)

(1)殺人:1363件<138件>

(2)集団殺人:4件23人<0件0人>

(3)脅迫:32件<9件>

(4)窃盗・強盗:4173件<1049件>

(5)自動車盗難:1505件<402件>

(6)幹線道路での車上強盗:79件<25件>

(7)誘拐:19件<0件>

(8)テロ:54件<2件>

 

4.外交

(1)6日付エル・ティエンポ紙は、コロンビアを訪問中のヒル米南方軍司令官がウリベ大統領、ウリベ国防相及び国軍幹部と会合すると共に、プレスに対し、ベネズエラも他の近隣諸国同様、コロンビアの国内紛争終結に協力すべきであり、また、米国はテロリズムとの戦いに向けたコロンビア側の努力を引き続き支援していくと述べた旨報じた。

(2)8日、米国の両院協議会はコロンビアに派遣し得る米国軍人の数を(400人から800人へと)2倍とし、契約業者の数を400人から600人へと増員するブッシュ政権の法案を承認した。

(3)20日、ロサ・バウティスタ・ホンジュラス外相はコロンビアを訪問してバルコ外相と会談し、中米の候補がOAS事務総長となることをコロンビアが支持したことに謝意を表明した。また、両外相は麻薬、誘拐対策のメカニズム強化の必要性を認めた。

(4)22日、ウリベ大統領は、FARCに資金供与を行ったデンマークの「反乱(Rebellion)」と称するNGOに対してテロを促進していると糾弾し、国籍の如何に拘わらずコロンビアで裁かれなければならないと述べた。28日にはEU、コロンビア国内及び国際NGO諸団体がFARCに対する同NGOの資金供与を非難し、29日、デンマーク政府は公式に同NGOによる資金供与を非難する声明を発した。

(5)22日、ペルーを訪問中のウリベ大統領はトレド大統領と会談し、テロとの戦いにおけるペルーとの結束を確認した。また、犯罪人引渡に関する協定を更新した。

(6)24日、コロンビアを訪問中のヌール・ヨルダン前王妃は、6784個の政府保有の対人地雷破壊のセレモニーにウリベ大統領らと共に出席した。

(7)28日から29日にアルゼンチンを訪問したバルコ外相はビエルサ亜外相と会談し、G24のメンバーとしての継続的な対コロンビア支援に謝意を表明した。また、民主主義体制の強化、人権の尊重、テロや麻薬への対策等における両国の協力を確認した。

 

5.今後の予定

(1)11月

23日~12月3日:バルコ外相の欧州訪問。

29日:メサ・ボリビア大統領のコロンビア訪問。

(2)12月

7日:アンデス共同体首脳会合(於:クスコ) 

8日~9日:南米サミット(於:クスコ) 

16日~17日、アンデス共同体-メルコスール会合(於:ブラジル)