コロンビア月例報告(2月分)

 

内政・外交状況

 

2009年3月18日

在コロンビア日本大使館

 

 

Ⅰ.概要

〈内政〉

●2008年12月21日にFARCが6名の誘拐被害者を解放する旨表明して以来懸案となっていた誘拐被害者について、警官3名及び国軍兵士1名(1日)、ハラ元メタ県知事(3日)及びロペス元バジェ・デル・カウカ県議会議員(5日)が解放された。

●大統領府国家安全保障庁(DAS)が新聞記者、政治家、裁判官等の電話を違法に盗聴していたとして週刊誌「セマーナ」が発表したことにより、タバレスDAS情報局長が引責辞任した(26日)。

●ナリーニョ県バルバコア市でアワ先住民族17名がFARCにより殺害された(4日)。FARCはANNCOL社を通じ、「国軍に便宜を図ったことが理由であり、人種差別によるものではない」とするコミュニケを発表した(17日)。

 

〈外交〉

●サントス副大統領、ベルムデス外相、サントス国防相、モレノ文化大臣政府閣僚等が、オバマ新政権との関係構築、経済関係促進等のため米国を訪問した(23~26日)。ベルムデス外相とクリントン国務長官の会談は、オバマ政権発足後初の外相会談となり、「コ」政府側から、オバマ政権との協力関係を強化したいとの意向を示すと共に、「プラン・コロンビア」支援継続を要請した。

●習近平中国国家副主席が当国を訪問し、ウリベ大統領と会談を行った(15日)。同会談でウリベ大統領は、中国政府の対「コ」投資を要請し、習副主席は、第50回IDB年次総会への中国の参加を発表した。

●ウリベ大統領は、ベルムデス外相、プラタ商工観光大臣等と共に二国間関係強化のためドイツを公式訪問した(1月30~31日)。引き続き、ベルムデス外相等はフランス、ベルギー、スペインを訪問した(1~6日)。

 

Ⅱ.内政

1.内政一般

(1)FARC誘拐被害者の解放

(イ)2008年12月21日にFARCが6名の誘拐被害者を解放する旨表明して以来懸案となっていた誘拐被害者について、警官3名及び国軍兵士1名(2007年から拘束)が解放された(1日)。

(ロ)同解放に引き続き、2001年から拘束されていたアラン・ハラ元メタ県知事(3日)及び2002年から拘束されていたシヒフレッド・ロペス元バジェ・デル・カウカ県議会議員(5日。なお、同時に拘束された元県議会議員11名は、2007年にFARCにより殺害。)が解放された。いずれの解放も、コルドバ上院議員が中心的な役割を果たし、ブラジル政府及び国際赤十字社の協力のもと、実施された。

(ハ)一方、ウリベ大統領は、誘拐被害者解放のための人道的合意に関し、FARCが一方的に、且つ即時に全ての誘拐被害者を解放すると共に、暴力行為を停止する必要がある旨表明した(12日)。

(2)大統領府国家安全保障庁(DAS)が新聞記者、政治家、裁判官等の電話を違法に盗聴していたとして、19日付週刊誌「セマーナ」が暴露したことに関連して、タバレスDAS情報局長が引責辞任した。ウリベ大統領は、DASの電話盗聴機能を国家警察下に移管する旨表明した(26日)。

(3)ナリーニョ県ミラ川氾濫により、周辺住民約3万名が被災した(18日)。今年に入ってから全国でラ・ニーニャ現象と見られる大雨の影響により9人が死亡、約6万人が被災している。

(4)アンティオキア県メデジン市に通じるチョコ県キブド市の道路で、アトラト川へのバスの転落事故が発生し、少なくとも25名が死亡した(3日)。一方、チョコ県キブド市では、県民約2万人が同県に対する「コ」政府の配慮が不十分であるとして抗議活動を行ったが(19日)、キブド市・アンティオキア県メデジン市間道路の舗装工事を行うと共に、教育及び保健問題に関して検討を行うことで、県民と「コ」政府の間で合意に達したため、同抗議活動は、同日終了した。

 

2.非合法武装勢力関連

(1)バジェ・デル・カウカ県カリ市中心部の警察資料室前で車輌爆弾が爆発し、2名が死亡、56名が負傷した(2日)。ナランホ国家警察長官は、FARCの犯行であるとの見方を示した。

(2)バジェ・デル・カウカ県アルジェリア市で爆発事件が発生し、6名の警官が重傷を負った(8日)。犯人は不明だが、同地はFARC及びELNが活動している地域であるため、これら非合法武装勢力の関与が疑われている。同日、ナリーニョ県トゥマコ市では、FARCの攻撃により警官1名が死亡、3名が負傷し、また、トリマ県ベナディージョ市では、誘拐被害者救出オペレーション時に非合法武装勢力と見られる勢力に攻撃され、警官1名が死亡、3名が負傷した。

