コロンビア月例報告(2010年 1月分)

 

内政・外交状況

 

2010年 2月23日

在コロンビア日本大使館

 

Ⅰ.概要

【内政】

●5日、昨年12月に有罪判決を受けたピラミッド商法最大手DMG社のムルシア元社長が、米国における麻薬資金洗浄の容疑で米国に引渡された。

 

●昨年12月にFARCと見られる非合法武装勢力によってカケタ県知事が誘拐、殺害された事件について、FARCがコミュニケを通じて犯行を認めた。

 

●2008年10月にボゴタ首都区ソアチャ地区の青年が遺体となって発見された戦果の偽装事件を巡って、同地区の地裁は、逮捕された軍人のうち、証拠不十分のため31人の軍人の釈放を命じた。

 

【外交】

●ハイチ地震災害に対する緊急援助を行うため、14日、バレンシア内相をヘッドとする緊急援助チームは、援助物資・機材等を携行し、ハイチ入りした。

 

●15~17日、ベルムデス外相は訪日し、16~17日に行われた第4回FEALAC外相会合に出席した他、岡田外相等との会談を行った。

 

●26~27日、サントス副大統領は、27日に行われたロボ・ホンジュラス大統領の就任式に出席し、ロボ政権への支持を改めて表明した。

 

●28日、ベルムデス外相は、ロンドンで開催されたアフガニスタンに関するロンドン国際会議に出席し、地雷除去、武装解除・動員解除・社会復帰等の分野でアフガニスタンに協力する用意がある旨表明した。

 

●30日、ウリベ大統領は、ホンジュラスを公式訪問し、ロボ大統領との会談において、ロボ大統領に対し、ホンジュラスにおける民主的プロセス、並びに(国民の)団結及び和解への支持を改めて表明した。

 

Ⅱ.内政

(1)ピラミッド商法DMG社元社長の米国への引渡し

 昨年12月16日、ピラミッド商法最大手DMG社のムルシア元社長は、第4地裁より、ピラミッド商法を通じて行った多額の違法取引及び麻薬資金洗浄の罪で30年9ヶ月の有罪判決を受けたが、米国においても3,000万ドルに及ぶ麻薬資金洗浄に関与していた疑いが持たれており、米国による要請に基づき、最高裁が、同判決に先立つ同10月14日、ムルシア元社長の米国への引渡しを認める判断を示したことから、5日、ムルシア元社長は、コロンビア当局から米国当局に引渡された。なお、米国のニューヨーク地裁におけるムルシア元社長に対する裁判は、約70日後に行われる見通しである。

 

(2)FARCによるカケタ県知事誘拐・殺害事件

 昨年12月21日、カケタ県フロレンシア市の私邸にいたクエジャル・カケタ県知事が、FARCと見られる非合法武装勢力によって誘拐され、翌22日、同市郊外において殺害された事件について、FARCは、5日にアンコール通信社(ゲリラシンパの通信社)のウェブ・ページ上で公表されたコミュニケ(2009年12月24日付)を通じて、自らの犯行を認めた上で、誘拐の目的は、同元県知事が、汚職問題に関与しており、パラミリタリーと関係を有していたためであるとし、また、同元県知事を殺害したのは、治安当局によって追い詰められたからである旨明らかにした。

 

(3)ソアチャ事件に関与した容疑で逮捕された軍人の釈放

 2008年10月にボゴタ首都区ソアチャ地区の青年が行方不明になり、ノルテ・デ・サンタンデール県で遺体となって発見された戦果の偽装事件を巡って、同事件に関与したと見られた軍人が逮捕されたが、1月、ソアチャ地区の地裁は、証拠不十分であり、同地裁に召喚する期限が過ぎたとして、逮捕された軍人のうち、31人の軍人の釈放を命じた。

 

(4)世論調査結果

 28日に行われたダテクスト社の世論調査の結果によれば、大統領連続三選を可能にする憲法改正国民投票に反対するとの回答が47%、同国民投票に賛成するとの回答が41%であったが、憲法裁判所が、同国民投票法を合憲と判断し、国民投票が行われる場合、大統領の連続三選に賛成するとの回答が85.4%、同連続三選に反対するとの回答が11.4%であった。

 

Ⅲ.外交

(1)サントス副大統領のホンジュラス訪問

 12日、サントス副大統領は、企業家とともにホンジュラスを訪問し、ロボ次期大統領と会談した。同会談において、サントス副大統領は、ロボ次期大統領に対する支持を表明するとともに、ホンジュラスに対し、迅速、かつ効率的な協力を行う用意がある旨述べた。

 また、同日、サントス副大統領は、両国の経済関係を強化するために開催された両国の企業家間の会合に出席し、メインスピーカーとして、ウリベ政権発足以降のコロンビアの政治、経済、治安情勢等について演説を行った。

 

