コロンビア月例報告(10月分)
内政・外交状況
2009年11月19日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
〈内政〉
●国連開発計画(UNDP)が発表した2009年「人間開発報告書(HDR)」によれば、「コ」は、全世界で第2位の伸び率を記録し、77位となった(5日)。
●アグロ・イングレソ・セグロ(中小農業者に対する補助金供与プログラム)の不正疑惑に関し、国会でフェルナンデス農業相の不信任決議案が提出された(27日)。
〈外交〉
●「コ」外務省において、米・「コ」軍事協力取極への署名が行われた(30日)。同取極は、両国における上記手続きを経て発効し、10年間の効力を有する。
●ベルムデス「コ」外相及びファルコニ「エ」外相は、ナリーニョ県において会談を行い、両国の国境地域における協力体制の検討を早期に開始することを発表した(9日)。
●ベネズエラのタチラ州で、武装グループと見られる集団によって誘拐された「コ」人9名、「ベ」人1名及びペルー人1名が遺体として発見された(24日)。
●アイサミ「べ」内務司法大臣は、「コ」大統領府国家安全保障庁(DAS)のスパイと疑われる人物がベネズエラに不法入国したために拘束したと発表した(29日)。
Ⅱ.内政
1.内政一般
(1)国連開発計画(UNDP)は、2009年「人間開発報告書(HDR)」を発表した(5日)。「コ」は、教育及び保健の向上により、全世界で第2位の伸び率を記録し、2008年から5位上昇し、77位となった。
(2)2010年大統領選候補であるペニャロサ元メデジン市長、ガルソン・元ボゴタ市長及びモックス元ボゴタ市長の3名は、緑の党に入党した(1日)。また、保守党党首にアラウッホ元外相(28日)が就任した。
(3)週刊「カンビオ」誌により明らかとなったアグロ・イングレソ・セグロ(中小農業者に対する補助金供与プログラム)の不正疑惑に関し、国会でフェルナンデス農業省の不信任決議案が提出された(27日)。
(4)ボゴタ首都特別区内国立大学において、同大学の資金に関する情報提供を求めるデモが行われ、ヴァセルマン学長が、車内に閉じこめられた(16日)。同学長は、6時間後に解放された。ウリベ大統領は、警察に対し、大学への介入を許可した。
(5)クンディナマルカ県スマパス市において、自由党トーレス市議及びモラレス市議が、FARC第53師団とみられる非合法武装勢力により殺害された(18日)。両市議は、同市ナサレス地区の学校で開催されていた会合に出席したところ、同日正午頃、武装勢力が同学校に侵入、他2名の市議及び1名の市職員と共に連れ去られ、抵抗したために、殺害された。
2.新型インフルエンザ
社会保障省の発表によれば、30日までに当国における新型インフルエンザによる死亡者数は136名となり、2933名に感染が確認された。
Ⅲ.外交
1.対米関係
「コ」外務省において、米・「コ」軍事協力取極への署名が行われた(30日)。同取極は、両国における上記手続きを経て発効し、10年間の効力を有する。同取極について、ウリベ大統領は、2012年に有効期限が切れるプラン・コロンビアの継続を保証するものであると述べている他、少なくとも当地7基地において、最大800名の軍人及び600名の契約職員を有することになる。
2.対エクアドル関係
(1)ベルムデス「コ」外相及びファルコニ「エ」外相は、ナリーニョ県イピアレス市において、インスルサ米州機構(OAS)事務総長及びマッコイ・カーター・センター代表同席の下で会談を行い、両国の国境地域におけるインテリジェンス情報の共有を早期に開始することを発表した(9日)。
(2)「コ」政府は、2008年3月の「コ」国軍による「エ」領域内FARCキャンプ地攻撃に関し、パディージャ「コ」国軍司令官に対するレベロ・「エ」スクンビオ地方判事の引き渡し要求に関する判決(13日)を非難し、16日に開催予定であった国境委員会の延期を決定した。ファルコニ外相は、「エ」政府は引き続き対話を継続する用意がある旨述べた(16日)。レベロ判事は、その他、ナランホ「コ」警察庁長官も同攻撃における殺人罪で告訴した(22日)。
2.対ベネズエラ関係
(1)ベネズエラのタチラ州で、武装グループと見られる集団によって誘拐された「コ」人9名、「ベ」人1名及びペルー人1名が遺体として発見された(24日)。難を逃れた1名の「コ」人は、同グループがパラミリタリーの司令官の所在について質問した旨述べている。同事件に関し、カリサレス「べ」副大統領(国防大臣兼務)は、「ベ」が「コ」における国内紛争の犠牲になっている旨指摘した(26日)。
(2)約3ヶ月前から行方不明になっていた「コ」人6名の遺体(いずれも水死)が、「べ」バリーナス州ソコポ市で発見された(27日)。「ベ」当局は、両事件の関連性については否定している。
(3)アイサミ「べ」内務司法大臣は、「コ」大統領府国家安全保障庁(DAS)のスパイと疑われる人物がベネズエラに不法入国したために拘束したと発表した(29日)。スパイと見られる人物は、エドゥアルド・ゴンザレス及びアンヘル・カレーニョの2名で、「べ」人メルヴィン・グティエレスとともに、10月初旬に拘束された。アイサミ内務司法相は、拘束後の捜査で、DASの内部資料を別途入手した旨明らかにし、同書類には、米CIAの支援による「べ」政府に対するスパイ活動及びその他南米諸国に対する活動についての記述があった旨述べた。
3.要人の往来
(1)ウリベ大統領のグアテマラ訪問(13日)
ウリベ大統領は、グアテマラを訪問し、コロン・グアテマラ大統領と二国間関係に関し、会談を行った。同会談でウリベ大統領は、2010年に稼働予定のバイオ燃料工場のグアテマラへの提供を明らかにした。
(2)ウリベ大統領のブラジル訪問(19日)
ウリベ大統領は、ベルムデス外相及び当国企業106社とともにサンパウロ市を訪問し、同市全国工業連盟においてルーラ大統領及び伯企業等とそれぞれ会談した。会談後の記者会見でウリベ大統領は、今後数日の内に両国の安全保障分野における協力協定が署名される見通しを示しすとともに、同協定によってアマゾン地域における麻薬取締が強化され、地域統合が促進される旨明らかにした。
(3)ベルムデス外相の墨訪問(22日)
ベルムデス外相は、メキシコを訪問し、エスピノサ墨外相や企業関係者とそれぞれ会談を行った他、「麻薬、治安及び地域協力」閣僚会合開会式に参加した。
(4)シルバ国防相の米国訪問(26~28日)
シルバ国防相は、米国を訪問し、ゲーツ国防長官等と麻薬組織やテロ組織撲滅の協力等に関し、会談を行った。会談では、麻薬取引やテロリズム等を中心に分析を行い、効率的な犯罪取締のためのイニシアティブやプログラムについて協議を行った。
(5)アブダッラー・アラブ首長国連邦外相の当国訪問(15日)
アブダッラー・アラブ首長国連邦外相は当国を訪問し、ウリベ大統領、ベルムデス外相、プラタ商工観光相及びマルティネス鉱山・エネルギー大臣等及び企業関係者とそれぞれ会談を行った。