コロンビア月例報告(11月分)
内政・外交状況
2010年12月13日
在コロンビア日本大使館
Ⅰ.概要
【内政】
●2日,ELNは,政府との和平対話を模索するメッセージを発出。
●3日,サントス大統領は,新たな検事総長候補者リストを最高裁に提出。
●7日,ファハルド前副大統領候補は,緑の党の共同党首に就任。
●10日,サラサール上院議員は,保守党の新党首に就任。
●12日,サントス大統領は,国家開発計画(案)の骨子を発表。
●18日,政府は,長雨被害により,国家災害非常事態宣言を発出。
●ウルタード元DAS職員のパナマ亡命問題に関して,23日,ウリベ前大統領は,「コ」には公正な裁判の保障はない旨のコミュニケを発出。
●28日,ペトロ前大統領候補は,PDA党を離脱する意向を表明。
【外交】
●2日,サントス大統領は,ベネズエラを訪問し,チャベス大統領と会談。
●4日,米州人権委員会は,エクアドルが提訴している「コ」軍空爆による「エ」人死亡事件を受理可能と決定。
●10~13日,ディアス・グラナドス商工観光相が訪日し,APEC・CEOサミット等に出席。
●17日,ベネズエラは,ELN及びFARC構成員3名を「コ」に引渡した。一方,16日,サントス大統領は,麻薬組織関係者マクレドを「ベ」に引渡す旨表明。
●18日,オルギン外相は,エクアドルを訪問し,パティーニョ外相との会談において,「エ」側が求めているセンシティブな問題に関する情報を提供。
●23~24日,ピニェラ・チリ大統領は,「コ」を訪問し,サントス大統領と会談。
●24日,「コ」は,北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件に関するコミュニケを発出。
●26日,サントス大統領は,ガイアナで開催された南米諸国連合首脳会合に出席。コレア・エクアドル大統領との間で両国関係を完全に修復することに合意。
●29日,オルギン外相は,ペルーを訪問し,ガルシア・ベラウンデ外相と会談。
Ⅱ.内政
1 ELNによる和平対話の模索
(1)2日,ELNの最高幹部ニコラス・ロゴリゲス,通称「ガビーノ」は,ユーチューブ上に約15分に亘るビデオ・メッセージを流し,同メッセージの中で,歴代政権の中にはELNと和平を模索するための接近があった,今日ほど,国家に和平が求められていることはない等とした上で,サントス政権に対し,憲法が規定しているとおり,政府は国家に和平への道を提示する責務を有している旨述べた。
(2)これに対し,3日,ガルソン副大統領は,ELNが,暴力行為を止め,武装解除するとの具体的な行動を示さない限り,政府とELNが接近するプロセスの前進は非常に難しいであろうと述べた。
2 最高裁による検事総長選出問題
(1)イグアラン検事総長が任期満了に伴い退任した昨年7月以降,ウリベ前大統領が最高裁に提出した候補者リストの中から検事総長が選出されない状況が続いていたが(注:現行憲法では,検事総長は,大統領が提出する3人の候補者リストの中から最高裁が選出する旨規定されている),こうした状況を打開するため,サントス政権は,最高行政裁判所に対し候補者リスト変更の可否につき照会していたところ,10月28日,同裁判所は,検事総長の候補者リスト作成は,大統領の裁量権に属し,既に最高裁に提出されている候補者が辞退する等の状況がなくても,候補者リストを変更することができる旨回答した。
(2)右を受けて,サントス大統領は,事前にウリベ前大統領とも相談した上で,3日,新たな検事総長候補者リストを最高裁に提出した。同候補者は,フアン・エスゲラ憲法裁判所法律顧問(専門は憲法及び行政法),ビビアネ・モラレス元国会議員(専門は憲法)及びグスターボ・アリエタ元行政監察監(専門は行政法)の3名であり,同候補者について,サントス大統領は,「政治的な考慮はなかった。考慮した唯一のことは,候補者が法律の専門家として豊富な経験を有している有能な人物であり,最高裁及び国家に信頼を与え得ることである。」と述べた。
