コロンビア月例報告(8月分)

 

内政・外交状況

 

2009年9月10日

在コロンビア日本大使館

 

Ⅰ.概要

〈内政〉

●当国大統領府は、南米諸国連合臨時首脳会合出席後、ウリベ大統領が、新型インフルエンザに感染した旨発表した(30日)。社会保障省によれば、「コ」国内で641名の感染が確認されている。

● 523日に辞任したサントス国防相の後任として、シルバ前全国コーヒー生産者連盟総裁が新国防相に就任した(7日)。

●ウリベ大統領の連続三期再選を可能とするための憲法改正国民投票案の文面修正に関して、両院協議会で合意(18日)、上院で修正された法案が56の賛成票で可決された(19日)。

 

〈外交〉

●「コ」・米国軍事協力協定に関する交渉が終了した(14日)。アルゼンチンで開催されたUNASUR臨時首脳会合では、同協定に関する制裁はなされなかった。

●チャベス大統領は、「べ」における「コ」企業が資金洗浄を行っていないか調査を要請すると共に、閣僚及び与党関係者に対し、「コ」左派等との関係を強化するよう指示した(23日)。OAS常設理事会において、オジョス駐OAS「コ」大使は、同発言に対し、強い抗議を表明した(26日)。

 

.内政

1.内政一般

(1)シルバ国防相の就任(7日)

 523日に辞任したサントス国防相の後任として、シルバ前全国コーヒー生産者連盟総裁が新国防相に就任した。シルバ新国防相は、ウリベ大統領の下で実施されている民主的治安政策を推進するために「前進、前進、前進(avanzar)」あるのみであると国防相としての抱負を語った。

(2)ウリベ大統領の連続三選を可能とするための憲法改正国民投票法案

 ウリベ大統領は、与党・社会統一党(「U」党)の議員に対し、国民投票法案を国会で可決するために尽力するよう要請した(11日)。レストレポ「U」党党首によれば、ウリベ大統領は単なる再選への関心ではなく、「民主的治安政策」を継続する必要性から同要請を行った。国民投票法案の条文修正に関しては、両院協議会で合意され(18日)、同協議会で合意された法案が、上院本会議において56の賛成票で可決された(19日)。今後下院本会議での採決に任される予定である。

(3)FARC最高幹部のインタビュー

 13日付当地週刊誌カンビオは、インターネットを通じたFARC最高幹部のアルフォンソ・カノとのインタビュー記事を掲載した。20084月にカノが最高幹部に就任して以来、「コ」のマスコミのインタビューに応じたのは、今回が初めて。インタビューでカノは、FARCの内部分裂はないことを強調すると共に、最近はチャベス大統領との話し合いを行っていないと述べた。

(4)「コ」貧困率の低下(24日)

 国家企画庁(DNP)及び国家統計局(DANE)は、ウリベ大統領が就任した2002年に53.7%であった全国の年間貧困率が2008年に46%に低下した旨発表した。他方、極貧率は、2005年の15.7%から、2008年には17.8%に増加した。

(5)ウリベ大統領の新型インフルエンザ感染(30日)

 当国大統領府は、28日、アルゼンチンで開催された南米諸国連合臨時首脳会合に出席した後、ウリベ大統領が、新型インフルエンザに感染した旨発表した。同行したベルムデス外相及びパディージャ国軍最高司令官は、感染していないことが確認されたが、シルバ国防相はインフルエンザと見られる症状が確認されている。社会保障省の発表(91日)によれば、「コ」国内での感染者は641名となった。

(6)FARC誘拐被害者の生存証拠ビデオの公開(31日)

 コルドバ上院議員(自由党)は、FARCに拘束されている9名の国軍兵士及び警察の生存証拠ビデオを、被害者家族に手交した。コルドバ議員は、誘拐被害者の解放への支持を国民に呼びかけると共に、新たな生存証拠が数日のうちに到着する予定である旨明らかにした。

 

2.主な事件・事故

(1)カケタ県サン・ビセンテ・デ・カグアン市においてパトロール中の警官が攻撃され、2名が死亡、13名が負傷した(25日)。警察当局は、FARCの犯行として捜査を行っている。

(2)ナリーニョ県トゥマコ市グラン・ロサリオ地区において、7名の未成年を含む12名の先住民族アワが殺害された(26日)。後日、別の地区に住む先住民族ナスタクアスが容疑者として逮捕された(91日)。

 

.外交

1.米国・「コ」軍事協力協定を巡る問題

(1)ウリベ大統領は、ベルムデス外相と共に、コロンビアにおけるテロの脅威及び南米諸国連合(UNASUR)に関する協議を行うため、ペルー、チリ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ及びボリビアを訪問した(46日)。

