コロンビア月例報告(6月分)
内政・外交状況
2009年7月21日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
〈内政〉
●国会会期が終了し、煙草、未成年への暴力や性産業規制、社会保障、情報通信等に関する法案が採択された(20日)。
●パラシオ社会保障大臣は、国内の新型インフルエンザ感染者で初めて死者が確認された旨発表した(9日)。その後、更に1名が確認され、死亡例は2件となった(21日)。
●トリマ県チャパラル市でキロガ同県知事の走行通路にFARCによる爆弾事件が発生した。キロガ知事は無事だったが、周辺の住民1名が負傷した(26日)。
〈外交〉
●ウリベ大統領は、ベルムデス外相及びプラタ商工観光大臣等と共に米国を訪問し、オバマ大統領及び米国政府閣僚と会談を行った。オバマ大統領は、「コ」との関係は大変強固であると述べると共に「コ」政府の成果を賞賛する一方、FTA承認に関しては、明確なアジェンダを提示しなかった(29~30日)。
●ウリベ大統領は、ベルムデス外相及びプラタ商工観光大臣と共に、カナダ議会によるFTA承認を推進するため、カナダを訪問した。同地では、米州経済フォーラムに出席した他、ハーパー・カナダ首相やカナダ自由党議員等と人権問題やFTAに関し会談を行った(9~10日)。
Ⅱ.内政
1.内政一般
(1)国会会期が終了し、14歳以下の少年少女に対する暴力犯罪への終身刑適用、禁煙ゾーン設置等の煙草規制、未成年者を対象としたセックスツーリズムの処罰、非正規雇用者の最低年金保証や金融サービス規制等財政改革、肥満予防、大学夜間授業の質向上、てんかん患者への総合ケア、輸卵管結紮治療後の社会保障、高齢者ケア、情報通信の社会的利用整備等に関する法案が採択された(20日)。
(2)パラシオ社会保障大臣は、国内の新型インフルエンザ感染者で初めて死者が確認された旨発表し(9日)、その後、更に1名の感染死亡者が確認された(21日)。6月29日現在、764件の感染疑い及び88件の感染が確認されている。
(3)アベンダーニョ元下院議員及びディアス元下院議員に対し、「ジディスポリティカ(当館注:ジディス元下院議長が、2006年大統領再選のための憲法改正決議の際に、政府から買収を受けていた疑惑で逮捕され、供述から複数名の議員の関与が明らかとなった)」に関与したとして各々8年、6年の禁固刑判決が下された(3日)。
(4)トランスペアレンシー・インターナショナルの発表した汚職指数によれば、コロンビアは中南米諸国のうち、エルサルバドルに続き2番目に政党の汚職が高い国となった(2日)。
(5)国連薬物犯罪対策事務所(UNODC)は、コロンビア国内におけるコカ栽培面積が2006年当時のレベルに減少したとする報告書を発表した(24日)。報告書によれば2007年の栽培面積合計が99千ヘクタールであったのに対し、2008年は81千ヘクタールとなり、18~20%の面積減少がみられた。なお、コカイン生産量についても20%減少した。
2.非合法武装勢力関係
(1)カウカ県ブエノスアイレス市でFARCと国家警察の戦闘が発生し、7名の警官が死亡、4名が負傷した(21日)。
(2)ボゴタ首都区南部ケネディ区において、送電塔を狙ったと見られる爆発事件が発生し、付近に居住する親子2名が負傷した(26日)。犯人は不明。
(3)トリマ県チャパラル市でキロガ同県知事の走行通路にFARCによる爆弾事件が発生した。キロガ知事は無事だったが、周辺の住民1名が負傷した(26日)。同知事は、選挙キャンペーン時から脅迫を受けていた。