3 ファハルド前副大統領候補の緑の党共同党首就任
(1)7日,元メデジン市長で,モックス大統領候補(緑の党)の副大統領候補であったセルヒオ・ファハルド・コロンビアのための市民運動代表が,正式に緑の党の党員になるとともに,ガルソン党首とともに,共同党首に就任することが決定した。
(2)ファハルド新共同党首は,緑の党はサントス大統領が掲げる国民統一の一翼を担っているわけではないが,コロンビアのために貢献していると述べるとともに,ボゴタ首都市において国家の方向性が決まるとした上で,緑の党は,来年10月のボゴタ市長選挙での勝利に関心を有している旨明らかにした。
4 世論調査結果
9~10日に当地世論調査会社ダテクスコが全国の18歳以上の男女700名を対象に世論調査を実施したところ,同世論調査の主な結果は以下のとおり。
(1)サントス大統領の支持率
・支持する:75.1%
・支持しない:14.5%
(2)サントス政権の100日をどう評価するか。
・良い:58.7%
・普通:31.0%
・悪い:4.2%
5 サラサール保守党新党首の選出
(1)10日,保守党の幹部会が開催され,アラウホ党首の後任として,ホセ・サラサール上院議員が新党首に選出された。
(2)新党首選出後,ダリオ新党首は,新党首としての自らの使命は,価値観,生命及び秩序を守ることであるとし,その一環として,来年3月に中絶禁止に関する憲法改正案を国会に提出する予定である旨明らかにした。
(3)なお,現在コロンビアでは,母親の生命が危険に晒されている場合,胎児が奇形児である場合,或いは母親が暴行され,妊娠した場合に限り,中絶が認められている。
6 国家開発計画案骨子の発表
(1)12日,サントス大統領は,雇用拡大,貧困削減及び治安改善を柱とする国家開発計画案の骨子を発表した。今後,政府は,国内の関係セクター等との協議,同計画案の修正を経た上で,2011年2月6日までに国家開発計画を国会に提出するとしている。
(2)なお,同計画は,4年間の平均経済成長率を6.2%,失業率を9%まで低下させることを主な経済目標としており,また,外交方針としては,アジア太平洋地域への参入,投資誘致や新しいビジネスチャンス獲得のためのCIVETSの主導,OECD加盟及びラテンアメリカ・カリブ諸国との統合強化を挙げている。
7 自由党と急進改革党の統合に向けた動き
(1)22日付当地エル・ティエンポ紙によれば,連立与党を構成している自由党と急進改革党は,統合に向けた動きを見せている。
(2)同統合が実現すれば,国会における勢力は,上院では国民統一党(27議席)に次ぐ第2勢力(24議席),下院では最大勢力(54議席)となり(国民統一党は45議席で第二勢力),これまで国会で第二勢力であった保守党を凌ぐことになるが,同統合に向けた動きは,来年10月の地方選挙及び2014年の大統領選挙も見据えた中長期的な戦略と見られている。
(3)この点について,パルド自由党党首は,「国民統合の中では,こうした統合が実現したとしても,何も起こらないであろう。この統合は,他の政党を脇に追いやろうとするものではなく,与党連立を強化するものである。」と述べた。
8 長雨による被害
(1)ラ・ニーニャ現象の影響による長雨の結果,全国的に洪水,浸水,家屋倒壊等の被害が起きており,18日,政府は,国家災害非常事態宣言を発出した。21日時点の被害状況は以下のとおり。
・被災者:125万916人,死者:142人,負傷者:219人,行方不明者:20人
・被害を受けた市:575市
・全壊住宅:1,746棟,半壊住宅:213,657棟
(2)こうした状況を前に,政府は,国際社会に対して,緊急援助を要請し,米国,EU,スペイン,スイス,ブラジル,ベネズエラ,チリ等の国が緊急援助を行っている。
9 大統領府治安庁元長官の亡命問題
