コロンビア月例報告(1月分)

 

内政・外交状況

 

2011年2月14日

コロンビア日本大使館

 

Ⅰ.概要

【内政】

●1月初め,FARCは,土地返還法案及び犠牲者補償法案に対する特別の配慮を要求する等の内容の新年のメッセージを発出した。

●12日,モラレス新検事総長が正式に就任した。

●27日,タルキーノ判事が最高裁長官に選出された。

 

【外交】

●1月,「コ」が国連安保理非常任理事国に就任し,4月に安保理の議長国になる予定。

●1日,サントス大統領は,ルセーフ伯大統領の就任式に出席した。

●18~22日,オルギン外相は,ASEAN観光会合出席等のためカンボジアを訪問した。

●24~26日,サントス大統領は仏を訪問し,サルコジ大統領他と会談した。仏は,「コ」のOECD加盟希望への支持を表明した他,G20の準備に「コ」の緊密な関与を望む旨明らかにした。

●2008年8月に策定された「コ」軍のアフガニスタンへの派遣計画は延期されているが,年内にも派遣されることが期待されている。

 

Ⅱ.内政

1 FARCによる新年のメッセージ

 1月初め,アルフォンソ・カノFARC最高司令官は,左翼系通信社ANNCOL上に,和解及び民主的共存の道を見出すことができない限り,闘争を継続する,今後とも捕虜・人質交換の旗印を掲げる,現在国会で審議されている土地返還法案及び犠牲者補償法案(その後両法案は一本化)に対する特別の配慮を要求する等の内容の新年のメッセージを発出した。

 

2 マグダレナ県知事交代を巡る問題

 昨年12月,ディアスグラナドス・マグダレナ県知事が,学用品を市価の3倍の価格で購入し,県の予算に25億ペソの損失をもたらしたとして,会計検査院により失職処分を受け,6日,政府により任命された元国軍司令官のボネット氏が県知事代行に就任したが,11日,本件を担当する地方裁判所は,ボネット氏の県知事代行就任は無効との判断を示し,ディアスグラナドス氏が県知事に復職した。

 

3 モラレス新検事総長の就任

 12日,ビビアン・モラレス新検事総長が,サントス大統領に対して,就任宣誓を行い,正式に就任した。同宣誓式において,サントス大統領は,モラレス新検事総長に対して,汚職撲滅のために共に働こうと呼びかけた。モラレス新検事総長の任期は4年。

 

4 最高裁長官等の人事

(1)昨年12月14日に就任したペドロ・ムナル最高裁長官代行の後任として,27日,カミロ・タルキーノ判事が,最高裁長官に選出された。任期は1年。

(2)31日,フランシスコ・エスコバール高等行政審議会長官の後任として,アンヘリーノ・リスカーノ判事が,新長官に選出された。任期は1年。

 

Ⅲ.外交

1 コロンビアの国連安保理非常任理事国就任

 昨年10月の国連安保理非常任理事国選挙で当選したコロンビアは,ドイツ,ポルトガル,インド及び南アとともに,本年1月より新たな非常任理事国となった。コロンビアは,本年4月に安保理議長国になる予定である。

 

2 サントス大統領のルセーフ伯大統領就任式出席

(1)昨年12月31日~1月1日,サントス大統領は,オルギン外相他とともにブラジルを訪問し,1日に行われたルセーフ新大統領の就任式に出席した。サントス大統領は,同就任式の機会を利用し,同就任式に出席したベネズエラのチャベス大統領,韓国の金国務総理,米国のクリントン国務長官等と二国間会談をそれぞれ行った。

(2)チャベス大統領との会談において,同大統領は,先般ベネズエラ当局が同国で拘束したELN幹部のニルソン・アルビン・テラン・フェレイラ,通称「トゥリオ」を国内の法的手続きが終了次第コロンビア当局に引渡す旨表明した他,コロンビアの非合法武装勢力のベネズエラにおけるプレゼンスを認めない旨述べた。