(2)スタインバーグ米国務副長官の当国訪問

 12~13日、スタインバーグ米国務副長官が当国を訪問し、ウリベ大統領他と会談した。同会談では、治安対策、対米FTAの米議会での批准問題、人権問題、社会開発等について意見交換が行われた他、両政府間で両国における人種的平等に関する行動計画への署名が行われた。

 

(3)コロンビアの対ハイチ緊急援助

 ハイチ地震災害に対する緊急援助を行うため、14日、バレンシア内務・司法大臣をヘッドとする緊急援助チームは、以下の援助物資・機材等を携行し、ハイチ入りした。なお、コロンビア外務省は、被災したコロンビア人への支援及びコロンビアへの帰国希望者の送還支援を行う予定である。

(イ)600キロ相当の医薬品、マスク及び手袋。

(ロ)仮設軍事病院及び7名の軍医。

(ハ)死者及び生存者を捜索する20名の専門家及び20匹の救助犬。

(ニ)衛星電話3台。

(ホ)被災地に滞在中のコロンビア警察官への2,000キロの食糧。

 

(4)ベルムデス外相の訪日

 15~17日、ベルムデス外相は訪日し、16~17日に行われた第4回FEALAC外相会合に出席した。また、日本滞在中、経団連との会合に出席した他、緒方JICA理事長、直嶋経産相、峰崎財務副大臣、岡田外相等との会談を行い、岡田外相との会談では、投資協定交渉、経済協力等の二国間関係、気候変動問題、対人地雷禁止条約等の国際問題等について意見交換を行った。

 

(5)チリ大統領選挙におけるピニェラ候補当選に対するウリベ大統領の祝辞

 17日夜、ウリベ大統領は、ピニェラ次期大統領との電話会談において、ピニェラ次期大統領に祝意を表するとともに、民主的プロセスへのチリ国民の参加を強調した。

 

(6)第15回カリブ諸国連合外相会合の開催

 21~22日、当国のカルタヘナにおいて、第15回カリブ諸国連合(ACS)外相会合が開催され、カリブ諸国の他、メキシコ、中米諸国等から外相、乃至その代理が出席した。同会合では、地域における協力、人材育成、治安対策等について意見交換が行われた。

 

(7)ウリベ大統領のパナマ訪問

 22日、ウリベ大統領は、パナマを訪問し、マルティネリ大統領と会談した。また、ウリベ大統領は、同地で開催されたラ米企業家評議会に出席し、講演を行った他、両国の企業家との会合も行った。

 

(8)サントス副大統領のロボ・ホンジュラス大統領就任式出席

 26~27日、サントス副大統領は、ホンジュラスを訪問し、27日に行われたロボ大統領の就任式に出席した。サントス副大統領は、同就任式において、コロンビア政府のロボ政権に対する支持を改めて表明した。

 

(9)ウリベ大統領のダボス会議出席

 27~29日、ウリベ大統領は、スイスのダボスを訪問し、世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席した。ウリベ大統領は、28日に行われたセッション「ラ米における民主主義と開発」においてステートメントを行い、4月6~8日に当国のカルタヘナ市において、世界ラテンアメリカ経済フォーラムを開催予定である旨発言した。また、ダボス滞在中、ウリベ大統領は、同会議に参加した国の首脳等、企業家等と会談を行った。

 

(10)ベルムデス外相のアフガニスタンに関するロンドン国際会議出席

 28日、ベルムデス外相は、ロンドンを訪問し、アフガニスタンに関するロンドン国際会議に出席した。ベルムデス外相は、同会議において、地雷除去、武装解除・動員解除・社会復帰等の分野でアフガニスタンに協力する用意がある旨表明した。なお、コロンビアは、同会議における唯一の中南米からの参加国であった。

 

(11)ウリベ大統領のホンジュラス訪問

(イ)30日、ウリベ大統領は、ホンジュラスを公式訪問し、ロボ大統領と会談を行った。同会談において、ウリベ大統領はロボ大統領に対し、ホンジュラスにおける民主的プロセス、並びに(国民の)団結及び和解への支持を改めて表明した。

 会談後、両首脳は、違法な麻薬及び武器の取引、誘拐、人身取引、資金洗浄、並びにその他の国際犯罪等の撲滅に対する協力に関する協定に署名した。

 なお、今般のウリベ大統領のホンジュラス訪問は、27日に行われたロボ大統領の就任式典後、初めての外国の大統領のホンジュラス訪問となった。

(ロ)会談後、ウリベ大統領は、「ホンジュラス国民は、常に世界に対して、確固たる尊厳及び自立性を示してきた」とした上で、民主主義の原則に基づいて、ホンジュラスにおける制度的近代化及び国民の団結を実現したとして、ロボ大統領に対する称賛の言葉を送った。

 これに対し、ロボ大統領は、今般のウリベ大統領のホンジュラス訪問は、ホンジュラスの国際社会との関係正常化の可能性を強化するものである旨述べた。