(1)メンドーサ検事総長代行が,最高裁判事,国会議員,マスコミ関係者等の違法盗聴等に関与したとして,ウルタード大統領府治安庁(DAS)元長官に関する調査を行っている中,10月31日に出国し,パナマに滞在しているウルタード元長官は,7日,コロンビアでは公正な裁判を受けられる保障はないとしてパナマ政府に亡命申請を行い,19日,パナマ政府は,同元長官の亡命申請を認める決定を行った。
これに対して,同19日,オルギン外相は,パナマ政府の決定を尊重するとしつつも,コロンビア,パナマ両国政府間の非常に良好な関係に鑑みれば,パナマ政府から事前に本件に関する連絡がなかったのは残念である旨のコメントを発出し,また,20日,サントス大統領も,同様のコメントを発出した。
(2)上記のウルタード元長官の亡命問題等に関連して,23日,ウリベ前大統領は,最高裁の一部セクターは,根拠もなく,大統領府が犯罪目的を有しているとの仮説を推し進める間違いを犯しており,司法機関の信用を失墜させている,大統領府関係者に対する告発,起訴については何らの証拠もない,多くの同僚達は,公正な裁判の保障を得られておらず,彼らに対する迫害は,彼らの生命を脅かしている等の内容のコミュニケをツイッター上に発出した。
これに対して,24日,サントス大統領は,「コロンビアは民主的国家であり,国民に対して,あらゆる種類の保障を与えている。」,「いかなる者も,第三国に対して,コロンビアでは然るべき形で裁判が行われる十分な保障がないと主張することはできない。」等と述べ,ウリベ前大統領のコミュニケの内容を否定する発言を行った。
10 ペトロ前大統領候補のPDA党離脱
(1)28日,PDA党のペトロ前大統領候補は,党内における主導権争い,汚職問題等への反発からPDA党を離党する意向を表明し,12月2日に正式に離党届を提出する見通し。
(2)なお,ペトロ氏は,2011年10月の地方選挙も視野に入れつつ,新たな政治勢力を結集する意向を示している。
Ⅲ.外交
1 ルセーフ伯次期大統領に対するサントス大統領の祝意表明
(1)1日,サントス大統領は,ルセーフ伯次期大統領に架電し,大統領選挙で勝利したことに対し祝意を伝えるとともに,民主的な選挙が行われたことに対し,同大統領及びコロンビア国民から伯国民への祝意を伝えた。
(2)また,サントス大統領は,先般の伯国賓訪問の際に表明したが,ルセーフ伯次期大統領に対し,二国間関係及びラ米における両国の関係を深化させることに関心を有している旨改めて表明した。
(3)これに対し,ルセーフ伯次期大統領は,今回のサントス大統領からの電話に謝意を表明した上で,コロンビアは,二国間関係を引き続き強化する上で同盟国を得ることになるであろう旨述べた。
2 サントス大統領のベネズエラ訪問
2日,サントス大統領は,ベネズエラを訪問し,チャベス大統領と会談した。同会談において,両大統領は,8月10日に両大統領が創設することに合意した5つの作業委員会の進捗状況をレビューした。会談後,両政府間で二国間生産的経済委員会の設置,二国間観光委員会の設置,(ベネズエラの)タチラ州と(コロンビアの)ノルテ・デ・サンタンデール県を結ぶ国際橋の建設のための協力及び世界の麻薬問題との戦いのための協力に関する4つの合意文書への署名が行われるとともに,ミラフローレス宣言が発出された。
なお,両大統領が会談を行うのは今回が2回目であるが,両大統領は,今後は3ヶ月毎に会合を行うことに合意し,次回会合は来年2月初旬にコロンビアで行うこととなった。
3 米州人権委員会へのエクアドルによるコロンビア提訴問題
(1)2008年3月のコロンビア国軍によるエクアドル領内のFARCキャンプの攻撃の際にエクアドル人,フランクリン・アイサジャ氏が死亡した事件に関し,2009年6月,エクアドル政府は,米州人権委員会に対し,コロンビアを提訴していたが,4日,同委員会は,同提訴を受理することが可能である旨の決定を下した。
なお,米州人権委員会が,国家間の事案を扱うのは,今回が初めてである。