(3)金国務総理との会談において,同総理は,コロンビアのAPEC加盟を支持する旨表明した他,コロンビアとの自由貿易協定締結交渉を可能な限り早期に終了させたいと述べるとともに,サントス大統領の韓国訪問招請を行った。

(4)また,クリントン国務長官との会談において,同国務長官は,コロンビアが長雨被害に対処するために必要なあらゆる援助を供与する用意がある旨表明した。

 

3 ベネズエラによるELN幹部のコロンビアへの引渡し

 14日,ベネズエラ当局は,先般同国で拘束したELN幹部のニルソン・アルビン・テラン・フェレイラ,通称「トゥリオ」をコロンビア当局に引渡した。昨年8月に両国の外交関係が再開されて以来,ベネズエラが,同国で拘束したコロンビアのゲリラをコロンビア側に引渡すのは,今回が4人目である。

 

4 オルギン外相のカンボジア訪問

 18~22日,オルギン外相は,第30回ASEAN観光会合に出席するためカンボジアのプノンペンを訪問した。プノンペン滞在中,オルギン外相は,同会合に出席した他,カンボジアの国王,首相及び外相とそれぞれ会談を行い,両国間の政治対話,両国間の経済,文化及び協力関係等について意見交換を行った。

 会談後,オルギン外相は,「アジアは我々が関係を強化したいと考えている主要な地域である。我々がアジア諸国との通商関係を強化し,アジアからの投資を促進したいと考えている。」と述べた。

 

5 サントス大統領のフランス訪問

 24~26日,サントス大統領は,フランスを訪問し,OECD,IDB等主催のラ米・カリブ国際経済フォーラムにメイン・パネリストとして出席した他,サルコジ大統領,フィヨン首相,フランスの企業家等とそれぞれ会談した。

 26日の首脳会談後,両大統領は,首脳宣言を発出した。同宣言の中で,両国は,国連のアジェンダについて定期的に協議することに合意した他,フランスは,議長国を務めるG20の準備にコロンビアが緊密に関与することを望む旨明らかにするとともに,コロンビアのOECD加盟希望を支持する旨表明した。

 

6 麻薬対策に関するコロンビア・ベネズエラ関係閣僚会合

 24~26日,リベラ国防相及びベネズエラのエル・アイサミ内務・司法相は,ベネズエラのボリーバル州において,麻薬対策関係閣僚会合を開催し,今後両国が麻薬対策で協力するための基礎として,麻薬組織に関する情報交換,コカイン製造過程で使用される物資のコントロール,麻薬に対する需要の削減,マネーロンダリングの防止及びコントロール,並びに麻薬代替作物栽培に関する教訓の共有の5点について合意した。

 

7 サントス大統領のダボス会議出席

 27~28日,サントス大統領は,世界経済フォーラム2011年年次総会(ダボス会議)出席のためスイスを訪問し,同総会の国際犯罪との戦いに関するパネルに出席した他,ビジネス関連のセッションにおいて演説を行った。

 また,サントス大統領は,同総会のマージンで,スイス,南ア及びインドネシアの大統領とそれぞれバイ会談を行うとともに,メキシコ,パナマ及びドミニカ(共)の各大統領との夕食会に出席した。

 

8 アフガニスタンへの「コ」軍派遣の延期

(1)30日付当地エル・ティエンポ紙は,2008年8月にコロンビア軍のアフガニスタンへの派遣計画が策定されたが,費用負担,アフガニスタン政府のコロンビア軍人への特権及び免除付与,活動分野等を巡り,コロンビア,アフガニスタン,スペイン及び米国の間で未だ合意ができていないこともあり,アフガニスタンへのコロンビア軍の派遣が延期されている。

(2)また,当初コロンビア軍は,アフガニスタンにおいて,麻薬対策,地雷除去等の分野でスペイン軍とともに活動することが予定されていたが,現在では,アフガニスタン政府からの要請も踏まえ,ロシア製ヘリコプター「MI-7」のスペシャリスト,対ゲリラ戦の部隊及びゲリラの武装解除のスペシャリスト等の派遣が検討されており,年内にもコロンビア軍の第一陣がアフガニスタンに派遣されることが期待されている。

(了)