コロンビア月例報告(11月分)

 

内政・外交状況

 

2009年12月14日

在コロンビア日本大使館

 

 

Ⅰ.概要

〈内政〉

1027日~113日にギャロップ社が行った世論調査の結果が発表され、ウリベ大統領の業績に対する評価及び好感度は、69%が「評価する」及び64%が「好感がある」と回答し、9月の前回調査時よりそれぞれ5ポイント及び6ポイント低下した。好感度は、2002年のウリベ政権発足以降、最低の数値となった(7日)。

●米国麻薬対策局(DEA)は、当国における純コカイン生産量が2008年の485トンから295トンに減少し、また生産量減少に伴い、純度の高いコカインの価格が上昇している旨公表した(7日)。

●カウカ県コリント市郊外でFARCが国軍基地に対して2回にわたり攻撃を行い、9名の国軍兵士が死亡し(9日)、2009年で最悪の被害を記録した。

 

〈外交〉

●ベネズエラ国家警備軍兵士2名が殺害された(2日)ことを受け、「ベ」政府は、両国国境の一部を閉鎖し(3日)、国境における検問を強化した。チャベス・「べ」大統領は、「コ」・米国軍事協力取極署名に反応する形で、国軍及び国民に対し、「コ」との戦争の準備を行うよう呼びかけた(7日)。これに対し、コロンビア政府は、同問題を国連安全保障理事会(11日)及びOAS13日)に報告した。

●駐エクアドル臨時大使としてモンテネグロ氏、駐「コ」・エクアドル臨時大使としてテラン氏が任命され(13日)、駐エクアドル・「コ」大使館が21ヶ月ぶりに開館した(23日)。

 

Ⅱ.内政

1.内政一般

(1)ギャロップ社世論調査結果発表(7日)

(イ)1027日~113日にギャロップ社が行った世論調査の結果が発表され、ウリベ大統領の業績に対する評価及び好感度は、69%が「評価する」及び64%が「好感がある」と回答し、9月の前回調査時よりそれぞれ5ポイント及び6ポイント低下した。好感度は、2002年のウリベ政権発足以降、最低の数値となった。ロンドーニョ・ギャロップ社社長によれば、ウリベ大統領の支持率低下の背景には、アグロ・イングレソ・セグロ(中小農業者に対する補助金供与プログラム)の不正疑惑、景気の悪化、治安の悪化の3点がある。

(ロ)ウリベ大統領の連続三選を可能とするための憲法改正の是非を問う国民投票に関しては、27%が投票に行かないと回答、前回調査時より5%上昇した他、投票に行くと回答した人も前回調査時の58%から52%に低下した。また、そのうちウリベ大統領の次期大統領選挙への出馬を支持すると回答した人は4%低下し、82%となった。ウリベ大統領以外の大統領選候補に関しては、ファハルド元メデジン市長及びサントス国防相が引き続き拮抗している。

(2)コロンビアの汚職指数発表(17日)

 トランスパレンシー・インターナショナルによる世界各国の汚職指数が発表され、当国は2008年調査時より5位低下し、180カ国中75位、37ポイントとなった。その背景として、関係機関は「コ」政府による汚職対策の遅延を指摘している。

(3)アグロ・イングレソ・セグロ問題

 アグロ・イングレソ・セグロ問題で責任を問われているフェルナンデス農業大臣に対する不信任決議案の採決が上院で行われ、30名が賛成、41名が反対票を投じた。賛成票が決議案採択のために必要な過半数に達しなかったため、フェルナンデス農相は続投することが決定した(17日)。

(4)純コカイン生産量の大幅な減少

 米国麻薬対策局(DEA)は、当国における純コカイン生産量が2008年の485トンから295トンに減少し、また生産量減少に伴い、純度の高いコカインの価格が上昇している旨公表した(7日)。DEAは、手作業による伐採活動及び空中散布が功を奏したとの見方を示している。

(4)新興武装勢力の活動(26日)

 ヌエボ・アルコ・イリス社が発表した報告書によれば、アンティオキア県メデジン市を中心に元パラミリタリー幹部の和平プロセス及びコロンビア政府の民主的治安政策に反対する新興非合法武装勢力が活動を強化している。一方、FARCの新戦略「再生プラン」には、再度都市部での活動を強化する旨記載されている。

(5)第11回国家平和賞の受賞式開催(30日)

 当国における和平推進者に対して授与される第11回国家平和賞授賞式がボゴタ首都特別区で開催され、カケタ県ウニオン・ペネジャ地区住民及び「コ」人歌手フアネスに対して同賞が授与された。

 

2.新型インフルエンザ

 社会保障省の発表によれば、27日までに当国における新型インフルエンザによる死亡者数は160名となり、3174名に感染が確認された。

 