(2)エクアドル政府は,コロンビア提訴の理由として,アイサジャ氏は,コロンビア国軍による空爆後,同国軍の軍人によって,頭部を殴られる等の被害を受け死亡した,右は米州人権条約の第4条,第5条,第8条及び第25条に違反するものであるとして,コロンビア政府に対し,本件に関する公式な謝罪,アイサジャ氏の家族への補償金の支払い等を要求している。これに対し,コロンビア政府は,アイサジャ氏は,コロンビア国軍の空爆によって死亡したのであり,米州人権委員会は,本件に関する管轄権を有していない旨主張していた。
(3)本件を巡っては,コロンビア及びエクアドル両政府が,米州人権委員会において,友好的な解決策を見出す可能性もあるが,こうした解決策が見い出せない場合,同委員会による判断に委ねられることになる。両国は,米州人権員会において,3ヶ月間にわたり,それぞれの立場を表明することができ,右を踏まえて,約1年後に同委員会の判断が示されると見られている。
4 ニーベル独経済協力・開発大臣のコロンビア訪問
(1)5日,ニーベル独経済協力・開発大臣は,コロンビアを訪問し,大統領公邸において,サントス大統領,ガルソン副大統領,オルギン外相他と会談した。
(2)会談後,ニーベル大臣は,「自分は,独政府が,コロンビアへの協力を実質的に拡大するとの決定を行ったこと,そして本年12月に行われる両国の政府間協議において,それを実施することを大統領にお伝えすることができた。」と述べた。
(3)また,ニーベル大臣は,「紛争予防,和平促進,民主主義支援等の協力の他に,我々は,環境保護等のプライオリティーの高い新たな行動分野を開拓し,実質的に援助額を倍増するであろう。」とした上で,「所得の創出及び貧困との戦いを伴った,コロンビアにおける生活条件の改善は,この新たな行動分野において重要なテーマとなろう。自分は,独がこの分野において独の比較優位性を発揮できると確信している。」と述べた。
5 オルギン外相の仏訪問
(1)8~9日,オルギン外相は,仏を訪問し,クシュネル外相,Levitte大統領補佐官等と会談するとともに,下院外交委員会において講演を行った他,ボコバ・ユネスコ事務局長等とも会談を行った。
(2)外相会談では,両国の経済関係,来年前半に予定されているサントス大統領の訪仏等の二国間関係,また,コロンビアのOECD加盟希望,仏のG20議長国としてのプライオリティー等の国際関係について意見交換が行われた。
(3)両国関係について,仏外務省は,クシュネル外相の発言を引用しつつ,「コロンビアは重要なパートナーであり,両国関係の見通しは非常にポジティブなものである。」,「コロンビアが2011年1月から安保理非常任理事国になることは,両国間の政治対話の強化を可能にするに違いない。」,「両国の経済交流は,ここ数年継続して拡大している。仏の企業は,コロンビアにおいて,外国企業の中で最大の雇用を確保しており,仏は,コロンビアにおけるプレゼンスの拡大を望んでいる。昨年ボゴタに仏開発庁の事務所が開設されたことは,仏がコロンビアへの関心を高めていることの証左である。」等の内容のプレスリリースを発出した。
6 ディアス・グラナドス商工観光相のAPEC・CEOサミット等出席
(1)10~13日に日本を訪問したディアス・グラナドス商工観光相は,11日のAPEC・SMEサミット及び12~13日のAPEC・CEOサミットに出席し,ステートメントを行った。
(2)また,13日,ディアス・グラナドス商工観光相は,APEC会議場ホテルにおいて,山花外務大臣政務官と会談を行い,二国間関係等について意見交換を行った。
7 サンファン河浚渫問題に関するOAS決議案採択を巡る問題
(1)12日にコスタリカとニカラグアの間で生じているサンファン河浚渫問題に関するOAS決議案が採択されたことについて,13日,オルテガ・ニカラグア大統領が,コロンビアは,麻薬組織を守り,カリブ海を支配し,そしてカリブ地域における支配権を拡張するために,コスタリカ,メキシコ,ホンジュラス,グアテマラ及びパナマとともに,ニカラグアに対する国際的な陰謀を主導した旨述べ,同決議案採択に向けたコロンビアの姿勢を非難した。