(2)ウリベ大統領が欠席したUNASUR首脳会合(於:エクアドル・キト市)では、同協定を巡る問題について、最終宣言で言及されなかった(10日)。

(3)同協定交渉が終了し(14日)、協定締結交渉の終了を受け、ベルムデス外相がクリントン米国務長官と会談を行った(18日)。

(4)アルゼンチンにおいて、同協定等を協議するUNASUR臨時首脳会合が開催され、12ヶ国(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、パラグアイ、ペルー、スリナム、ウルグアイ、ベネズエラ)の大統領が参加した(28日)。共同声明では、南米を平和的地域にしていく意思を表明したが、米・「コ」軍事協力協定に関する制裁はなされなかった。

 

2.対ベネズエラ及びエクアドル関係

(1)チャベス「べ」大統領が、「コ」との関係を凍結する旨発言した(728日)ことに関し、サンペール元大統領が、「べ」との関係打開を模索するため、同国を訪問し、チャベス大統領と会談した(6日)。また、「和平のためのコロンビア人」の代表(コルドバ上院議員、ハラ元メタ県知事(FARC元誘拐被害者)等)が、チャベス大統領と会談した(7日)。同会談後、チャベス大統領は、本国に召還中のマルケス駐「コ」大使の帰任を命じた。次いで、ドゥサン野党・PDA党党首等がチャベス大統領と会談した(8日)。

(2)ウリベ大統領は、全国鉱業連盟(ANDI)総会の閉会式に出席した際、険悪化する「べ」及び「エ」との関係に言及し、「べ」及び「エ」は兄弟国であり、最終的には議論が長期に亘ろうとも、理解し合わなくてはならないと述べた(14日)。また、昨年3月に「コ」軍が「エ」領域のFARCキャンプ地を攻撃したことに関して、改めて謝罪を表明した。

(3)コレア「エ」大統領は、ウリベ大統領の謝罪を受け入れると共に、「コ」政府が、FARCと「エ」政府を関係づけることをやめることを条件に、「コ」政府との対話を行う用意がある旨述べた(15日)。一方、チャベス大統領は、「コ」との関係再構築は困難であると表明した(16日)。

(4)チャベス大統領は、「コ」経済の収入のかなりの部分は、麻薬取引に依存しており、多くの「コ」資本は、「ベ」に資金洗浄に来ているとして、「コ」企業を調査するよう要請すると共に、政府及び与党関係者に対し、「コ」左派グループ等との関係を強化するよう指示した(23日)。

(5)米州機構(OAS)常設理事会において、オジョス駐OAS「コ」大使は、「コ」の国内問題への介入とも受け取れるチャベス大統領の発言に対する強い抗議を表明した(26日)。

 

3.要人の往来

(1)カルデロン墨大統領の当国訪問(1213日)

 カルデロン墨大統領は、二国間関係及び経済関係強化のため、また、墨が特別招待国となっているボゴタ国際図書展に出席するため当国を訪問し、ウリベ大統領等と会談を行った。

(2)ムリノ・パナマ内相の当国訪問(3日)

 ムリノ・パナマ内相は、当国を訪問し、バレンシア内相等と共に両国国境付近の麻薬及び武器取引を中心とした治安対策への協力について協議を行った。

(3)ラコグナタ・パラグアイ外相の当国訪問(3日)

 ラコグナタ・パラグアイ外相は、当国を訪問し、二国間関係に関し、ベルムデス外相と会談を行った。その後、サントス副大統領及びモレノ・ボゴタ市長と会談を行った。 

(4)フェルナンデス・デ・ラ・ベガ西副首相の当国訪問(78日)

 フェルナンデス西副首相は当国を訪問し、ウリベ大統領等と大統領府において会談を行った他(7日)、カルタヘナ市で開催されたラテン・アメリカ援助連携会議に出席した。フェルナンデス副首相は、「コ」政府は、今後2年間で82名の国軍兵士をアフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)に派遣し、西軍と行動を共にする旨発表した。

(5)ベルムデス外相のペルー訪問(19日)

 ベルムデス外相は、ペルーを訪問し、アンデス共同体(CAN)南米特別外相会合に出席し、政治、社会及び環境分野における協力を強化するための域内規則に合意した。

(6)ベルムデス外相のチリ訪問(24日)

 ベルムデス外相は、チリを訪問し、バチェレ・チリ大統領、フェルナンデス・チリ外相、チリ企業関係者、「コ」企業関係者等とそれぞれ会談を行った。バチェレ大統領及びフェルナンデス外相の会談では、「コ」・チリFTA二重課税防止条約のチリ議会での批准の見通し、地域情勢等について意見交換した。