コロンビア月例報告(5月分)
内政・外交状況
2009年6月19日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
〈内政〉
●パラシオ社会保障大臣は、当国における初の新型インフルエンザAH1N1感染例が確認された旨発表した(3日)。社会保障省は、30日までに20件の感染例、感染の疑い123件、感染疑い濃厚1件の報告があった旨発表した。
●ギャロップ社は、世論調査結果を発表し、ウリベ大統領が2010年大統領選に出馬をしない場合には、ファハルド元メデジン市長、サントス国防相等が拮抗している結果を明らかにした(9日)。サントス国防相は、ウリベ大統領が出馬しない場合は大統領選に出馬するとして、辞任した(23日)。
●ウリベ大統領連続三選を可能とするための憲法改正国民投票法案が62票の賛成票、反対5票で上院本会議で可決された(19日)。
〈外交〉
●コロン・グアテマラ大統領が当国を訪問し、カルタヘナ市で開催された第1回「武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)」国際会議に出席すると共に、ウリベ大統領と主に治安に関する協力強化に関し会談を行った(6日)。
●カルデロン墨大統領は、第5回テロ被害者国際会議の閉会式に出席するとともに、ウリベ大統領と会談を行った(30~31日)。
●西皇太子夫妻は、当国を訪問し、ウリベ大統領等と会談を行った他、西・「コ」投資・企業協力フォーラム、第5回テロ被害者国際会議に出席した(26~30日)。
Ⅱ.内政
1.内政一般
(1)新型インフルエンザ問題
(イ)パラシオ社会保障大臣は、当国における初の新型インフルエンザAH1N1感染例が確認された旨発表した(3日)。感染者は、クンデナマルカ県シパキラ市出身の42才の男性で、容態は安定しており、自宅で静養している。
(ロ)社会保障省は、30日までに20件の感染例、感染の疑い123件、感染疑い濃厚1件の報告があった旨発表した。
(2)ギャロップ社世論調査結果発表
(イ)ギャロップ社は、5月1日~5日にかけて行われた世論調査の結果を発表し、ウリベ大統領が2010年大統領選に出馬をしない場合には、ファハルド元メデジン市長、サントス国防相等が拮抗している結果を明らかにした(9日)。
(ロ)ウリベ大統領の業績に対する評価及び好感度は、71%が「評価する」及び68%が「好感がある」と回答しており、引き続き高支持率を維持しているが、2008年の「王手作戦」以降は緩やかな低下が続いている。
(3)2010年大統領選を巡る動向
(イ)サントス国防相は、ウリベ大統領が2010年大統領選に出馬しない場合に大統領選に立候補する意思を明らかにし、大統領選選挙の1年前までに公職を辞任する旨定めた憲法第179条に基づき、辞任した(23日)。6月17日現在、後任は発表されておらず、パディージャ国軍最高司令官が国防相代行を務めている。
(ロ)ウリベ大統領三選を可能とするための憲法改正国民投票法案が62票の賛成票、反対5票で上院本会議で可決された(19日)。レストレポ社会統一(「U」)党党首は、同法案の文言調整に関する下院との両院協議会参加者の指名権を有するバロン下院議長は、中立性及び客観性に欠けているとして下院倫理委員会に忌避申し立てを行う考えを表明した。
(4)パラポリティカ(非合法武装勢力パラミリタリーと政治家の癒着問題)
(イ)ジャティン社会統一党(「U」党)上院議員及びジャーノ下院議員(自由党)が、パラポリティカ疑惑により逮捕された(11日)。癒着は、米国に送還されている元パラミリタリー幹部サルバトーレ・マンクーソの供述により明らかとなった。
(ロ)検察庁特別捜査局(CTI)は、元パラミリタリー幹部アチェ・アチェの供述により明らかとなったパラポリティカ疑惑の持たれているチャウクス元在ドミニカ共和国大使を逮捕した(18日)。