(2)これに対して,14日,コロンビア政府は,サンファン河浚渫問題に関するOAS決議案採択を巡る状況については承知しているが,本件に関して見解は表明しない旨明らかにした。
8 ベネズエラによるELN及びFARC構成員の引渡し等
(1)ベネズエラ領内に潜伏し,ベネズエラ当局によって拘束されていたELNの構成員2名(ニルソン・ナバロ,プリシラ・アヤラ)及びFARCの構成員1名(オスワルド・エスピノサ)が,17日,ベネズエラ当局からコロンビア側に引き渡された。
(2)一方,右に先立つ16日,サントス大統領は,米国からも引渡しを要請されている麻薬組織関係者,ワリド・マクレド(ベネズエラ人)をベネズエラに引渡す旨表明した。 この点について,米国務省は,マクレドが米国に引渡されることへの関心を表明しつつも,コロンビア政府の決定を尊重するとしているが,ボブ・メネンデス米上院議員(民主党,外交委員会メンバー)は,サントス大統領の同決定は,麻薬取引との戦いへのコミットメントを揺るがすものであるとして,同決定を非難した。
9 オルギン外相のエクアドル訪問
(1)18日,オルギン外相は,エクアドルのキトを訪問し,パティーニョ外相と会談した。会談後,オルギン外相は,会談の結果に満足している旨述べた。一方,パティーニョ外相は,2008年3月のコロンビア空軍によるエクアドル領内のFARCキャンプ空襲
に関する情報の提供をコロンビア側に要請している問題について,「センシティブな問題に関する我々の要求についても扱われ,我々は,近日中に(提出された)文書を分析したいと考えている。」と述べた。
(2)また,同会談において,両外相は,コロンビアが,1999年にエクアドルの国会議員を殺害したパラミリタリーと見られている人物をエクアドルに引渡すことに合意した。
10 ピニェラ・チリ大統領のコロンビア訪問
(1)23~24日,チリのピニェラ大統領は,コロンビアを訪問し,24日,大統領府においてサントス大統領と会談し,両政府間でエネルギー,鉱業,文化,国防及び税関に関する合意文書への署名が行われた他,国会幹部,最高裁判事等との会談を行った。
(2)会談後,サントス大統領は,「チリとコロンビアがラ米において団結すれば,我々は,より良い結果をもたらすであろう。」と述べるとともに,「我々は,自由貿易を支持しているが,更に資本及び人の自由移動まで実現し,この統合プロセスを深化させることができるであろう。」と述べ,ラ米地域における統合への期待を表明した。
これに対して,ピニェラ大統領は,「我々は,アジア・太平洋地域との関係構築を通じて,発展の実現,貧困の撲滅,福利及び生活の質の向上等の課題に共に取り組むことを可能にする,コロンビアとチリの戦略的同盟の基礎を築いた。」と述べた。
(3)また,コロンビアのAPEC加盟問題について,サントス大統領は,ピニェラ大統領が,コロンビアのAPEC加盟への支持を表明したことに感謝した他,チリ政府が,コロンビアにおける長雨災害に際し,28トンの物資(テント,小型マットレス,毛布)等の人道援助を供与したことに対して,ピニェラ大統領に謝意を表明した。
(4)一方,先般チリにおいてFARCの協力者と見なされているチリ人のマヌエル・オラテ,通称「ロケ」が逮捕されたことについて,サントス大統領は,「彼がテロ・グループとの直接的な関係を有していたことが証明されるのであれば,彼はその罪の償いをしなければならない。」と述べたのに対し,ピニェラ大統領は,「チリの司法当局が,彼の前歴を調査し,コロンビアへの引渡しを行うか否かを判断するであろう。」と述べた。
11 北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件に関するコロンビア外務省ミュニケ
24日,コロンビア外務省は,北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件に関するコミュニケを発出したところ,概要以下のとおり。