(3)ナリーニョ県バルバコア市でアワ先住民族17名がFARCにより殺害された(4日)。FARCはANNCOL社を通じ、「国軍に便宜を図ったことが理由であり、人種差別によるものではない」とするコミュニケを発表した(17日)。

(4)バジェ・デル・カウカ県エル・アグラド市でFARCの攻撃により、パトロール中の国軍兵士6名が死亡した(9日)。

(5)ノルテ・デ・サンタンデール県コンベンシオン市でELNの攻撃により、市民6名が死亡、17名が負傷した(12日)。

(6)「コ」国軍は、クンディナマルカ県を中心に誘拐、恐喝主犯者の一人であるFARC構成員「ネグロ・アントニオ(通称)」をスマパス地区で逮捕した。逮捕時の戦闘で、FARC構成員10名が死亡した(27日)。

 

Ⅲ. 外交

1.ウリベ大統領及びベルムデス外相等の欧州訪問(1月30日~2月6日)

(1)ウリベ大統領は二国間関係強化のため、ベルムデス外相、プラタ商工観光大臣等と共にドイツを公式訪問した(1月30~31日)。メルケル首相との共同記者会見でウリベ大統領は、独政府の「民主的治安政策(Seguridad Democracia)」支援・協力に対して謝意を述べ、また、EU側が、アンデス諸国との連携協定に替え、コロンビア及びペルーとの個別交渉を受け入れ、交渉が進展していることに対して感謝の意を表明した。

(2)ベルムデス外相及びプラタ商工観光相は、二国間関係の更なる強化のためフランスを訪問し、クシュネール外相及びフランス商工会議所関係者とそれぞれ会談を行った(2~3日)。同会談では、投資保護協定や二重課税防止条約等経済から高等教育協力まで幅広いテーマにつき意見交換がされた。

(3)ベルムデス外相は、ベルギーを訪問し、デ・グフト外相と会談を行い、「コ」及びベルギー・ルクセンブルグ経済連合間の投資保護・促進協定に署名した(4~5日)。

(4)ベルムデス外相は、スペインを訪問し、モラティノス外相と会談を行い、スペイン在住のコロンビア人の地方自治体・市町村選挙における投票権を認める協定に署名した(5~6日)。

 

2.習近平中国国家副主席の当国訪問(14~16日)

(1)習近平中国国家副主席が当国を訪問し、ボリバル県カルタヘナ市において、ウリベ大統領と会談を行った(15日)。同会談でウリベ大統領は、中国企業のエネルギー、鉄道、港湾、道路等の対「コ」投資を要請した。習副主席は、中国が米州開発銀行(IDB)に加盟したことに伴い本年3月にアンティオキア県メデジン市で開催される第50回IDB年次総会に中国が参加すると発表した。

(2)サントス副大統領と習近平中国国家副主席は、副大統領府において会談を行い、経済・技術協力、災害支援、健康、投資・ビジネス振興等からなる7つの協定に署名した(16日)。

 

3.ウリベ大統領のブラジル訪問(16~17日)

 ウリベ大統領は、ブラジルを訪問し、ルーラ大統領と首脳会談を行った(17日)。会談では、二国間関係、地域情勢、国際情勢、世界同時不況の影響等について意見交換が行われた。

 

4.ベルムデス外相等の米国訪問(23~26日)

(1)サントス副大統領(24~26日)、ベルムデス外相(24~26日)、サントス国防相(23~26日)、モレノ文化大臣(24~25日)政府閣僚等が、オバマ新政権との関係構築、経済関係促進等のため米国を訪問した。

(2)ベルムデス外相とクリントン国務長官の会談は、オバマ政権発足後初の外相会談となり、多岐にわたるテーマにつき会談を行った。「コ」政府側からは、オバマ政権との協力関係を強化したいとの意向を示すと共に、「プラン・コロンビア」の進捗状況につき説明を行い、米国の対「コ」支援継続を要請した。

 

5.対エクアドル関係

 エクアドルのチャヴィン国内・対外安全保障省元副長官は、FARC幹部「ラウル・レジェス(通称)」(2008年3月に「コ」国軍の攻撃により死亡)との個人的友人であり、過去に7回「ラウル・レジェス」と会合を行ったことがある旨述べるとともに、ラレア元国内・対外安全保障大臣と「ラウル・レジェス」の会談をアレンジしたことについても語り(4日)、「エ」政府高官とFARC幹部が緊密な関係を有していたことを明らかにした。なお、「コ」政府は、本件に関し、特段コメントを発表していない。