カケタ県における地域コミュニティベースの元FARC構成員の社会復帰・社会統合促進事業(日本NGO連携無償資金協力)

令和7年5月14日
                                        

5月7日、カケタ県エルドンセジョ市にある地域訓練・再統合支援施設(ETCR)エルドンセジョにおいて、多目的職業訓練センターの開所式が行われました。同開所式には、ミレル再統合・正常化庁(ARN)長官、チャールズ国連コロンビア検証ミッション(UNVMC)地域調整官、バルガスETCRエルドンセジョ・リーダー、鈴木アクセプト・インターナショナル・コロンビア事業部長、髙杉駐コロンビア日本大使らが出席しました。

このプロジェクトは、2016年のコロンビア政府との和平合意により武装解除に応じた左翼ゲリラFARC(コロンビア革命軍)の元構成員の社会復帰・社会統合を促進するために、特に脆弱なカケタ県エルドンセジョのETCR及びその周辺地域において、若者の社会復帰を促す支援体制の整備、彼らの社会統合に向けた地域コミュニティとの相互理解を促す活動を行うことを目的としており、これらを通じ、長期的には、元FARC構成員の社会復帰・社会統合が促進されるとともに、地域社会の和解や和平合意の推進、そして彼らをも包摂した形での社会開発の実現を目指しています。

日本政府は、このプロジェクトの1年目として、40万ドル(17億コロンビア・ペソ)相当の支援を行いました。このプロジェクトは、ETCRにおける元FARC構成員に対する包括的な社会復帰支援の不足、元FARC構成員の社会復帰・社会統合における地域社会との相互理解の不足といった課題を背景に実施されるもので、具体的には、元FARC構成員及び地域コミュニティへの社会復帰支援の実施、コロンビア政府機関職員へのキャパシティビルディング、地域コミュニティとの対話プログラムの実施をコンポーネントとしています。

このたびの多目的職業訓練センターの建設及び施設提供は、エルドンセジョのETCRや周辺地域に住む元FARC構成員及び脆弱な若者150名程度の社会復帰支援を行う環境を整備するもので、講義の受講やワークショップを行うことができる教室、裁縫作業を行う教室、畑作業を行う屋外スペース、倉庫を兼ね備えています。

実施団体のアクセプト・インターナショナルは、ソマリア、イエメン等の紛争地での平和構築支援に豊富な経験を有しており、そうした経験を踏まえ、対象者の将来に対する前向きな姿勢を促すためのコミュニケーションの取り方や、彼らの抱える不安などに寄り添いケアする適切な姿勢、地域コミュニティとの適切な関係構築を促すためにとるべき対応などに関する知見を踏まえた研修を行うことが期待されています。

日本政府は、コロンビアにおける和平の定着、特に最終和平合意の履行を重視しており、これまでも様々な支援を行ってきていますが、本開所式において、髙杉大使からは、コロンビアの平和の定着及び発展に向けた日本政府のコミットメントを改めて表明しつつ、本プロジェクトがコロンビアの包摂的な社会開発、ひいては地域の安定につながることを心より望む旨述べました。ミレルARN長官からは、このプロジェクトは、これまでの和解の歴史をたどると非常に重要な取組で、地域社会への再統合や和平の実現に貢献することが期待できるとして、日本の協力への謝意が示されました。