(5)コカ栽培地域の減少
国連薬物犯罪対策事務所違法栽培監視組織(Simci:Sistema Integrado Monitoreo de Cultivos Ilicitos)は、2008年のコカ栽培面積は、81千ヘクタールとなり、18%から20%の面積減少がみられた旨発表した(20日)。
2.非合法武装勢力関係
(1)カウカ県パティア市で市民5名が殺害されているのが発見された(1日)。警察当局は、麻薬取引組織によるものと見て捜査を行っている。
(2)ナリーニョ県サマニエゴ市でパトロール中の警察官がFARCにより攻撃され、7名が死亡、3名が負傷した(10日)。また、同日、サマニエゴ市役所でELNの爆弾により、2名の警官が負傷、市役所が損傷した。
(3)ボジャカ県クバラ市で、FARCとの戦闘により5名の兵士が、メタ県ビスタ・エルモサ市で2名の警官が死亡した。また、ノルテ・デ・サンタンデール県エル・タラ市のELNの地雷原で4名の兵士が死亡した(15日)。
(4)プトゥマジョ県プエルト・アシス市をパトロール中の兵士18名が、FARC第48師団の攻撃により負傷した(21日)。
(5)ナランホ国家警察長官は、テロ活動及びテロ組織への資金ほう助で、メキシコ警察により、FARC国際師団のミゲル・アンヘル・ベルトラン・ビジェガス(通称:ハイメ・シエンフエゴス)が逮捕され、当国に引き渡された旨発表した(22日)。
(6)ウイラ県ガルソン市アクーニャ市議がFARCに誘拐され、犯行時に、2名の警備員及び1名の警官が殺害された(29日)。
(7)メタ県プエルト・リコ市で、FARC第43師団の攻撃により、6名の兵士が死亡、9名の兵士が負傷した(30日)。
Ⅲ.外交
1.要人の当国訪問
(1)コロン・グアテマラ大統領の当国訪問(6日)
コロン・グアテマラ大統領が当国を訪問し、カルタヘナ市で開催された第1回「武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)」国際会議に出席すると共に、ウリベ大統領と会談を行った。
(2)カルデロン墨大統領の当国訪問(30~31日)
カルデロン墨大統領は、当国アンティオキア県メデジン市で開催された第5回テロ被害者国際会議の閉会式に出席するとともに、ウリベ大統領と会談を行った。首脳会談後に発表された共同コミュニケでは、墨・「コ」二国間の良好な関係を強調した他、気候変動及び新型インフルエンザ問題に関する取組の継続、二国間協力を行う旨言及され、また、ウリベ大統領は、墨政府が提案している緊急事態経済基金創設への支持を表明した。
(3)西皇太子夫妻の当国訪問(26~30日)
西皇太子夫妻は、26日から当国を訪問し、ウリベ大統領等と会談を行った他、西・「コ」投資・企業協力フォーラム、第5回テロ被害者国際会議に出席した。
(4)メロン英外務政務次官の当国訪問(20~24日)
メロン英外務政務次官が当国を訪問し、ウリベ大統領及びベルムデス外相と不処罰問題等英国の支援につき、会談を行った他、自主的にコカ伐採を行っているナリーニョ県エル・ロサリオ地区を視察した。
2.閣僚の外国訪問
(1)ベルムデス外相の英国訪問(4月30日~5月1日)
(イ)4月30日、ベルムデス外相は、英国を訪問し、ミリバンド英外相と二国間関係及びEUとのFTA交渉等につき会談を行った。また、マクドナルド英首相顧問と会談を行い、テロや麻薬取引対策等に関して協議を行った。
(ロ)5月1日、ベルムデス外相は、サニン駐英大使と共にブレア前英首相と会談を行い、「コ」を含めたラ米諸国と英国の関係に関し、協議を行った。会談でブレア前首相は、「コ」の外交政策に関する諮問委員会の編纂資料にコメントを寄せる旨表明した。
(2)サントス副大統領の米州評議会参加(13~15日)
サントス副大統領は、米国ワシントンを訪問し、米州評議会に参加した。同会議では、麻薬対策等について演説を行った。