(4)ボゴタ首都区南部ケネディ区のスーパーにおいて手榴弾が投げ込まれる爆発事件が発生し、4名が負傷した(28日)。近隣住民1名が容疑者として逮捕された。
(5)グアビアレ県サン・ホセ・デル・グアビアレ市でFARCからの攻撃の後、バケロ市議会議長が行方不明になった(28日)。当局は、FARCによる誘拐として捜査を行っている。
Ⅲ.外交
1.ウリベ大統領及び閣僚の外国訪問
(1)ウリベ大統領のエルサルバドル訪問(5月31日~6月1日)
フネス・エルサルバドル大統領就任式出席のため、エルサルバドルを訪問したウリベ大統領はクリントン米国務長官と1日の昼食会の席で同席し、「プラン・コロンビア」やFTAを含めた二国間関係に関して話を交わした。
(2)ウリベ大統領のカナダ訪問(9~10日)
ウリベ大統領は、ベルムデス外相及びプラタ商工観光大臣と共に、カナダ議会によるFTA承認を推進するため、カナダを訪問した。同地では、米州経済フォーラムに出席し、自由貿易に関する講演を行った他、ハーパー・カナダ首相やカナダ自由党議員等と人権問題やFTAに関し会談を行った。
(3)ウリベ大統領の米国訪問(29~30日)
(イ)ウリベ大統領は、ベルムデス外相及びプラタ商工観光大臣等と共に米国を訪問し、オバマ大統領等及びカーリコウスキー米国家麻薬管理政策局長、カーク米通商代表、クリントン国務長官、ロック米商務長官、サマーズ米国家経済会議委員長等と会談を行った。(ロ)オバマ大統領は、「コ」との関係は大変強固であると述べると共に、「コ」政府の麻薬対策や経済回復の他、労働組合関係者保護や無処罰問題対応に関しても成果が出ていると賞賛したが、FTA承認に関しては、明確なアジェンダを提示しなかった。
(ハ)ウリベ大統領の三選問題について、記者会見で問われたオバマ大統領は、「この問題は各国民が決めることである。米国では、米国民は2期8年での大統領交代を望んでおり、私はウリベ大統領に、最も尊敬されているジョージ・ワシントン大統領が、終身大統領であろうとすれば可能であったのにも関わらず、あえて任期後、民間人に戻る決断をした事実を話した」と語った。
(4)ウリベ大統領のマルティネリ・パナマ大統領就任式出席(30~7月1日)
ウリベ大統領は、マルティネリ・パナマ大統領就任式に出席し、マルティネリ大統領及びカルデロン・メキシコ大統領と会談を行い、麻薬対策に関する協力を確認した。
2.要人の当国訪問
(1)アモリン伯外相(7~8日)
アモリン伯外相は、カルタヘナ市を訪問し、ベルムデス外相と第1回二国間委員会会合を行った他、ベルムデス外相より、ボジャカ勲章大十字型章を授与された。また、ボゴタ首都特別区においてウリベ大統領への表敬訪問を行った。
(2)アルストン国連特別報告官(8~18日)
戦果の偽装(Falsos Positivos)問題等司法プロセスに依らない処罰(Ejecuciones Extrajudiciales)問題の調査のため、アルストン国連特別報告官が当国を訪問した。
(3)マルティネリ次期パナマ大統領(22日)
マルティネリ次期パナマ大統領は、ウリベ大統領と会談を行い、麻薬組織対策に関し協力を確認し、両国国境付近の協力体制の検討を約束した。
3.エクアドル裁判所によるサントス前国防相への逮捕請求
(1)エクアドル・スクンビオス地方裁判所第1判事は、サントス・コロンビア元国防相に対し、2008年3月、エクアドル領域のFARCキャンプ地を攻撃(「フェニックス」作戦)し、25名を殺害したとして逮捕命令を発出した(29日)。
(2)ウリベ大統領は、訪問中の米国ワシントンで本件に関し、同作戦はテロリストに対するものであり、一個人の判断による者ではなかったと述べ、サントス元国防相を擁護する姿勢を示した(30日)。