(1)コロンビア外務省は,2名の軍人及び2名の市民の死者を出し,また,1名の軍人及び1名の市民の負傷者を出した,北朝鮮による延坪島砲撃を巡る情勢に懸念を表明する。
(2)コロンビア外務省は,人命の喪失,並びに延坪島及び島民への被害を遺憾に思うと同時に,紛争及び情勢の悪化を回避することを目的に,可能な限り早期に適当なルートによる直接的な対話及び交渉を再開するために,朝鮮半島休戦協定の尊重を求めるとともに,朝鮮半島に関する懸案の平和的な解決を慫慂している国連安保理の決議(声明)に違反する,北朝鮮による武力行使を非難する。
(3)コロンビア政府は,国連安保理の次期非常任理事国(任期:2011~12年)として,引き続き朝鮮半島情勢を注視するとともに,北朝鮮に対し,武力の行使及び脅威を禁止する国連安保理の決議を厳格に遵守するよう求める。また,コロンビア政府は,国連事務総長の声明と一致する形で,情勢がエスカレーションするのを回避するために,北朝鮮に対し,節度を持った対応を行うよう求める。
(4)コロンビア政府及び国民は,今般の悲劇的な事態に対し,韓国に連帯の意を表明するとともに,改めて歴史的な連帯を表明する。
12 サントス大統領の南米諸国連合首脳会合出席
(1)26日,ガイアナのジョージタウンにおいて,南米諸国連合首脳会合が開催され,サントス大統領の他,7ヵ国の大統領が出席した。同会合に出席した大統領は,地域におけるクーデターの抑止及び制裁に関する「民主主義へのコミットメントに関する南米諸国連合設立条約付属議定書」を承認し,採択した。同議定書採択を推進したコレア・エクアドル大統領は,「デ・ファクト政権を通じて権力を奪取しようとする者は,地域における公職追放という措置に直面しなければならないことを知るであろう。」と述べた。
(2)同会合において,議長国はエクアドルからガイアナに引き継がれたが,キルチネル前アルゼンチン大統領の逝去により空席となった南米諸国連合事務局長の選出は行われず,今後の検討課題となった。
13 エクアドルとの関係の修復
(1)26日,南米諸国連合首脳会合のマージンで行われたサントス大統領とコレア・エクアドル大統領の首脳会談において,両大統領は,両国関係を完全に修復することに合意し,クリスマス前に大使をそれぞれ派遣すると明らかにした。なお,両国の外交関係は,2008年3月のコロンビア空軍によるエクアドル領内のFARCキャンプ空爆後断絶していたが,両国は,昨年11月に臨時代理大使をそれぞれ派遣する等,関係修復に向けた動きを見せていた経緯がある。
(2)この点について,サントス大統領は,「我々は,エクアドルとコロンビアの外交関係を完全に修復する決定を行ったことをお伝えしたい。そのために我々は,クリスマス前に大使をそれぞれ任命する。(任命された相手国大使への)アグレマン付与のプロセスは直ちに開始されるであろう。」と述べた。
これに対し,コレア大統領は,「自分は,サントス大統領の透明性を評価しなければならない。サントス大統領は,あらゆる善意をもって,(両国間の国境問題に関する)センシティブな問題を克服しようとしている。アンゴストゥーラで死亡した(FARCナンバー2の)ラウル・レジェス氏のパソコンのハードディスクが我々に提供され,また,アンゴストゥーラにおけるオペレーションに関する非常に重要な情報も我々に提供された。」,「まだ共に歩むべき道はあるが,我々は,正しい方向に,そしてかなり速い速度で進み始めたと思う。今日は我々のアメリカにとっての祝日である。」と述べた。
14 オルギン外相のペルー訪問
29日,オルギン外相はペルーを訪問し,ガルシア・ベラウンデ外相と会談した。両外相は,二国間関係,地域情勢,国際情勢等について意見交換を行い,両国が戦略的パートナーシップ強化に向け確固たる協力及び理解のメカニズムを構築していることを確認した。会談後,ガルシア・ベラウンデ外相は,オルギン外相にエル・ソル勲章大十字章を授与し,両外相は,財,サービス,資本及び人の自由な移動を保障する深化した統合地域の形成の促進等に関する共同コミュニケを発出した。
(了)