3.治安

(1)ナリーニョ県バルバコアス市においてアフリカ系コロンビア人及び先住民併せて8名が殺害された(4日)。当局は非合法武装勢力もしくは麻薬関連組織の報復によるものとして捜査を行っている。

(2)カウカ県コリント市郊外でFARCが国軍基地に対して2回にわたり攻撃を行い、9名の国軍兵士が死亡し(9日)、2009年で最悪の被害を記録した。

(3)アンティオキア県イトゥアンゴ市でパトロール中の警官に対してFARCが攻撃を行い、2名が死亡、3名が負傷した(13日)。

(4)ナリーニョ県バルバコア市で、FARCとみられる武装勢力がトランシピアレス社バス一台に対して発砲した後、同バスに放火し、未成年者2名を含む6名の乗客が死亡した(20日)。2009年に入り、同社のバスに対する放火はすでに4件起きているが、乗客を降車させなかったのは今回が初めてである。

 

Ⅲ.外交

1.対ベネズエラ関係

(1)国境警備を行っている「ベ」国軍兵士2名が、ノルテ・デ・サンタンデール県と国境を接するベネズエラ・タチラ州ウレーニャ市及びサン・アントニオ市隣接地域で殺害された(2日)ことを受け、「ベ」政府は、両国国境の一部を閉鎖し(3日)、国境における検問を強化した。

(2)ルーラ伯大統領は、26日にマナウスで開催予定のアマゾン地域諸国首脳会合の機会に、ウリベ大統領及びチャベス・「べ」大統領を同じテーブルに同席させたいとの意向を示した(6日)。一方、伯議会は、チャベス大統領が、「コ」・米国軍事協力取極署名に反応する形で、国軍及び国民に「コ」との戦争の準備を行うよう呼びかけた(7日)ことから、メルコスールへの「ベ」加盟に関する議定書の承認を見送ることを決定した(10日)。同日、米国政府は、「コ」と「べ」の対話の仲介として米州機構(OAS)が適切であるとの見方を示した。

(3)「コ」政府は、同問題を国連安全保障理事会(11日)及びOAS13日)に報告する旨明らかにする一方、ベルムデス外相は、南米諸国連合(UNASUR)がチャベス大統領の「戦争」発言にコメントしないことに不満を表明した(18日)。

(4)「コ」・「べ」国境において、通行コントロールに抗議する近隣住民が兵士に投石等を行ったため、木製の歩行用の橋が「ベ」国家警備軍によって破壊され、右に対して、コロンビア政府は、レトリックが具体的な行動に移されたものとして、懸念を表明した(19日)。(5)「コ」政府は、25日~27日にかけてエクアドル・キト市で開催されたUNASUR会合への閣僚レベル出席を見合わせた。

 

2.対エクアドル関係

(1)ベルムデス外相とファルコニー・エクアドル外相は、「エ」で会談を行い、遅くとも15日までには両国臨時大使を任命すること、両国国防相により国境委員会を再開することを決定した(3日)。

(2)「エ」・スクンビオス地方裁判所は、サントス前国防相とパディージャ国軍最高司令官に対する逮捕命令を執行取消とすることを決定した(4日)。

(3)駐「エ」臨時大使としてモンテネグロ氏、駐「コ」・エクアドル臨時大使としてテラン氏が任命され(13日)、駐エクアドル・「コ」大使館が約21ヶ月ぶりに開館した(23日)。

 

3.要人の往来

(1)ベルムデス外相のアラブ首長国連邦訪問(89日)

 ベルムデス外相は、アラブ首長国連邦を訪問し、ムハンマド・アル・ガルガーヴィ内閣相、アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外相及びシェイカ・ルブナ・ビン経済相等と二国間経済関係に関し、会談をそれぞれ行った。会談後、ベルムデス外相は、航空協定が締結されたこと及び今後の政治対話の継続について確認した他、投資保護及び二重課税防止条約の検討を開始する旨発表した。また、今後自由貿易協定(FTA)締結の可能性も模索する旨述べた。

(2)ベルムデス外相のインド訪問(1011日)

 ベルムデス外相は、「コ」・印外交関係樹立50周年を記念して、インドを訪問し、クリシュナ外相、シャルマ商工相、チャバン科学技術相等とそれぞれ会談を行った。クリシュナ外相との会談では、二国間関係に関し協議を行ったほか、テロリズムに対する闘いを継続することで合意した。また、ベルムデス外相と共にインドを訪問したプラタ商工観光相は、シャルマ商工相と投資保護協定に署名した。

(3)シンガポール訪問(1213日)

 ベルムデス外相は、シンガポールで開催されたラテンアメリカ・アジア・ビジネスフォーラムで講演を行い、チョン・リット・チョン国際企業庁長官等と会談を行った他、アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席している各国代表等と会談を行った。